東部ウクライナの余計な人たち

(訳者まえがき) ここに訳出したのは、ウクライナ出身のアーティスト、Anatoli UlyanovのLeft Eastに掲載されたエッセイである。タイトルにある余計な人たちThe Superfluous Peopleとは、ロシア語話者でロシアに何らかの出自や関わりがある人達のことだ。ウクライナの政府にとって大切なのは、領土であり、こうしたロシア語話者の人達を本音では排除したいのではないかと、彼自身の経験を踏まえて判断している。もちろんロシアにとっても余計者であり、せいぜいでウクライナとの戦争で消費される戦力としてしか考えられていない。

ウリヤノフは、2004年のオレンジ革命以後、ウクライナの不寛容なナショナリズムとLGBTQコミュニティへの迫害を批判してきたアーティストで、ウクライナではゲイともみなされてきた。ウリヤノフのようなアイデンティティをもつ人達は、ウクライナでもロシアでも居場所を見出すのは容易ではない。ごく簡単にウリヤノフの経歴について紹介する。

2003年、アナトリ・ウリヤノフとナターシャ・マシャロワ(Natasha Masharova)は「プロザ」というウェブサイトを立ち上げ、とくに2004年のオレンジ革命以後、外国人嫌いで保守的なナショナリストのイデオロギーが世論を支配し、政府機関に根付いているのを見て、反ナショナリズムの主張を展開すると同時に、エロティックアート、同性愛の汚名に挑戦するエッセイなど、LGBTQ+ コミュニティを支援する仕事も発表し始めた。

2008年に「ウクライナの伝統的価値」を守るための検閲を任務とする政府機関「道徳委員会」の設置に反対する活動を開始する。この委員会のメンバーであるダニロ・ヤネフスキーは、「奴隷に言論の自由は必要ない」「口を閉じて座っている必要がある」のであり「検閲の実施に賛成する」と発言するなど、表現の自由に深刻な危機をもたらした。ウリヤノフへの繰り返しの暴力や脅迫に対して警察は何の手立てもとらず、道徳委員会設立の立役者の一人でもあったキーウ市長もまた事件を軽視する態度をとった。右翼・ナショナリストの反感を買い、暴力を振われたり脅されたりしてきた。繰り返される暴力と迫害のために、2011年、ウリヤノフとマシャロワは2009年4月にウクライナを出国し米国に渡り、亡命を申請する。ウリヤノフは、反ナショナリズムの政治信条やゲイ・コミュニティの一員であるとの判断から、過去の迫害や将来の迫害に対する十分な恐怖が証明されるため「難民」として認定され、2018年、人権団体などの支援を得て、米国への亡命を果し、現在米国在住。(以上は、アナトリのブログ記事「REFUGEE PROFILE OF ANATOLI ULYANOV」を参考にした)

ウリヤノフは、米国において、トランプ政権下で、労働者階級の中で生活した経験から、その見解はラディカルなものになってきたという。当初はナショナリズムに反対し、多様性と人権を尊重する立場――「ピンク・ソーシャリズムと呼んでいる――だったが、今では、傷つき赤い血を流すなかで、反帝国主義、反人種主義の赤い社会主義へと向かっている、という。(Left Eastのインタビュー)

私は、日本のメディアが「ウクライナ人」「ロシア人」といった呼称を何らの前提もなしに、用いるとき、国籍の概念としてこれらが用いられているとしたとしても、どれほどの多様性を自覚して用いられているのか疑問に思うことが度々あった。とくに東部ウクライナのロシア語話者や、親族などがロシアに出自をもつ人達もおり、また、ロマやユダヤ人、そして最近は、非西欧世界からの移住者や労働者も生活している。ロシアも同様で、極東ロシアは極めて多様性の大きい少数民族地域でもあるが、大抵は、ロシア=ヨーロッパロシアとみなしていると思う。同時に、ジェンダー・アイデンティティも多様であり、宗教の信条もそうだ。こうした多様性を前提とした社会が戦争に巻き込まれるとき、こうした多様性への寛容よりも効率的な戦争遂行のための人口管理が優先するために、自由は抑圧されることになる。

ウリヤノフは、この戦争で東部のロシア語話者の人達がいったいどのような処遇を受けるのか、という問題を自身の亡命を余儀なくされた経験を踏まえてかなり悲観的に書いている。西側メディアはウクライナのロシア語系住民や、ロシアの多く暮すウクライナ系住民の問題をとりあげることはほとんどない。ロシア語系住民にとって、戦争後の世界は、どちらが勝利しようと良い未来ではない。ウリヤノフは、彼らに残された選択肢は、より悪くない方を選ぶことしかできないのではないか、と述べている。そして、この見通しがまちがっていれば、そこにはまだより良い未来への可能性があるかもしれない、というやや自嘲的な文言で締め括っている。(小倉利丸)

東ウクライナの余計な人たち

Anatoli Ulyanov 著
2022年9月10日
あなた自身のことを、爆撃を受けた東ウクライナの都市で、解放されるのを待っているロシア語を話す人だと想像してみてほしい。その「解放者」のうちの何人かは、まずあなたのクローゼットをチェックして、Zブランドの間に合わせの砲兵として動員できる若者を探すだろう。別の解放者たちは、あなたを「vatnik」(ホモ・ソビエチス[ロシア人の蔑称])以外の何者でもないと見なしているのは明らかだ。あとは、あなたがどちらのナイフで解放されたいかだけだ。被害者の善のナイフか、それとも侵略者の悪のナイフか?

Emmanuil Evzerikhin, Stalingrad (1943)

ウクライナの国家安全保障・防衛会議事務局長のアレクセイ・ダニロフの話を聞いていると、「ドンバスの再統合」については誰も特に関心がないことがわかる。重要なのは領土であり、できれば「余計な」人口を排除することだ。民衆という存在は概して厄介なものだ。皆、それぞれの考え方やアイデンティティを持っていて、違いやニュアンスもある。それをどうにかして一つにまとめ、代表させる必要がある。皆これを面倒くさがる。

もし、あなたが占領地の住民と対話したいのなら、あなた方は「我々と共通言語を見出す必要があるのはあなた方であって、その逆ではない」などとは言わないだろうし、おばあさんがZトラックからの人道支援物資を食べたからといって反逆罪だと非難することもないだろう。あなたは、その破壊が政治的な復讐(脱共産化)というよりもむしろ社会的な排除を意味する程にまで、誰かのママやパパのアイデンティティの一部でもあるソ連のシンボル――もはやイデオロギー的なものではなく、社会的、文化的なものなのだが――に泥を塗るようなことはしないだろう。侵略者であるロシア人ですら、ケルソンの学校にウクライナ語を入れようと考えたのは、広報が重要だからだ。他方、ウクライナ側は、プロパガンダのレベルでも、寛容さや包容性のイメージを伝えることができない状態だ。

あなたが、侵略国の市民に政権に対して立ち上がることを期待するなら、たまたま生まれた場所が悪かったという理由で、彼らのビザを取り上げてプーチンの檻に閉じ込めるような要求はしないものだ。あなたは、例外なく全員が「そういう人たちだ」とは言わないし、文化の架け橋を焼いたり、ブルガーコフの額石を削ったり、腹立ちまぎれに自分を犠牲にしたりもしない……。

ロシアは侵略者だ。これは明らかなことだ。はっきりしないのは、この「余計な」ウクライナ人を、彼らの居場所を見つける努力しない国に引き寄せるのは何なのかということだ。それは、ロシアの恐ろしさ以外にない。ロシアはもっとひどい国だろう。もっと悪くなるのと悪くなるのと、どっちがいいんだ?悪い方がいいに決まっている。それが、与えられた選択肢のすべてだ。

「ここが嫌か?じゃあ、消せろ」。 そうか、ありがとう。少なくとも、あなたが育ち、かつて愛し、夢見た世界から離れることは許されている。彼らは、信頼できる市民でその空白を埋めることだろう。もちろん、あなたが徴兵年齢の男性でなければ、の話だ。徴兵年齢なら、あなたはどこへも逃げ出せない。

ウクライナの勝利を願っている。しかし、私は明るい未来について、無条件な楽観主義を抱いてはいない。

今はロシアの侵略と外敵の存在によって社会の一体性が確保されている。戦争が終わると同時に、内部矛盾が先鋭化するだろう。

戦争は世界共通の議論になる。戦争は、経済におけるあらゆる問題、抑圧、独断を正当化するために役に立つだろう。被害者は常に正しい。被害者はすべてを許され、何の責任も負わない。

ロシアが地球上から消えることはないので、ロシアに近いこと、侵略の記憶があるために、常に戦争の準備をすることが可能となり、必要でさえある。こうして戦争は、大いなる理由Great Reason、問いであり答えであり、統一して事を起こす力、国家の理念、私たちの運命そのものになる。一方、主要な外敵が手の届かないところにいるときには、手の届くところにいる内なる “敵 “に対処することになる。

あなた自身のこの部分の拒絶の一部としてソビエトのすべては消し去られるだろう。それは恥ずべきものとなり、抑圧され、文化の貧困化と結びつき、包摂性の低下、許容できるアイデンティティの範囲の縮小をもたらすだろう。ここで誰が罪を犯しているのか?ロシアだ。しかし、だからといって、「余計な」市民がそれで楽になるわけでもない。

多くの人々が有力な風向きに従うか、あるいは「祖母はロシア化されたのだから、自分は人前では自制しよう[ロシア語を話さずにウクライナ語を話す。原文は、人前で自分をレイプする]」というロジックに従うにつれて、私たちは「侵略者の言語」を拒否するというグロテスクなパフォーマンスを数多く目にすることになるだろう。

ウクライナでの戦争を生き延びたウクライナ人は、ベルリンでの戦争を生き延びた人たちよりもより多くの権利があると当然感じるだろうが、リヴィウやキーウの人たちは、戦争を最も身近に体験した国内避難民や占領地の住民にはこの論理を適用しないだろう。なぜなら、「私たち」と共通言語を見出さなければならないのは「彼ら」だからだ。

「余計な」市民の権利を守ろうとする訴えは、何か疑わしいもの、偽物、クレムリンの支援を受けたもの、そして作為的で非現実的、あるいは危険なものと見なされることになる。ウクライナ国家があまりにも長い間容認してきたもの、現在の戦争につながったもの、今こそこれらにきっぱりと対処する時なのだ。

私は、この「余計な」ウクライナ市民に、何も良いことはないだろうと思っている。せいぜい「愛国的基準」で黙々と同意を履行する二重生活のようなものになるだけだ。自分の国でよそ者であること。新しい抑圧は、古い抑圧によって正当化され、それらを継続的で、果てしなく、一見、正当なものにしてしまう。

未来は迫り来る靴音のようにも聞こえる。それでもまだ、希望はある。とりわけ、私が間違っていれば。

Anatoli Ulyanovは、ウクライナ出身でロサンゼルス在住のジャーナリスト、ビジュアルアーティスト、ドキュメンタリー作家である。彼のブログ、Facebook、Twitter、Instagram、Telegramで連絡を取ることができる。写真:Natasha Masharova。

出典:https://lefteast.org/the-superfluous-people-of-eastern-ukraine/

(OVD-Info)反戦弾圧のまとめ。戦争の半年間

(訳者まえがき)以下に訳出したのは、ロシアのOVD-infoが8月に公表した、ロシア国内の反戦運動への弾圧状況についてのレポート。レポートは6月以降毎月定期的に出されている。6月のレポートでは、反戦運動での拘束者数が16,309だったが、8月に16,437となっているように、拘束者の数はそれほど延びていない。このレポートでも触れられているように、圧倒的に多くの拘束が開戦直後に集中しているからだが、こうした事態をふまえて、日本のメディアなどでも、ロシアでの反戦運動がほとんどみられないかのように報じられることがあるが、逆に、弾圧が強化されて抗議運動がより一層困難になっているともいえる反面、抗議行動の側のねばり強い抵抗によって拘束をまぬがれつつ抗議を展開しているケースも少くない。このことは、反戦運動関連のロシアのTelegramの情報発信は、現在も活発だ。(たとえば、フェミニスト反戦レジスタンスストップ・ザ・ワゴンなど)また、アーティストのコンサートの中止が何件が報告されているが、大衆文化における反戦の雰囲気が根強くあることも示している。戦争を阻止する力は、外交だとしても、戦争当事国の民衆による戦争拒否の運動がなければ、政府は戦争を断念することはなく、戦争は止まらないと思う。この意味で、ウクライナとロシアの戦争を拒否する民衆の運動に注目していきたい。なお、インターネットの遮断やバイオメトリクスによる監視カメラの問題は別途紹介したい。今回紹介した以外のOVD-infoのレポートのリストが最後に紹介されています。(小倉利丸)

半年前、ロシアはウクライナへの軍事侵攻を開始した。ウクライナで民間人を殺害することに加え、ロシア国家は国内でも弾圧を続けている。ロシアにおける反戦姿勢の人々への弾圧について、主なデータをまとめて報告する。

集会の自由の制限

反戦デモに関連した拘束は少なくとも16,437件にのぼると言われている。この数は、街頭での拘束に加え、ソーシャルネットワークでの反戦投稿による拘束138件、反戦シンボルによる拘束118件、反戦デモ後の拘束62件を含んでいる。

この数字は2022年8月17日時点のものである。

算出方法についてここで詳しく説明をしている。


さらに、集会や集会後の拘束に加えて、当局が顔認識システムを使った「予防的」拘束も行われている。このシステムは8月22日の国旗記念日にも使用され、モスクワでは少なくとも33人が拘束された(他の都市でのこうした拘束については知らされていない)。

OVD-Infoは、このデータと未確認情報に基づき、反戦デモにおける弁護士と人権擁護者の迫害について、国連特別手続機関に文書submissionを送付した。また、平和的な集会で拘束されたクライアントに面会しようとした際、警察署で殴打されたアレクセイ・カルーギン弁護士に関する状況についても文書を送付した。

人権擁護者への迫害について国連から問われたロシアは、カルーギンがすべての責任を負うと主張し、言われているような問題はないと主張した。反戦活動家への迫害についての疑問は無視されたが、OVD-Infoが「外国のエージェント」であることに2ページが割かれ、このプロジェクトのウェブサイトはブロックされた。

立法レベルでの弾圧

2022年8月は、ロシア国会議員の休日のためか、新規立法はなかった。ウクライナ戦争が始まって以来、国会議員たちは合計で16の新しい抑圧的な法律や既存の文書の改正を採択した。

訳注:上図はオリジナルのスクリーンショットです。オリジナルデーターは表計算シートになっており、より詳細なデータが表示できます。データは、https://airtable.com/shr5LibdcC0yK4zSm/tblb1uvcX0EoITrgI でアクセスできます。

刑事事件

訳注:オリジナルの地図データのスクリーンショットです。オリジナルの地図では、各行政地域ごとに事件の件数が表示されるようになっています。ここにアクセスしてください。

OVD-Infoは、データを検証する機会を得るために、クリミアにおけるロシア当局の弾圧に関するデータを収集している。

182日間の戦争の間に、224人が反戦の刑事事件の容疑者または有罪者となった。

今月、OVD-Infoの弁護士は、新たに5件の刑事事件で被告人の弁護を開始した。Alexey Onoshkin、Ilya Gantsevsky、Marina Ovsyannikova、Andrei Pavlov、Sergei Veselovの5名だ。OVD-Infoの弁護士は、合計で22件の反戦刑事事件を抱えている。

8月24日の朝、エカテリンブルクの前市長Yevgeny Roizmanに対する、ロシア連邦刑法第280条第3項(軍隊の「信用失墜」に関するもの)の冒頭部分に基づく刑事事件が判明した。

行政事件

出典 メディアゾナ
更新日:2022.8.23

Code of Administrative Offences第20.3.3条の事件数による上位5地域。
モスクワ-517件。
サンクトペテルブルク-229件。
クラスノダールクライ-179件。
スベルドロフスク州…107件。
クリミア共和国…107
出典 メディアゾナ

私たちは、公然と戦争に反対する人々を超法規的に迫害した少なくとも7つの事例を知っている。たとえば、鮮やかな緑色を浴びせられ、襲われ、ドアに葬式の花輪をかけられ、郵便受けに脅迫状を入れられ、非難に関する事件に着手しなかったとして法務省や内務省から解雇され、警察は「Ukronaziがここに住んでいる」と書いた荒らしを捜索しないなどである。

「外国の諜報員」「好ましくない組織」。

8月は法務省の職員が休暇に入ったようで、「外国人エージェント」の登録に新しい人や組織は現れなかった。しかし、この月、検察庁は「ジャーナリスト労働組合」に対し、外国エージェンシー法の要件を満たしていないとして組織の清算を要求し、裁判所はラジオ・リバティの外国エージェント表示がないことによる罰金未払いによる会社破産手続を開始した。

8月23日、法務省はサンクトペテルブルクのGolosのコーディネーターであるPolina Kostylevaを「外国人エージェント」の登録から抹消した。これは同省のホームページに記載されている。

反戦弾圧に関する7月のまとめ」が発表されて以来、「The Ukrainian Canadian Congress」「The Macdonald-Laurier Institute」「Ukrainian National Federation Canada」という組織が「望ましくない組織」のリストに掲載されるようになった。このリストには、現時点で65件が掲載されている。

さらに、現時点では、検察庁はすでに、調査プロジェクト「The Insider」の19番目のドメインを禁止情報の登録対象に加えている。

独立メディアに対するブロッキング、検閲、圧力

Roskomsvobodaによると、約7000のサイトが「軍事検閲」によってブロックされたとのことだ。Igor Krasnov検事総長によると、ウクライナとの戦争が始まって以来、13万8000のインターネットリソースがブロックされ、削除されている。

今月、3つのメディアが「ロシア軍の信用を落とした」として罰金を科された(「ジャーナリスト・メディア労働組合Journalists’ and Media Workers’ Union」、「新物語-新聞(Novaya rasskaz-gazeta)」、2回目となる「夕刊Vedomosti(Vechernie Vedomosti)」。

8月には、アーティストYulia TsvetkovaMirror(Zerkalo)のVKページ、およびOVD-Infoがブロックされた。VKページのブロック理由は、「ロシア連邦軍が行った特別軍事作戦、その形態、軍事作戦の実施方法、また、民間インフラ施設への攻撃、ウクライナの民間人やロシア連邦軍の隊員の中に多数の犠牲者が出たこと、総動員に関する情報など、信頼性のない社会的重要情報を含む情報資料」であったという。

ルホヴィツキー地方裁判所も、OVD-Infoのウェブサイトのブロックを解除することを却下した。

この1ヶ月間、検事総長は、抑圧されたイスラム教徒を擁護する人権活動家Svetlana Gannushkinaが参加した記者会見と、様々なメディア、例えば「Culture of Dignity」、「Tell Gordeeva」、「Rain」等への彼女のコメントを登録対象に加えている。TJは、ホームページのブロッキング後、訪問者が著しく減少したため、閉鎖を発表した。

少なくとも5つのコンサートや反戦の立場を表明する人々のイベントが検閲された。当局はAloeVeraAsya KazantsevaKrovostokDoraAnacondazの公演を妨害した。

OVD-Infoのレポートとデータへのリンク。

出典:https://data.ovdinfo.org/summary-anti-war-repressions-six-months-war#2

ロシアとウクライナ国内の反戦運動から―戦争で戦争を止めるべきではない

以下は、『市民の意見』2022年8月に寄稿した原稿に典拠のリンクと若干の加筆をしたものです。

1 危機的な日本の「平和主義」

2月24日に始まったロシアのウクライナ侵略からすでに半年になる。国会の与野党を含めて、おおかたの保守・右翼や保守メディアは、9条改憲反対の人々をターゲットに、覇権主義的な中国の動きを示唆しつつ「もし日本がウクライナのように侵略されたらどうするのか」と詰め寄っている。この詰問には、「ウクライナの人々は断固として武器をとって抵抗している」という自衛のための武力行使と、おびただしい非戦闘員の犠牲が強調される。非道なロシア軍、非力な市民、この市民を守るウクライナ軍という構図のなかに、国際紛争の解決の道は武力による決着以外にはないかのようだ。果してそうなのだろうか。

反戦平和運動のなかで、「侵略に対して武力による抵抗や反撃を選択しない」と断固とした態度で応える人達の声が確実に小さくなっているように感じている。ウクライナへのロシアの軍事侵略をきかけに、反戦平和運動のなかでも、自衛隊を完全に否定して文字通りの意味での非武装を主張する人達は、いったいどれだけいるのか。国会野党でこうした主張をする政党はもはや存在しない。立憲民主党は「自衛隊と日米安全保障条約を前提とした我が国の防衛体制というものを考えている政党」を明言しており、共産党は原則として「自衛隊=違憲」論の立場だが「自衛隊=合憲」の立場もとることを否定しておらず、社会民主党も「自衛のための「必要最小限度」の防衛力」を肯定している。自衛隊の争点は、自衛隊そのものの是非ではなく、自衛権行使の枠内での自衛隊の存在を容認しつつも、「自衛」の限度を越えて自衛隊を強化しようとする自民党の軍拡路線に焦点を絞って反対をするという現実路線が反戦平和運動の主流になっている。かつて自衛隊の海外派兵に反対する運動の一部に海外派兵されない自衛隊なら容認するような雰囲気があったように思う。そして今、海外派兵のタガはとっく外れている。敵基地攻撃能力をもたないなら、武力を保有することは容認するところまで野党の9条護憲の内実は後退してしまっているのではないか。紛争解決の手段としての武力行使をいったん認めてしまえば、暴力が正義を体現することになるのは必定であり、歯止めのない軍拡へと向うことは自明だ。

挑発的な想定問答、「もし日本がウクライナのように侵略されたら…」が繰り返されるなかで、これまで9条改憲反対を主張してきた政治家から学者や知識人、平和運動の活動家までがうろたえたり、言葉を濁すことがあれば、そのこと自体が、9条は理念としては大切だが現実はそうはいかないかもしれない…という戸惑いのメッセージになる。ウクライナの悲劇とロシアの暴挙を目の当たりにして、なんとかウクライナの人々を救わなければならないという切実な思いに駆られるとき、武力による反撃は致し方ないのでは、NATOなどの軍事支援も否定できないのでは、それがウクライナの人々の思いであり、最適な戦争終結への道だという方向に考え方が変わることはおおいにありうる。そうなると漠然と「平和」を指向しているリベラル寄りの世論は、現実主義的な発想に屈し、確実に9条改憲に流れるだろう。

しかし、「もし日本がウクライナのように侵略されたら…」という世間に蔓延している問いは、9条改憲や自衛隊の更なる強化に肯定的な側が、みずからの主張を正当化するために、9条改憲に反対の人達に無理難題を突きつけて「改憲もやむなし」ということをしぶしぶ認めさせるための方策のひとつになっている。こうした問いの対して私たちがとるべき「答え」はひとつだ。つまり、明確に武力による威嚇も武力の行使も紛争解決手段として選択すべきではないし、陸海空軍だけでなくいかなる戦力も保持すべきではないから、国家の交戦権も自衛権も否定する、と断固として答えなければならない。「あなたの最愛の家族が目の前で殺されたり虐待されても、あなたは武器をもって反撃しないのか」などという問いに対しても明確に「NO」と答えることだ。このような想定問答に応じる必要はない、とい態度もありうる。たぶん、反戦平和運動の担い手たちも含めて、この詰問を実は内心に抱えており、その答えを必要としていると思う。だからこそ「答え」を用意することは必要だと思う。同時に、戦争や武力行使をめぐる問題は、現実政治や国際情勢に対して、どのような原則的な考え方を示すのか、という問題でもある。すなわち、問題解決の手段として暴力を行使することは、いかなる意味で正当化できるのか。武力行使とは、敵とみなした人間を殺す行為を国家が公然と承認し、更には「国民」を――最近は外国人の傭兵すら動員されている――殺す行為の主体とすることだから、国家の名における殺人をはいかなり理由によって正当化しうるのか、という問いに答えることが必要になる。

2 圧倒的多数は戦わないことを選択している

ウクライナの圧倒的多数の民衆は武器をもって戦うという選択よりも、可能であれば戦闘地域から避難する、避難できなければ地下など爆撃から身を守れそうな場所に隠れることを選択している。国外避難ができない兵役年齢の男性のなかには、違法に国境を越えて国外に逃れる人もいる。こうした避難する人達が、なぜ武力による抵抗を選択しないのか、この行動を積極的に意味づけをすることが必要だ。そうしないと、こうした避難者の命を救うためにこそ軍が存在し、軍による敵への抵抗があってこそ避難もまた可能になっているのだ、というレトリックがまかり通ることになる。私たちは、彼らの行動から武力行使は紛争解決の手段にならないから「避難」という選択をしているのだ、ということを教訓として学ぶことが必要だ。

ウクライナの平和運動の中心的な担い手のひとり、ユーリイ・シェリアジェンコは、社会学者の世論調査では、実際に武装抵抗に従事している人達は全体の6%しかおらず、多くの人達は非軍事的な協力に関わっているが、それも積極的な意思に基づくかどうか疑問だと以下のように指摘している。

「戦争への全面的な参加は、メディアが伝えるところですが、それは軍国主義者の希望的観測の反映であり、彼らは自分自身と全世界を欺くためにこのような絵を描くために多くの努力を払っています。実際、最近の評価社会学グループRating sociological groupの世論調査では、回答者の約80%が何らかの形でウクライナの防衛に携わっているが、軍や領土防衛に従事して武装抵抗したのはわずか6%で、ほとんどの人は物質的あるいは情報的に軍を「支持」するだけであることが分かっています。それが本当の意味での支持かどうかは疑問です。」

3 ウクライナの戦争動員と「大きなイスラエル」

ウクライナは2014年にクリミアをロシアによって併合され、また東部における様々な反キエフ中央政府の動き(高度な自治の要求、ウクライナからの独立、ロシアへの併合など)がロシアの介入のなかで現在に至るまで長期の戦争状態になってきた。

ロシアの侵略によって、今や正義の軍隊であるかのようにみなされているウクライナ軍は必ずしも評判のよい組織ではなく、2014年以降ロシアの介入も含めて国内に深刻な武力紛争を抱えながら、徴兵制への反対が世論の8割を占めている。武力行使を選択するよりは別の解決を望む声が大きい。だから、クライナ政府はいわゆる義勇軍を各国の大使館を使って募集することまでやってきた。日本でもウクライナ大使館は以下のような募集を2月27日にツイッターに掲載し3月2日に削除している。

「ゼレンスキー大統領は27日、ボランティアとしてウクライナ兵と共にロシア軍に対して戦いたい格国[原文のママ:引用者]の方々へ、新しく設置されるウクライナ領土防衛部隊外国人軍団への動員を呼びかけた。お問い合わせは在日ウクライナ大使館まで。」

ウクライナでは、徴兵制が2012年に停止された後に2014年に再導入される。ウクライナでは徴兵に備えて、子どもへの軍事訓練が今回の戦争以前から行なわれてきた。18歳の徴兵年齢に先だって、徴兵制に備えた軍事的愛国心教育が学校のカリキュラムの必須項目となっている。この教育には野外訓練や射撃訓練が含まれ、極右団体は、子どもたちの軍事サマーキャンプ開催の予算を政府から獲得している。

ウクライナは徴兵制がある一方で良心的兵役拒否の制度によって兵役免除が可能な建前があるが、これが機能していない。非宗教的信念を持つ人には適用されず、兵役への代替服務も懲罰的または差別的だと批判されてきた。

ゼレンスキーは、4月初旬に「我々は間違いなく、独自の顔を持つ『大きなイスラエル』になる。あらゆる施設、スーパーマーケット、映画館に軍隊や 国家警備隊の隊員がいても驚くことはないだろう。今後10年間は、安全保障の問題が最優先課題になる」と述べた。このことはとくに中東のアラブ地域では衝撃をもって受けとめられた。イスラエルにとってのアラブ系住民への監視のシステムは、ウクライナにとってのロシア系住民の監視のシステムに転用できそうだ。実際にウクライナは欧米諸国では禁じられている高度な顔認証の監視技術を導入するなど、すでに軍事監視社会への道を進みつつある。

3.1 ウクライナ平和主義者運動の声明

2019年に設立されたウクライナの平和主義者運動が4月に声明を出し、そのなかで、ロシアとウクライナ双方が真剣に停戦の努力をしていないことを厳しく批判している。

「私たちは、双方の軍事行動や、民間人に危害を加える敵対行為を非難する。私たちは、すべての銃撃を停止し、すべての側が殺された人々の記憶を尊重し、十分な悲しみの後に、冷静かつ誠実に和平交渉に取り組むべきであると主張する。

私たちは、交渉によって達成できない場合、軍事的手段によって一定の目標を達成しようとするロシア側の発言を非難する。

私たちは、和平交渉の継続は戦場での最良の交渉ポジションを勝ち取ることにかかっているというウクライナ側の発言を非難する。

私たちは、和平交渉中の両陣営の停戦に対する消極的な姿勢を非難する。」

そして、ロシアもウクライナも人々の意思に反して、兵役や軍への支持を事実上強制しするような慣行は「国際人道法における軍人と民間人の区別の原則に著しく違反するもの」だと批判するとともに、ロシアとNATOによる武装過激派への軍事支援を批判している。

3.2 戦争の性格:ファシズムの戦争

この戦争は、ロシア側にもウクライナ側にも無視できない極右や排外主義的な愛国主義による影響がある。ウクライナに関していうと、最近やっと注目されるようになったネオナチを思想的背景にもつアゾフ大隊の問題は、その軍や政府への影響について、評価が分かれている。日本や西側のメディアは極力その影響を過少評価しようとしており、ロシア政府や政府系メディアは誇張することによって、「軍事作戦」の正当化を図ろうとしている。選挙結果をみる限りウクライナの極右の影響力は無視できるほどの大きさしかないが、東部の戦闘にとってアゾフ大隊の影響力は無視できない。アゾフ大隊は民生部門から政府機関に至る様々な関連団体を含むアゾフ運動のなかの軍事部門ともいうべきこのだ。Centuriaのような軍の幹部候補生のグループもあり、社会に浸透すればするほど、主流の政治システムとの見分けがつかなくなることは多くの欧米諸国における極右の主流化と共通した現象かもしれない。

他方でロシアの場合は、プーチンの最も有力な後ろ盾がロシア正教であり、有力者たちがこぞってウクライナへの侵略やウクライナのロシアへの併合を主張しており、これがロシアからのウクライナの正教会の離反(ウクライナ正教の成立)を招いたが、こうした人口の多数が信仰する宗教が絡むことを考えたとき、この戦争を単純にプーチンの狂気とか独裁には還元しない方がいいと思う。そしてロシアのウクライナ東部での戦闘の主要な担い手もまた、ロシアの極右武装集団であり、これにロシア政府もまた大きく依存している。たとえば、カトリック系のウエッブサイトLa Croix Internationalの記事によれば、ロシア正教会のキリル総主教は、ロシアのテレビ説教で、ウクライナの戦争を「神から与えられた神聖ロシアの統一」の破壊を目論む悪の力に対する終末的な戦いとし、ロシア、ウクライナ、ベラルーシが共通の精神的、国家的遺産を共有し、一つの民族として団結することを「神の真理」だと強調したという。戦争を擁護するこうした主張がロシア正教の最重要人物から出されているように、この戦争はプーチンの戦争に矮小化できない宗教的背景もある。

4 ロシアの反戦運動と弾圧

ロシアの政治犯の救援を行なっているODVinfoの報告書(別の記事「(ОВД-NEWS)ロシアの反戦、反軍レポート」など)によると戦争が始まって数週間の間に、ジャーナリスト、弁護士、医師、科学者、芸術家、作家など、さまざまなコミュニティの代表者がロシア軍の行動への反対を表明する公開書簡が何十通も送られており、ソーシャルネットワークには、戦争を非難する数千の記事が掲載され、反戦集会はロシア全土で開催された。また、ウクライナの住民を支援する団体への寄付が増え、ウクライナで被災した市民への個人寄付も大幅に増加したという。

戦争から2週間あまりの間だけでも、反戦デモでは、未成年者、弁護士、ジャーナリストを含む1万4千人以上が拘束され、活動家、人権活動家、ジャーナリストのアパートの捜索も相次いだ。そして、集会やデモといった集団行動はことごとく抑圧されるようになる。連邦のコミュニケーション・情報・マスコミ監督庁(Roskomnadzor (RKN))は、軍の公式記録を用いることを義務化し、違反した場合には、罰金が課され、更にサイトのブロックも可能になった。また非政府系メディアも次々に閉鎖されはじめ、Twitter、Facebook、TikTok、Google、Youtubeなどが相次いで規制されている。

こうした大規模な弾圧にもかかわらず、抗議行動は様々な創意工夫のなかでロシア全土で展開されている。集団行動が困難ななかで、一人でポスターやプラカードをもって抗議の意志表示をする一人ピケが次々登場した。たった一人のアクションでもネットで拡散されることでの影響力は大きい。街頭のグラフィティの数も多く、こうしたアクションのノウハウがSNSで拡散された。日本ではあまりお目にかかれないユニークな抗議の手法もある。花壇の植え込みの園芸用ラベルに反戦のメッセージ書いたり、店の商品に値札に模した反戦メッージを貼ったり、紙幣に反戦のメッセージを書くなどだ。封鎖をまぬがれたTelegramが、重要な情報発信の手段になっている。たとえば、フェミニスト反戦レジスタンスや上述したODVinfoなどが活発に抗議行動を写真や動画入りで発信しつづけている。

日本のメディアがロシア国内の動向で注目したのが5月9日のロシアの戦勝記念日だった。もっぱらロシア国内がプーチンとロシア軍賛美一色の記念パレードになったかのような報道があふれた。しかし、実際には、ロシア全土で様々な抗議のアクションが展開された。戦勝記念パレードにまぎれて戦争反対のプラカードを掲げるなど、多くの抗議があった。

また、人権団体や弁護士による兵役拒否者への組織的な支援運動も重要な抗議行動の一翼を担っている。どのようにしたら徴兵を忌避できるのかについての具体的な対処法が書かれたマニュアルも配布されている。ウクライナ同様、兵役拒否は極めて難しく、建前上は良心的兵役拒否が可能なはずだが、現実には厳しい規制があり、兵役拒否者に対する様々な制裁が課されている。

こうした合法的な抗議以外に、もっと大胆な行動もみられるようになっている。ロシア軍の軍需物資を運ぶ鉄道への組織的な妨害が、ロシアとベラルーシで頻発している。「ストップ・ワゴン」のウエッブページでは、戦争を阻止するために物資補給を断つ手段として鉄道への妨害があると述べている。このウエッブには、「妨害」に関するノウハウや情報が掲載され、そのSNSでは、脱線や線路の爆破のような目立つ行動はサボタージュの5〜10%程度に過ぎ、多様な妨害がある述べている。また、ロシア軍の兵士募集の施設が度々放火されている。人々は、ロシアの閉塞した状況に直面するなかで、19世紀のナロードニキの運動を想起しはじめている、ともいわれている。

特徴的なことは、ロシア国内の反戦運動で重要な役割を果たしているのが女性たちの運動だ。とくにフェミニスト反戦レジスタンスの活動は重要な意味をもっていると思う。このグループが戦争から100日目に、ロシアを「ファシズムの兆候のある国」だとして声明を出している。この声明の一部を引用しよう。(前文の日本語訳はこちら)

声明:戦争の100日-私たちの反戦抵抗の100日(抄)

「戦争の100日、戦争犯罪の100日、フェミニストの反戦抵抗の100日。あなたと私は、この100日間で戦争を止めることはできなかった。しかし、さまざまな時代や空間の反戦運動の歴史を研究すれば、反戦運動そのものが戦争を終わらせるわけではないことがわかる。では、なぜ私たちはこのようなことをするのか、なぜ街頭に出るのか、なぜ強権政治の中で新しい抗議戦略を考案するのか、なぜできる限りの人々を守るのか、なぜ手の届く被害者を助けるのか。

おそらく、すべてのロシア人反戦派は、この「なぜ」に対してさまざまな反応を示すだろう。ある者は道徳的義務として、ある者は自分たちの例が誰かに伝染すると信じて、ある者は子どもたちに自分は黙っていなかったと伝えることが重要で、他の者は失った声と失った主体性を回復するための方法として、この方法をとる。しかし、反戦運動は政治的にも考えなければならない。民主主義制度が解体され、政治が抹殺され、選択肢も選挙もなく、独裁がエスカレートしているこの国で、私たちロシア全土の反戦運動が草の根の主要な政治勢力にならなければならないのである。しかし、私たち反戦運動は、 党派的で目立たない抵抗のインフラを構築し、言語を変え、文化を変え、政治スペクトルの態度を変えつつある。私たちは、一般的な反プーチン急進派の重要なプラットフォームになることができる。私たちはすでに、全国に活動家と直接行動のネットワークを織り交ぜながら、そうなりつつあるのだ。(後略)」

彼らは、反戦運動を高齢者の市民たちにも拡げる努力をしている。そのためにSNSやインターネットでの発信だけでなく、ロシア政府系メディアにしか接する機会のない人達に対して、積極的に紙媒体の新聞を発行して配布するなどにも力を入れている。

5 おわりに―民衆が戦争を終らせる

戦争状態にある地域に暮す人々を、たとえば「ロシア人」「ウクライナ人」というように一括りにしてとらえることを私は避けたいと思う。いずれの国も多民族国家であり、様々な文化的背景をもつだけでなく、エスニシティ、ジェンダーから思想信条まで多様である。そのなかで私は、戦争を拒否する人達、つまり人を殺すことによって自らが殺されないことを選択しない人達の生き方は、いずれの国にあっても過酷であって、臆病者や反愛国者のレッテルを貼られてコミュニティから排除・迫害され、投獄や暴力にすら晒されながらも、その意志を守り通そうとする人達を支持したいと思っている。こうした態度を選択する人々の生き方や権力との対峙のなかに、必ず日本における殺さない選択をする場合に学ぶべきものがあるに違いないからだ。

ウクライナの戦争は、これまでになかった深刻な影響を私たちに残すかもしれない。ひとつは、この戦争の結果がどうなろうとも、戦争を鼓舞するウクライナ側とロシア側の極右にとっては更に大衆的な支持を獲得するチャンスになった、という点だ。いずれの国においても、極右に共通する暴力的な排外主義、家父長主義、差別主義がナショナリズムや愛国主義によって免罪され、更に、ウクライナや西側の極右にとっては、「正義」の担い手にすらなり、西側諸国の建前の人権尊重を退けて、政治の基本的な枠組を地政学的な軍事安全保障優先へと導くことになる。ロシアに関しても、日本国内の印象はアテにならず、G20の参加諸国の対応をみても欧米諸国が多数を占めることができなくなっており、まさに「正義」が二分した状態だ。この戦争をきっかけにして、グローバルに極右がメインストリームに浸透し、多くの人々が自覚しないままにメインストリームが極右化することになるのではと危惧する。

制度的には、戦争の終結は、外交交渉や政府の決断など、国家権力の意思決定に委ねられるし、歴史の正史では、そのように扱われる。しかし、民衆の行動も考え方も国家の態度によっては代表しえない多様なものだ。日本のばあい、民衆の戦争協力は決して積極的ではないが、公然と拒否するほどの力をもつには至っていない。リムパックのような大規模軍事演習で周辺諸国の脅威を煽りつつ、日本や米国の挑発については沈黙することによって、潜在的な厭戦気分を政府は必死になって繰り返し払拭しようと試みている。

私たちは、民衆のなかにある多様な言葉にならない戦争に背を向ける感情や態度が直面している不安や危機をそのままにしていていはいけない。戦争に背を向けること、いかなる軍事的な危機にあっても武力による解決は間違いであることを、情緒に訴えるだけではなく、明確な理論的な言葉にしなければならない。それなくしてナショナリズムや愛国主義といった戦争のイデオロギーを無化することはできない、と思う。国家に武力を行使させないためには、国家に武力を保持させないことが大前提だ。自衛隊も米軍も廃止以外の選択肢はない、ということを、戦争を目前としているからこそ言い切ることが必要だ。あいまいな「自衛力」の容認のような態度をとるべきではない。この意味で、戦争の渦中にある国で暮す人々がいかに戦争に背を向けようとしているのか、そこから一切の武力を否定する反戦平和運動の原則を再構築することが、日本の反戦平和運動では必要になっていると思う。

いかなる理由があろうとも武器をとらない

私たちはいかなる理由があろうとも武器をとらない、という強い決意がなければ、日本の戦争は阻止できない。私たちは権力者でもなければメディアに影響のある有力な発言力をもつ者でもないし、SNSのインフルエンサーでもない。私たちが武器をとらないと宣言しても、それは孤立する以外にない事態になりうることでもある。しかし、まだそこまでは追いつめられてはいない。とはいえ、ロシアによるウクライナ侵略とその後今に至るまで継続している戦争をめぐる報道や情報に接するなかで、武力攻撃を受けるのではないかという目前の不安感情が喚起されて、「こうした事態を回避するためには自衛力の行使もやむをえないのではないか」という感情をもつ人達は、増えているように思う。

自衛のための武力行使を明確に否定すること

護憲や平和憲法擁護の議論の最大公約数になりつつある立ち位置は、自衛力の保有を是認しつつ、この自衛力が実際に行使されないように、外交手段などによって平和の維持に努力すべきであって、政権与党や右翼のように、率先して戦争に前のめりになることには反対だ、というあたりにあるように思う。戦争に前のめりになる具体的な政治的対応が自民党の改憲であるとして批判する場合でも、自民党や右翼との対峙の基軸が、「自衛」の暴力を肯定するか、巧妙に回避するのであれば、武力あるいは暴力の行使が意味する本質的な課題について、日本の支配的な権力や右翼の主張を支える「自衛」の問題に太刀打ちできずに、ずるずると国際関係の現実主義の罠に嵌ることになりかねない。そもそも政府がいう「自衛」=自己防衛の「自」とは彼ら自身の権力のことであって、これを人々が「自分たち」の「自」だと誤解させるようなレトリックがある。彼らは、民衆の命を犠牲にして彼らの「自衛」を図る。

これに対して、いかなる理由があろうとも武器はとらない、という立場は、自衛のための武力行使を明確に否定することが主張の要をなし、同時に、敵がいかに残虐な侵略者であっても、彼らに対して武力によっては対峙しない、という覚悟をもつということでもある。その上で非暴力不服従の戦略と考え方を確立することが重要になる。

もうすこし身近な言い方をすれば、私は人殺しはしたくないしできない、だからといって自分の安全のために誰かに私のかわりに人殺しをしてもらうというようなことも考えたくない、ということだ。戦争について「殺されたくない」という言い回しがあるが、これでは決定的に不十分だ。なぜなら殺されたくないから、自衛のために殺すことは許容される余地を残すからだ。むしろ殺さないことが重要なのだ。この極めて素朴な日常生活感覚が社会関係の基礎にあるからこそ、社会は殺し合いを問題解決の選択肢とすることについては、ある種のタブーとして封印する。ところがこの封印の例外に、国家による暴力の独占があり、これが法の支配のもとで正統性を獲得してきたのが近代国民国家だ。今問わなければならないのは、この国家による例外的な暴力をそのままにはできないということだ

戦争状態のなかで(あるいは目前に到来しそうだという不安のなかで)、人殺しはしたくないとかできないといった感覚は、あっという間に覆される。だから常備軍ではなく徴兵によって短期間の訓練だけで戦場に派兵される人達も「兵力」になりうる。同様に、平和運動の理念もまた、目前の脅威にさらされた(ように感じられる)場合、容易に、平和を維持するために平和を脅かす敵を物理的に屈服させなければ不安でならない、これこそが平和を維持する唯一の手段だというように、安倍が主張した「積極的平和主義」のような戦争を平和と言いくるめるようなレトリックに容易に足をすくわれてしまう。この不安感情のなかで、人々はナショナリズムの感情によって統合され、この人工的に構築されたナショナリズムが、あたかも、何百年のこの国で続いてきたかのような物語を次々に生み出すことになる。祖国のないはずの労働者階級に祖国ができ、社会主義もまたナショナルな社会主義に、つまりナショナル・ソーシャリズムに変質することになる。

平和を徹底させるためには、こうした罠を可能な限り回避しないといけない。そのためにはいかなる場合・理由であれ、武器は持たない、殺されても殺すことはしない、という強い決意が必要になる。これは易しいことではない。武器をもたないという選択は臆病者の選択だが、臆病ではとうていやってられないタフな選択なのだ。しかも、この選択は、いわゆる「敵」の脅威だけでなく、味方からの精神的肉体的な抑圧や孤立、戦争体制をとる自国政府による弾圧をも被るから、二重の暴力に晒される。多くの兵役拒否者や脱走兵たちは、この二重の迫害を生きる覚悟をもつことになる。だからこそ、戦争当事国において武器を持たないこと、殺さないことを選択し、なおかつ戦争に抗って闘うことをあきらめない人々との連帯は、彼らを孤立させないためにも、とても大切なことでもある。

正義について

私が、武器をもたないという選択をすべきだと主張する大前提には、暴力は正義を体現することはできない、という認識があるからでもある。私が正義を確信したとすれば、正義のための暴力は許容されるのではないか、という疑問があるかもしれない。しかし私が確信した正義は本当に正義だといえるのかどうかを、「戦時」や戦争の危機が目前に迫ったコミュニケーション状況のなかで、客観的に判断することはほとんど不可能だ。戦争は、自国民や兵士が命を捨てる覚悟なしには、遂行できないから、極めて強度な国民統合の機能が働かなければならない。軍事行動による犠牲は避けられない以上、社会が総体として軍の行動を支持するような合意を獲得できるように政府は動く。伝統的なメディアもSNSも、あるいは社会的影響力のある知識人やインフルエンサーもこぞって戦争を肯定するような動きが形成され、ごく一部に、例外的な事象として戦争反対の主張が存在するという構図が描けなければ戦争はできない。こうした状況のなかで、「正義」は戦争の正当化のための戦略的イデオロギー操作としての言説の網のなかで、「正義」の意味をめぐるヘゲモニー構造が形成され、結果として、国家の軍事行動を正当化する言説に「正義」の意味内容が与えられ、この正義を根拠に正義の実現のための手段として暴力が正当化されることになる。マージナルな反戦集団が発する「正義」はむしろ「不正義」のレッテルを貼られ、リベラルな知識人の議論はアカデミズムの象牙の塔のなかでのみその自由を与えられるに過ぎず、社会的な影響力が削がれる。だから、こうした状況のなかで、反戦運動が、客観的な情勢分析から「正義」を判断することは極めて困難な作業になる。

正義は言葉を介してしか証明しえないものだが、戦争状態にあるとき、言葉もまた戦争をめぐるレトリック、欺瞞、嘘、陰謀など様々な戦略的イデオロギー的な影響を受けて武器化される。正義の証明として暴力が正当化されるようにみえるとき、そもそもの正義が偽装された正義ではないか、と疑うべきだろう。しかし、その疑いすらも多くの人々の脳裏にはもはや浮かばないかもしれない。だから、原則の確認が必要になる。力の強さと正義とは比例しないだけでなく、両者の間にいかなる因果関係もないのであって、正義を暴力の優劣によって証明することはできない―これはDVを想起すれば、それだけで十分納得できる論理のはずだ―という単純だが否定しえない論理を踏まえさえすれば、戦争を正当化する正義の欺瞞を見誤ることはない。

私たちはいかなる理由があろうとも武器をとらないという原則は、国家の自衛権を明確に否定することを意味している。軍事的脅威と不安を煽る政府や世論に対して、反戦平和運動は、この明確な立ち位置を確実なものにする必要がある。だから、自衛隊も米軍も容認する反戦平和運動は、その本来の意義を逸脱していると思う。これは決意の問題ではなく、現代世界を構成している権力や国家をラディカルに否定するための世界観、価値観、思想的な立場の問題でもあると思う。

意味と搾取 第三章を公開しました

青弓社のオンラインサイトで連載中の「意味と搾取」の第三章が公開されました。コンピューターによる人間行動の制御技術は、人間集団がコンピューター以前に有していた社会制御の仕組みと本質的に異なるものですが、社会の支配的な仕組みでは、社会を構成する人々の行動を予測して既存の社会秩序に沿って行動を制御するために、コンピューターのデータ処理技術が利用可能であるという「科学的」な理解が社会の合意を得ています。しかし、本当にそうなのかどうか、監視社会を支えるテクノロジーの背景をなす思想に立ち戻って問題を洗い直すことが必要になります。本章では、コンピューターの人間集団制御と集団心理として論じられてきたこれまでの考え方を突き合わせながら、コンピューター・テクノロジー/コミュニケーション(CTC)としての監視社会が目指す事態の核心に何があり、この支配的な構造のどこに矛盾と限界があるのかを概観しています。鍵を握るのは、人間の行動を舞台裏で支えている「無意識」の領域にあります。「無意識」は実証科学によっては証明しえない事態です。ちょうどマルクスの搾取の理論が実証的な経済学では把握できない(だから搾取理論は間違いだと断定されますが)のと同様です。コンピューターによる人間の行動の解析と制御は、無意識を想定にない意識についての枠組に基づくものです。同時にコンピューターが対象とする人間は、とりあえず子どもから大人へと生育するなかで社会関係を形成するような「人間」ではなく、ビッグデータの集積としての人間になります。AIであれロボットであれ、コンピューターが構築する人間観は、人間が自分や他者を認識する仕組みと共通性はほとんどありません。問題は、にもかかわらず、人間の側にコンピューターによる判断をあたかも人間の判断と遜色ないか、あるいはそれ以上に信頼性のあるものだと誤認するのは、なぜなのか、というところにあると思います。

目次は以下です。
序章 資本主義批判のアップデートのために
第1章 拡張される搾取――土台と上部構造の融合
第2章 監視と制御――行動と意識をめぐる計算合理性とそこからの逸脱
第3章 コンピューターをめぐる同一化と恋着

[第3章構成]
3-1 コンピューターと無意識の位置
   ・行動主義の陥穽
   ・コンピューターの人間行動理解
   ・集団認識
3-2 集団心理
   ・「集団心理学と自我分析」
   ・同一化と恋着
   ・教会と軍隊
   ・支配的構造と集団心理
3-3 集団心理と無意識――監視社会の基層へ
   ・「集合的無意識」
   ・ネクロフィリアとしての資本主義
   ・ライヒのマルクス主義とフロイト主義の結合
3-4 資本主義的非合理性
   ・近代における非合理性の位置
   ・資本の無意識の欲動
   ・プライバシーと家父長制―集団心理を支えるもの
   ・コンピューター・テクノロジー/コミュニケーションと集合意識形成

即位・大嘗祭違憲訴訟原告団、同弁護団は安倍晋三の「国葬」に断固反対する(即位・大嘗祭違憲訴訟原告団、弁護団)

即位・大嘗祭違憲訴訟原告団と弁護団が下記のような声明を出しました。私も原告ですから、ブログに転載しお知らせします。多くの反対の意思表示やアクションが展開されている一方で、メディアが報じる映像などをみると、多くの人達が弔問や献花に訪れている様子を目にすることがあり、またFNNは、国葬決定の是非についての世論調査の結果を次のように報じている。

「18・19歳を含めた20代は、「よかった」67.3%、「よくなかった」31.4%。30代は、62.7%、30.3%。40代は、52.5%、46.7%。50代は、44.4%、51.7%。60代は、44.4%、54.2%。70歳以上は、39.1%、57.0%。(「よかった」「よくなかった」は、いずれも「どちらかと言えば」を含む)

年齢の若い人ほど「よかった」と答える人が多く、年齢の高い人ほど「よくなかった」と答える人が多い傾向が見て取れる。」

世代別で若い世代で賛成とする割合が大きい。こうした傾向は他の世論調査でも同様の結果になっている(熊本日々新聞日経) 国葬に限らず儀礼行為は、ナショナリズムの動向をみる上で必須の重要な対象でもあって、一般に年配の方が保守的だという定式からすると、奇異にみえるかもしれないが、最近の選挙でも保守政党への若者の支持が大きいことが話題になっている(NHK朝日)から、構造的な人口全体に関わる国家意識の遷移に関わる問題としてとらえる必要があるかもしれない。

たかが葬式という見方もあるが、国家が巨費を投じて儀礼を遂行する表向きの理由とは別に、統治の構造にとって不可欠な国民統合のイデオロギー作用としての儀礼という側面が有している効果のなかには、論理や理念を超越した感情を国家や組織に向けて同調させる機能がある。だから、大嘗祭のようなたかが「儀礼」にたいしても、見過すことができないこととして異議申し立てをしている。

戦争や軍隊への動員に典型的なように、人々が国家という抽象的で観念的な存在に、みずからの命すら賭けようとする感情が醸成されるにはそれなりのメカニズムがある。このメカニズムにおいて、具体的かつ情緒的な同調意識を形成する上で、シンボリックな視覚効果と人々の例外を許さない秩序への従属を演出できる儀礼的な空間は不可欠な役割を果している。こうした情動の動員は、大きな権力の問題というよりも、身近な権力関係のなかで、繰り返し機能することによって、人々は、行為における合理的な判断よりも感情や同調欲求を優先させることをある種の習い性として身につける。学校で制服が強制され、入学式、卒業式で日の丸・君が代を斉唱することが強制され、しかもこうした規律に対する違反に過剰な懲罰が課せられることが当たり前のようにして通用している。強制と書いたが、実際には多くの若者たちは、強制とは感じず、当然であるだけでなく率先して集団への同一化を選択する。こうした日常生活に対して若者たちが、異議申し立てをすることも少しづつ目にするようにはなっているが、ひとつの運動となるほどまでには至っていないように思う。

世代の上の人達が国葬に比較的批判的なことはそれ自体として歓迎したいが、だからといって、こうした世代がナショナリズムへの心情においても若者よりも醒めていると即断することはできないとも思う。この点については、もっと考えなければならない様々な要因があると思う。(まえがき終り)


内閣総理大臣 岸田文雄様

安倍晋三の「国葬」に断固反対する

即位・大嘗祭違憲訴訟原告団

即位・大嘗祭違憲訴訟弁護団

 7月22日、岸田文雄首相は安倍晋三元首相の「国葬」(国葬儀)を行なうと閣議決定した。

 即位・大嘗祭違憲訴訟原告団、同弁護団は安倍晋三の「国葬」に断固反対する。

 そもそも「国葬」なる概念は、政教分離などを考慮して日本国憲法施行の1947年に失効した「国葬令」によって「皇族」および「国家ニ偉功アル者」が死亡したときに「特旨ニ依リ」天皇が「賜フ」ものであった。なぜ、この勅令が失効しなければならなかったかは考えるまでもなく、日本国憲法の趣旨に反するものであったからである。それを内閣府設置法(第四条第3項三十三「国の儀式並びに内閣の行う儀式及び行事に関する事務に関すること(他省の所掌に属するものを除く。)。」)などによって復活させることはできない。

 そもそも国が、特定の個人を、公費を使って葬儀を挙行するということは、国によって記念し顕彰されるべき死の序列化・価値化を意味するものであり、決して許されない。私たちは、日本国憲法に反して国費を使って行なわれた即位・大嘗祭の違憲性を政教分離などの視点から争っている。同様に安倍晋三の「国葬」(国葬儀)も許すことはできない。

 日本国憲法の下で、「国葬」として行なわれたのは、1952年の明仁の立太子礼の際に「臣茂」と記して激しい批判をあびた吉田茂の葬儀が1967年に行なわれて以来だという。まさに安倍も教育基本法改悪、戦争法制定、国会開催要求に対する不当不開催等々、日本国憲法の趣旨に逆らう諸行為を重ねており、吉田並みの日本国憲法に逆らう者である。日本国憲法に逆らう者が「国葬」とされるというならば、それは正に「国葬」を行なう首相(吉田の際の佐藤栄作、安倍の際の岸田)が日本国憲法に反していることに他ならない。また、安倍は森友学園、加計学園、桜を見る会、河井選挙買収、黒川弘務検事長問題などさまざまな未解決の疑惑にかかわる中心人物で、日本の国政を辱めた人物であり、カルトの広告塔・庇護者であって、それがその死の原因でもあった。いまなお政府はじめ多くの領域にそのカルトが巣食っている中で、彼らが推進する「国葬」など言語同断である。自民党による安倍政権美化と疑惑隠蔽対策と言わざるを得ない。「国葬」によって多くの人々とともに私たちが訴えてきた安倍政治への批判が国による顕彰にすり替えられるといった許し難い事態が懸念される。

 繰り返す、即位・大嘗祭違憲訴訟原告団、同弁護団は安倍晋三の「国葬」に断固反対する。

(ロシア:paper)「グラフィティーは、街のすべての人々に世も末ではない、という希望をもたらす」―ストリートアートが反戦デモの主要なツールになった理由


(訳者前書き)下記はサンクトペテルブルグのPaper誌から、反戦運動とストリートアートについての論評を訳したものです。大人数の集会やデモが厳しく規制されるなかで、反戦運動は街頭での意思表示を多様な手法を用いて展開してきた。路上の意思表示は、グラフィティと総称されるようなものばかりではなく、以前に私のブログでも紹介した商品の値札に反戦のメッセージを貼りつけたりする創意工夫がある。取り締まりの強化のなかで、グラフィティは、どこの国でも、時間をかけた作品を路上で制作することが困難になると、ステンシルや広告塔を利用したポスターなど短時間で完成できる手法へと切り替わるが、ロシアでも同じことがいえるようだ。さらに、反戦運動のなかで、これまでグラフィティやアウトリートアートの経験のなかった人達が参加するようになっている。このことが表現の幅や奥行を生み出してもいる。いつも思うのだが、こうした路上の抵抗を、日本でどこまで実現できるだろうか。下記の記事の最後の方で、ロシアのアート界が、国家予算に依存しつづけてきたこと、また文化を政治から切り離す伝統があることが、戦争反対や政治的な表現にアーティストが萎縮する背景にあると指摘されている。日本と非常に似ていると思う。しかし、そうしたなかで、ストリートアートがしたたかに大きな力を発揮していることはアートの政治的社会的な力の重要な有り様だと思う。グラフィティへの過剰な取り締まりだけでなく、政治的な意思表示の手段として路上を活用する運動文化が廃れてしまったようにみえるなかで、運動の文化がどうしたら想像力を回復できるか。この点でも、従来の集会やデモによる表現が、厳しい弾圧のなかで、ある種の仲間内のバブルの中でかろうじて延命しうるだけになっているなかで、バブルを破り外部の多くの人達との接点を形成する重要な役割を担っていることが指摘されている。こうした観点も重要な指摘だと思う。戦争に加担してきたこの国にあって、私たちにつきつけられた深刻な宿題だろう。なお翻訳は、ロシア語からの機械翻訳(DeepLとLingvanex)によりながら修正を加えましたが、ロシア語が堪能ではないので誤訳などありえます。文末の原文サイトを是非参照してください。(小倉利丸)


ウクライナ戦争の勃発により、ロシアでは公的な対話の場が大きく狭まった。2月下旬、サンクトペテルブルクなどでほぼ毎日行われていた抗議デモは、いつも以上に暴力的に警察によって鎮圧された。全国で行われた抗議行動では、最初の2週間で1万2千人以上が拘束された。

同時に、ロシアの各都市の路上には、反戦を訴える文章、ステッカー、反戦画、ポスターなどが登場し始めた。様々な形のストリートアートが、反戦現象として最も注目されるようになった。

“Paper “は、ストリート・ステートメントの作者たちに、彼らが誰に訴え、どのように迫害から身を守っているのかを聞き、ストリートアートの専門家に、サンクトペテルブルクの現代のストリートアートの抗議の規模を評価してもらった。

サンクトペテルブルク市民が一斉に壁に書き始めた理由

「正確に見積もるのは難しいが、数百のサインと数百枚の紙製のビラを作った」と語るのは、路上で反戦メッセージを残しているサンクトペテルブルクの映画評論家、アレクセイ(安全上の理由から登場人物の名前はすべて変えている-“Paper “の注)だ。2月24日以来、彼は時々夜中に散歩するようになった。なぜなら、声を上げ、感情を発散したいという思いが強くなったからだ–従来のやり方は危険なだけでなく、効果もない。プロパガンダを信じたり、何も起こらないふりをしたりする人たちには届かない。

ペテルブルグの人たちは、「周りの人がみんな同じように考えていると確信すれば、自分も同じように考えるようになる」と考えています。だからこそ、アレクセイにとっては、人々が何が起こっているのかを気づかせるものに出くわすことが重要なのだ、と。

通訳のアナスタシアも、ロシアで安全に抗議する方法は他にないと考えている。彼女は以前、集会に行ったことがあるが、その都度、参加者は減り、ロスグヴァルディア(国家警察)が増えた。

アナスタシアは空いた時間に、友人と一緒に紙と両面テープで作った自作のステッカーを街中に貼った。配管や 壁、配電盤のブースなどに貼った。最初は事実を書いていたが、サーシャ・スコチレンカの事件以来、「[当局が言うところの]フェイクを広める」のではなく、「わが軍の信用を落とす」「反戦スローガンを書く」ことにした。

この女性は、こうした声明が戦争を常態化させないように闘い、人々が戦争に慣れないようにし、また同じ考えを持つ人々を支援すると信じている。すべてのタグ、ステッカー、緑のリボンは、反対者が本当にたくさんいること、すべてが失われたわけではないことを思い出させるのである。

ナスティアと口論になったり、彼女とその友人を拘束しようとしたりした人はいない。おそらく、彼らが注意深かったからだろう。今はロシアを離れてしまったが、最後の瞬間まで、監視カメラに追われないか不安な日々を送っていた。

また、サンクトペテルブルク在住のドミトリは、改装後のカフェに30〜40缶のペンキが残っており、反戦の姿勢を伝えるには路上での落書きが効果的だと考えたという。セントジョージのリボンとZの文字が入った広告バナーと同じくらい、多くの人に見てもらえると考えている。そこで、彼は個人のアカウントに缶の写真を投稿し、「何をすべきか分かっているよね」と書き込んだ。数日で塗装が剥がされた。

エンジニアのヴァシリイさんは、いてもたってもいられなくなり、15枚ほどステッカーを貼ったそうだ。彼の考えでは、戦争反対の表明は少なくとも誰か一人に影響を与え、その一人が他の誰かに影響を与えることになる、という。ステッカーは、すぐに貼ったり剥がしたりできる便利で安全なものだという。彼は怖がったが、それは警官ではなく、戦争を支持する「70%のロシア人」に対してだった。彼は「親ロシア派の通行人にやられる」ことを心配したのだ。

写真:ドミトリー・ピリキン ドミトリー・ピリキン(ストリートアート研究所研究員)

ストリートアートは社会や政治にどのような影響を与えることができるのか。

ストリートアートは社会や政治にどのような影響を与えることができるのか↓。
ストリートアーティスト、パフォーマンスアーティスト、ストリートアート研究家のAnton Polskyは、「芸術は常に革命と手を取り合ってきました」とPaperに語っている。

芸術の歴史には、芸術を通じて政治や社会に影響を与えようとした人々が数多く存在する。左翼系のアーティストは、「Reclaim the Streets」や「Provo」など、都市をテーマにしたプロジェクトを行ってきた。

1960年代、Provoはアムステルダムの有力な芸術家集団で、オランダの生活様式や両親のブルジョア的価値観に反対していた、とAnton Polskyは言う。例えば、アムステルダムのモータリゼーションを糾弾し、その代替案として、文字通りサイクリングを考案した。誰でも使える白い自転車を何百台も街中に配置したのだ。さらに、いわゆるホワイトプランと呼ばれるものをいくつも打ち出した。Anton Polskyによれば、Provoはユーモアと皮肉を駆使し、従来の政治闘争(fatuous and categorical)とは一線を画していたという。

また、1980年代のポーランドでは、ヴロツワフを中心に、Provoに触発された「オレンジ・オルタナティブ」という強力な芸術運動があったと、Anton Polskyは語る。この運動はポーランドの共産主義体制に抗議するもので、彼らの行動は皮肉と不条理に基づくものであった。美術史家によれば、彼らは、混乱、挑発、演技によって当局と闘うことが可能であることを示したという。

サンクトペテルブルク市民が壁に書き込んだこと

ツアーガイドのニコライ・ステクロトゥールは、戦争が始まって以来、珍しい反戦の碑文を集めている。今では100枚以上持っているという。「戦争が始まって間もない頃は、目についた碑文をすべて記録しようとしたが、すぐにそれは不可能だと悟った」。

ニコライによると、「No to War」「Peace to Peace」「pacifik」というサインや 緑のリボンなどがよく書かれているのだという。珍しいところでは、「悪に負けるな」「戦争ではなく、愛を育め」といった言葉がある。

巷のアートハンターは、戦争が始まってから「壁に書かれた文字」の数は大幅に増えたが、その質は失われていないと言う。

ストリートアート研究所の研究員で美術史家のドミトリー・ピリキン氏は、戦争が始まってから300枚以上の写真を集めたという。Nikolayのコレクションには、「Fuck the War」、「Peace」という簡潔なものから、「Leningrad Not ziguet」「Silence is a Crime」「Man to Man」「We are Russian, God knows what with us」「Denacify your head」「The Hague is waiting」「Strength in Newtons, brother」という独創的なものまである。

このような反戦芸術の寿命はさまざまである。アートグループ「Yav」のメンバーであるAnastasia Vladychkinaは、Bohamaiaに、彼らの最新の作品は2時間以内しか設置されていないと語った。ストリートアーティストのVlada MVは、反戦作品の平均展示期間は1日だという。

Dmitry Pilikinは、反戦ストリートアートが廃棄されるまでの時間は、その場所(見える場所か見えない場所か)、そして建物の所有者や法的責任者によって異なると指摘している。Nicholas Steklotourは、反戦芸術はストリートアートと同じくらい長持ちすると言う、それは2日続くかもしれないし、2週間続くかもしれない。最も重要なのは、ペイントされた1つの文字に対して、1つか2つの新しいものが登場することです。

研究者と芸術家の意見が一致したのは、戦争支持の看板よりも反戦の看板の方がはるかに多いということだ。Nikolai Steklotourは、Ligovsky Prospekt周辺をツアーで案内し、参加者に数を数えてもらうことを提案した。”戦争賛成 “のサイン6枚(Z、”We don’t abandon our own “とロシア色のハートとその中にZをステンシルしたもの)と “反戦 “のサイン34枚を発見した。

アートグループ「Java」のリーダー、Anastasia Vladychkinaは、3月には大統領と「Z」の文字のステンシルがたくさんあったが、通常は通行人によってすぐに修正され、さらに細部を追加して「Za shitty」などのフレーズにされていたと指摘した。

Nikolay Steklotourによると、反戦の抗議は、形も内容も多様であることがその特徴であるという。しかし、戦争賛成派は「党が命令したかのように、みな同じ」という。

国家には、街頭で「アジェンダを奪い取る」という任務はない、とDmitry Pilikinは結論づける。テレビに頭を突っ込んで座っている人にはこれ以上の刺激は必要ないが、それ以外の人には「静寂のモード」が必要だ。

写真:Nikolai Steklotour

ロシアでは、店頭の値札を取り替えたとして、すでに数件の刑事事件が発生し、数名が罰金刑に処されている。すべて4月の出来事である。

サンクトペテルブルグのSasha SkochilenkoとスモレンスクのVladimir Zavyalovは、軍のフェイクに関する犯罪条項で起訴された。

また、ニジニ・ノヴゴロド出身の学生について、ロシア軍の信用失墜に関する条項で2件の告発が行われた。法執行機関によると、彼女はSPARとPyatyorochkaで値札を貼り替えて、そこに「ウクライナでの我々の軍事行動のために、週単位のインフレは1998年以来最高となった。ストップ・ザ・ウォー」 書いた。

また、サンクトペテルブルクではAndrei Makedonovが拘束された。事前の情報によると、店内の値札を「戦争反対」と書き換えたという。Makedonovの消息については、これ以上の情報はない。

ストリートアートへの抗議に国家はどう反応するか

グラフィティの作者は、この種の抗議を安全だと考えるのは間違っている」と述べた。壁に描かれた文言に対する刑事事件の統計はまだないが、The Paperは、反戦ストリートアートをめぐって2月末から少なくとも20件が提起されたという記述を見つけた。

サンクトペテルブルクには、少なくとも8件ある。ある家の正面に「ウクライナに栄光あれ!」と書かれたことについて、政治的憎悪による破壊行為で告発されたイェゴル・カザネツ。サンクトペテルブルク在住のセルゲイ・ワシリーフは、「ウクライナに栄光あれ!」と書いたため、同条項により公判前勾留施設に送致された。また、捜査当局によると、ポレシャエフスキー公園で「ソビエト時代」の碑文を描いた43歳のエンジニアや、反戦の碑文を描いた男性もいる。

また、サンクトペテルブルク在住のドミトリー・カフは、ソ連戦士の記念碑に「戦争反対!」「プーチンはファシスト!」と書き入れたため、政治的憎悪のための埋葬地の乱用に関する条項で拘留されることになった。

捜査当局によると、2人の男が、軍事歴史砲兵博物館の榴弾砲2基のパネルカバーを黄色と青色に塗り替えたという。そのうちの1人は3月19日に破壊行為の容疑で拘束された。二人目の容疑者の身元は判明していない。

サンクトペテルブルクでは、少なくとも5人が反戦落書きをしたとして、「当局の信用を失墜させた」という行政犯罪で罰金を科された。Anna Zivはバス停に落書きした罪で、Sergei Davydovはゴミ箱に落書きした罪で、それぞれ3万ルーブルの罰金を課された。Demian Bespokoyewは、自分のコートに文字を書いたとして45,000ルーブルの罰金を課された。

Sergei Malinovskyは家の壁に反戦のメッセージを投影し、教師のEkaterina Vasilyevaはバックパックに貼った紙テープに「No to War #silentpicket」と書き、罰金を課された。また、サンクトペテルブルクの住人は、鞄に「No to War」と書いたことで「軍隊の信用を失墜させた」罪で起訴された。

その他、ペテルスブルグの人々はどのように抗議しているのか

「戦争反対」のような最も一般的なスローガンは、これまで路上で何かを書いたことがない人たちによってつくられる。美術史家のドミトリー・ピリキンは、これは抵抗と自分の意見を明確にしたいという欲求の結果である可能性が高い、と言う。

グラフィティに加えて、ステッカーやストリートアート、ゲリラ・アート(原注)に似た「サイレント・ピケ」などの行為も行っていると、ストリートアートの研究者であるアントン・ポルスキーは指摘する。

(原注) グラフィティだけでなく、ステッカーやストリートアート、そしてゲリラ的な行為に近い「サイレント・ピケ」などの創造的な行為も行われていると、同じくストリートアート研究者のAnton Polskyは言う。

Dmitry Pilikinは、商店の値札を反戦のメッセージに置き換えるというアイデアは、芸術的な介入として成功したと考えている。(原注)もう一つの例として、 Pilikinは、街中のカラーポスターの文字を、反戦に関する問いかけで「愛の貴婦人」の電話番号を置き換えたことを挙げている。

(原注)ロシアでは、店頭の値札を取り替えたとして、すでに数件の刑事事件が発生し、数名が罰金刑に処されている。すべて4月の出来事である。 サンクトペテルブルグのSasha SkochilenkoとスモレンスクのVladimir Zavyalovは、軍のフェイクに関する犯罪条項で起訴された。 また、ニジニ・ノヴゴロド出身の学生について、ロシア軍の信用失墜に関する条項で2件の告発が行われた。法執行機関によると、彼女はSPARとPyatyorochkaで値札を貼り替えて、そこに「ウクライナでの我々の軍事行動のために、週単位のインフレは1998年以来最高となった。ストップ・ザ・ウォー」 書いた。 また、サンクトペテルブルクではAndrei Makedonovが拘束された。事前の情報によると、店内の値札を「戦争反対」と書き換えたという。Makedonovの消息については、これ以上の情報はない。

さらにピリキンは、有名なストリート・グループだけでなく、匿名の個人による作家のプロジェクトもあると言う。例えば、「Yavi」の仕事、ピスカレフスキー墓地でのアクショングループ「Dead」、都市景観に組み込まれたプラカード付き置物「Little Picket」、市役所近くのZhenya Isayevaの反戦パフォーマンスなどである。

ストリート・アーティストが市民運動と関わるようになった経緯

Anton Polskyによれば、戦争が始まると、ストリートアーティストはより活発に活動するようになった。彼らはチャットを組織して参加について話し合い、すぐに政治的なストリートアートの力強い波が押し寄せた。ある者は「戦争反対」と書き、またある者は正面からの攻撃を避けて独自の作品を制作した。

ドミトリー・ピリキンは、ポルスキーと同意見でない。彼によれば、意識的で面白い仕事が少ないのは、アーティストが恐れているからだ、というのだ。以前はストリートアーティストが市民や警察から最悪の場合「厄介者」と見なされていたとすれば、今日ではその活動は犯罪行為になっている。

Paper誌は4人のストリート・アーティストに話を聞いた。彼らは皆、ストリート・アートが常に世界の出来事に対応する手段であったことを強調している。アーティストのLesha Burstonは、集会や ピケが不可能な状況に対応するため、「Picket」という一連の作品を制作した。この作品は、反戦を訴えるプラカードを持った男性を描いている。

もう一人のアーティスト、Vladaは、最初の反戦の作品はあわただしく生まれたという。「戦争が始まって4日目、そろそろ戦争が終わるかなと思っていました。」 Vladaは人型のキャラクターを描き、そこに “戦争””権力””KV””ロシア””私たち “など、彼女にとって重要な言葉を並べている。

Vladaは、弾圧に備え移住の準備を進めているという。彼女やPaper誌の取材に応じた他のアーティストたちは、自由と安全について危惧しており、彼らは自分のソーシャルネットワークで作品をオープンに公開しており、見つけるのは難しくないだろうと語っている。Lesha Burstonは、「picket」シリーズの2作目がまさにこのことをテーマにしていると指摘し、「ただ疲れていて、どこかに座って休みたいのに、座るのが怖くて、もう疲れきっているような状態です」と語った。

ストリートアーティストのFILIPP FI2Kは、作品を作る前にいろいろな人に相談したそうだが、法律的には問題ないという結論に至ったそうだ。彼は、2匹の犬がウサギを追いかけている様子を描いたが、そのウサギには平和の象徴である「パシフィコ」が付いている。FILIPP FI2Kは、鑑賞者にすべての思考を委ねるため作品の説明文は書かず、タイトルだけを書いたという。「平和を希求して」(In Pursuit of Peace)と題し、「犬が何であるか、何のために走っているのか、犬が世界に追いついたらどんな結果になるのか 」を自分自身で考えてもらうためだ。

他のアーティストと同様、FILIPP FI2Kは通行人の注目を浴びないように気を配った。事前にステンシルを用意し、最後の最後にウサギにピースサインを書き込むなど、最後の瞬間まで作品に反戦の意味はなかったというわけだ。他のアーティストも同様の手法を使っており、例えばLyosha Burstonは、まず白紙のプラカードを手にした男性を描き、その後に反戦のメッセージを描いている。バーストンは、あえてモノクロの色を選び、全工程を20分以内で終わらせるようにしている。

Vladaは普段、通行人やパトロールに注意を払うため、友人を連れて行く。彼女の最初の作品「No to War」は約2時間かかり、この間、パトロール隊や国家警察の車が何台も通りかかり、そのほとんどが速度を落としたが、アーティストを「脅かす」ことに成功すると去っていったという。Vladaは、ブラダの説明によると、最初は作品の中の言葉を認識するのが難しく、文字が読みにくかったり、一番最後に「No」という言葉が出てきたりしたと説明している。

また、アートグループ「Yav」のAnastasia Vladychkina氏も、さらなるセキュリティ対策について語った。彼らは、壁に貼って作品を完成させることはできないと考えて、ほとんど「広告塔」「メディアアート」に切り替えている。だから、今は広告塔にバナーを貼る。何もない側、つまり物件を損なわないように、広告を覆わないように貼る。路上での作業は10分から15分程度で終わる。

Yaviはポスターのトラブルもあった。以前から取引のあった印刷所を何軒も訪ねたが、どこも言論の自由をテーマにした作品の印刷を断ってきた。しかし、最終的にアーティストたちが見つけたのは、「何を印刷してもいい」という店だった。

どのアーティストも、「正面からぶつからなければ」ストリートで活動するチャンスはまだあると信じている。

なぜストリートアートが抗議の主な手段になっているのか?

今回調査したアーティストや専門家のほぼ全員が、Paper誌に対して以下のように回答している。

「人がデモに出れば、すぐに拘束される。壁に書かれた文字と違って、誰もデモを見る時間ほとんどない」とYaviaのAnastasia Vladychkinaは言う。FILIPP FI2Kは、ペンキ缶を手に取り、手で「戦争反対«Нет Войне»」と書くのに5秒かかると付け加える。1つの缶で50〜100の文字が書けるという。ペンキ缶1つあれば、絵の具の使い方を知らなくても、1人で「街全体を塗る」ことができる、というのが彼の意見だ。

研究者のAnton Polskyは、ロシアでは抗議や集会がうまくいっていないと考えており、その理由は2つあるという。一つ目の理由は、集会がばらばらになってしまい、同じ志を持つ人たちの出会いの場となって政治的行動を起こす余裕がないことである。二つ目の理由はいわゆるバブル効果で、集会などでは同じ立場の人が集まるのに対し、外の人には自分から出向いていって、安全なコミュニケーションの形を探さなければならないからだ。ストリートアートは、外に出る実践によって、バブルから抜け出し、何らかのメッセージを創造的に伝えることができるのだ。

「サンクトペテルブルクは荒廃した街だ」Polskyは、「このような場所は、しばしば自己組織的で抵抗のためのストリートアートを創造する肥沃な土壌となる」と語る。

ストリートアートは、組織に縛られることなく、誰もが参加できるものだ。劇場も音楽堂もギャラリーも、直接間接に国家に依存しているため、これほど大規模に、あるいは声高に戦争に反応することはなかった。

演劇評論家でブロガーのViktor Vilisovは、ロシアの芸術界は「国家や準国家の資金と密接に結びついている」ため、反対意見があっても公に発言することを恐れている–立場がどうであれ、職を失うことになりかねない、と説明する。この評論家によると、劇場や現代アートセンターのディレクターは、施設を潰さないように守らなければならないという立場に立つことが多いので、誰もが黙っているか、「ぼそぼそ」と発言しているのだという。

ロシアでは、「芸術」が政治に関与する習慣がないとYaviaのAnastasia Vladychkinaは補足する。アーティストは、愛や死、哲学的抽象概念など、永遠の価値観を扱うべきだと考えられているのだ。

Anton Polskyは、2008年の経済危機の時のように、今こそストリートアートが花開く可能性があると信じている。当時はアートマーケットの売り上げが激減し、ストリートアートが政治化された時代だった。しかし、当時は堂々と壁に絵を描くことができたが、今は15年以下の懲役に処せられるという決定的な違いがある。

出典:https://press.paper-paper.uno/nadpisi-nesut-nadezhdu-chto-ne-vse-lyudi/

(ОВД-NEWS)ロシアの反戦、反軍レポート

以下は、OVD-infoによるロシア国内の反戦運動への弾圧状況のレポートの英語版からの翻訳です。戦争開始にあわせて、ロシア政府は新たな弾圧立法を成立させただけでなく、刑法の様々な条文を駆使して弾圧を強化してきた。ロシアを「プーチン独裁」などとして西側から切り離して特別な国家であるかのようにみなす傾向がなきにしもあらずだが、ロシア政府の対応は、どこの国でもありえる弾圧手法といえるものでもあり、いわゆる「民主主義国家」とも共通する権力の弾圧手法がいくつもある。むしろ私が注目するのは、政府の強権的な弾圧にもかかわらず、4ヶ月たってもなお全国で草の根の反戦運動が展開され、同時に弾圧への支援運動もまたひるむことなく継続していることだ。国家権力がいかに「権威主義」であろうともむしろ民衆の抵抗運動のなかに民主主義的な異議申し立てや抵抗の原理が生きているように思い、私は励まされる思いだ。こうした民衆運動の力づよさは、今回の戦争で突然生み出されてきたわけではない。むしろプーチン政権下にあって、実はヨーロッパロシアから極東ロシアに至るまで、広範な草の根の反政府運動が存在してきたからだと思う。たとえば、反戦運動が繰り広げてきた街頭のパフォーマンスには、ロシア正教に公然と叛旗を翻したプッシーライオットのような存在なくしてはありえなかっただろうとも思う。戦争は当事者の国家や利害関係をもつ諸国など権力者によってしか収束へと向うことができないようにみえるが、実際には、むしろ当事国の人々によってしか戦争を止めることはできないのではないか。そして、そうした国々の人々に対して私たちが実際にできる支援は微力でしかなくとも、支援の意思表示を示すこともまた大切なことであり、同時に、日本が戦争を煽りかねない対応をとっていることにも同時に、明確な拒否の意思表示をすることが大切だと思う。なお、翻訳に際しては、ロシアの刑法など法制度に精通していないので、誤訳もありえるかもしれません。文末の原文へのリンクで確認してください。(小倉利丸)



2022年6月
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掲載日:2022年7月5日

記事中に記載されているデータは、2022年6月23日時点のものです。

Текст на русском (Текст)

ウクライナでの戦争は4カ月も続いている。この間、ロシア国家は隣国を暴力的に破壊し、自国民に対する弾圧行為も行ってきた。以下は、ロシアで反戦の立場をとる人々に対する抑圧的な行動に関する主要なデータである。

集会の自由の制限

戦争開始以来、拘束がなかったのは1日のみ

反戦デモに関連して、少なくとも16,309人が拘束されたことが確認されている。抗議行動での拘束に加え、当局は顔認識システムを利用した「予防的」拘束も行っている。5月と6月には、発表された抗議行動に先立ち、少なくとも75人が逮捕された。弁護人がデモ参加者の相談に乗るために警察署への立ち入ることを拒否されたケースは82件にのぼる。

反戦活動家が拘束された市町村は207に上る

刑事事件

人々を追い詰めるために、政府はロシア刑法の様々な条文を利用している。

  • 第318条第1項(当局の代表者に対する暴力の行使)。
  • 第213条(フーリガニズム)。
  • 第214条(破壊行為)。
  • 第244条第1項b号(死者の遺体及びその埋葬場所に対する侵害)。
  • 第 243 条第 4 項第2部b号(軍事用埋葬地の破壊又は損傷)。
  • 第167条第2項(故意の破壊又は相当な損害の発生を伴う損壊)。
  • 第329条(ロシア連邦の国章またはロシア連邦の国旗に対する侵害)。
  • 第212条 第1項第1号(集団暴動の組織)。
  • 第207条第3項第1部(ロシアの軍隊の使用に関する信頼できる報告を装って、故意に誤解を招く情報を公に流布すること)、別名「偽物に関する条文」。
  • 第280条第3項(ロシア軍の信用を繰り返し失墜させること)。

「反戦事件」の被告人の38%が、新たに採用された条文で起訴されている。(下図一番目の円グラフ)

「反戦事件」の被告人のうち、107人が他の条文に変更[訴因変更か]されている。(下図二番目の円グラフ)

ロシア刑法第207条第3項の規定に基づき法的手続が開始された場合(下図三番目の折れ線グラフ)

ロシア刑法第280条第3項の規定に基づき法的手続が開始された場合(下図四番目の折れ線グラフ)

行政事件

ロシア連邦行政刑法第20.3.3条「ロシア軍の信用失墜について」は2022年3月に施行された。現在、同条に関連する2,457件の事例が判明している。1,781人が行政手続きの対象となった。160件の行政資料が裁判所から警察署に返却された。同条に関連する平均的な罰則は35,562ルーブルである。

第20.3.3条に関連するケースの数をカウントするために、5つの情報源を使用する。OVD-Infoのデータ(個人に関するもの、つまり特定の事件に関連するもの)、裁判所のウェブサイトの第一審事件記録、「Pravosudie」(司法国家自動化システム)情報ポータルの第一審事件(個人)に関する情報、裁判所およびロシアMIA(内務省)のプレスリリースである。

上図出典:OVD-Info  Get the data  Created with Datawrapper

外国人エージェント
「外国代理人」に関する法律が採択されてからの10年間で、464人の個人、法人、未登録の団体が外国代理人として宣告された。2022年6月、ロシア連邦司法省は、6人(アレクセイ・ピヴォヴァーロフ、オレグ・カシン、ミハイル・ソコロフ、ユリア・ツヴェトコワ、イリーナ・ダニロヴィッチ、ニコライ・ペトロフ、エフゲニー・チチヴァルキン)と1団体(拷問防止委員会)を外国のエージェントであると認定している。

独立系メディアへの妨害と圧力

戦争が始まって以来、マスメディア、その他のメディア、ブログなど、少なくとも25の独立した情報チャンネルが遮断され、26が閉鎖され、さらに12が戦争を報道することを拒否している。6月1日以降、Roskomnadzor(連邦通信・情報技術・マスメディア監督局)は、ロシア国内の13の情報チャンネルと海外の19の情報チャンネルをブロックしている。

連載「意味と搾取」ご案内

青弓社のオンラインサイト「青い弓」で表記のタイトルで連載を開始しています。無料でお読みいただけます。現在、第二章まで掲載済みです。 人工知能の時代における監視社会に対する原理的な批判を意図しています。

表題の意味と搾取に含意されているのは、マルクスの搾取理論(剰余価値に収斂する価値理論)を搾取の特殊理論として位置づけ直し、搾取の一般理論の構築を目指すものです。つまり、搾取と呼ばれる事態は、マルクスが想定した剰余労働の剰余価値という事態を越えて労働(家事労働のようないわゆるシャドウワークも含む)総体から人間の行為や「(無意識を含む)意識」全体を覆う人間にとっての意味の資本主義的な「剥奪と再意味化」とでもいうべき事態と関わるものだという観点に基くものです。監視社会と呼ばれる事態がなぜもたらされてきたのかという問題は、資本主義が究極に目指しているのが、経済的搾取を越えて、この社会に暮す人々の意識と存在の文字通りの意味での「資本主義化」であり、完全な操作可能な対象としての人間という不可能な悪夢にあるという問題と関わります。そしてこの問題は、マルクスが十分に分析することなく脇に置いた商品の使用価値への注目を必要とするものでもあります。使用価値が人間(労働者であり消費者でもある存在)の行為の意味を再構築するだけでなく、それ自体がアルゴリズムの構造に組み込みうるかのようなテクノロジーの開発が突出してきた事態と関わります。20世紀資本主義はマルクスの資本主義批判への資本主義的な応答だと私は考えています。そのことを、土台の上部構造化、上部構造の土台化という唯物史観の資本主義的な脱構築と、コンピュータ化がもたらしたこれまで人類が経験してこなかった「非知覚過程」の構造化を通じた搾取の構造化として構想しています。更に、こうした資本主義的な包摂を支える科学への批判とともに、この包摂を超える観点を模索することを企図してこの連載を書きはじめました。ネットで読むには長すぎるかもしれませんが、ぜひお読みください。

序章 資本主義批判のアップデートのために

0−1 あえて罠に陥るべきか…

0−2 連載の構成

第1章 拡張される搾取――土台と上部構造の融合

1-1 機械と〈労働力〉――合理性の限界

機械が支配した時代

道具、機械、歴史認識

資本の秘技

1-2 身体性の搾取をめぐるコンテクスト

知識・技術・身体性の搾取

経済的価値をめぐる資本主義のパラレルワールド

非合理性と近代の科学技術

1-3 融合する土台と上部構造――支配的構造の転換

構造的矛盾の資本主義的止揚

資本主義の支配的構造

第2章 監視と制御――行動と意識をめぐる計算合理性とそこからの逸脱

2-1 デホマク

ビッグデータ前史

IBMと網羅的監視

制御の構成――社会有機体の細胞としての人間=データ

法を超越する権力

2-2 行動主義と監視社会のイデオロギー

意識の否定――J・B・ワトソン

支配的な価値観を与件とした学問の科学性

道具的理性――資本主義的理論と実践の統一

行為と動機――行動主義と刑罰


三章以下は7月以降に公開されます。

(Middle East Eye)ウクライナを「大きなイスラエル」にするというゼレンスキーの夢が、モスクワを不安にさせる理由

(訳者前書き)4月初旬に、ゼレンスキーが、ウクライナは「大きなイスラエル」になる必要があると述べた。この発言は、さまざまなメディアが報じているのだが、以下は、Middle East Eyeの掲載されたジョナサン・クックの論評の翻訳である。ゼレンスキーのこの発言は、現在もウクライナの大統領府のウエッブで読むことができる。このウエッブ記事は「ウクライナ国家にとって、今後10年間は安全保障の問題を第一義に考えるべき」と題されているように、国家安全保障を最優先にした統治機構の構築を宣言し、そのモデルとしてイスラエルを明示したのだ。ゼレンスキーは、フランス、アメリカ、トルコ、イギリス、ポーランド、イタリア、イスラエルと、アドバイザーやリーダーのレベルで議論しているとしつつ今のところ、西側によるウクライナ支援が十分ではないとして次のように述べた。

「世界中の40カ国がウクライナのために参加し戦う準備ができているということをを必要としているわけではない。何にでも対応できる真剣なプレーヤーが必要なのだ。24時間以内にどんな武器でも提供できるような国々の連携が必要だ。制裁政策が本当に依存する個々の国が必要であり、そのために制裁は事前に深く練り上げられる。そうすれば、ロシアからの脅威を感じた瞬間に、これらの国が団結し、3日以内にすべてを導入し、すべてを阻止することができる」

そして2月24日の時点に押し戻せれば勝利だとした上で、ウクライナの国内の将来について次のように述べた。

「国民全員が我が国の偉大な軍隊になると信じている。『未来のスイス』なんて言っている場合ではない。我々は間違いなく、独自の顔を持つ『大きなイスラエル』になる。あらゆる施設、スーパーマーケット、映画館に軍隊や 国家警備隊の隊員がいても驚くことはないだろう。今後10年間は、安全保障の問題が最優先課題になると確信している」

ウクライナの政権のこうした意向によってウクライナの民衆の侵略への抵抗の代弁とすべきではない。しかし統治機構を握る支配者たちの意向が社会に及ぼす影響は深刻だ。民衆の(サイバー)安全保障とは真逆の国家安全保障のイスラエルモデルを構想するということは、高度な監視型の戦時体制お構築すると宣言にたに等しい。私はこの点でゼレンスキー政権の政策には賛成できない。ウクライナの戦争の何を、誰を、どのような理由で支援するのか、あるいは批判するのかという問題を論じることは大切であり、政権と複数性としての民衆を同一視すべきではないことを承知した上で、私が支持するのは、ウクライナにあってもロシアにあっても、戦争を放棄する最も難しい選択のなかで格闘している人々や、声を出して戦争を拒否できず戦争からいかに背を向けて生き延びることが可能かを、必至で探る人々の生き方になるかもしれない。(小倉利丸)


ジョナサン・クック
12 April 2022 11:37 UTC|最終更新: 1ヶ月 4週前

ウクライナ大統領のこの比較は、キエフが暴力的な「脱ロシア」計画に熱心であるというモスクワの主張を裏付けるものである。

イスラエル政府はウクライナの戦争についてできるだけ目立たないように努めてきたが、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領はイスラエルを中心舞台に引きずり出すことを決意しているようだ。

ゼレンスキーは先月、イスラエル議会に直接訴え、表向きは武器、特にイスラエルがガザを15年間包囲していることに注意を引こうとするパレスチナ人がガザから発射する短距離ロケットを阻止するために用いる迎撃システム「アイアンドーム」の提供を求めた。

しかし、多くのイスラエルの政治家たちは、ゼレンスキーのスピーチに異議を唱えた。彼はその中で、ロシアのウクライナに対する扱いを、ナチスのヨーロッパユダヤ人に対する「最終的解決」になぞらえたのである。

ユダヤ人であるゼレンスキーは、この並行輸入が人々の心に響くことを望んでいた。多くのイスラエル人の耳には、それは不快に聞こえた。これまでのところ、イスラエルはウクライナに武器を供給することも、西側諸国と協力してロシアに経済戦争を仕掛けることも拒否している

イスラエルの主要政党や宗教団体がロシアと地理的、感情的に強い結びつきがあることも、その一因である。また、モスクワは中東、特に隣国のシリアにおいて主要な役割を担っている。イスラエルはロシアと緊密に連携し、国際法に違反するシリアへの空爆を定期的に行っている。

イスラエルはウクライナをめぐり、難しい外交の道を歩もうとしている。一方では、イスラエルは米国の地域的な庇護の下にあり、その庇護者を満足させたいと願っている。一方、イスラエルの軍事的利益は、モスクワとの良好な関係を維持することである。

さらに、イスラエルの指導者たちは、ロシア軍がウクライナで行っていることが戦争犯罪であるというコンセンサスを強めること、それによって、占領地での自らの虐待をめぐってイスラエルに反感を持たれる可能性のある極めて公然たる前例を作ることを懸念しているのである。

イスラエルのナフタリ・ベネット首相は、早くから仲介役を引き受け、ロシアの停戦提案を受け入れるようゼレンスキーに働きかけていた。

大量の死体

それでもゼレンスキーは、ウクライナの対イスラエル関係を有利にすることに腐心した。彼は、自国の窮状が西側メディアと西側国民の共感を呼んでいることを理解している。彼はこの感情を武器に、イスラエルにもっと公然とウクライナを支援するよう圧力をかけようとする動機があるのだ。

国会での演説では、イスラエルの元首相ゴルダ・メイヤーの言葉を引用し、「我々の敵は我々が存在しなくなることを望んでいる」と主張している。ロシアはウクライナに同じことをするつもりだ、とゼレンスキーは注意した。

先週、キエフ近郊のブチャで大量の死体が発見された後、イスラエルのヤイル・ラピド外相が態度を変えた。彼はTwitterでこうコメントした。「民間人に意図的に危害を加えることは戦争犯罪であり、私は強く非難する」。

ロシア軍が去った後の、キエフ近郊のブチャ市からの恐ろしい映像を前にして、無関心でいることは不可能である。

民間人に意図的に危害を加えることは戦争犯罪であり、私は強く非難する。
- יאיר לפיד - Yair Lapid (@yairlapid) April 3, 2022

おそらくイスラエルは、パレスチナ市民に危害を加える「意図」がないと主張することで、このような批判から逃れたいと考えているのだろうが、これほど頻繁に民間人を傷つけているにもかかわらず、である。

そして先週木曜日、イスラエルはアメリカやヨーロッパと共に、ロシアを国連人権理事会のメンバーから外すことに賛成し、さらに譲歩した。モスクワは、この動きを「非友好的なジェスチャー」として扱い、外交関係に影響を及ぼすと各国に警告していた。

大きなイスラエル

国連でのイスラエルの投票は、ゼレンスキーがイスラエルを戦後のウクライナのモデルとして宣伝する声明を出した直後に行われた。彼は、自国が「大きなイスラエル」になり、軍隊がウクライナ社会のあらゆる局面で強い存在感を示すようになると述べた。

彼は、「すべての施設、スーパーマーケット、映画館に、武器を持った人がいるようになる」と述べた。当分の間、ウクライナは「絶対的に自由な、ヨーロッパ的な」社会ではなく、イスラエルのような高度な軍事化された社会として発展していくだろう。彼は、ほとんど余計なこととして、ウクライナが「権威主義」になることは避けるだろうと付け加えた。

イスラエルへのおべっかは、ゼレンスキー政権下で少し前から始まっていた。2020年、彼は「パレスチナ人が自決権…国家の独立と主権を行使する権利、避難した自宅や財産に戻る権利」を行使できるようにするために1975年に設立された国連の委員会を脱退させ、イスラエルを喜ばせたのである。

しかし、将来のウクライナをイスラエルをモデル化とすることの意義は、ほとんど無視されている。

イスラエルが高度に軍事化されているのは、現地の住民を奪って取って代わろうとする入植者植民地国家として、パレスチナ人を叩きのめすか追い出すべき敵として扱わなければならないからである。

何十年もの間、イスラエル軍と入植者民兵は手を携えて、パレスチナ人をその土地から追い出し(民族浄化)、代わりに建設されたユダヤ人だけの共同体から遠ざけてきた(アパルトヘイト)。ゼレンスキーがウクライナにもたらそうとしているのは、ウクライナ軍と民兵が、真のウクライナ人ではないと見なされる人々を追い出す、深い分離社会なのだろうか。

ドンバス地方

逆説的だが、これはプーチンが2月末にロシアの侵攻を正当化するためにウクライナ政府に対して行った非難とほぼ同じだ。プーチンは、ウクライナを “脱ナチ化 “する必要があると主張し、西側諸国の政府はこの主張に対して反発を示した。

しかし、イスラエルをモデルにしたウクライナを作ろうというゼレンスキーの誓いは、ロシア指導者の主張を正当化するものだとも言える。

もしゼレンスキーがロシア軍をウクライナから追い出すという誓いを果たせば、キエフはすべての映画館やスーパーマーケットに兵士や民兵を配置する必要はなくなるだろう。北と東の国境を守るために、大規模で装備の整った軍隊が必要になるのだ。しかし、ウクライナ大統領は、ロシアをウクライナの唯一の敵とは考えていないようだ。

では、他に誰を心配しているのだろうか。それを理解するためには、プーチンの大げさな演説を解析する必要がある。

ウクライナ侵攻を正当化するロシア大統領の「脱ナチ化」疑惑は、ウクライナ軍内のファシスト勢力が、ロシアと国境を接するドンバス地方に住む多数のロシア系民族に対してポグロムと民族浄化を行っているという考えが前提となっていた。

ロシアは、ウクライナが同国東部でこうしたポグロム(しばしば「脱ロシア化」と表現される)を行うのを防ぐために軍が駐留していることもあると主張している。プーチンは「ジェノサイド(大量虐殺)」という言葉さえ使っている。

禁止された政党

プーチンの主張には異論もあろうが、一方で、この主張が無から生み出されたものではないことも認識している–西側メディアの報道を聞いているとそう想像するかもしれないが。ウクライナは、2014年にキエフで起きた大規模な抗議行動によって、ロシアに同情的な政権が消滅し、ナトーへの統合に熱心な政権に代わって以来、その東部で内戦ともいえる状態に陥っている。

8年前に起きたことは、米国が支援する「ソフトクーデター」のように見えた。当時キエフに派遣されていたホワイトハウスの高官、ビクトリア・ヌーランドが、新大統領に誰を据えるべきかを議論する様子をテープに収めたからである。

新国家主義政権のその後の動きには、ロシアを敵視するだけでなく、NATOやEUへの統合をより進めるためのロビー活動も含まれている。また、国民の多くが話すロシア語の地位を著しく低下させ、アゾフ大隊のようなネオナチや公然と反ロシアの民兵をウクライナ軍に統合する法案も可決された。

また、侵攻以来、ゼレンスキーはロシアやウクライナのロシア人社会への支持と見なされるとして、11の野党を禁止している。

プーチンの「脱ナチ化」という主張は、西側メディアによって利用され、ウクライナに長年存在するネオナチ問題への言及を「ロシアの偽情報」と決めつけている-これらの報道機関はすべて、数年前にまさにその問題について大々的に報道していたにもかかわらず、だ。

しかし、アゾフ大隊やそのような集団が、ウクライナの超国家主義の強力な系統を代表しており、ナチスドイツとの歴史的な協力関係を称賛するだけでなく、ウクライナのロシア系民族を脅威と見なしているということが、少なくともモスクワから見れば重要なのである。

西側メディアから最近このことについて問われたゼレンスキー氏の珍しい例として、彼は「我々の国を守る」ネオナチ民兵が存在することを認めている。彼は、これらの極右グループがウクライナ軍に統合され、国旗の下で活動しているという事実によって、西側のオーディエンスが安心することを想像しているようであった。

第五列

2014年の政権交代以降、アゾフのようなグループは、ロシア系民族が集中するドンバス地方で内戦の最前線に立っている。戦闘によって少なくとも1万4000人の命が奪われ、さらに何十万人ものウクライナ人が故郷から追い出されている。

そのためか、BBCの軍事特派員でさえ、東部の町を訪問した際、プーチンやクレムリンよりも、ゼレンスキー政権下の自分たちの政府を問題視するウクライナ人がいることを(不本意ながらも)認めざるをえなかった。

この質問は、なぜゼレンスキーがウクライナをイスラエルになぞらえようとするのか、なぜそのような展開になるとモスクワが神経質になるのか、ということに帰着する。

イスラエルは、その支配下にあるすべてのパレスチナ人を、イスラエル国内の市民であろうと軍事占領下の臣民であろうと、潜在的な第5列であり、ディアスポラや広いアラブ世界にいる数百万のパレスチナ人に代わって、大イスラエルの内部から破壊するために働いているとみなしているのである。

この超民族主義的な物語が、イスラエルが高度に軍事化された民族的要塞として発展し、その壁の中に残されたパレスチナ人を抑圧し、彼らを追い出すことを究極の目的としてきた。

シオニズムの「文明の衝突」、「終わりなき戦争」という物語に傾倒していない者にとっては、イスラエルがパレスチナ人に行ったことはアパルトヘイトによく似ている。だからこそ、多くの人権団体や法律家が最近になって、このことを声高に言い始めたのである。

しかし、世界の多くがイスラエルによるパレスチナ人の扱いを嘆くようになる一方で、ウクライナの指導者は、この過激な民族主義的アパルトヘイトモデルがウクライナにとって理想的であると信じているような印象を受ける。

もしこれが正しければ、プーチンが侵攻を開始した理由のいくつかに信憑性が生まれる。ウクライナの歴史的なロシア系民族共同体を追放し、ロシアの玄関口にアゾフ大隊のネオナチ思想に同調する人々を送り込むことを先取りするためである。

血潮の高まり

西側の専門家は、ウクライナのネオナチ問題の主張を払拭するために、ゼレンスキーがユダヤ人であることを大いに利用した。しかし、ウクライナ大統領がこれらの民兵をどの程度コントロールしているのか、また、戦争で犠牲者が増える中、主にロシアに対する激しい憎悪で表現される超国家主義がウクライナ人の間でどの程度広がっているのかは不明である。

ブチャのような場所に散乱する死体や、ウクライナ人がロシア人捕虜を処刑しているように見える映像は、こうした分裂が急速に毒性を増し、8年間の内戦のトラウマを深めている兆候である。

このような状況では、西側諸国はできるだけ早く双方に停戦を要求するために全力を尽くすべきである。それどころか、西側諸国はウクライナに武器を流し込んで戦闘を激化させ、死者の数を増やすことで炎上を煽っているのである。

たとえウクライナが最終的にロシア軍を追い出すことができたとしても、西側の武器はアゾフ大隊のような民兵を含め、ウクライナ人の手に残ることになるだろう。

ロシア兵の撤退によって、ウクライナが「大きなイスラエル」になるというゼレンスキー氏の夢が実現すれば、それは流血の終結ではなく、ウクライナのトラウマの新たな章に過ぎない可能性が高い。

この記事で示された見解は著者に帰属し、必ずしもミドルイーストアイの編集方針を反映するものではありません。
ジョナサン・クックは、イスラエル・パレスチナ紛争に関する3冊の本の著者であり、マーサ・ゲルホーン特別賞(ジャーナリズム部門)を受賞している。彼のウェブサイトとブログは、www.jonathan-cook.net で見ることができます。

出典:https://www.middleeasteye.net/opinion/russia-ukraine-zelensky-big-israel-moscow-nervous-why

ウクライナの平和運動+ユーリイ・シェリアジェンコへのインタビュー

(前書き)下記に訳出したのは、ウクライナ平和主義者運動の声明とこの運動を中心的に担ってきたユーリイ・シェリアジェンコのインタビューです。この声明については、日本アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会が4月に日本語訳を公開しています。以下の訳は、小倉によるものです。ウクライナはロシアからの侵略に対して武装抵抗としての自衛のための戦争を展開している。武力行使の正当性はウクライナ側にあるというのが世界でも日本でも圧倒的多数の人々の共通理解だろう。他方で、そうであっても、武力行使によって侵略者と戦うという選択肢をとらないとする人達がいる。それが下記のウクライナ平和主義者運動など、ウクライナのなかの少数派の主張になると思う。日本のなかでの自衛隊をはじめとして原則として軍隊に否定的な立場をとる論者であっても、ウクライナにおけるロシア侵略に対する武力による抵抗を積極的に肯定する意見をもつ人達も少くない。私は、侵略されても、なお武力による自衛権行使という手段をとることには否定的だ。なぜそういなのか、では、どうすべきなのか、といった問題は別途論じたいとは思う。(小倉利丸)


ウクライナ平和主義者運動の声明

2022年4月17日、ウクライナの平和主義者たちは、この運動の事務局長であるYurii Sheliazhenkoのインタビューとともに、ここに再掲された声明を採択した。

ウクライナ平和主義者運動は、ロシアとウクライナの間で紛争の平和的解決のための架け橋が双方で盛んに焼き払われ、何らかの主権的野心を達成するために流血を無期限に続ける意図が示されていることを深刻に懸念している。

私たちは、ロシアの侵略がエスカレートする前にドンバスでロシアとウクライナの戦闘員がミンスク合意で想定された停戦を互いに違反したことを改めて非難し、致命的なエスカレーションと数千人の死者をもたらした2022年2月24日のロシアのウクライナ侵略の決断を非難する。

私たちは、公式のプロパガンダによって過激で不倶戴天の敵意が強化され、法律に盛り込まれた、紛争当事者にナチスに匹敵する敵や戦争犯罪者という相互のラベル貼りを非難する。私たちは、法律は戦争を煽るものではなく、平和を築くものであるべきだと信じている。また、歴史は、戦争を続けるための言い訳ではなく、人々がいかにして平和な生活に戻ることができるかの例を示すべきであると考えている。私たちは、犯罪に対する説明責任は、特に大量虐殺のような最も重大な犯罪においては、独立した有能な司法機関によって、公平かつ公正な調査の結果、法の正当な手続きによって確立されなければならないと主張する。私たちは、軍事的残虐行為の悲劇的な結果が、憎悪を煽り新たな残虐行為を正当化するために利用されてはならないことを強調する。それどころか、このような悲劇は闘志を冷まし、戦争を終わらせる最も無血の方法を粘り強く模索することを後押しするものであるべきだ。

私たちは、双方の軍事行動や、民間人に危害を加える敵対行為を非難する。私たちは、すべての銃撃を停止し、すべての側が殺された人々の記憶を尊重し、十分な悲しみの後に、冷静かつ誠実に和平交渉に取り組むべきであると主張する。

私たちは、交渉によって達成できない場合、軍事的手段によって一定の目標を達成しようとするロシア側の発言を非難する。

私たちは、和平交渉の継続は戦場での最良の交渉ポジションを勝ち取ることにかかっているというウクライナ側の発言を非難する。

私たちは、和平交渉中の両陣営の停戦に対する消極的な姿勢を非難する。

私たちは、ロシアとウクライナの平和な人々の意思に反して、民間人に兵役の実施、軍事任務の遂行、軍への支援を強制する慣行を非難する。私たちは、このような慣行は、特に敵対行為中に、国際人道法における軍人と民間人の区別の原則に著しく違反するものであると主張する。兵役に対する良心的兵役拒否の権利を軽視するいかなるものも容認することはできない。

私たちは、軍事衝突をさらにエスカレートさせるようなウクライナの武装過激派にロシアとNATO諸国が提供するあらゆる軍事支援を非難する。

私たちは、ウクライナと世界中の平和を愛するすべての人々に、いかなる状況においても平和を愛する人々であり続け、他の人々が平和を愛する人々となるのを助け、平和で非暴力的な生き方に関する知識を収集し広め、平和を愛する人々を結びつける真実を伝え、暴力なしで悪と不正に抵抗し、必要で有益、不可避、そして正当な戦争に関する神話を否定していくよう呼びかける。私たちは、平和計画が軍国主義者の憎悪や攻撃の対象にならないようにするために、今、何か特別な行動をとることを求めてはいませんが、世界中の平和主義者が、最高の夢を実際に実現するための良い想像力と経験を持っていることを確信しています。私たちの行動は、恐怖心ではなく、平和で幸せな未来への希望によって導かれるべきなのです。私たちの平和のための仕事によって、夢がもたらす未来をより身近なものにしましょう。

戦争は人類に対する犯罪です。したがって、私たちはいかなる戦争も支持せず、戦争のすべての原因を取り除くために努力することを決意します。”

ユーリイ・シェリアジェンコへのインタビュー

●ウクライナ平和主義運動事務局長、ユーリイ・シェリアジェンコ博士にインタビューしました。
あなたは、急進的で原則的な非暴力の道を選びました。しかし、ある人々は、これは立派な態度だが、侵略者を前にすると、もう通用しない、と言います。あなたは彼らにどう答えるのですか?

私たちの立場は「急進的」ではなく、合理的であり、あらゆる実際的な意味合いにおいて議論や 再考の余地があります。しかし、伝統的な言葉を使えば、確かに一貫性のある平和主義なのです。私は、一貫した平和主義が「うまくいかない」ということには同意できません。それどころか、それは非常に効果的ですが、実際、どんな戦争の努力に対してもほとんど役に立ちません。一貫した平和主義は、軍事戦略に従属させることはできませんし、軍国主義者の戦いに操られ、戦争の道具にされることもありません。それは、何が起こっているのかを理解することに基づくものだからです。この戦争は、あらゆる面で攻撃者の戦いであり、その犠牲者は、暴力的行為者によって分割統治された平和を愛する人々、強制と欺瞞によって意に反して戦争に引きずり込まれ、戦争のプロパガンダによって騙され、大砲の餌にされ、戦争機械の資金調達のために収奪されている人々なのです。一貫した平和主義は、平和を愛する人々が戦争機械による抑圧から自らを解放し、非暴力で平和への人間の権利、そして普遍的な平和と非暴力の文化の他のすべての価値と成果を支持することを助けます。

非暴力は望ましい結果をもたらすな生き方であり、常にそうあるべきもので、単なる戦術のようなものではありません。たとえば、今私たちは人間だが、明日には獣に襲われるから獣になるべきだと考える人がいるとすれば、それは馬鹿げています……。

●とはいえ、ウクライナの同胞の多くは、武力抵抗を決意しています。それは、彼ら自身の決断の権利であると思いませんか?

戦争への全面的な参加は、メディアが伝えるところですが、それは軍国主義者の希望的観測の反映であり、彼らは自分自身と全世界を欺くためにこのような絵を描くために多くの努力を払っています。実際、最近の評価社会学グループRating sociological groupの世論調査では、回答者の約80%が何らかの形でウクライナの防衛に携わっているが、軍や領土防衛に従事して武装抵抗したのはわずか6%で、ほとんどの人は物質的あるいは情報的に軍を「支持」するだけであることが分かっています。それが本当の意味での支持かどうかは疑問です。最近、ニューヨーク・タイムズ紙は、キエフの若い写真家の話を紹介しました。彼は戦争が近づくと「強烈な愛国主義者になり、オンラインではちょっとしたいじめをする」ようになりましたが、その後、憲法や人権法をきちんと守らずに軍事動員を行うためにほとんどすべての男性が国境警備隊によって強制的にウクライナにとどまることを強制されていることに対して違法行為を犯して国境を越えるために密輸業者に金を払ったことで、友人たちを驚かせたそうです。そして、ロンドンから「暴力は私の武器ではない」と書いていたのです。4月21日のOCHA人道的影響状況報告書によると、510万人が国境を越えたのを含め、約1280万人が戦争から逃れたといいます。

クリプシス[動物生態学の用語で、外敵から身を守るために環境に溶け込んで見つかりにくくすること]は、逃げたり死んだふりと並んで、自然界で見られる最も単純な対捕食者適応・行動様式です。そして、環境平和は、すべての自然現象が真に矛盾しない存在であり、政治的・経済的平和、暴力のない生命のダイナミズムを発展させるための実存的基盤です。ウクライナやロシア、その他のポストソビエト諸国では、西側諸国とは異なり、平和文化が非常に未発達で原始的であり、支配的な軍国主義独裁者が多くの反対意見を残酷に封じ込めるために、平和愛好家の多くがこのような単純な決断に頼っているのです。ですから、プーチンやゼレンスキーの戦争への支持を人々が公然と大衆的に示すとき、それを本物と見なすことはできません。人々が見知らぬ人やジャーナリストや世論調査員と話すとき、そしてプライベートで考えていることを言うときでさえ、それはある種の二重思考で、平和を愛する反対意見は忠誠心のある言葉の層の下に隠される可能性があるのです。第一次世界大戦中、兵士が銃撃戦でわざと失敗したり、塹壕の真ん中で「敵」とクリスマスを祝ったりしているのを見て、司令官は人々が戦争プロパガンダの実存しない敵の話を信じていないことを悟ったのです。

また、私は暴力や戦争を支持する民主的な選択の概念を2つの理由から否定します。第一に、戦争のプロパガンダと「軍事的愛国主義教育」の影響下での誤った知識を持った無教育な選択は、それを尊重できるほど自由な選択ではありません。第二に、私は軍国主義と民主主義が両立するとは思っていない(だからこそ、私にとってウクライナはロシアの犠牲者ではなく、ウクライナとロシアの平和を愛する人々は、ソ連後の軍国主義的温情主義政府の犠牲者なのです)。多数決を強制するための少数派(個人も含む)に対する大多数の暴力が「民主的」だとは思わないのです。真の民主主義とは、公共の問題に関する誠実で批判的な議論への日常的普遍的関与であり、意思決定への普遍的参加です。民主的な意思決定は、多数派に支持され、少数派(一個人を含む)や自然を傷つけないほど慎重であるという意味で合意的でなければならず、反対する人々の黙認を不可能にし、彼らを害し、「人々」から排除するならば、それは民主的決定とはいえないのです。 これらの理由から、私は「正義の戦争を行い、平和主義者を罰するという民主的決定」を受け入れることができません。それは定義上民主的であるはずがなく、誰かがそれを民主的だと思っても、そのような「民主主義」に価値や正義があるのかは疑わしいのです。

●このような最近の動きにもかかわらず、ウクライナには非暴力の長い伝統があることを私は知りました。

これは事実です。ウクライナには平和や非暴力に関する出版物がたくさんありますし、私自身も「ウクライナの平和な歴史」という短編映画を作りましたし、ウクライナや世界の平和の歴史に関する本も書きたいと思っています。しかし、私が心配しているのは、非暴力が変革や進歩のためというよりも、抵抗のために使われることが多いということです。ウクライナでは、非暴力のふりをした反ロシアヘイトキャンペーン(市民運動「Vidsich」)が行われていましたが(現在も行われています)、今では公然と軍国主義に転じ、軍隊を支持するよう呼びかけています。プーチンが「民間人、特に女性や子どもは軍隊の前に人間の盾となる」と悪名高い発言をした2014年のクリミアとドンバスにおける親ロシア派の暴力的権力奪取の際には、非暴力的行動が戦争の道具にされたのです。

●西側の市民社会は、どのようにウクライナの平和主義者を支援できると思いますか?

このような状況で平和の大義をどのように支援するかは、3つの方法があります。まず、私たちは真実を伝えるべきです。平和への暴力的な道はないこと、現在の危機には双方の側に不品行の長い歴史があり、自分たちは天使であり望むことは何でもでき、彼らは悪魔であり、その醜さのために苦しむべきだというような態度を取れば、核の黙示録も排除せずにさらなるエスカレーションを招くでしょう。真実を伝えることは、すべての側にとって冷静さと平和交渉の助けになるはずです。真実と愛が東西を一つにするのです。真実は一般にその矛盾しない性質から人々を団結させますが、嘘は自分自身や常識を矛盾させ、私たちを分裂させ支配しようとします。

平和の大義に貢献する第二の方法:貧しい人々、戦争の犠牲者、難民や避難民、良心的兵役拒否者を支援することです。性別、人種、年齢、あらゆる保護されるべき理由によって差別されることなく、都市部の戦場からすべての民間人を避難させるようにすること。国連機関や、赤十字のような人々を援助する組織、または現場で働くボランティアに寄付すること。小さな慈善団体はたくさんあり、人気のあるプラットフォームでオンラインの地元のソーシャルネットワーキンググループを見つけることができますが、それらのほとんどは武装勢力に協力しているので、彼らの活動をチェックして、武器やさらなる流血とエスカレーションのために寄付していないことを確認するよう注意して下さい。

第三に、最後になりますが、人々には平和教育が必要です。恐怖と憎しみを克服し、非暴力による解決策を受け入れるための希望が必要です。平和文化の未発達、創造的な市民や責任ある有権者ではなく、むしろ従順な徴兵制を生み出す軍国主義教育は、ウクライナ、ロシア、ソ連崩壊後のすべての国に共通する問題です。平和文化の発展や市民としての平和教育への投資なくして、真の平和は達成されません。

●今後の展望をお聞かせください。

タラントのアウグスト・リギ高校のイタリア人学生数人が、戦争のない未来を願う手紙をくれました。それに対して私はこう書きました。「戦争のない未来に対するあなたの希望が好きだし、共感します。戦争のない未来に対するあなたの希望は、私も気に入っているし、共感します。それは、世界中の人々が、何世代にもわたって、計画し、築き上げてきたものなのです。よくある間違いは、言うまでもなく、Win-Winではなくて、Winになろうとすることです。人類の将来の非暴力的な生き方は、暴力を用いない、あるいは暴力を限界まで抑えた社会経済的・生態学的正義の達成と人類の発展に関する平和文化、知識、実践に基づくものであるべきです。平和と非暴力の進歩的な文化は、次第に暴力と戦争の古風な文化に取って代わるでしょう。兵役への良心的拒否は、そのような未来を実現するための方法の一つです。

私は、世界中のすべての人々が権力に真実を告げ、銃撃をやめて対話を始めるよう要求し、必要な人々を助け、平和文化と非暴力的市民としての教育に投資することで、軍隊も国境もないより良い世界を共に築くことができることを望みます。真実と愛が大きな力となり、東洋と西洋を包含する世界です。

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Yurii Sheliazhenko, Ph.D. (Law), LL.M., B. Math, Master of Mediation and Conflict Management, KROK University (Kyiv) の講師兼研究員である。さらに、良心的兵役拒否欧州事務局(ベルギー・ブリュッセル)理事、ワールド・ビヨンド・ウォー(米国・バージニア州シャーロッツビル)理事、ウクライナ平和主義運動事務局長を務める。

インタビューは、オーストリア・クラーゲンフルト大学(AAU)名誉教授で、AAUの平和研究・平和教育センターの創設者で前所長のウェルナー・ウィンターシュタイナーが担当した。

出典:https://wri-irg.org/en/story/2022/ukrainian-pacifists-war-crime-against-humanity

(Common Dreams)ボリス・ジョンソン、ゼレンスキーにロシアとの和平交渉を断念するよう圧力をかけた。(ウクライナ紙報道とともに)

(前書き)以下は、Common Dreamsに掲載された記事の翻訳および、その後ろに、この記事の根拠となっているウクライナのUkrayniska Pravdaの記事の翻訳を掲載しました。ウクライナの戦争は状況の進展のなかでその性格を変化させつつある。侵略者のロシアを徹底的に敗北に追いやろうとする欲望が西側諸国で支配的になってきた5月前後の時期に明らかになった開戦と停戦をめぐるウクライナ政府内部の動向だ。すくなくとも、この記事を信頼するとすれば、2月のロシアによる侵略当初、西側はウクライナの早い時期の降伏を計画し、亡命政権樹立を企図していたことになる。しかし戦況がウクライナに有利になるとみると、今度は、ロシアとの停戦協議を阻止するかの行動を英国がとるようになった。国家の行動を支えているのは国益であり、人々の権利でもなければ平和でもない。国益とは国家権力を握る社会集団の権力基盤の拡大再生産を意味していおり、これにイデオロギー装置が普遍的な価値をめぐる「物語」の衣裳をまとわせることになる。以下の記事がでてから1ヶ月以上たち、現在はロシアが東部で優勢であると報じられている。東部の戦争は2014年以降継続しており、長期化は、結果として人々の生存の権利を奪うことになる。正義の戦争ほど止めることは難しいし、敗北を甘受する理屈も立ちにくい。これが正義を戦争や暴力によって実現しようとするばあいの最大の難問でもある。正義と力の間には何ひとつ相関関係はなく、不正義が勝利することは当たり前のようにして歴史では繰り返さており、戦争が終結してみると、実は正義の側にも不正義が、不正義の側にも幾許かの正義があったりもする、というふうに、「戦後」の時代の価値観から歴史の再評価が行われたりもする。いかなる時代の評価になろうとも、事実として存在するのは、戦争によって犠牲となった人々の存在だ。こうした犠牲を最小化するために、戦争は何の役にもたたない。正義という概念の曖昧さを自覚してあえて言うのだが、目的を達成するための手段は、力の行使によることもありうるという人類の歴史を20〜21世紀の近代国家体制が極限にまで推し進めたことを反省すべきであり、未来の歴史において、正義であれ人権であれ、自由であれ平等であれ、普遍的価値お実現を暴力という手段に委ねることによっては、そもそもの目的それ自体も実現してない、ということを私たちはきちんと証明することに迫られている。(小倉利丸)


ストップ・ザ・ウォー連合は、「英国政府はウクライナの平和を阻害する存在となった。そこでの紛争はロシアとNATOの代理戦争に発展しており、その被害を被るのはウクライナの人々である」と述べた。

JAKE JOHNSON

2022年5月6日
ウクライナのニュースメディアUkrayinska Pravdaは木曜日、英国のボリス・ジョンソン首相が先月キエフを突然訪問した際、戦争終結のための和解に向けたウクライナとロシアのわずかな進展が見られた後でも、ロシアとの平和交渉を打ち切るようヴォロディミル・ゼレンスキー大統領に圧力をかけた、と報じた。

プラウダは、ゼレンスキー大統領の「側近」と顧問チームの匿名の情報源を引用して、「ジョンソンはキエフに2つの分かりやすいメッセージを持ってきた」と報じた。

「第一は、プーチンは戦争犯罪者であり、交渉ではなく、圧力をかけるべきだということ。そして第二に、たとえウクライナがプーチンと保証に関する何らかの協定を結ぶ用意があるとしても、彼らはそうではない。我々はあなた方(ウクライナ)とは(協定を)結べるが、彼とは結べない。いずれにせよ、彼は皆をねじ伏せるだろう」ゼレンスキーの側近の一人は、ジョンソンの訪問の本質をこう総括した…。

ジョンソンの立場は、2月当時、ゼレンスキーに降伏して国外脱出することを示唆した西側諸国が、今では以前想像していたほどプーチンが強力ではないと感じている、というものであった。

しかも、彼に「圧力をかける」チャンスはある。そして、西側はそれを利用したいと考えている。

ジョンソン首相は外遊中の公式発言で、英国は米国やドイツなど西側諸国と並んで、「この悲劇を終わらせ、ウクライナが自由な主権国家として存続・繁栄するために軍事・経済支援を強化し、世界規模の同盟を呼びかける」ことを誓った。

「私は今日、英国がこの進行中の戦いで揺るぎない立場で彼らと共ににあることを明らかにした。我々は長い目で見ている」と、英国の右翼指導者は語った。

4月9日のジョンソン訪問の前に、ベラルーシとトルコで開かれたハイレベル外交協議は外交的突破口を開くことができなかった。しかし3月中旬、ロシアとウクライナの代表団が、モスクワ軍の撤退と引き換えにウクライナがNATO加盟を断念する15項目の平和協定に向けて「大きな前進を見せた」との報告がなされたのだが。

しかし、ロシアが壊滅的かつ違法な攻撃を続ける中、協議はその後行き詰った。

4月12日、ロシアのプーチン大統領は、和平交渉は「暗礁に乗り上げた」と宣言した。そして、ゼレンスキーは3月下旬にプーチンと直接会談することを要求したが、ウクライナ大統領の顧問の一人は先月のラジオインタビューで、「今はまだ両大統領の交渉の時ではない」と述べた。

Mykhailo Podoliakは、「もう少し後になれば、おそらく(実現するだろう)。しかし、この交渉におけるウクライナの立場は、非常に強いものであってほしい」と述べた

ジョンソン首相もまた、紛争がすぐに外交的に解決されるとの見通しを公に否定している。ジョンソン首相は4月20日、記者団に対し、プーチン大統領との交渉は「足を顎でつかまれたワニを相手にするようなものだ」と述べた

ジョンソン首相は、「彼の誠実さの欠如が明らかな今、ウクライナ人がプーチンと交渉できるかは非常に難しい」と述べた。「彼の戦略は、明らかに、ウクライナを出来るだけ飲み込み、取り込もうとするもので、おそらく、強者の立場から何らかの交渉を可能にしようとするものだろう。」と述べた

和平交渉の停止を求めるジョンソンの報道に対して、ゼレンスキー自身がどう反応したかは不明だ。英国首相がキエフに到着した同日、ゼレンスキーはAP通信のインタビューに応じ、「この国を拷問した人物や人々とは誰も交渉したがらない」と語った。

「これは、すべて理解できる。そして、男として、父親として、私はこれを非常によく理解している」と続けた。

しかし、ゼレンスキーは、「もし機会があれば、外交的解決のための機会を失いたくない」とも付け加えた。

金曜日、ゼレンスキーはイギリスのシンクタンク、チャタムハウスでのバーチャル講演で、ロシアとの平和的解決に向けた「すべての橋が破壊されたわけではない」と述べた

プラウダの報道は、ジョンソンや他の西側指導者の公的な発言とともに、グローバルな大国が、何千人もの民間人を殺し、世界的な影響を及ぼす人道的危機を引き起こしたロシアの戦争に対する外交的解決の可能性を積極的に潰しているという長年の懸念を高めた。

英国を拠点とするストップ・ザ・ウォー連合the War Coalitionの呼びかけ人であるリンゼー・ジャーマンは、金曜日の声明で「英国政府は、大量の武器輸送と扇動的なレトリックによって戦争の継続を助長し、ウクライナの平和を阻害する存在となった」と述べた。「この紛争は、ロシアとNATOの代理戦争に発展しており、その結果を被るのはウクライナの人々である」。

「私たちは、計り知れない結果をもたらす紛争のエスカレートのリスクを軽減すること、即時停戦と交渉による解決を求めるキャンペーンを行っています」とジャーマンは述べている。

ロシアの侵攻は3カ月目に入り、モスクワはウクライナ東部に攻撃を集中させ、西側の兵器で重武装したウクライナ軍はロシア軍を主要都市から追い出そうとしている。

「ウクライナ軍兵士は金曜日、ウクライナ北東部のロシア軍に対して攻勢に出た。東部の領土を支配するための過酷な戦いは、どちらも大きな突破口を開くことができないまま、ますます残忍な消耗戦になっている」「ウクライナでは、西側同盟国から提供されたより高性能な武器と長距離砲が前線に流れ込み、ウクライナがより攻撃的な行動を取れるようになったため、国の一部において攻勢に転じたと主張した」と、ニューヨークタイムズは報じている

先週、Common Dreamsが報じたように、米国防総省のロイド・オースティン長官は、バイデン政権がウクライナ軍を武装化する目的は、「ロシアがウクライナに侵攻できない程度まで弱体化することを確認することだ」と述べた。

外交政策アナリストや平和運動家は、オースティンの発言は、米国がロシアとの長期的な代理戦争にコミットしており、核武装した2つの大国が直接対決する危険性があることを示す厄介なものだと受け止めている

政策研究所の新国際主義プロジェクトのディレクターであるフィリス・ベニスは、金曜日にCommon Dreamsに電子メールで「米国の行動は、ワシントンの優先順位が、ウクライナ人を守ることではなく、ロシアを弱めることであることを明確にしている」と語った。

タイムズ紙は水曜日に、匿名のアメリカ政府関係者を引用して、数十億ドル相当の最新兵器に加えて、バイデン政権はウクライナに 「ロシア将兵の多くをターゲットにして殺害可能にするロシア部隊に関する情報を提供し、その将兵たちがウクライナ戦争で戦死した」と報じた

国防総省はこの報道を否定したが、ジョン・カービー報道官は、米軍がウクライナにある程度の情報を提供しており、今後も提供し続けることを認めた。

クインシー責任ある国家戦略研究所the Quincy Institute for Responsible Statecraftのロシアとヨーロッパ問題上級研究員のアナトール・リーベンは、木曜日のコラムで、「ロシアの将軍に関する情報をウクライナに与えることは、危険な賭けである」と警告している。

「バイデン政権と米国のエスタブリッシュメントは、たった一つの質問を自問自答する必要がある。もし立場が逆だったら、第三国が意図的に米軍司令官の殺害を手助けすることに、米国はどう反応するだろうか?」と、リーベンは書いている。「バイデン政権は、米国の戦略はウクライナ防衛を支援することであり、ロシアに完全な敗北を押し付け、これを利用してロシア国家を弱体化させたり破壊したりすることではない、とロシアに保証するために直ちに行動しなければならない。」「最初のステップは、ワシントンが、クリミアとドンバスの地位の問題の外交的解決を支持し、ロシアがウクライナでの攻勢を止め、停戦に同意するなら、米国はその停戦を尊重することを公に宣言することだ」とリーベンは主張した。

この記事は、政策研究所のフィリス・ベニスのコメントを追加して更新された。

出典:https://www.commondreams.org/news/2022/05/06/boris-johnson-pressured-zelenskyy-ditch-peace-talks-russia-ukrainian-paper


ゼレンスキーの「降伏」からプーチンの降伏へ:ロシアとの交渉はどうなっているのか

ロマン・ロマニューク – 2022年5月5日(木) 09:30
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ロシアとの和平交渉は、ウクライナが70日間の全面戦争を経て、絶望から自らの強さと真の同盟者たちの輪を実感するまでの物語である。

「もし戦争が始まった日に、今のような和平協定にサインすることが許されていたら、我々は迷うことなくサインしていただろう。しかし、今やこの協定は我々にとって妥協に過ぎると思われる」と、ゼレンスキー大統領の側近がウクライナ・プラウダとの会話でオフレコで語っている。

一般的に言って、攻撃開始早々、ウクライナはある種の戦術的降伏を覚悟していたが、ロシアの将来の敗北を示す最初の試みに道を譲ったのである。

そのようなシナリオを公に認めることは、今のゼレンスキー陣営にとってあまりにも勇気のいることであることは明らかである。しかし、大統領府の閣内では、このような経過がもはや空想としてではなく、現実のものとして語られているのである。より正確に言えば、ウクライナが現実化できることである。

ゼレンスキーがそう信じる背景には、世界政治における2つの大きな変化がある。

第一に、ウラジーミル・プーチンとその軍隊の「力」の神話が、イルピンやルビズネの郊外で徐々に潰されつつあること。

第二に、西側の孤立主義とウクライナを本当に助けようとしない姿勢は、ついにブチャボロディアンカ、マリウポルの集団墓地に葬り去られた。

ウクライナ・プラウダは、この2つの変化がロシアとの和平交渉の行方にどのように影響しているのか、誰が誰と話しているのか、ボリス・ジョンソンの緊急訪問がどのように流れを変えたのかを調べてみた。

降伏までの72時間

ウラジーミル・プーチンは72時間以内にウクライナを攻略しなければならなかった。ウクライナの選択肢はただ一つ、降伏することだった。

この2つのシンプルな文章は、ロシアとウクライナの戦争と、それによる和平交渉の出発点を要約することができる。

このシナリオをキエフとゼレンスキーに報告したのは、クレムリンではなく西側のパートナーであることを、その信憑性を疑う人たちのために明らかにしておく必要がある。

「つまり、本格的な戦争が始まる前に、ゼレンスキーはウクライナを離れて亡命政権を樹立するという最初の申し出を受けたということだ。この申し出は、ミュンヘン会議中に大統領に誠実に行われたものです。そして彼らは、ウクライナに帰らない方が(ゼレンスキーにとって)良いと言いました」と、ミュンヘンでの代表団の一人がウクライナ・プラウダに内密に語っている。

ゼレンスキーは、ワルシャワかロンドンか、あるいは他の場所を「居住地」として選ぶように言われた。 パートナーたち全員が驚いたことに、大統領はウクライナに帰国した。

このときゼレンスキーは、「今朝はウクライナで朝食をとったし、夕食もウクライナでとる」と発言し、西側を批判する有名な演説と同様に、会議の聴衆に衝撃を与えた。

パートナーたちの立場は理解できる。彼らはプーチンの準備について知っていたし、彼の軍隊の計画についても知っていたし、ウクライナ各地に集まった120の攻撃大隊-戦術グループのさまざまなレベルの司令官たちに、参謀用の封筒でどんな任務が送られるかも知っていたのだ。そして、ウクライナに勝ち目がないことを「知っていた」のである。

「当初、私たちはロシア連邦の正確な計画を知りませんでした。しかし、キエフ近郊で死んだロシア軍司令官の参謀文書を押収したとき、すべてを理解しました。そこには、特定のグループがいつ、どこにいるべきか、精鋭の落下傘部隊が72時間以内にキエフの官庁街を制圧しなければならないこと、などがすべて記されていたのです。その72時間というのは、すべてのパートナーから聞いていたのと同じ時間です」 ゼレンスキーの「セキュリティ担当」トップの一人が、ウクライナ・プラウダとのインタビューでそう説明している。

1日が過ぎ、2日目が過ぎ、3日目が過ぎたが、キエフはまだ生きていた。首都周辺の森は、焼けたロシア軍の装甲と兵士の死体で埋め尽くされていたーそしてキエフはまだ生きていた。ホストメルやワシルキフの飛行場は火の海、ロシアのヘリコプターが飛んできては落ち、それでもキエフは耐えていた。

「3日目には、自分たちは生き残れるということを実感しました。私たちには力があるのだと。3日目になって、初めてシェルターから出ることができました」と、大統領府の代表者は言う。

そして3日目直後の2月27日朝、ロシアとウクライナは交渉開始を発表した。

фото: ツイッター Михайла Подоляка

“イスタンブール和平”

プーチンの計画の第一段階は失敗し、「世界第二の軍隊」による電撃戦は失敗に終わった。しかしロシア大統領は、会談中にウクライナを降伏させるに十分な力があるとまだ信じていた。

ウクライナ交渉団のリーダー、ダヴィド・アラカミア氏がインタビューで語ったように、ゼレンスキーの最初の任務は、ロシア側にウクライナが交渉の用意があるとの印象を与えることだった。

「成功すれば、ロシアの代表団が帰国して、この人たち(ウクライナ代表団のメンバー-UP)と話し合うことが可能で、何らかの検討が可能であると大統領に報告する感じになるように、任務を設定した」とアラカミアは述べた。

しかし、ロシア側は、第1回目の会談に、話し合うためではなく、ウクライナの降伏を正式に決定するためにやってきた。

「長い話を短くすると、その合意の本質は、我々(ウクライナ)はただあきらめるということ、このことをデビッド(アラカミア)がそれをどこか念頭に置いていた。そして、更にその上に、脱ナチ化とその他の(ロシア側の)要求もある」と、代表団の一人は言った。

代表団には、このような要求に応じる力も権限もなかったことは明らかだ。特に、大統領から与えられた指示はまったく違うものだったのだから。

「我々の代表団は、ロシアは2月23日時点の国境線に戻ること、つまり新たな占領や軍隊の撤収などを明確にした指示を受けて、2月28日の最初の会議に臨んだ」と、交渉準備に関わったゼレンスキー・チームの主要メンバーの1人は言う。

しかし、アラカミアたち(代表団)は大統領の主要任務を果たした。ウラジーミル・メディンスキー(プーチンの首席交渉官)とのコンタクトが確立し、現在も続いていると言わざるを得ないのである。

この公式の交渉ルートだけがロシアとの平和条約締結のために機能しているわけではないのだが。キエフとモスクワの交渉に──水面下で──参加しているもう1人の人物が、ロシアの大富豪ロマン・アブラモビッチだ。

「ロマンはアラカミアとも接触している。彼の利点は、プーチンに直接アクセスできる唯一の人物であることだろう。彼(プーチン)はどこにいようと、直接会っている。すべての(ロシアの)公式代表団は、自分たちのボスをテレビで見るだけだ。メディンスキーはプーチンと話すことができる──ただし、電話でだけだが」と、キエフのバンコヴァ(大統領府がある通り)の交渉に詳しいウクライナ・プラウダの情報筋は言う。

メディンスキーのプーチンへの接近度について、元Dozhdのジャーナリストたちによって設立されたロシアの調査報道誌『Proekt』が興味深い話を伝えている[Dozhd、別名「TV Rain」は、ロシアの独立テレビチャンネルで、2022年3月1日にロシア政府によって閉鎖された]。Proektによると、イスタンブール協定に関する有名な演説の後、政府の公式の目的に固執したことでメディンスキーが公式のプロパガンダによってボロボロになり始めたとき、彼はプーチンに電話をかけようとしたという。しかし、丸一日、電話はつながらなかった。

ところで、イスタンブールについて。これが今日のロシア・ウクライナ会談の重要なポイントだ。

イスタンブール会談後にメディンスキーが提起した合意事項のポイントは、実際に事実である。

「我々は “脱ナチ化”、”脱軍事化”、ロシア語などのくだらないものをすべて一掃した。我々はそこで、ウクライナが厳格で明確な安全保障と引き換えにNATOに加盟する用意がないことを指摘した。協定の枠組みは準備された。

しかし、その後、代表団はただ先に進むことができなかった。クリミアとドンバスの問題は、領土的な地位の問題です。ここでは誰もこの問題について話す権限さえありません。大統領たちが会って、どこに向かうかを決めればいい。首脳同士の会談が必要だ」とバンコバの情報筋の一人が語っている。

この会談はほぼ準備されていた。キエフ近郊と北部で非常に大きな損失を出し、チェルニヒフとハルキフの包囲に何ヶ月も失敗し、西側の厳しい制裁を受けたロシアは、ウクライナとの協定をどうしても必要としているのだ。

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相が、「ロシアの求めていることは正当であり、制裁解除のためにウクライナと交渉している」と、ロシアの要求が成立するように取り繕っているのには理由がある。彼らにとって、これは極めて重要な問題なのだ。

欧米はドイツのオラフ・ショルツ首相を通じて、ウクライナとの合意がない限り、誰もロシアへの制裁を解除しない、と明確な答えを出した。

“ボリス・ジョンソン”、さもなくばプーチンに “プレッシャー”

ロシア側は、誰が何と言おうと、シグナルを読むことができ、実はゼレンスキー・プーチン会談の準備はできていた。

しかし、2つのことが起こった。その後、ウクライナ代表団のメンバーであるミハイロ・ポドリアクが、今は大統領会談の「時ではない」と公然と認めざるを得なくなったのである。

まず、ロシア軍が一時的に占領したウクライナ領で行った残虐行為、レイプ、殺人、虐殺、略奪、無差別爆撃、その他何百、何千もの戦争犯罪が明らかになったことである…。

ブチャイルピンボロディアンカアゾフスタルについてプーチンと話すことができないとしたら、我々はいかにして、何について話すことができるだろうか。

プーチンと世界の人々の間のモラルのギャップ、価値観のギャップはあまりにも大きく、クレムリンでさえ、それをカバーできるほど長い交渉のテーブルを持ち合わせていない。

ロシアとの合意に対する第2の──もっと予想外の──「障害」が、4月9日にキエフで発生した。

イスタンブールの結果を受けて、ウクライナの交渉担当者とアブラモビッチ/メディンスキーが、将来可能な協定の構成について一般論として合意するとすぐに、英国のボリス・ジョンソン首相がほとんど予告なしにキエフに姿を現したのである。

「ジョンソン氏はキエフに2つのシンプルなメッセージを持ち込んだ。1つは、プーチンは戦争犯罪者であり、交渉ではなく、圧力をかけるべきだということ。そして2つ目は、たとえウクライナがプーチンと保証に関する何らかの協定に署名する用意があるとしても、それは無理だということだ。あなた方(ウクライナ)とは(協定に)署名してもいいが、彼とはできない。いずれにせよ、彼は皆をねじ伏せるだろう」、ゼレンスキーの側近の一人は、ジョンソン訪問の本質をこう総括した。

この訪問とジョンソンの言葉の裏には、ロシアとの協定に関わりたくないという単純な理由だけでは済まされないものがある。

ジョンソンの立場は、2月当時、ゼレンスキーに降伏して逃亡することを示唆していた西側諸国集団が、今ではプーチンが以前想像していたほど実際には強力ではないと感じている、というものだった。

Фото Лєри Полянськовоїна

しかも、彼を「押さえる」チャンスはある。そして、西側はそれを利用したいのだ。

ジョンソンは、今Vasylkiv roosterの幸せな所有者は、霧のアルビオンに戻って飛んで後3日後、プーチンはウクライナとの会談 “は暗礁に乗り上げていた “と公に述べた。

「我々はイスタンブールで一定の合意に達し、ウクライナの安全保障はクリミア、セヴァストポリ、ドンバスの領域には及ばないというものだった……。今、安全保障は一つのことであり、クリミア、セヴァストポリ、ドンバスとの関係を調整する問題は、これらの合意から排除されようとしている」とプーチンは述べている

その3日後、ローマン・アブラモビッチが再びキエフに到着し、ゼレンスキー大統領は、ロシアとの安全保障協定は2つあり得ると公式に述べた。1つはウクライナ自身のロシアとの共存を調整するもの、もう1つは安全の保証だけを対象とするものである。

「モスクワは、すべての問題を解決する単一の協定を希望している。しかし、誰もがロシアと同じテーブルに着くとは限らない。彼らにとっては、ウクライナの安全保障は1つの問題であり、ロシアとの協定は別の問題である。

ロシアはすべてを1つの文書にすることを望んでおり、人々は『申し訳ない、ブチャで起きたことを目の当たりにし、状況は変化している』と言っている」と、ゼレンスキーはジョンソンのプーチンへのメッセージを伝えている。

その後、二国間交渉は一旦保留となった。

今後どのように協力していくか、安全保障の保証人となりうる者をすべて交渉に参加させるにはどうすればいいか、誰を参加させるか、などを決めなければならなかった。

そして最も重要なことは、ウクライナは、ロシアとの対決において西側諸国がウクライナに寄り添う用意がどれほどあるのか、という宿命的な質問に対する答えを自ら理解しなければならなかったことである。

ウクライナは結局、欺かれ、破壊され、怒れるクレムリンと対面することにならないか。

21世紀のヨーロッパの交渉、戦争、歴史の行方も、この質問の答えにかかっている。

そして、このような複雑な質問に対する答えは、Ukrainska Pravdaで間もなく掲載されるであろう別の記事を読んでいただく価値があります。

ロマン・ロマニュク、UP
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ロシアの反戦運動(5月9日)

以下は、ロシアのフェミニスト反戦レジスタンスのTelegramチャンネルからいくつかの写真などをピックアップしました。最後にビデオ作品がひとつ掲載されています。ロシアで反戦運動の主要な担い手となっている女性たちへのインタビューです。ロシア語ですが、Youtubeなので、翻訳機能が使えます。ある程度のことは把握できると思います。ここでは取り上げていませんが、反政府・反戦運動への弾圧が厳しくなるなかで、活動家たちは19世紀帝政ロシア末期のナロードニキの運動を想起するようになってもいるようです。実際に、軍の兵士募集の施設の放火や政府施設への攻撃が起きており、これがニュースになっているという記事もありますが未確認です。以下で紹介した写真の冒頭に新聞の発行を知らせる記事があります。デジタルの時代にあえて紙媒体の新聞を発行する理由は、高齢者やネットへのアクセスを得意としない人達がもっぱら主流のメディアや政府のプロパガンダにのみ依存して判断している状況を変えるために、紙媒体での発信が必要と考えたとのこと。内容も固いものばかりでなく、工夫をこらしています。以下の紹介では実際の新聞が読めませんが、ここからダウンロードして読むことができます。大規模な抗議行動がほぼ不可能になっているなかで、抗議はより分散的になっています。しかし、こうした運動を繋いでいるのがTelegramのようにいくつかのSNSやネットによる発信です。こうした発信が当局によって弾圧されかねないことは誰にでもわかることです。弾圧を回避し、抵抗の行動を多くの人達が共有して運動を拡げる上で、メディアへの弾圧は非常に危惧されます。

このビデオでは、フェミニストの反戦レジスタンスの女性メンバー7人が取り上げられている。ある者はロシアにいるため顔も名前も伏せられ、ある者はロシアを去らざるを得なかったが、彼らはあらゆるレベルで戦争と好戦感情と闘い続けている。
ロシアでは女性の反戦組織が急成長しており、その数は数千にのぼる。

戦争パレードの代わりに平和のプロテストを。MEMORIAL が仮想の赤の広場でデジタル・プロテストを開始

ロシアの人権団体で、現在は解散を命じられている「メモリアル」がドイツから以下のような呼びかけを行なっている。実空間でのデモが難しいならバーチャルで、ということで赤の広場に世界中から100万人を集めたいと呼び掛けている。以下は、ドイツの「メモリアル」のサイトからの呼びかけ。明日が9日、まだ5万人そこそこしか集まっていないが、むしろ5万人も集まっているというべきかもしれない。(小倉利丸)


以下、メモリアル・ドイツのサイトの呼びかけです。

ベルリン/モスクワ、2022年5月4日 – ロシアでは、ウラジーミル・プーチンが5月9日に軍事パレードを計画しているが、ウクライナでの侵略戦争に対する抗議は厳しく禁止されている。平和的なデモを行おうとする者は、厳しい処罰を受けることが予想される。人権団体MEMORIAL(元々はロシアで設立され、現在はロシアで迫害されている)は、人々がとにかく抗議することを可能にする型破りな取り組みで対応している。ウェブサイト「redsquareprotest.org」は、ロシアや世界中の人々に、史上初の仮想赤の広場を訪れ、デジタルデモに参加するよう呼びかけている。

“私たちの赤の広場へ来てください!” – 100万人のデジタル・デモ参加者を目標に

参加者は、ワンクリックで自分のアバターを作成し、デジタル化された赤の広場を歩き、増え続けるデモ参加者に加わることができます。プーチンとその政権に阻止されることなく、デジタル化されたモスクワの中心であるこの場所に少なくとも100万人を集めることが目標です。

「ロシアでは、多くの人々が迫害を恐れて抗議行動を起こすことを躊躇しています」と、MEMORIAL InternationalとMEMORIAL Germany理事会メンバーのAnke Giesen博士は説明します。だから私たちは、このデジタルな代替手段を作り、「私たちの赤の広場に来て、クレムリンのプロパガンダショーに反対する意思表示をしてください」と呼びかけているのです」。

最初の2人のデモ参加者。MEMORIALの共同設立者であるSvetlana GannushkinaとIrina Sherbakova。

キャンペーンを開始するために、MEMORIALの2人の著名な顔ぶれが赤の広場にアバターを設置しました。イリーナ・シェルバコワとスベトラーナ・ガヌシキナは、その献身的な活動により、ドイツの連邦功労十字章やノーベル平和賞の代わりとなる賞など、多くの賞を受賞しています。彼らのデジタル版は、抗議の署名を掲げ、デジタル・デモに参加するよう世界中に呼びかけています。

1968年、赤の広場は、ロシアのチェコスロバキア侵攻に対する抗議デモの舞台となった場所です。「危険な状況にもかかわらず、私たちのメンバーの多くはモスクワの中心部で何度もデモを行ってきました」とシェルバコワは言います。「逮捕され、起訴され、高い罰金を払わされた者もいれば、亡命せざるを得なくなった者もいる。ロシアでは表現の自由が事実上不可能になっており、このキャンペーンがそのことにも注意を喚起することを期待しています」。

一方、80歳のSvetlana Gannushkinaは、まだモスクワに住んでいます。今年、彼女は赤の広場の抗議行動に参加しようとして、すでに何度も逮捕されています。

亡命中のMEMORIALの労働と仕事を支援するための寄付を募集中

ロシアにあるMEMORIALの本社の存在そのものが、今、脅かされています。この人権団体は現在、強制的に解散させられている。昨年末、ロシアの最高裁判所は、地域支部を含むこの国際的な統括組織を禁止する方向に動いたのです。ロシア国外での活動を継続するために、ベルリンにメモリアル・ドキュメンテーション・センターを設立することが計画されています。今回のキャンペーンでは、ウェブサイトに寄付のためのオプションが組み込まれました。
メモリアル – 「オルタナティブ・ノーベル賞」受賞者

メモリアル・インターナショナルは、ロシア国内の80以上の地域に分散した人権団体を擁しています。ソビエトの労働収容所システムの生存者の人権と社会的支援のために立ち上がりながら、政治的暴虐を調査することに専心しています。1989年1月の設立以来、この組織はそのコミットメントを評価され、多くの賞を受賞しています。2004年には「もうひとつのノーベル賞」とも呼ばれる「ライト・ライブリフッド賞」を受賞しています。

キャンペーン推進のため、アンケ・ギーセン博士とイリーナ・シェルバコワは、さらなる背景情報の提供やインタビューに応じる予定です。

プロモーション用ウェブサイト(下記のサイトは閉鎖されているようです。下の「参加方法」にあるURLにアクセスしてください:訳者)

www.redsquare.org

出典:https://www.memorial.de/index.php/8022-friedensprotest-statt-militaerparade-memorial-ruft-zur-digitalen-demonstration-auf-dem-virtuellen-roten-platz-auf


参加方法

参加方法は難しくない。下記にアクセスする。*英語版

https://www.redsquareprotest.org/en/

英文のメッセージが表示される。

画像には「赤の広場の抗議へようこそ。
メモリアルインターナショナルは、ロシア最大の人権団体です。. 元々はモスクワに拠点を置いていましたが、メモリアルインターナショナルはロシアでは許可されていません。」と書かれている。「NEXT」をクリックする。
英文の意味 「ロシア政府は、憲法に違反して、言論の自由の表明を抑えつけています。. 侵略に対するいかなる抗議も罰せられる犯罪になります。. そのため、私たちは赤の広場をデジタルで再現し、ウクライナでのロシアの侵略戦争とロシアでの言論の自由の抑圧に対する平和で安全な抗議に皆さんを招待しました。.
注:ロシアから来た場合は、ここで潜在にありうる問題について知ってください。」

上記のアナウンスの下にある「Enter」で赤の広場に入場できるが、ロシア国内からの参加者向けに下記の注意がある。

参加者の皆様へ
ロシアのウクライナ侵略戦争への抗議に参加していただき、ありがとうございます。
この赤の広場プロテストでは、抑圧的な警察の暴力を心配する必要はありません。
ここでは、あなたは匿名です。メールアドレスや住所、電話番号、名前などを聞くことはありません。物理的に抗議行動に参加するのに比べれば、私たちの赤の広場抗議行動は安全な空間です。

ロシア政府は組織的に言論の自由を抑圧しており、憲法(第29条)にも違反しています。

クレムリンの侵略戦争に反対する声を上げる人々にとって、その結果は深刻なものです。2022年3月4日以降、ロシア政府による侵略の終結を求めるデモ参加者は、3年から15年の実刑判決のリスクを負っています。

この機会に、ウクライナへの残虐な侵略とロシアでの人権侵害に抗議しましょう。

ロシアから参加する場合、あなたの国では犯罪行為となる可能性がありますので、注意してください。参加は匿名で、追跡はほとんど不可能ですが、この点についてはいかなる保証もできません。

立ち上がり、声を上げていただき、ありがとうございます。

勇気を持って、前向きでいてください🏳️🌈。

メモリアル・インターナショナル

参加すると下記のような表示になる。

(Telegram)ロシア国内の反戦アクション(その2)

前回投稿以降にフェミニスト反戦レジスタンスのTelegramに投稿された様々な異議申し立ての取り組みを紹介します。

参加者が手作りしたメーデーステッカーの一例。
“美しいデザインのシールは長持ちする “ということに着目し、メーデー “コレクション “を用意したのです。私たちは、ソ連のスローガンである『平和』で勝負しようとしているのです。労働 PEACEを強調した “May”。また、働く人々が税金から戦争費用を負担することで、私たちがより貧しくなり、仕事の価値や意義が低下するようなことがあってはならない、ということも強調しようとしています。ピーター”
ロシアのニジニ・ターギル出身のアーティスト、アリサ・ゴルシェニナが、「平和」という言葉をロシア国内のさまざまな言語で綴るパフォーマンスを披露しました。
写真:Alisa Gorshenina (https://www.instagram.com/p/CdBFU6vrLPA/)


ロシア反戦メーデーの行動を紹介:仕事を放り出して鳩に餌をやる

以下、フェミニスト反戦レジスタンスのTelegramから5月1日の行動報告のごく一部を紹介します。

ロシアの反政府運動はかなりシビアだなと思います。集団での組織的な行動ができないので、それぞれが自発的に何か別の非政治的な振舞いを演じつつ、実際には戦争反対をアピールする。目立たないと意味ないが、警察が来るような目立ちかたにならすに、というあたりの匙加減がありそうですが、それでも、みながんばっていると思います。鳩の餌やりの写真をみると一見のどかそうですが、逮捕された場合の準備などの告知が何度も出ています。以下にあるように何人か拘束された人達もいます。これらは行動のごく一部です。


(参加にあたっての注意)

  1. 12:00から16:00まで、あなたの街の平和をテーマにした通りや広場、名前に「平和」と入っている通りに行ってみてください。
  2. パスポートを忘れずに。また、その他のシンボルにも気をつけましょう(旗やポスターは注意を引くことがあることを忘れずに)。
  3. ハトの餌には、パールミレット、小麦、大麦、レンズ豆、キビ、エンドウ豆などの穀物を乾燥した状態で選んでください。
  4. 一緒にハトに餌をやりに来た人とは自由に会話をすることができますが、念のため注意事項(個人情報をすぐに教えない、過去や現在の抗議活動の経験を話さない、SNSのアドレスや電話番号は教えず、テレグラム/エレメント/シグナルのニックネームのみ教える)を確認してください。
  5. 餌やりの時間は自由ですが、その過程自体が、同じ町の気の合う仲間と出会う機会であることを忘れないでください。もし一度に誰とも会えなくても、急いで帰る必要はありません。
  6. ハッシュタグ「#anti-war_firstMay」をつけて、テキストレポート、散歩の写真、広場や通りでハトに餌をやっている写真など、レポートを送ってください。顔なし写真で送るのがベストです。
  7. この行動が警察の目に留まらないことを願っています。実際、法律に違反しているわけではないのですが、事前に安全対策をしておいた方がいいでしょう。情報セキュリティ(携帯電話のアクティビストチャット)、物理的なセキュリティも忘れずに。可能なら弁護士を立てるか、人権団体の連絡先をすべて保管しておくことです。

以下のいくつかの写真はTelegramから転載しました。撮影者は同じ人ではありませんし、すべての写真を転載しているわけではなく、いくつかピックアップしました。

今日、キーロフでは、いくつかの広場で反戦行動が行われた(https://activatica.org/content/9d781407-8841-4a81-9bff-cb2dfe084633/v-kirove-1-maya-proshla-antivoennaya-akciya)。フェミニスト反戦抵抗の行動に参加したキーロフの女性たちは、平和を求めるアスファルトに「平和を!」「ロシアに自由を!」「戦争に反対!」そして国際平和の象徴であるハトに餌を与えた。この行動に対する市民の反応は上々であった。会場には警察はおらず、3人の活動家が参加した。
サンクトペテルブルクで、Novaya GazetaのジャーナリストElena LukyanovaとAlexei Dushutinが、アーティストのElena Osipovaの反戦ピケを撮影した際に拘束されたとSotaが報じた。

以下、メーデー行動としてTelegramに投稿されたものをいくつか紹介します。


チュメン、モスクワ、エカテリンブルク、ドゥブナ、チェボクサリ、クラスノヤルスク、スルグト、ノボシビルスク、キーロフ、サンクトペテルブルク、ロストフオンドン、ボスクレセンスク、イジェフスク、ヤロスラブリ、ゼレノグラド-ロシアの多くの都市で活動家が今日他の仕事を投げ出し、路上で平和の鳥に餌付けをしていました。ウォーキングと同時に、参加者は反戦ステッカーを貼り、通行人に話しかけ、中には他の活動家と出会い、互いに知り合うことができた人もいました。キャンペーンは継続中で、写真や感想を共有しています。

🕊️「鳩に餌をやるのは、とても機転が利くことがわかった。返事を待たずに良いことをするのは、こんなに気持ちの良いことなのかと、もう忘れていました。
スルグット”

🕊️”人々は何が起こっているのかにかなり注意を払っていた、何人かの女性は長い間私を見ていた、私にはそれが承認されているように思えた。私はリュックに反戦ステッカーと赤旗を貼っていたのですが、それも注目されました。他の活動家の方にもお会いしたのですが、とても感じがよくて、思わず笑顔になってしまい、近寄っていって言葉を交わしました。

🕊️「エカテリンブルグで平和の鳥に餌をあげています。サイレンが鳴り響く中、数台の車が通り過ぎた時は本当に怖かったですが、幸いにも私の後を追うことはありませんでした。”

🕊️「Novosibirsk, Mira Street.
2時間ほどぶらぶらと歩き、公園に立ち寄りました。誰にも会えなかったけど、とにかく行ってよかった」。

🕊️「こんにちは。電話でチェボクサリー。一人で外出。ずっと一カ所にいるのは落ち着かないので、ミラアベニューを散歩してみた。人混みには鳩はおらず、ほとんどが庭にいた。でも、このアクションと自作ステッカーを組み合わせることにしました。道の両側を歩き、メインの歩行者天国や中庭で貼っていきました。うまくいったようです。ステッカーのアイデアをくれた彼女たちと、それを企画してくれたあなたに感謝します。

🕊️「これが私の最初の行動です)その前は、親戚や友人と戦争について話していました、なぜなら話さなければならないからです、声を出さなければならないからです。私の親戚の中で、この狂気の沙汰を支持しているのはたった一人、私の友人の中でも支持している人はいませんし、職場でも誰も戦争を支持していません。そう、残念ながらこういう人たちは反戦行動には出てこないんです。”私でなければ誰が?”と自問自答しました。

私の町では確かに抵抗運動があることは分かっている(町中に緑のリボンやステッカーがぶら下がっている)。

お疲れ様でした。一緒にこの狂気を止めよう”

🕊️「エカテリンブルグ」。ピースクリニックの外でハトを餌付け)交番の近くにあるゴミ箱から誘い出したのですが…。そして、コーヒーを買い、文字が書かれた紙幣で支払った。今日は休んで、他に何ができるか考えよう。”仕事はしない”。

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🕊️「こんにちは!今日、母と私はミティシチのミラ通りの文化センター横の石碑の近くと劇場近くの噴水の近く(通り自体からは少し離れていますが、そこで鳩を見つけました)で鳩に餌をあげていました。最も注目すべきは、同じ志を持つ家族に出会えたことだ。なんということだろう、彼らの美しく、優しい顔。親愛なる同胞の皆さん、もしこれを読んでいるならば、私はあなたに敬意を表します。そして、私たちみんなに平和を! 🕊”

🕊️「モスクワ、マリーノ。建築・公園国際プロジェクト「平和の善き天使」。娘と一緒にハトに餌をやるためにわざわざこの場所を選びました。すべてのアクションが街の中心部にあると、ここには誰もいないような気がします。そして、誰にも会わず、誰にも気づかれなかったけれど、「何か悪いことが起きたらどうしよう」というベタな恐怖と自己検閲を克服する、という目標は達成されました そんなことで諦めてはいけない)ありがとうございます!”

🕊️”モスクワ。プロスペクト・ミラ
ハトに餌をやりに来たかっこいい人たちにも会えました。
踏切に入ると、ロスグバルディアの車が止まっているのが見えた。

🕊️「ゲレンデシークはあなたと共にある! 鳩に餌をやるだけの人に出会って、アクションのことを話したんです」。

🕊️「挑発的な黄色と青のオウムの餌を持って(ハトがチェック)、黄色と青の服を着て平和通りに行った(誰も注意しなかったから良かったけど)」。
FASの人には会わなかったが、警官にも会わなかった。人に迷惑をかけたくないので、あえて写真は撮らなかった。
ロシアは自由になる。ウクライナ万歳。ベラルーシを生中継。戦争なんてクソ食らえ✊🕊”

🕊️「祖国の首都の平和大通りを2時間歩く。これが私の最初の行動です。もう外に出られない。「まあ、しょうがないか」という言い訳は、何もしない理由を探しているだけのような気がします。私は、これらのスピーチや 行為はすべて、この悪夢に反対している人たちや、これ以上どうやって生きていけばいいのか本当にわからない人たちの士気を高めるためのものだと気づきました。孤独なピケも、反戦の文章も、ステッカーも、すべて私たちが一人ではないことを示すためのものです。私たちは一人じゃない!!! すべての人に平和と幸福を!
P.s. ピースアベニューで、ハトと人がいて、人がいなくて、ハトがいる場所を見つけるのはとても難しいです。”

🕊️「モスクワでホームレスへの食料配給を行った後、Food Not Bombsの活動家がFeminist Anti-War Resistanceの「戦争ではなくハトに餌をやる」キャンペーンに参加しました

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なぜ労働組合が必要なのか?

メーデーは労働者の祝日であり、今日は特に、社会の幸福が誰の上に成り立っているのかを思い起こす大切な日です。そして、それはあなた方、つまり、働き、生産し、創造する人々にかかっているのです。私たちは人生のかなりの時間を職場で過ごしていますが、労働者が自らの労働条件をコントロールできないことが非常に多いのです。不当な罰金や解雇に立ち向かえず、自分の給料を上げることもできず、ましてや公正な社会の法律を成立させることもできない。これらはすべて一人ではできませんが、団結した上で雇い主と対等に話し合う方法があるのです。当然のことですが。

今日のメーデーは、平和なきメーデー、そして労働。多くの人が戦争反対の声を上げることができないのは、まさに職を失うことを恐れているからです。私たちの国家がいかに私たちの労働と貢献に頼っているか、私たち全員がいなければ、国家は無力であり、戦争をする力もないことを忘れてはなりません。

組合は、自分自身の尊厳、幸福、投票権を守るための手段です。
組合が何をしてくれるのか、具体的に伝えるためのカードを作りました。

ぜひ広めてください。

もしあなたが反戦の姿勢を理由に職場で嫌がらせを受けているなら、組合を結成する用意があるなら-反戦基金(https://cryptpad.fr/form/#/2/form/view/LdD1zufD3MLlUMDvI5FdU569AuY7GXAWZLcvJVOg2k0/)の私たちに手紙を書いてください。私たちは、無料で匿名のカウンセリングと法的サポートを提供します。

インターネットと戦争―自民党「新たな国家安全保障戦略等の策定に向けた提言」批判を中心に

Table of Contents

1 はじめに

戦後の反戦平和運動のなかで「サイバー戦争」に特に注目して、どのようにしたら「サイバー戦争の放棄」が可能なのかに主要な関心をもった議論はまだ少いのではないかと思う。本稿では、この問題を考えるひとつの手掛かりとして、自民党が2022年4月に公表した自民党「新たな国家安全保障戦略等の策定に向けた提言」(以下「提言」と呼ぶ)のなかのサイバー関連への言及を中心に、反戦平和運動がサイバー領域を従来の軍事安全保障の考え方では対応しえない課題であることを確認して、戦争放棄のための運動の再構築のためにささやかながら私からの問題提起にしたいと思う。

2 政府の「次期サイバーセキュリティ戦略」

「提言」に触れる前に、その前提になっている政府による2021年7月に「次期サイバーセキュリティ戦略」に関して簡単にみておきたい。この「戦略」では次のように述べられている。

我が国をとりまく安全保障環境は厳しさを増し、サイバー空間は、地政学的緊張も反映した国家間の競争の場となっている。中国・ロシア・北朝鮮は、サイバー能⼒の構築・増強を⾏い、情報窃取等を企図したサイバー攻撃を⾏っているとみられている。⼀⽅、同盟国・同志国においても、サイバー脅威に対応するため、サイバー軍や対処能⼒の強化が進められており、サイバー事案やサイバー空間に関する国際ルール等をめぐる対⽴等に対して同盟国・同志国等が連携して対抗している。

この現状認識では、明確に周辺諸国を事実上の敵国とした。その上で必要な政策として「先端技術・防衛産業等のセキュリティ確保のための官⺠連携・情報共有等の強化」「⽶豪印やASEAN等同志国との府省庁横断的・各府省庁における国際連携」を指摘している。

特徴的なことは、私たちの日常生活と密接に関わるコミュニケーションの領域の課題と軍事安全保障としてのサイバーセキュリティとがほぼ一体のものとして統合されていることだ。最近の政府の認識は、下図にあるように、「DXとサイバーセキュリティの同時推進」「公共空間化と相互連関・連鎖が進展するサイバー空間全体を俯瞰した安全・安⼼の確保」そして「安全保障の観点からの取組強化」の三位一体から「誰も取り残さないサイバーセキュリティ」が構想されており、明確な軍事安全保障という領域の切り分けはされていない。

Figure 1: 「Cybersecurity for All」を踏まえた対応の強化

こうした構図には私たちが、主権者として、あるいは日本の居住する市民として、意思決定の主体であること、あるいは国籍に関わらず平等な人間的主体であることへの関心はなく、もっぱら、国家が準備する安全保障によって保護される客体としてしか位置づけられていない。安全保障をめぐる議論が伝統的に維持している国家主体を唯一絶対として、民主主義的な異議申し立てが果す役割を無視する観点がここでも一貫している。従って、ひとりひとりの人間が希求する平和や戦争忌避の社会的政治的な要因はここでは一切顧慮されていない。軍事安全保障を丸腰の市民たちに委ねることはできない、という大前提がここにはあり、これが「民衆の安全保障」とは真逆の性格をもたらすことになる。

従来の安全保障の視点にあるこの問題は、「サイバー戦争」によって更に増幅される。どのように増幅されるのかは後述するが、私たちが「サイバー戦争」を考えるときに、まず、念頭に置かなければならないのは、従来の戦争のイメージを取り払う必要があるということだ。サイバー戦争なる状態では、武力行使の主体を自衛隊にのみ求めることはできず、自衛隊や防衛省がサイバー領域、つまり情報通信領域で繋りをもつ全ての領域、コンピュータと接続された個々の武器から軍事通信ネットワーク、情報インフラを支える情報通信企業、そして私たちが利用するインターネットの全体が一体のものとして機能しているために、武力行使や戦闘行為を構成する諸要素をそれ以外と明確に区別することはできない。政府が{重要インフラ」と呼んでいるほとんど全ての経済領域が戦争に加担する構造をもっている。こうしたことが生じるのは、サイバー領域が地理的に切り分けられないこと、インターネットのばあいは、ネットワークがグローバルに接続されており、軍事と非軍事の切り分けが困難であるだけでなく、このネットワーク敵と味方双方を包摂するグローバルな全体性をもっていること、このことがサイバー戦争の特異性を特徴づけている。

Figure 2: 推進体制

社会全体を巻き込む端的な現れが、いわゆるサイバー攻撃と呼ばれる事象になる。一般にサイバー攻撃は、敵の軍事システムを攻撃するのではなく、社会インフラや官民のネットワークを標的にする。動機が国家間の敵対的な関係を背景として敵の「国家」への攻撃であるとしても、私たちが巻き込まれる可能性は高くなり、従来の意味での武力による攻撃と比べてサイバー攻撃にさらされる可能性も高くなるだけでなく、時には攻撃の「踏み台」に私たちのコンピュータが利用されることもありうるし、逆に、非常に安易に、自宅にいてパソコンのキーボードを叩くだけで、サイバー戦争に加担することも、できてしまう。政府や軍、警察の対応は、この攻撃に対してサイバー空間における力の行使や国家を防衛するための防御に中心を置く。この観点に立つと、私たちのコミュニケーション全体が国家安全保障(サイバーセキュリティ)に従属させられ、監視や規制の対象になる。ネットのコミュニケーションはグローバルな構造をもっているから、サイバーセキュリティは、軍が対処する対外的な安全保障と警察が対処する国内の治安との間の境界もあいまいになり、両者が共同で対処するケースが常態になりうる性格を本質的にもっている。従来の戦争においても、反戦や平和の主張が弾圧されてきたように、国家間の摩擦や対立は、反政府的な言論の自由、敵国とされた国の国籍を有する人々の人権が奪われる原因をつくるが、サイバー戦争やサイバー攻撃は、コミュニケーション領域そのものが一種の「戦場」とみなされるために、自由への監視と抑圧はより包括的になる。

3 自民党「新たな国家安全保障戦略等の策定に向けた提言」について

2022年4月に公表された自民党の「提言」からサイバー戦争に関連する箇所をみてみる。 「提言」の冒頭で次のような現状認識を示している。

今年2月、ロシアがウクライナを侵略し、戦後西側諸国が中心となって 築き上げてきた既存の国際秩序を根底から覆すような力による一方的な現状変 更が顕在化した。そして、ロシアのウクライナへの侵略でも見られるように、 様々な種類のミサイルによる市街地への攻撃、武力侵攻前のサイバー攻撃、既存 のメディアやSNS等での偽情報の拡散などを通じた情報戦の展開、原子力発 電所などの重要インフラ施設への攻撃など、これまで懸念されていた戦闘様相 が一挙に現実のものとなっている。

上記の記述のなかで、伝統的な武力行使に該当するのは、ミサイルによる市街地への攻撃、原子力発電所などの重要インフラ施設への攻撃だ。しかし、武力侵攻前のサイバー攻撃、既存のメディアやSNS等での偽情報の拡散などを通じた情報戦は、従来の概念でいえば武力行使に該当しないがこれらを含めて「戦闘様相」と表現している。戦闘あるいは武力行使とは言い難いものの、戦闘に準ずる扱いをしたい、という意図が表われている。そしてまた、「武力攻撃に至らない侵害」やアトリビューション(後述)への言及が続く。

有事の社会機能と自衛隊の継戦能力の維持のために、重要インフラの 防護をより強化するとともに、アトリビューション能力の強化の観点から、攻 撃者を特定し、対抗し、責任を負わせるために、国家として、サイバー攻撃等 を検知・調査・分析する能力を十分に強化する。また、武力攻撃に至らない侵 害を受けた場合の対応について検討する必要があり、特に、サイバー分野にお いては攻撃側が圧倒的に有利なことから、攻撃側に対する「アクティブ・サイ バー・ディフェンス 」の実施に向けて、不正アクセス禁止法等の現行法令 等との関係の整理及びその他の制度的・技術的双方の観点、インテリジェンス 部門との連携強化の観点から、早急に検討を行う。

「アクティブ・サイバー・ディフェンス 」は注記によれば「一般に、受動的な対策にとどまらず、反撃を含む能動的な防御策により攻撃者の目 的達成を阻止することを意図した情報収集も含む各種活動」と定義されている。アクティブ・ディフェンスはサイバーセキュリティ分野でも用いられるが、この自民党の提言の具体的な意味内容は、日本もまたサイバー領域において明確に攻撃能力を持つべきだ、ということだと理解していいと思う。

「アクティブ・サイバー・デイフェンス」は「ディフェンス」といいながら上記のように、「反撃」であって、防衛や防御を意味しない。メディアや野党が話題にしている敵基地攻撃能力に関連する箇所は以下のように書かれている。

憲法及び国際法の範囲内で日米の基本的 な役割分担を維持しつつ、専守防衛の考え方の下で、弾道ミサイル攻撃を含む わが国への武力攻撃に対する反撃能力(counterstrike capabilities)を保有 し、これらの攻撃を抑止し、対処する。反撃能力の対象範囲は、相手国のミサ イル基地に限定されるものではなく、相手国の指揮統制機能等も含むものとす る。

ミサイルはサイバー空間と連動しなければ一発も発射することはできない。ミサイルはこの意味でサイバー空間を介した情報通信能力に支えられた兵器であり、この点を踏まえたとき上記の「相手国の指揮統制機能等」には当然サイバー空間に関わるコンピュータネットワークが含まれることになり、そうなれば、ミサイル攻撃への反撃にはサイバー攻撃が含まれることは明らかだ。指揮統制機能を実空間のどこかに位置する司令部とか大統領官邸とかといった物理的な建物だとみなして、ウクライナの悲惨な市街地空爆のイメージと重ねあわせて問題化するのは、世論のイメージ喚起の手法としては余りに安直であって、このような理解を越えて、地理的に特定することすら困難な指揮統制機能をもつ分散的なネットワークの総体が反撃の対象となる。このことは、「敵」の社会インフラ全体を攻撃対象とすることを意味しており、非戦闘員をまきこむことは避けられない。ミサイル攻撃の「抑止」のための反撃とは、それ自体が歯止めのない全面的な攻撃を内包していることを理解することが重要になる。

「アクティブ・ディフェンス」については、たとえば高市早苗はブログで次のように述べている。

有事においては、『自衛の措置としての武力の行使の三要件』を満たす場合に、「相手方によるサイバー空間の利用を妨げる」ことが可能となりましたが、防衛省・自衛隊のシステムに対する攻撃への対処だけではなく、例えば、航空、鉄道、電力、医療などの民間の「重要インフラ」がサイバー攻撃を受け、国民の生命が危険に晒され、国家社会の存立が危うくなるような事態までを想定して、従来の危機管理の枠組みによる「防御・復旧」に加えて、「アクティブ・ディフェンス」の必要性を判断するべきです。

サイバー攻撃者に対する反撃として、「犯罪に使用されていると判明したサーバに対して大量の接続要求を送信し、当該サーバを使用できなくする」「政府の機密情報を窃取したサーバに対して不正アクセスをすることによって、窃取された情報を削除する」ことを可能とする権限を、捜査機関や特定の国家機関が行使できるよう、新たな法律を制定することを検討するべきです。その場合、当然ですが、反撃を行う「主体」及び「対象」の明確化が必要となります。1

「サーバに対して大量の接続要求を送信し、当該サーバを使用できなくする」とか、相手国政府の「サーバに対して不正アクセスをする」といった行為を推奨し煽ること自体が、逆に同種の反撃を日本も被ることを意味し、これらは、双方の国の市民を無差別に巻き込むことになる。私は憲法の規定がどうあれ自衛の措置としての武力の行使の三要件などというものを国家の権力行使として認めるべきではないと考えるが、そのことは別にして、自民党のタカ派の軍事・防衛の議論は、全体として自衛や防御ではなく、攻撃能力をもつことにシフトしており、高市のように、非戦闘員を巻き込むことを厭わない主張が支配的になってきたことを「提言」が体現している。

また、上に引用した「提言」におけるアトリビューションへの言及、つまり、「アトリビューション能力の強化の観点から、攻 撃者を特定し、対抗し、責任を負わせるために、国家として、サイバー攻撃等 を検知・調査・分析する能力を十分に強化」するという提言は、武力行使容認に繋りかねない重要な観点だ。アトリビューションとは、専門家によると「攻撃 の痕跡や手法などの技術的解析から、攻撃者の意図をめぐる地政学的背景まで、多様な状況証拠の収集と分析を 通じ、匿名性が高いサイバー攻撃の攻撃者や背後の攻撃国を特定(判断)していくプロセス」などと定義される。2これは防護と表裏一体となって、攻撃主体が誰なのかを特定し公表し、「攻撃者の刑事訴追、攻撃に関与した他国政府機関の関係者や 関係法人の資産凍結・渡航禁止などのスマートサンクション(以下制裁)など、公式非難声明に続く政策対応」3 を含むものであるともされている。アトリビューションは、日常的に敵と想定される対象を監視する行為なしには、有効に機能しないと想定されるので、スノーデンが暴露したNSAの網羅的監視から最近のNSOスキャンダル4に至るまで、監視活動(諜報活動)に歯止めがかからず、これを正当化するための概念だと理解しておく必要がある。そしてまた、こうした政策対応がソフトサンクションをどのような理由で正当化しうるのか、その国際法上の枠組はどうなっているのかはまだ未確定といってよく5、先のアクティブ・サイバー・ディフェンスの政治的な再解釈とあわせて考えてみると、攻撃主体への「物理的」な制裁へとエスカレートする危険性を含んでいることも念頭に置いておく必要がある。

4 サイバー領域で先行する軍事連携

実際に、日本はどのような「サイバー戦争」への関わりを進めているのか。提言では、ウクライナへのロシアの侵略を念頭にNATOへのかなり踏み込んだ言及がみられる。

今般のロシアによるウクライナ侵略に対して、NATO諸国は互いに結束し、 力による一方的な現状変更に断固とした姿勢を示し続けて対抗しており、日本 政府としても、こうしたNATO諸国と歩調を完全に合わせ、一体となって努力 を重ねている。こうしたわが国の姿勢は、翻って、インド太平洋地域、とりわけ 東アジア地域におけるNATO諸国の更なる関与を引き出すことにつながるた め、より一層の取組強化が必要である。

日本はNATOの加盟国ではないが、NATOのパートナー国(Partners across the globe)として、様々な会議に閣僚などだけでなく、制服組も出席して、軍事同盟の事実上の同盟国に準ずる位置を担う既成事実の積み重ねがかなり進んでいる。6 サイバー分野ではNATOとの実践的な連携に近い関わりがすでになされている。2018年、安倍政権下で、エストニアに所在するNATOサイバー防衛協力センター(CCDCOE)に日本が正式加盟し、運営委員会に日本のメンバーがすでに正式に参加していることはあまり知られていない。7

2022年4月に開催されたNATOサイバー防衛協力センターによるサイバー防衛演習「ロックド・シールズ2022」に日本は英国軍と合同チームで参加(昨年は日本は、米インド太平洋軍とチームを組んだ)している。(NATO加盟国を含む約30か国)8 ロックシールズは世界最大規模のリアルタイムのサイバーデシフェンス演習だ。

日本の参加組織は、防衛省から、内部部局、統合幕僚監部、陸上自衛隊システム通信団、海上自衛隊システム通信隊群、航空自衛隊作戦システム運用隊、航空自衛隊航空システム通信隊、自衛隊サイバー防衛隊。他府省から内閣官房内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)、総務省、警察庁、情報処理推進機構(IPA)、JPCERTコーディネションセンター(JPCERT/CC)、重要インフラ事業者等が参加した。今回の演習は次のような想定による。

大西洋北部に位置する架空の島国ベリリアでは、ベリリアの軍事・民生ITシステムに対する多数の協調的なサイバー攻撃が発生し、セキュリティ状況が悪化しているとのことです。これらの攻撃により、政府や軍のネットワーク、通信、浄水システム、電力網の運用に深刻な混乱が生じ、最終的には国民の不安や抗議行動に発展しています。今回の演習では、初めて中央銀行の準備金管理および金融メッセージングシステムのシミュレーションが行われます。さらに、重要インフラの一部として5Gスタンドアローン移動通信プラットフォームが配備され、今後の技術変化についてサイバー防衛者に初めて体験させる。

注目されるのは、仮想敵からの攻撃によって社会が混乱させられ、これが「最終的には国民の不安や抗議行動に発展」するというシナリオになっているという点だ。「国民の不安や抗議行動」にも軍隊が対処することが想定されている。同時に上記の日本からの参加組織をみるとわかるように、自衛隊の他に警察庁が参加し、また「重要インフラ事業者」つまり民間企業からの参加もあったということだ。また、上の概要にあるように、金融システムへの攻撃も想定されているため、Mastercard Inc.やBanco Santander SAなど大手金融機関5~10社が参加しているが、日本からの民間企業や金融機関のどこが参加しているのかを私は把握していない。9 ちなみに、今年のロックド・シールズ2022は、ウクライナの情勢を念頭に置いた設定になっているが、ウクライナはまだCCDCOEには加盟申請中で参加はできていないが、ウライナ出身者が参加しているとも報じられている。10

5 武力行使、武力による威嚇

一般に、武力行使や威嚇の定義は難しい。これらを非常に幅広く解釈して、たとえば、誰も死傷者がおらず、重大な事態にならないが、「敵」とみなされる人物が銃を発砲したような場合、こうした軽微な事象であっても、これを武力行使や威嚇とみなすとすると、こうした事態に対してであっても、ある種の自衛権の行使が可能だとして、過剰な自衛力行使、つまり「反撃」あるいは「敵基地攻撃」につながるかもしれない。他方で、よっぽどの規模の被害が生じない限り、武力行使や威嚇とはみなさないとすると、自衛力の行使は抑制されるともいえるが、逆に、かなりの程度の暴力の行使を行なった場合であっても武力行使ではない、威嚇ではないと開き直ることもできる。

サイバー攻撃の場合は、更にあいまいになる。どの程度のネットの被害をもってサイバー領域にける「武力行使」なのかの判断が難しい。たとえば、防衛研究所の主任研究官でNATOのCCDCOAの運営委員のメンバーでもある河野桂子は次のように述べている。

外国領域における外国人の誘拐、軍用機 による他国の領空侵犯、他国領海内での潜水艦による潜没航行などが、遭難、不可抗力 その他の止むを得ない事情によって正当化されない限り、全てその国に対する武力行使を構 成する (さらに重大であれば武力攻撃にさえ該当しうる) 37 。国によるサイバー手段の使用にこ の考え方をあてはめた場合には、他国に対する有害なサイバー行動(但し、単なるネット}ワー ク侵入(不正アクセス)は除く)の多くの例が武力の行使又はその威嚇に該当する余地が ある。11

河野のこの主張を前提すると、自衛権行使は幅広く容認されてしまうだろう。しかし、河野の紹介によれば、現状では、いったい何がサイバー領域における武力行使なのか、威嚇なのかについては、たとえば、航空機の衝突又は墜落や原子力発電所の融解の例などは武力行使とみなされ、医療施設を攻撃目標とすることもこれに準ずるとみなされうるというのが軍事の専門家たちの見解のようだが、上記のCCDCOEの模擬演習のシナリオをみればわかるように、軍事関係者は、サイバー領域における武力行使をより幅広く把えて、これに対処できる軍事力を構築することが、いかにして国際法上も各国の国内法上も可能なのかを模索しているといえる。

6 「グレーゾーン」と「ハイブリッド」への関心の高まり

先頃、陸上自衛隊が作成した資料のなかで、自衛隊の取り組みとして反戦デモや報道が「武力攻撃に至らない手段で自らの主張を相手に強要する「グレーゾーン」事態に当たる」ものとして例示されて問題化した。12 グレーゾーンという概念が登場したことが注目に値する。デモや報道を取り上げたことも、ちょっとしたミスとか誤解といったものではなく、ここ数年繰り返し自衛隊や政府の国家安全保障が念頭に置いてきた課題だということが見過されがちだ。ロックド・シールズ2022の演習でのシナリオに「最終的には国民の不安や抗議行動に発展」が含まれていたことを想起する必要がある。こうした想定を自由と民主主義を標榜する諸国が疑問もなく軍事的な脅威あるいは攻撃の類とみなしているのだ。このことを念頭に、以下ではサイバー領域に限定してグレーゾーンを取り上げる。

リアル空間における武力行使や侵略行為との類推が容易な分野だけがサイバー攻撃やサイバー戦争の分野なのではないく、その外部にあるサイバー空間のかなりの部分―具体的には日本政府によって定義されている「重要インフラ」の全てが最低限でも視野に入る―への直接的な人的被害が生じていないようなケースを、一般に「グレーゾーン」と呼んでいる。また上述のロックド・シールズ2022の演習のように、国内の民衆によるデモも含むようなばあいは、軍事と非軍事、サイバーとリアルが交差する領域となり、軍隊が警察化し、警察が軍隊化する危険性が大きい領域になる。これは一般に「ハイブリッド戦」として軍事的な対応をすることを正当化しようとする傾向が顕著だ。グレーゾーンやハイブリッド「戦」といった領域をいかにして戦争の対象して自衛隊の守備範囲に囲い込むか、が現在の大きな課題になっている。

防衛白書では「グレーゾーンの事態」と「ハイブリッド戦」を以下のように説明している。

いわゆる「グレーゾーンの事態」とは、純然たる平時でも有事でもない幅広い状況を端的に表現したものです。

例えば、国家間において、領土、主権、海洋を含む経済権益などについて主張の対立があり、少なくとも一方の当事者が、武力攻撃に当たらない範囲で、実力組織などを用いて、問題にかかわる地域において頻繁にプレゼンスを示すことなどにより、現状の変更を試み、自国の主張・要求の受入れを強要しようとする行為が行われる状況をいいます。

いわゆる「ハイブリッド戦」は、軍事と非軍事の境界を意図的に曖昧にした現状変更の手法であり、このような手法は、相手方に軍事面にとどまらない複雑な対応を強いることになります。

例えば、国籍を隠した不明部隊を用いた作戦、サイバー攻撃による通信・重要インフラの妨害、インターネットやメディアを通じた偽情報の流布などによる影響工作を複合的に用いた手法が、「ハイブリッド戦」に該当すると考えています。このような手法は、外形上、「武力の行使」と明確には認定しがたい手段をとることにより、軍の初動対応を遅らせるなど相手方の対応を困難なものにするとともに、自国の関与を否定するねらいがあるとの指摘もあります。

顕在化する国家間の競争の一環として、「ハイブリッド戦」を含む多様な手段により、グレーゾーンの事態が長期にわたり継続する傾向にあります。

自民党の「提言」では以下のような文脈で用いられている。

グレーゾーンの事態に備え、警察機関と 自衛隊との間でシームレスな対応ができるよう、より実践的な共同訓練の実施 等の取組により、平素からの連携体制を一層強化するとともに、とりわけ原子力 発電所においては、自衛隊による対処が可能となるように、警護出動を含め法的 な検討を行う。 (略) いわゆる「ハイブリッド戦」は、軍事と非軍事の境界を意図的に曖昧にし、 様々な手段を複合的に用いて領土拡大・対象国の内政のかく乱等の政策目的を 追求する手法である。国籍不明部隊を用いた秘密裏の作戦、サイ バー攻撃による情報窃取や通信・重要インフラの妨害、さらには、インターネ ットやメディアを通じた偽情報の流布などによる世論や投票行動への影響工 作を複合的に用いた手法と考えられる。このような手法に対しては、軍事面に とどまらない複雑な対応を求められる

上で、「グレーゾーンの事態に備え、警察機関と 自衛隊との間でシームレスな対応」とあるように、警察が関与するということは、国内の問題が念頭にある。国家安全保障の軍事的な側面が非軍事的な側面との境界が限り無くあいまいになっている。そして限りなく非軍事的な領域が軍事的な機能も担うようになっている。やや古い文献では、ネット上の情報の「窃取」、サービスの妨害行為、対象のシステムのデータやシステムそのものの破壊などが「グレーゾーン」に該当するという説明もあるが、たぶん、これらはむしろサイバー攻撃そのものに格上げされているのではないか。そして「偽情報」のような事態がグレーにカウントされるようになってきた。つまり、ますます多くの事象が「攻撃」とみなされ、「反撃」を正当化し、これまでは軍事安全保障の問題とはみなされていなかった事象が安全保障関連として位置づけなおされ、その結果として、私たちのコミュニケーション環境や言論表現領域がますます国家の安全保障による防御対象として監視・統制強化されるようになってきた。

ここで注目すべきなのは「偽情報」への強い関心だ。この関心は、政府や自民党が、自らの権力の宣伝手法における「偽情報」の効果にも関心をもっているということの裏返しでもある。何が偽なのかはウクライナの戦争をみても非常に複雑だ。一般論として言いうることは、政府の政策や社会の多数派に対する批判的な主張や事実は「偽情報」と、みなされる可能性が高いということだ。同時に、戦争状態では情報統制が厳しくなることが一般的だ。これが「グレーゾーン」や「ハイブリッド戦」といった新しい戦争概念の下では、従来の戦争状態の枠を越えて、現在の日本の状況もまた戦争に準ずる状況とみなされて、将来の戦争を予定して、監視・規制が強化されうることになる。自民党の提言は、政府によるネットの言論への監視と介入だけでなく、「投票行動への影響工作」にも言及している点は重要だ。というのも、選挙などの民主主義の重要なプロセスの際に、政権がネット政府批判や野党候補支持の運動を様々な口実を用いて規制したり、ネットへのアクセスそのものをシャットダウンすることが、海外では珍しくないからだ。13

このように、サイバー空間は、コミュニケーション空間でありインターネットは政権や民間資本の重要のインフラでもあると同時に、私たちにとってもまた不可欠なコミュニケ=ーションの権利のための手段でもあるために、政権や民間資本が軍事安全保障を口実に、ネット空間を防衛すると称する事態や、あるいは逆にネットを通じた攻撃を展開するという事態に、私たちのコミュニケーションの環境が否応なく巻き込まれてしまう。自民党の「提言」や「防衛大綱」は、「サイバー攻撃」の概念のなかに、戦争に反対したり政府に反対する言論を含みうるニュアンスがある。反政府的な言論は政府の行動に対する言論上の異議申し立てであり、政府の行動を抑制する意図があるから、当然のこととして、効力を発揮すれば、政府に対する正当な、権利としての妨害行為である。だからこそ、そのこと自体が「サイバー攻撃」だというレッテルを貼られ、正当な権利行使が犯罪化されかねない危険性がある。

自民党の「提言」への批判的な論評がメディアでも出されている。(朝日毎日沖縄タイムス、など)しかし、この「提言」のなかの「サイバー」への言及や批判は非常に手薄だ。アトリビューション、グレーゾーン、ハイブリッド戦などの横文字の煙幕に巻かれた印象が強い。情報通信のプラットフォームに依存する言論・表現の領域が、それ自体が武力行使の現場を構成しているということへの認識が希薄だ。

7 憲法9条が想定している「戦争」の枠を越えている

政府・自民党が「戦争」の概念を根本的に変更しようとしており、そのとっかかりとして「サイバー戦争」「サイバー攻撃」といった従来の戦争に武力行使では想定されていなかった新しい状況を持ち出してきている。憲法9条が想定していた戦争概念がそのまま適用できないサイバー戦争状態を巧みに利用して、戦争と非戦争の区別をあいまい化しつつ、政府のあらゆる活動が多かれ少なかれ戦争との結び付きのなかに包摂されうるような、統治構造が構築されようとしている。

サイバー空間では、戦車や戦闘機といった人を物理的直接的に殺傷する兵器は目立たない。しかし、ほとんど全ての兵器や兵士の装備はネットやコンピュータと不可分一体のものになっている。無人攻撃機はそのわかりやすい例だろう。問題はこれだけに収まらない。軍の兵站から「国民」を戦争へと動員するプロパガンダや政府の行政システムのある側面が戦争や軍事行動と連携し、同時に民間資本も連携する。先のNATOのサイバー防衛戦の模擬訓練に日本から参加していたのは、自衛隊の他に、内閣官房内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)、総務省、警察庁、情報処理推進機構(IPA)、JPCERTコーディネションセンター(JPCERT/CC)、重要インフラ事業者等だということの意味はとても大きい。コンピュータ・テクノロジーが支配的な社会では、サイバー戦争はそれ自体が直ちに総力戦にならざるをえないのだ。私たちの手元にあるコンピュータデバイスは、戦争状態では、武器にもなるから、武器と非武器の境界はあいまいになる。私たちのネットでの情報発信は、いかに私的な通信であっても、ビッグデータとして解析されることによって、戦略的に意味のある情報となる。世論を操作し、敵に対する効果的なプロパガンダを展開するための重要なデータだからだ。そうである以上、私たちの日常の行動は二重の意味で、戦争とむすびつけられる。自国の政府にとっては、戦争を効果的に遂行するためにいかにして自国民の戦争への動機付けを形成するかという動員戦略にとって不可欠なデータとなる。敵にとっては、逆の意味で敵の状況を把握し世論を操作するために不可欠なものとして戦争とむすびつけられる。

こうした状況のなかで、日常生活もまた、戦争と不可分なものとして、監視の対象にされる。典型的には、インターネットに接続している私たちのデバイスが「敵」の攻撃を受けたり、「敵」の攻撃に利用されうるということを理由に、政府による監視とセキュリティ強化が主張され、そのためには私たちプライバシーや表現の自由が抑制されることがあっても受忍すべきだということになりかねない。

現行の9条に規定されている「武力による威嚇又は武力の行使」「陸海空軍その他の戦力」「交戦」といった概念は、サイバー領域における「攻撃」を効果的にカバーできているとはいえず、その多くが、従来の武力や戦力の概念にはあてはまらないとみなされて大目にみられる反面、「敵」とみなされる対象によるサイバー攻撃が、従来であれば、「犯罪」とされていた行為をある種の戦闘行為や軍事的な攻撃として過剰な意味づけを与えて「反撃」を正当化しようとすることに対しても、十分な歯止めになりうるような構造をもっていない。9条の文言は、従来の戦争に関してすら歯止めになっていないが、更にサイバー戦争を阻止し放棄するためにはますますもって全く不十分なのだ。9条の文言の再定義によってこの限界を克服することは、現実的な取り組みかもしれないが、その場合であっても、自衛のための武力行使を9条は否定していないという政府の見解や学会の多数説を前提としてしまうのであれば、サイバー戦争における自衛のための武力行使は容認され、私たちのコミュニケーションの権利領域全体が国家安全保障の対象領域として統制下に置かれうることになるから、全く意味をなさない。

8 何をすべきなのか

戦争に反対するための行動は、街頭で意思表示をするといった実空間での行動とネットなどのコミュニケーションの空間における表現行為との相互作用のなかで展開される。たとえば、ロシアの反戦運動はネットを通じた国内外への情報発信を巧に実空間でのアクションに繋げている。14ハイブリッド戦やグレーゾーンの軍事化を前提とすると、政府や民間資本がとる行動は、ネットの言論空間から反戦や平和の言説を排除することによって実空間での行動の拡がりを抑制しようとする。どこの国でもまずターゲットになるのはSNSなどの発信者への弾圧であり、ときにはプラットフォームそのものの遮断だったりする。

こうした事態は、これまでの経験からも十分に想定できる戦争に共なう情報統制だ。これに対する対抗手段は、平時におけるコミュニケーションの権利の基本を手離さないことなのだ。15つまり、匿名性やを確保しつつネットワークの遮断や排除を回避するための代替手段をもつことだ。また、メッセージの盗聴を想定して暗号化によるコミュニケーション手段を確保することも重要になる。同時に、ネット以外のよりアナログなコミュニケーションの回路を確保することも重要になる。

こうしたことは、すぐにはできない場合が多く、また、気づいたときには、上記のような対抗手段が違法化されて容易には利用できなくなっている場合が少くない。たいていは、戦争などとは関係のないようにみえる理由を持ち出して、規制を強化する。ヘイトスピーチ対策を名目に、ネットの実名利用を義務化したり、児童ポルノ対策を理由にコンテンツの暗号化を規制したり、Torや暗号化メールサービス(ProtonmailとかTutanota)などの利用を違法化するなどだ。

サイバースペースの軍事化は、実空間における軍事と一体であり、実空間の軍事力の廃棄なしにはサイバースケースの非軍事化は実現できない。この意味で、従来から存在する国民国家の常備軍そのものを廃棄することはサイバースペースの非軍事化のための必要条件でもある。このときに、自衛のための武力行使を認めるのか、それをも否定し文字通りの非武装を主張するのかでサイバースペースの非軍事化に根本的な違いが生じる。私は完全な非武装化、つまり軍隊(自衛隊を含む)によるサイバースペースの利用を排除すること、サイバースペースの非軍事化こそがサイバースペースの平和の実現する唯一の選択肢だと考えている。サイバースペースは、伝統的な意味での「領土」概念あてはまらない。ユーザーはたしかに、どこかの実空間に存在するが、ネットへのアクセスポイントは、VPNを使ってアクセスしたり、Torのネットワークを使ったりする場合のように、その実空間の住所と一致する必要はない。人々は領土的な空間の配置のなかで繋っているのではなく、多元的な条件を通じて繋がっている。地理的な距離ではなく社会的な存在に基づく社会的な距離の関数によってその繋がりが形成されている。つまり、階級、ジェンダー、エスニシティ、言語、文化的な関心、イデオロギー、宗教などだが、戦争状態ではナショナルなアイデンティティが支配的になる。サイバー戦争は、領土をめぐる戦争と連結しつつも、それだけではなく、この社会的な距離を構成している構造をめぐる戦争という側面をもっている。

サイバースペースでこうした戦争に対して私たちに必要なことは、民衆のサイバーセキュリティである。自国政府による安全保障を口実とした監視・統制に対抗することは、戦争で「敵」とみなされた勢力による攻撃からの防御と同時に重要な課題になる。この自国政府からのコミュニケーションの権利の防御は政府や企業に委ねることで実現されるというよりも、私たちのセキュリティ対策で対処しなければならないことだ。民衆の安全保障は、国家や軍隊によっては実現しえないのと同様、民衆のサイバー安全保障もまた私たち自身の手で、国家の思惑とは自立して獲得されるべきことであり、このことが反戦平和運動を下支えすることにもなる。

Footnotes:

1

「サイバーセキュリティ対策⑦:アクティブ・ディフェンス」 https://www.sanae.gr.jp/column_detail1210.html

2

瀬戸 崇志「国家のサイバー攻撃とパブリック・アトリビューション」防衛研究所、NIDS コメンタリー第 179 号

3

同上。

4

Amnesty International「秘密裏に行われるサイバー監視の規模は、NSOグループが加担する「国際的な人権の危機」である 」 https://www.alt-movements.org/no_more_capitalism/hankanshi-info/knowledge-base/amnesty-international-pegasus-project-spyware-digital-surveillance-nso/

5

国際法とサイバー攻撃に関しては、下記を参照。中谷和弘、河野桂子、黒崎将広『サイバー攻撃の国際法―タリン・マニュアル2.0の解説』、信山社。河野桂子「「タリン・マニュアル 2 」の有効性考察の試み ― サイバー空間における国家主権の観点から ―」防衛研究所紀要第 21 巻第 1 号( 2018 年 12 月)

6

「NATO のパートナーシップ政策には NATO 加盟国以外との関係が規定 されており、「平和のためのパートナー(Partnership for Peace:PfP)」、 「地中海ダイアログ(Mediterranean Dialogue:MD)」、「イスタンブール 協力イニシアチブ(Istanbul Cooperation Initiative:ICI)」、「世界のパー トナー(Partnership Across the Globe:PAtG)」という 4 つの枠組みがあ り、日本は NATO と「世界のパートナー(PAtG)」という関係にある。安 倍総理は 2007 年に NATO 本部を訪問し、日本の総理として初めて NAC において演説した。その後 2014 年 5 月に我が国と NATO との間で署名さ れた政 治文書である「 個別パ ー トナーシップ協力計画( Individual Partnership and Corporation Programme between Japan and NATO: IPCP)」に基づき NATO との間で具体的な協力を進めており7、2018 年 5 月には 2 回目の IPCP 改定が行われ、現在、サイバー防衛、海洋安全保障及び人道支援・災害救援(HA /DR)分野などで協力が進められている8。 また、我が国の NATO に対する正式な在外公館として 2018 年 7 月 1 日に は NATO 日本政府代表部が設立された」(石渡宏臣「欧州安全保障情勢の軌跡と展望 ― 安全保障上の課題に対する NATO の対応を中心に ―」『海幹校戦略研究』第 10 巻第 1 号(通巻第 20 号) 2020 年 7 月)たとえば、最近では、2021年10月、航空幕僚長がNATOが主催するNATOパートナー空軍司令官会議にオンラインで参加、https://www.mod.go.jp/asdf/news/release/2021/1018/。 日本とNATOの関係が緊密になったのは安倍政権下で安倍総理とラスムセン 事務総長により初の「日・NATO共同政治宣言 https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000003487.pdf 」が出されて以降というのが政府の見解かと思われる。外務省、欧州局政策課「北大西洋条約機構(NATO)について」 https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100156880.pdf 参照。パートナーシップを結ぶ前の状況については、長廣誠「NATO の視点から見た日・NATO パートナーシップ協力 の意義」海幹校戦略研究 2014 年 12 月(4-2)https://www.mod.go.jp/msdf/navcol/assets/pdf/ssg2014_12_03.pdf 参照。

7

“Japan to Join the NATO Cooperative Cyber Defence Centre of Excellence in Tallinn”, https://ccdcoe.org/news/2018/japan-to-join-the-nato-cooperative-cyber-defence-centre-of-excellence-in-tallinn/ 「日本は、 CCDCOE の主催で 2008 年から開催されてい るサイバー防衛演習 Locked Shields に、2015 年、2016 年はオブザーバー参加、2019 年は正式参 加 (51) している。さらに、2019 年 3 月からは、防衛研究所主任研究官を CCDCOE に派遣し、 CCDCOE の法務部門において、国際法の専門家としての知見をいかし、サイバーと国際法の関 係、サイバーに係る規範の形成等、サイバー防衛に関する法的な研究に従事させている (52) 。」 山﨑治「自衛隊、米国軍等のサイバー攻撃対処能力の強化」レファレンス 832 号、国立国会図書館 調査及び立法考査局。

8

NATOサイバー防衛協力センターによるサイバー防衛演習「ロックド・シールズ2022」への参加について、防衛省。https://www.mod.go.jp/j/press/news/2022/04/19e.html

9

“NATO-Linked Center to Hold ‘Live-Fire’ Cyber Drills as War Rages,”

10

Ionut Arghire, “Over 30 Countries Take Part in NATO’s ‘Locked Shields 2022’ Cyber Exercise,” https://www.securityweek.com/over-30-countries-take-part-natos-locked-shields-2022-cyber-exercise April 19, 2022

11

河野、前掲、「タリン・マニュアル 2」の有効性考察の試み―サイバー空間における国家主権の観点から―」

12

メディア各紙が取り上げた。たとえば、琉球新報社説。「陸自、反戦デモ敵視 文民統制 逸脱許されない」2022/4/1 https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1494580.html

13

(#KeepItOn) KeepItOn update: 2021年インターネット遮断は誰がしているのか? https://www.alt-movements.org/no_more_capitalism/hankanshi-info/knowledge-base/keepiton-who-is-shutting-down-the-internet-in-2021/

14

「反戦メーデー。 ロシアで、戦争ではなく鳩に餌をやるストライキを」https://www.alt-movements.org/no_more_capitalism/blog/2022/04/27/anti-war-labor-day-we-feed-pigeons-not-war-strike-in-russia_jp/、 「ロシア反戦運動:抗議をよりわかりやすくするには?フルガイド」 https://www.alt-movements.org/no_more_capitalism/blog/2022/04/25/kak-sdelat-protest-zametnym-sobrali-vse-sposoby-03-18_jp/

15

小倉利丸「法・民主主義を凌駕する監視の権力と闘うための私たちの原則とは」 https://www.alt-movements.org/no_more_capitalism/blog/2021/04/16/hankanshi_gensoku/

Author: 小倉利丸

Created: 2022-05-02 Mon 00:14

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途方もない抵抗。戦争と家父長制に反対するロシアのフェミニストたち

途方もない抵抗。戦争と家父長制に反対するロシアのフェミニストたち
2022年4月22日

戦争に反対する恒久的な集まり Permanent Assembly Against the Warに参加しているロシアのフェミニスト反戦レジスタンスのサーシャへのインタビューを掲載する。この戦争が、女性たちが闘ってきた家父長制的暴力の継続であること、ロシアにおけるさまざまな戦争反対の形について語り、国境を越えた戦争反対の5月1日に向けてロシアでもアクションが行われることを予告している。


●TSSプラットフォーム ロシアでフェミニスト反戦レジスタンスはどのように組織されているのですか?

SASHA:フェミニスト反戦レジスタンスは、戦争が始まって2日目の2月25日に始まりました。私たちの最初の行動は、もともとロシア語で書かれたマニフェストでしたが、その後20カ国語以上に翻訳されました。このマニフェストを通じて、私たちは女性やフェミニストのグループを抵抗のために動員し始めました。私たちの行動と組織のための主要なチャンネルはTelegramです。最初の数日間で、すでにTelegramのチャンネル登録者は1万人に達しており、一部のフェミニストやインフルエンサーのサポートのおかげでもあります。こうして私たちは成長し始めたのです。3月6日、私たちはフェミニスト・ブロックとして、大規模な反戦街頭抗議行動に参加しました。この抗議行動はあまり成功しませんでした。ロシア警察が組織的に主要な広場や通りを封鎖したため、たとえ大勢が集まっていても、他のグループと団結することができず、非常に悲惨な結果に終わったからです。3月6日以降、私たちは戦略を変更し、より目立たない日常的な抵抗の戦術に移行することにしました。これらの戦術はより安全で、警察の暴力にさらされることも少ないのですが、それでも都市部での反戦抵抗の兆候を示すことができます。私たちは、都市や村落の中に反戦の「第二の都市」を作りたいと考えています。

●この運動はロシア全土に広がっているのですか?

はい。現在、私たちのTelegramチャンネルには3万人が登録しています。その中には、さまざまな都市や村の数千人の活動家がいて、常に報告やアイデア、新しいアクションの提案などを送ってくれます。ステッカーからパフォーマンスまで、アクションの範囲は多岐にわたります。私たちの運動のビジョンは、あまり組織化された明確な構造を持たず、代わりに人々に自分たちの親密なグループを組織することを提案し、自分たちでチャットグループやFacebookページ、Telegramチャンネルなど、好きなものを組織してもらうようにしています。その際、フェミニスト反戦抵抗のシンボルを使い、私たちと連携することもできます。彼らはチャンネルを通じて私たちに伝えることができますが、そのグループがロシアに拠点を置き、ソーシャルメディアで公開されていない場合(めったにないことですが)、安全ではないので、通常は情報を公開することさえしません。海外のグループについては、より自由に情報を公開することができると思っています。イギリス、チェコ、ドイツなど、海外にも多くのグループがありますが、ロシア国内では、彼らの匿名性、ある意味での「不可視性」を守ろうとしています。このように、ロシア全土にさまざまな親密なグループがあり、私たちのチャンネルは、抵抗に関するアイデアを循環させ、共同で調整するためのプラットフォームだということです。現在、親密なグループの立ち上げ方について、新たなインストラクションを準備しています。多くの人が尋ねてきます。「どうすれば参加できますか?この町やこの都市に誰か知り合いはいませんか?私たちは彼らを組織しているわけではなく、彼ら自身が組織するべきだと思うのです。

●ロシアや他の国で、フェミニストが反戦運動の先頭に立つのはなぜだと思いますか?

第一の理由は、ロシアの文脈に関係しています。フェミニスト運動は政治運動とみなされず、他の政治運動のように弾圧されることもありませんでした。フェミニストは政府から相手にされていなかったのです。政治的な状況を見れば、アナキストやナヴァルニー支持者など、他の多くの政治団体はとっくに弾圧されています。私たちフェミニストは、国家から、パフォーマンスをしたり、講演会やフェスティバルを開いたりしている変な女の子としか見られていなかったのです。プッシー・ライオットで十分だと思われていたのかもしれません。フェミニストに対する弾圧は、ユリア・ツヴェトコワYulia Tsvetkovaが絵を描いたことで投獄された事件もありますし、私たちも何度も警察から嫌がらせを受けましたが、おそらくフェミニスト運動はそれほど標的にされていなかったのだと思います。私たちが反戦レジスタンスを組織する以前は、フェミニズム運動はあまり組織化されていませんでした。全国各地にフェミニストグループがあり、かろうじて協力し合っている状態でした。いろいろな団体を通してたくさんの人が関わっていたにもかかわらず、これほど統一された運動はなかったのです。このフェミニストの反戦抵抗のポイントは、全国のこうしたフェミニスト・グループの自律性を私たちの強みにすることでもあるのです。なぜなら、誰が行動しているのかを把握することが難しくなったからです。

その第二の理由は、軍国主義やあらゆる種類の暴力に対するフェミニストのかなり明白な抵抗です。ロシアで家庭内暴力禁止法や、性的暴力やハラスメントに対するサバイバーの権利のために闘っていた私たちにとって、この戦争と暴力は、私たちが目撃し、闘ってきた家庭内暴力の継続であることは、ただただ明白なことなのです。まず第一に、戦争は、全く異なる力学を持ちながらも、8年間続いている。さらに重要なことは、戦争は終わりと始まりがあるような個別の出来事ではないということです。戦争は、私たちが生きている家父長制暴力の集大成、クライマックスに過ぎないのです。フェミニストである私たちにとって、この戦争は私たちが闘ってきた暴力の一部であり、これからも闘い続けることは自明でしょう。

●女性の身体は征服の暴力にさらされていますが、この戦争には象徴的な意味合いもあります。プーチンが、自由になりたいと願うウクライナを罰しているという事実が、父や夫が自由になりたいと願う娘や妻を罰するのと同じように。

まったくその通りです。プーチンは、一家の長、家長というペルソナを作り上げてきましたが、今回の戦争でそれがさらに強まりました。彼の最も皮肉な仕草は、ブチャにいた兵士を賞賛したことです。これはどういう意味でしょうか?それはつまり 「そうだ、我々はやったのだ、そこでやったことを誇りに思う」という意味です。つまり、レイプや拷問、非常に残酷な暴力によって、まったく罪のない人々を罰し、ロシアの宣伝家が言うところの「浄化」を行い、たまたまプーチンが望む以上に自由を手に入れた人々を罰するということです。彼は政治の世界でさえもこのような行動様式をとっているのです。

●また、戦争から逃れてウクライナの国境を越えた女性たちは、中絶の自由の制限や嫌がらせといった形で、家父長制の暴力に遭遇しています。海外のフェミニストとのつながりはありますか?

戦争は、私たちが住んでいる家父長制をあらゆる側面から浮き彫りにしています。中絶を必要とするウクライナ人女性のための非公式な支援組織が、海外でもポーランドにありますが、永住許可や健康保険なしで中絶することがそれほど簡単ではない他の国にもあります。中絶のほかに、彼女たちは人身売買の危険にもさらされていますが、これにも私たちは取り組んでいます。必要に応じてさまざまな団体と協力し、人身売買や性的搾取を避けるための資料をウクライナ語やロシア語で提供しようとしています。多くのNGOは、単にこの問題を認識していないだけなのです。ポーランドやベラルーシの団体と協力し、情報を発信しています。

●ロシアの状況に話を戻すと、戦争に対する抗議は他にどのようなものがありますか?

抗議の種類は実にさまざまです。それまで政治的な声明を出さなかった専門家集団が、戦争が始まると活発になりました。アニメーター、映画監督、ジャーナリスト、教師、建築家、科学者、IT技術者、音楽家など、さまざまな職業集団から多くの署名活動が行われました。それは、多くの人々が、自分たちは協力し、集団行動を起こすための何らかの根拠を見つける必要があり、その可能性を自分たちの職業的アイデンティティに見出した瞬間であり、印象的で期待に満ちたものでした。しかし、残念ながら、検閲の高まりとともに、こうした取り組みが見られなくなりました。これらのグループがすべて消滅した後も、ロシア労働総同盟(KTR)は活動を続けていました。労働組合「教師」は署名を集め、何千人もの教師が署名しました。これはロシアの近現代史における特異な瞬間です。なぜなら、学校の大半が国営であるため、教師は集団として雇用の安定に関して非常に脆弱であるからです。もう一つの非常に活発なグループは学生です。彼らは多くのイニシアチブを実行し、他の労働者のイニシアチブを支援しようとしています。例えば、昨日(4月19日)、タクシー運転手のストライキがありましたが、学生たちはこのストライキを支援する呼びかけを行いました。また、大学の教員に戦争反対の立場をとるよう呼びかけるアピールを出しました。私たちが協力している反戦病欠の会anti-war sick leave groupにも協力してくれました。このように、さまざまな反戦運動が緊密な網の目のように張り巡らされ、互いに協力し合いながら、さまざまな政治的戦術をとっているのです。

●経済制裁は、現在ロシアの人々にどのような影響を与えていますか?

特に自動車産業では部品が不足しているため、すでに数千人が操業停止状態です。多くの企業が閉鎖され、モスクワでは今後数ヶ月で20万人以上の失業者が出ると市長は言っています。私の母は学校で働いており、紙に関するあらゆる最新情報を追っています。紙はフィンランドから輸入した材料で生産されているため、今は大赤字なのだそうです。紙が足りないから国家試験を中止するかどうか議論しているそうです。出版社も大変です。戦争前もそうでしたが、政府が教科書を書き直すプロジェクトを立ち上げて、印刷所を全て独占し、紙を使いまくって何千万部も学校用マニュアルを刷ったことがありましたから。果たして、彼らはこの教科書の印刷を終えることができるのだろうかと、私は気になっています。さらに、インフレが進行しています。様々なデータによると、ジャガイモ、ニンジン、キャベツ、タマネギといった基本的な物資の価格は、ここ数ヶ月で40%から60%にまで上昇しました。戦争が新たな局面を迎える前から経済危機には陥っていましたが、今はさらに悲惨な結果になっています。

●あなたは「戦争に反対する恒久的な集まり」の一員として、国境を越えた平和の政治を推し進めていますね。なぜ、国境を越えた反戦の協力が重要だとお考えですか?

私たちの究極の目標は、帝国主義と資本主義に対抗することですが、これは国境内ではできないことで、それは無謀なことです。国境内で何か新しいものを作ろうというのは無理です。国境を越えた協力は不可欠であり、抵抗の戦術や異なる戦略を交換することも不可欠です。西側にも批判的な人たちがいて、NATOにも常に批判的でしたが、今や彼らもロシア帝国主義がNATOよりも緊急の問題であることを理解しているのです。

●5月1日、「戦争に反対する恒久的な集まり」は、「戦争を打ち負かす」ための統一行動の日を呼びかけ、戦争に反対する私たちの国境を越えたつながりをアピールしています。この行動日にどのように参加し、支援する予定ですか?

鳩に餌をやって通りや広場を占拠したり、公式の祝典を阻止したりすることも考えられます。

下訳にDeepLを用いました。

反戦メーデー。 ロシアで、戦争ではなく鳩に餌をやるストライキを

以下は、Trans-national Strike Infoのサイトに掲載されていた英語からの翻訳です。

反戦メーデー。 ロシアで戦争ではなく鳩に餌をやるストライキを
2022年4月27日

戦争に反対するフェミニスト

ロシア語

5月1日、12:00から16:00

5月1日、労働者メーデーに、私たちの労働が本当に価値あるものであることを思い出し、実感してください。ストライキ!
そして「平和」と名のつく広場や大通り、その他の街のオブジェのあるところに出かけ、ハトに餌をやり、同じ志を持つ人々と出会い、自分の仕事を振り返ってみてください。

なぜストライキなのか?

ストライキは、連帯と支援のための教訓です。共に行動する能力を鍛え、システムの再生産に自分がどう寄与しているかを振り返る方法なのです。ストライキは、未来が入り込む日常生活の裂け目です。労働の流れから外れ、いつものリズムを壊すことで、自分の仕事(有給、無給)がどのようにシステムの再生産に影響を与えるのか、その速度を減速させるために何ができるのかを理解する機会を作るのです。ハトに餌をやる仲間に会うことで、抵抗するための新しい方法を考え出すことができます。

ロシアでは、デリバリークラブの宅配便、ゴミ収集車の運転手、M-12高速道路の建設業者、ディベンスカヤ圧縮機場の労働者がストライキを行っています。ロシアでは独立した労働組合のリーダーが迫害されています。宅配便労働組合の共同議長であるキリル・ウクラインツェフの自宅が夜間捜索され、反戦を理由に解雇された人々もいます。連帯を示すためにストライキを起こそう ! 5月1日に鳩に餌をやりに出て、同盟者を見つけ、自分なりのストライキの方法を考えよう。

休みの日にどうやってストライキをするんだ?

毎日、私たちは働いています。仕事に行き、勉強し、国の機関や民間企業で働き、経済が機能するプロセスに関与しています。しかし、多くの人は子どもの頃から、自分の労働は何の意味もなく、大きな機械の小さな歯車に過ぎないという考えを教え込まれています。あるいは、仕事をすること自体が美徳であるとも。ストライキは、現在の政治的空白状況の中で、私たちの無意味さに対して異議を唱え、私たちの強さと主体性を確認するための方法です。

そして、もう一つの種類の不払いでかつ目に見えない労働があります──それは、家事労働です。料理、掃除、子供や 高齢者の世話、愛する人の世話をする幾千もの実践、これは多くの女性が一生のうち23年間も余分に労働する大仕事です。もし女性たちが少なくとも1日、この仕事を中断したり減らしたりして、家事を拒否し、休息、コミュニケーション、抗議行動、解放のための実践に専念するために、自分たちのための1日を確保したらどうなるでしょうか?女性たちが、これは労働であり、賃金が支払われるべきものだと主張したらどうでしょう?

自分の労働を可視化するために、労働を止めよう。戦争ではなく、鳩に餌をやるのです。そして、この無為な活動のあいだ、サボタージュの実践について考え、同じ志を持つ人々に会うこともできます。

今年の5月1日には、世界の多くの国で政治的ストライキが行われますが、私たちはこれに参加するための独自の形も提案しています。技術的には職場でのストライキよりシンプルですが、新しい人脈や支援ネットワークを作ることができます。ストライキを学ぼう!」。

多くの人にとって、たとえ1日でも家事や介護を放棄することは特権であることを私たちは理解しています。しかし、多くの女性にとって、他の親族が戦争、性差別、暴力を支持しかねない家庭という空間では、それはとても難しいことであることも、私たちは理解しています。もし、この日に家を出る機会があれば、自分の事を他の人に移し、私たちのアクションに参加し、屋外で時間を過ごしてください。怠けることは時に最も実りある時間なのです。

なぜ鳩に餌をやるのか?

不条理なストリートアクションの一種としてのハトの餌付けは、2019年、選挙における無所属候補を支持する抗議活動の際にロシアで定着していきました。多くの都市で、人々は粟を手に街頭や広場に繰り出し、そこで同じ志を持つ人々と出会い、その過程でコミュニケーションを図りました。私たちは、世界の鳥に餌を与え、戦争に餌を与えるな!このような形を思い起こすことにしました。

女がやめれば、世界は止まる!

Telegram: https://t.me/femagainstwar

ロシア反戦運動:抗議をよりわかりやすくするには?フルガイド

以下は、さきに紹介したロシア各地の反戦運動のアクションを紹介しているサイトに掲載されている抗議アクションのノウハウをまとめたもの。逮捕などの弾圧のリスクや、多数派が戦争賛成とみなされている社会のなかで、街頭にでて戦争反対を訴えるには勇気がいることだが、やれる方法をたくさん提案している。しかも単に提案していくつかの実際の行動を紹介するだけでなく、グラフィティであれば、ステンシルのテンプレートを何種類も用意したり、実践へのハードルを低くする工夫がなされている。ロシアの運動への弾圧は厳しいということばかりが日本でも流布してしまっているが、実はもしかしたら日本の方がロシア当局よりずっと厳しい弾圧体制が敷けるような法制度をもっているのでは、とも感じるところがある。グラフィティはとくに厳しいだろうし、社会運動のなかでグラフィティの文化が脆弱でもある日本のばあい、ストリートをとりもどすこととネットを駆使することを有機的に繋ぐことが重要だと思う。この点で、ロシアの反戦運動はこの両方を繋ぐなかで、とくにネットによるオルタナティブな情報へのアクセスの少ない層(高齢者が多いともいわれている)へのアプローチの重要な場所として実空間でのアクションがあるということだとも思う。


抗議をよりわかりやすくするには?フルガイド
春のムーブメント2022年3月19日

抗議は、集会だけでなく、いろいろな方法で行うことができます。それらを集めてみました。

  1. リボン

グリーンリボンは、SNSを中心に広く浸透している反戦運動のシンボルです。ロシアのすべての都市で、人々は抗議するために利用可能なすべての場所でリボンを結んでいます。

一緒にやろう! リボンを自分自身や、電柱、フェンス、木など、街のどこかにつけてください。リボンは犯罪ではない、ということを再認識しましょう。リボンやバッジ、服に描かれた文字が理由で呼び止められたとしても、何の罪にも問われません。このような行為は禁止されていません。

  1. リーフレット、ステッカー

反戦運動の重要な課題は、プロパガンダによる情報封鎖を解くことです。その方法のひとつが、リーフレットやステッカーです。プリントアウトして配布できるテンプレートも用意しました。

重要:ビラを印刷することは犯罪ではありません。ただし、自分のプリンターで印刷するか(必ず友達と共有してください)、信頼できる印刷屋さんを探してみてください。

配布の仕方もいろいろあります。

  • 自分や近所の家の玄関先のレターボックスにチラシを配布する。
  • 建物の近くや中にある案内板に貼る。
  • 近所の車のワイパーの下に入れておく。
  • Zや 戦争賛美のプロパガンダバナーにも貼る。
  • 歩いているとき、地下鉄に乗っているとき、バッグに貼り付けてください(要注意)。

また、ステッカーは自分で作ることもできます。とても簡単で、白紙のラベルを注文して、マーカーペンで反戦スローガンを書き込めばいいのです。

もしあなたがプリンターを持っていて、リーフレットやポスターをもっと印刷できるのであれば、ぜひ印刷し、友人と共有してください。

  1. グラフィティ

グラフィティは、効果的で簡単なキャンペーン方法です。目立たないようにやっても、何百人もの人の目に留まるのです。では、グラフィティはどのように作ればいいのでしょうか?

テンプレートをダウンロードし、家庭用プリンターで印刷(できれば厚紙に)、輪郭に沿って文字を切り抜く(厚紙の裏にカッターナイフを使うと最も便利)-これで、落書きテンプレートの出来上がりです。

-グラフィティを行う場所と時間を決めます。夜にやるのがベスト。ただし、日中に多くの人が集まる会場で。舗道、歩行者専用道路に面した家の前面、中庭につながるアーチなどが良い。

グラフィティをする場所は、可能であればきれいにしてください。そうすることで、よりスムーズに作業ができるようになります。

グラフィティを行う。スプレー塗料、自動車用塗料、エコ塗料、チョーク、チューブや缶に入ったアクリル絵の具でできます。自宅にある場合もあれば、ショップやドラッグストアで安価な染料を購入することも可能でしょう。

かっこいい!

  1. ポスター、バナー

窓際、ベランダ、橋など街中にバナーやポスターを貼る。

不要なシートと絵の具、カラースコッチテープや緑の紙で作ってもOK!

  1. 紙幣

また、お札に反戦のスローガンを入れるというのも面白い方法です。手にする前はこんな感じだったと、必ずわかるはずです。

  1. 反戦の値札

反戦の値札は、プロパガンダに最も弱い聴衆にアプローチする数少ない方法です。平凡なものを非凡なものに置き換えることで、この国の隅々にまで戦争が及んでいないことはないのだということを示すのです。

リンク先で模型をダウンロードしてください。

注意事項

  • 自宅の近くやよく行くお店には値札を置かないようにしましょう。
  • カメラの真正面に立たないこと。
  • 目立たない服装で、マスクをつけてもよい。
  • 他人の注意を引かないようにする。
  • 1つのショップに値札を置きすぎないこと。
  • 値札を残すためだけに来店してはいけません、ポイントカードを使用してはいけません。
  1. サイレント・ピケッティング

また、サイレント・ピケットという抗議の方法もあります。歩いているときや地下鉄に乗っているときに、服やバッグに貼っておくことができます。気をつけて!

  1. おもちゃのピケ

さらに安全なピケ、つまりおもちゃのピケを持つことができます。以下はその一例です。

  1. “Mariupol 5000 “と “Bucha – Remember, Don’t Forgive”

マリウポリでの恐ろしい出来事を知ったフェミニスト反戦レジスタンスは、死者を追悼する行動「マリウポリ5000」を発表し、自宅の庭に手作りの追悼十字架を設置するよう呼びかけました。

アクション「ブチャ~忘れないで、許さないで~」のお知らせです。

そこで行われた残虐行為は、忘れることも許されることもない。戦争を否定する人たちは、毎日、戦争を思い起こさせるものを見るべきです。

ぜひ、ご参加ください。ウクライナ全土の死者を追悼するため、自宅の中庭に手作りの記念碑を設置しましょう。十字架、棺桶、花輪、花、そして死者に関するポスターなどです。

  1. プロパガンダを台無しにする

当局は戦争支持のパブリックキャンペーンを展開し、新しいシンボル(ZとV)を使ってまで一般市民に訴えようとしています。このような視覚的なプロパガンダには、あらゆる手段で対抗することをお勧めします。

こんな感じ。

そして、これも

ビラやZレターなど、戦争推進のプロパガンダを破り捨てる。そのリスクを判断しましょう

  1. 反戦を訴える本を公共の場に置くこと

活動家たちは、反戦のポストカードを挟んだ本を公共スペースに置いておくという、興味深い行動をとっています。やってみませんか?

  1. 木に反戦の文字を書く

これは消すのが難しく、木へのダメージもほとんどありません。

  1. 反戦の看板を立てたり、記念碑のそばに花を供えたりする。

フェミニスト反戦レジスタンスは3月8日に献花行動を開始しましたが、今でも人々は記念碑や慰霊碑に花を持って行っています。

今ロシアにいるすべての人に、ロシアのほとんどの都市にある大祖国戦争で亡くなった人の記念碑に花を供えることを呼びかけます。

プーチンとその側近が繰り広げた戦争によって殺され、今もなお殺され続けているすべての人々を思い起こそう。戦争犯罪、ウクライナで破壊されたすべての家、学校、幼稚園、そして、逃れたものの、戦争によって人生を完全に破壊された人々のことを思い起こそうではありませんか。この思い出を一緒に守っていきましょう。

  1. 独立系メディアのリーフレットを配布

検閲や封鎖により、戦争に関する真実の情報を得ることはさらに難しくなっています。多くの人にとって、唯一のニュースソースはテレビであり、テレビを通して当局が全開で視聴者にプロパガンダを浴びせています。

独立系メディアのリンクを広めることは、これまで以上に重要です。これは手作りのリーフレットで可能です。

  1. ピケットラインに参加する

ヴェスナが立ち上げたメトロピックと地区でのアクションを思い出してください。

  1. もしあなたの街に地下鉄があるなら、都合の良い日の19時に、反戦のプラカードを持って最寄りの駅に降りましょう。ラッシュアワーでは、15分もあれば何百人もの人に見られますので、あまり長居はしないようにしましょう。
  2. もしあなたの街に地下鉄がなければ、毎日19時に近所の一番混雑している場所にポスターを持って出かけてみてください。通行人と対話し、戦争の真実を伝えましょう。

注意すること、警察を避けること、マスクを着用すること。重要なメッセージや ポスターは、自分で作ったり、アーカイブで探したりして、勉強しましょう。

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出典:https://telegra.ph/Kak-sdelat-protest-zametnym-Sobrali-vse-sposoby-03-18

付記:DeepLを下訳に使いました。