意味と搾取第五章が公開されました

青弓社のウエッブで連載している「意味と搾取」第五章が公開されました。この第五章でとりあえず連載は終了の予定です。以下は、あらためてこの連載の趣旨と第五章の目次のみ紹介します。本文は下のリンクから青弓社のウエッブにアクセスしてお読みください。

この連載の問題意識は、監視社会批判ですが、この批判の中心的な課題として、諸個人の意識の有り様そのものと、権力(つまり諸個人を自らの意思の下において自由に操作しようとする政治や資本の力)の関係を再定義してみたい、というところにあります。権力が目指す個人に対する究極の制御は、個人の意思や情動を直接何の媒介もなく支配下に置くことです。これは不可能な夢になりますが、20世紀以降の資本主義は、膨大な個人のデータを収集するという手法を通じてこの夢を実現しようとしてきましたし、この悪夢をかなりの程度まで実現しうるような可能性を獲得しつつあるように見えます。

私たちの抵抗や異議申し立ての意思は、私の内面にある価値観や感情や経験など様々な要因から組み立てらている「私」が、外部とのコミュニケーションのなかで受けとるメッセージとの間で生まれるものといえます。これに対して(政治的経済的な)権力は、こうしたコミュニケーションがもたらす摩擦を回避して、外部からの介入であるにも関らず、それがそもそも自分自身の内面からのものだと誤認させるような仕組みを通じて、人々の意思や情動を支配することができれば、民主主義的な合意形成や自由の権利と抵触することなく、コミュニケーションの摩擦は回避されるか最小化できると考えてきました。資本主義のコミュニケーション技術は、こうした方向をとって「発達」してきたと私は考えています。私は、この摩擦の回避の回路を「非知覚過程」と呼んでいます。この非知覚過程は、私たちの知覚域の外部で作用したり、知覚過程にある言葉や視覚イメージに密かに組み込まれたりします。

こうした非知覚過程が、コンピュータによる膨大なデータ処理を背景としたAIの技術に依存している、ということがもうひとつの重要なテーマになります。これまで、コミュニケーションについて議論する場合の典型的なモデルは、二人の人間が言葉や身振りを通じて意思疎通しようとする場面で生じる現象の分析だったといっていいでしょう。読書をするという場合でも、書かれた文字の背後には、この文字を書いた誰かがおり、その誰かが、ある文章を書くばあいでも、その発想の背後には更に誰か他の人の影響があったりする、というように、コミュニケーションを支える知識の源泉には人間が存在するはずだと、想定されていたと思います。しかし、ChatGPTのような対話型のボットの回答をオウム返しにして、誰かと話をするとき、この発話の源を遡っても、そこには人間はいません。存在するのは膨大なデータの蓄積と、これを処理するアルゴリズムであり、これらには対話が前提とする言葉の意味にあたるものがない、のです。しかし、相手がChatlGPTをおうむ返しにして話しているのかどうかは私には判断できません。同じように、書かれた文章についても、それが人間のものかどうかは判断できないのです。こうした事態がむしろ常態になりつつあるなかで、人間の意識や心理が、こうした状況に影響を受けることは明らかでしょう。こうなると、人間の意識や情動を対人関係だけで語ることはできない、ということになります。このやっかいな問題は、私たちの世界観や価値観が人間相互のコミュニケーションによって構築される、という前提をもはや当然のことにはできなくなった、ということをも意味しています。社会を変革する実践に不可欠な人間相互のコミュニケーションの信頼性や議論を通じた合意形成といった政治過程それ自体が、この非知覚過程を通じて、大きく歪められていることを踏まえる必要があると思います。この時代にあって、私たちは、この窮屈で抑圧的な世界からの開放/解放を従来通りの戦略で乗り切れるのかどうか、こうしたことを考えるためのささやかな試論として書きました。

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第5章 パラマーケット/非知覚過程からの解放の条件

小倉利丸

目次
序章 資本主義批判のアップデートのために
第1章 拡張される搾取――土台と上部構造の融合
第2章 監視と制御――行動と意識をめぐる計算合理性とそこからの逸脱
第3章 コンピューターをめぐる同一化と恋着
第4章 パラマーケットと非知覚過程の弁証法――資本主義的コミュニケーション批判
第5章 パラマーケット/非知覚過程からの解放の条件

[第5章構成]
5-1 国家とパラマーケット
    ・マスメディアの時代と何が違うのか
    ・無意識の再編成としてのデジタル文化空間
    ・資本と国家の共同作業
    ・プラットフォーマーによって助長される敵対要因
    ・[補遺]市場の匿名性を市場が奪う
5-2 コミュニケーション労働と非知覚過程
    ・コミュニケーション労働の形式的包摂から実質的包摂へ
    ・コミュニケーション労働とデータ化する「私」
    ・デバイスとアプリと身体性
    ・自転車に乗るロボット
    ・非知覚の基本的な構造
    ・隠された過程と非知覚過程
5-3 資本と国家による意識の実質的包摂――資本主義のユートピア、私たちのディストピア
    ・さらにその奥にあるフロンティアとしての無意識
    ・非合理性という問いと社会の構造的一貫性

(AngryWorkers)ウクライナの革命的労働者戦線(RFU)の仲間とのインタビュー

(訳者解説) 以下は、ドイツで開催された集会にオンラインで参加したウクライナのマルクス・レーニン主義のグループ、革命的労働者戦線(RFU)へのインタビューと質疑をAngry Workersのサイトの英語から訳したもの。もともとは、ドイツのRevolutionare Perspektiveの仲間たちが企画した会議の模様を文字起ししたものだ。私はこのRFUというグループについてはウエッブで公開されている情報以上のものはもっていない。訳した理由は、ウクライナで明確にマルクス・レーニン主義を標榜して活動するグループを知らなかったからでもある。RFUは2019年に結成されたばかりの新しい組織だ。ウエッブの紹介ではマルクス主義の普及と将来の労働者の党の建設を目指しており、社会的・経済的平等、賃労働者の権利、進歩的な社会を目指すとあり、ある意味でひじょうにオーソドックスな左翼組織だ。ここに訳出したのは、彼らが、ロシアとウクライナの戦争を「帝国主義戦争」と位置づけて、ロシアにもウクライナにも与しないことを明言していること、特にウクライナ国内で明確に自国政権の戦争を批判する活動に取り組んでいるのは、「脱共産主義化」をめざす――これはロシアと共通している――ウクライナではかなり困難な立場だが、もともとマルクス主義の原則からいえば、プロレタリアートには祖国はなく帝国主義に対峙する立場を明確にすれば、RFUのようなスタンスになるだろうと思う。私はマルクスを含めてマルクス主義の系譜に多くを負ってはいても、それだけではないので、私自身の考え方とは違うところもある。また。私は、戦争への反対についても、帝国主義戦争を含むあらゆる戦争=暴力による解放とは異なる解放の回路を模索したいと思っているので、彼らの問題意識とは異なるところもあるのではないかと思う。とはいえ、ウクライナの労働者階級あるいはプロレタリアートも一枚岩ではなく、戦争に対しても多様な主張があることを知ってもらう上でも参考になると考えて訳出した。

Junge Weltによれば、開戦1年目にあたる2月下旬に、ドイツのローザ・ルクセンブルク財団は、ドイツにいるウクライナのアナキストのセルゲイ・モウツシャンと雑誌『コモンズ』の編集者オクサナ・ドゥチャクを招いての集会を企画しているという。二人ともこの戦争をロシアに対するウクライナ独立の民族闘争と位置づけてウクライナ軍への支援を呼びかけている。ウクライナでは左翼、アナキスト、労働組合、中産階級、極右が渾然一体となって最前線にいるという。ドイツの左翼も上述のローザルクエンブルク財団などがウクライナ支援の立場をとり、以下に訳出した集会を企画したRevolutionare Perspektiveなどはロシアにもウクライナにも与しない立場をとり、対立がはっきりしている。日本も同様なので、情勢認識や世界理解の根源的な立ち位置がどこに暮していても問われる事態になっている。戦争が身近な状況になればなるほど、戦争を招き寄せるグローバルな国家と資本の磁場から非戦や絶対平和主義によって身を引き剥がすことを目的意識的に追求することがますます重要な課題になっていると思う。(小倉利丸)

2023 年 3 月 5 日

AngryWorkersによるイントロ。

2023年2月21日にベルリンでRevolutionare Perspektiveの仲間たちが企画したこの会議の音声記録を書き起こし、翻訳した。私たちはRFUについてはほとんど知らない。彼らがマルクス・レーニン主義者であると自称していることから、政治組織の役割に関しては、私たちとは異なる意見を持っているかもしれない。しかし、このインタビューは、ウクライナにおいて、どちらの陣営を支持することも拒む戦争に対する抵抗があることを示していると私たちは考えている。「当初は社会排外主義的な立場だったにもかかわらず、前線に出たことで自分の立場を考え直した友人もいる」と書かれているのは、心強いことだ。この地域の仲間たちは、ロシアであれウクライナであれ、「国益を守れ」という声が主流となる中で、その流れに逆らって立ち上がるという難しい課題を抱えている。このインタビューは、あらゆる困難にもかかわらず、国際主義的な階級闘争に基づいて介入する機会を見出そうとする仲間たちがいることを示すものである。

Revolutionaere Perspektive(ベルリン)によるイントロ

今日のテーマは、戦争に関するウクライナの左翼の立場です。昨年の2月24日、ロシアによるウクライナへの攻撃が始まりました。それ以来、双方で何千人もの兵士や民間人が殺されています。これは権力、勢力圏、資源をめぐる帝国主義戦争です。ウクライナは、ロシア、米国、EUの大国が関心を抱く国です。NATOはウクライナにこれまで以上の重火器を供給し、代理戦争を行っています。左翼の戦争に対する立場は、ここドイツだけでなく、ウクライナでも矛盾したものになっています。今日は、ロシアの攻撃的な戦争とウクライナ政府・NATOの両方に反対するマルクス主義組織「革命的労働者戦線(RFU)」の仲間を招待しました。彼らは首尾一貫した階級的立場をとり、民間人への支援を組織しています。

(…)

RFUからDimitriとRomanoを迎えました。あなた方の組織について教えてください。いつ設立されたのか、何をやっているのか、政治的な目標は何なのでしょうか。

RFUはマルクス・レーニン主義の組織で、2019年末に学校と大学生のTelegramチャンネルで結成されました。2020年、パンデミック中に、現在の形の組織を構成しました。2020年から2021年にかけて、私たちはYouTubeチャンネルとウェブサイトを立ち上げ、多くの政治イベントを開催し、より多くの人々を結集しました。戦争が始まる直前には、ハリコフで団体交渉問題に関連した抗議活動を行い、右翼の参加を阻止しました。戦争が始まった2022年には、多くの民衆がより政治的になり、教育的なイベントを企画したり、労働組合を支援したりする機会が生まれました。私たちは、主に労働者や学生のための法律相談を通じて、民間人を支援するようになりましたが、兵士のための相談も行っています。マルクス・レーニン主義の党を作ることが主な任務だと考えています。

現在のウクライナ戦争の主な理由は何だと考えていますか?

ウクライナの領土で行われている帝国主義戦争です。ウクライナに武器を提供するNATOによる戦争です。NATO諸国は勢力圏を拡大したいし、ロシアは影響力を失いたくない。経済的、政治的な理由もあります。ロシアはNATOの拡大を望んでいませんでしたが、戦争によってNATOの拡大がスカンジナビア諸国の加盟によって加速されただけだったということがわかります。領土に関しては、クリミアはロシア連邦の黒海海軍が駐留しているため、大きな重要性を持っています。そのため、クリミアは直ちに併合され、ドンバスの他の地域は二の次になりましたが、これが戦争が長引いた理由です。2014年以降、西側諸国はこの地域に武器を供給し、ロシアは輸入代替品を探しながら経済的に戦争に備えました。もしロシアが戦争に勝てば、労働力と資源の大きな市場、資本を蓄積するための領土を手に入れることができ、西側を弱体化させることができます。また、ウクライナは西側の兵器のテストケースであることが明らかになりました。

戦争が始まってから、労働者階級はどのような状況で、どのような権利の攻撃に遭っているのでしょうか。

戦争が始まって以来、労働者の権利は常に侵害され、状況は悪化しています。例えば、ストライキは禁止され、労働者は抵抗する権利もなく賃金を下げられ、解雇も容易になり、労働組合の活動も抑制されています。ウクライナでは高水準のインフレにもかかわらず、賃上げが行われていません。労働組合の残党たちは、使用者の利益のために活動しています。船員の労働組合が抗議したこともありましたが、すぐに阻止されました。失業率の高さも大きな問題で、現在、その割合は30%に達しています。人々は、どんなに条件が悪くても、どんな仕事でも続けたい、受けたいと願っています。また、仕事中に軍事攻撃を受けるリスクも高くなっています。例えば、ショッピングモールが砲撃され、従業員が爆撃から隠れるために退去するのが間に合わず、多くの従業員が被弾してしまいました。

ウクライナ防衛を支持する発言をするアナーキストグループなどの立場についてはどう思われますか?ウクライナの左派のさまざまなセグメントの立場はどうなっているのでしょうか?皆さんは誰と連携しているのでしょうか?    

RFUは最大のマルクス・レーニン主義者のグループです。Social Movementのように、社会排外主義の立場をとり、右翼と協力し、ウクライナ政府を支持する組織もあります。私たちはウクライナに多くの同志はいませんが、ヨーロッパの他の地域の人たちとの協力があります。アナーキストは奇妙な立場を採用し、戦争開始時からウクライナ政府を支持し、政府の味方につくことで労働者階級を裏切りました。また、ウクライナのアナーキストが政治的に独立していないことも示しています。当初は社会排外主義的な立場でしたが、前線に出たことで、自分の立場を見直した友人もいますので、今後、彼らと協力できることを望んでいます。

戦争を止める、あるいは戦争を終わらせるために、どのような可能性を見出していますか?     

難しい質問ですね。どちらが戦争に勝つかを判断するのは難しい。ウクライナ軍は、例えばケルソンで、直面している大軍に対していくつかの戦いに勝利しています。しかし、ロシア軍は失った領土を取り戻そうとするでしょう。ウクライナ軍は、武器の供給が続く限り、自衛を続けるでしょう。この点で、ウクライナは完全に西側に依存しています。ウクライナで人々が戦い、死んでいく限り、戦争は続くことになるでしょう。これは、どちらの資源が最後まで持つかという消耗戦のようでもあり、現状では膠着状態です。

ウクライナ兵の脱走はいますか、また、どの程度いるのでしょうか。

西側からの支援にもかかわらず、前線の状況はひどく、損失も大きいので、多くの脱走兵がいます。結局、労働者のために何もせず、むしろ彼らの状況を悪化させる国家のために死にたいと思う人はそれほど多くはないのです。国会議員や外国語を学ぶ学生は軍隊への徴兵が免除さ れますが、それでも出国は禁止されています。多くの人が書類を偽造して、自分はボランティアや介護者だから兵役は免除されると証明しようとします。徒歩で出国しようとする人たちも多い。ゼレンスキーは「誰でも自由に出国できる」と言いますが、それは本当ではありません。私たちの知人にも前線にいた者がおり、なかでもドンバスの将校は、追跡が難しいので脱走は比較的簡単だと言っていました。もちろん、政府はそのようなことは言いません。脱走や軍の上官の命令に従わないことを厳しく罰する新法もあり、人々の間では戦意が急速に低下しています。裁判所は今、より軽い判決を下すことを禁じられています。

ドンバスのいわゆる人民共和国は、マイダン2014の後に独立を宣言し、現在は併合されていますが、どのように理解されているのでしょうか?

左派の人々の中には、ドンバスの共和国は何らかの意味で進歩的で、住民の利益になると考えている人もいますが、そうではありません。これらの共和国は極めて親ロシア的で、ロシア連邦の傀儡です。マイダンの反動で設立されましたが、人民共和国と呼ぶのは間違いです。なぜなら、その設立は民衆とはほとんど関係がなく、ロシアに利用されているだけだからです。ロシアにとっては、安い労働力を得るためのもう一つの市場なのです。共和国が併合されて以来、ロシアは共和国に投資しています。しかし、ロシアは共和国を戦争行為のための実験場としても使っています。共和国が設立された当初は、左翼の人々が参加していましたが、共和国の政府は、進歩的な思想が広まるのを阻止し、ロシア帝国主義の利益のために行動するためにあらゆる手段を講じています。真の左翼は、帝国主義者の経済的基盤や政治的立場に反対し、帝国主義者に協力することはないでしょう。共和国の左翼活動家の中には、刑務所に入ることになった者もいれば、失踪した者もいれば、殺された者もいます。共産党は禁止されました。これは、共和国が反動的に行動していることを示しています。ロシア国家は、ドンバスにはロシア人しか住んでいない、それがプーチンのイデオロギーだ、ウクライナは独立国家ではない、と言っています。しかし、ドンバスにウクライナ人がいないと言うのは間違いです。この地域は民族的に多様で、ロシア人もウクライナ人も大きなシェアを占めていますが、多くはロシア語を話します。統計上、2001年のドンバスの人口の65%はウクライナ人でした。傀儡共和国が設立されて以来、ウクライナ語は公式に排除され、学校からも、文学からも排除されました。共和国には独立性がなく、政府は排外主義的な立場をとり、ロシアのオリガルヒの手によって機能しています。

では、会場からの質問を受け付けます。-

みなさんが行っている活動は、彼らの立場を考えれば、非常に危険であることは明らかです。プーチンは脱ナチスについて語っていますが、言いかえれば、ウクライナ国家内の極右の影響力をあなたたちはどのように見ていますか?  

プーチンは、戦争によってウクライナのナショナリズムを根絶したいと言いました。しかし、事態は悪化するばかりで、人々の反ロシア的な立場が強化されたことを示しています。また、政府も変わってきています。戦争前は政党が分立しているという意味で、普通のブルジョア民主主義でしたが、いざ戦争が始まると、政府の公式路線を支持しない好ましくない人々はすべて職を追われました。ゼレンスキーを中心に、新しいナショナリズムを象徴する一党独裁体制が形成されました。戦争が始まってから、アゾフのような軍事右翼を中心に、ナショナリストの組織が強くなってきました。良い点は、こう言ってはなんですが、彼らが前線で自滅することです。実権を握っているのはゼレンスキーですから、右翼の国家との同盟関係はむしろ不安定です。右翼が影響力を持ちすぎると緊張が高まる可能性があり、ゼレンスキーはそれを防ごうとするでしょう。戦争で右翼に走る民衆が増えましたが、これは長くは続かないだろうと思われます。民衆はイデオロギー的に右翼的ではありません。右翼への支持は、戦争中の恐怖に基づく文化的な現象に過ぎないのです。      

コミュニストとして私たちは、労働者は銃を自分たちの支配者に向けなければならないと言います。NATOとの戦争でロシアを支持するコミュニスト運動の一部は、私たちを左翼急進主義だと非難しています。若い組織であるあなたたちにとって、現在の状況において「銃を向ける」ことが何を意味するのか、教えていただきたい。あなた方の課題は何でしょうか?弾圧に直面しているのでしょうか?

今のところ、大衆は政治活動に参加することができません。左翼的な立場の幅を広げる機会もわずかしかありません。ウクライナでもロシアでも、国家からの弾圧の可能性に直面しています。私たちは非公然で活動しなければなりません。もし情報機関が私たちの身元を知ったら、殺されることはないかもしれませんが――その可能性もあるかもしれませんが――自由を失うことになるでしょう。Social Movementという組織は、今でも公然と活動していますが、情報機関に監視されています。現在の状況を革命的な状況に変えることはできませんが、私たちは、人々の中で、特に兵士たちに呼びかけることに全力を尽くしています。前線ではリスクが大きいので、限られた範囲でしかできませんが、兵士や将校の友人と連絡を取っているので可能です。残酷な状況そのものが、多くの兵士の考えを変えています。

ウクライナでNATOとロシア帝国主義の両方に反対するあなた方のような組織が存在することは素晴らしいことだ、とまず申し上げたい。戦争に反対する世界的な運動を構築するために必要なことです。そこで、あなたは西側帝国主義国家の私たちに何を期待しているのでしょうか。ドイツやロシアの国家に協力しないと言うだけでは、政治的受動性にすぎません。レーニン主義者は、侵略から準植民地を守ると同時に、二つの帝国主義陣営間の戦争では、自陣営の敗北を支持しなければならないでしょう。  

RFUは、海外の同志と協力したいと考えています。私たちの同志の中には、ドイツに住んでいる者もおり、彼らも支援を必要としています。私たちは、ヨーロッパにいるウクライナからの難民との活動を広げたいと考えており、そのためには支援が必要です。しかし主にマルクス主義者は、自国のブルジョアジーを攻撃する闘争組織を構築し、国際的に他の組織と協力する必要があります。

ソ連崩壊後、ウクライナ国家が行った「脱共産化」の試みと、現在の「脱ロシア化」の取り組みとの関係をどう考えているのでしょうか。ある意味、これは階級的な問題を民族的な問題に変えようとする試みですね。

現政権は、ロシアとウクライナの共通の歴史、両国が同じ国の一部であったことを否定しています。この傾向は2014年以降悪化し、ウクライナに蔓延するヒステリックな状態を維持し、民衆を最後までウクライナ国家のために戦わせるためには、こうした物語が必要なのです。例えば、歴史を書き換えるために、多くの通りやモニュメントが改名されています。ソビエトやコミュニストの文献を持っているところを目撃されれば、警察問題に直面します。

ウクライナの人々の間には、戦争を終わらせるために国の東部を放棄する意思があるのでしょうか。民衆はそのような立場を表明し、公に議論することができるのでしょうか。

そのような立場があるとすれば、少数派に限られるので、私たちはこうした立場には出会うことはありません。ほとんどの民衆は、すべての領土を取り戻すまで戦争を続けることを望んでいます。平和を主張する立場は少数派です。

Social Movementという組織について詳しく教えてください。彼らについてはドイツの改革派と急進派左翼の両方が宣伝しており、Rosa Luxemburg Foundationは、ドイツの左翼にNATOの立場を支持するために彼らを利用しています。

戦争以前から、この組織は革命的な戦略に従っておらず、ただ漠然と「労働者の利益を支持する」と述べているだけだったのです。彼らは主に法的助言を提供しています。彼らは、海外の左翼組織と協力していることで知られています。これらは通常、マルクス・レーニン主義組織ではりません。彼らは、ウクライナ政府は民族解放の戦争を戦っているのだから支援しなければならないと言っています。現在、彼らは地域の労働者に対してそれほど大きな支援はしていません。私たちはむしろこうした点で更なる活動をしています。

ロシアのグループとコンタクトがあるようですが、政治的に近いのはどのグループですか?また、ウクライナのどこで活動しているのか、安全保障上の懸念があるなかで、教えていただければと思います。

主にRussian Workers Front(ロシア労働者戦線)と接触しています。ロシアには多くの左翼組織がありますが、協力し合えるような良い立場にあるものは限られています。ウクライナ全土に同志がおり、併合地域を除いたすべての大都市にグループがあります。

「銃を向ける」という疑問に戻りますが、革命的な状況のための党建設の具体的な手順は何ですか?

私たちは、人々の間で高まっている不満や、自分たちが犠牲になっていると感じている兵士たちと関係を持とうとしています。これにはロシアの同志の支援が必要です。それ以外では、教育活動を続け、労働者が独立した組合を作るのを支援しようと努めています。この活動が共産党の結成に役立つことを期待しています。私たちは、労働者とそのストライキや抗議行動を支援できるように、オフラインの活動に重点を置いています。

西側からの武器供給を止めることで、ウクライナ政府を和平交渉に参加させるチャンスはあるとお考えですか?

ウクライナ政府が交渉に応じるとは考えていません。あなた方にできることは、ウクライナ政府に対する闘いを続けることです。武器供給を止められるかもしれない他の国際組織は、現状ではあまりにも弱すぎます。

ブラックメタルの未来に爆弾を落とす。Black Metal Rainbowsをめぐる対話

(訳者前書き)ブラック・メタルはネオ・フォークやノイズとともに、極右、ネオファシストの傾向をもつ文化に侵食される傾向が大きいとみなされることが多いジャンルだが――もちろんこれらのジャンルそれ自体が右翼だということは意味しない――、こうした傾向にシーンの内部から異議申し立てし、反ファシズムの音楽表現としてのブラック・メタルを真正面にかかげた本とコンピレーション、Black Metal Rainbows(e-bookなら8ドル95セント)が登場したことは嬉しい。Rainbowsとあるように、本書は、単なる反ファシズム大衆文化の表明だけでなく、LGBTQ+への強い連帯意識をもって編集されている。

ネオナチや極右にとって、文化戦争は主戦場のひとつだ。とくに大衆音楽は若者をライブイベントや政治集会に動員するための格好の手段として利用されてもきたし、極右の政治傾向をもつアーティストたちがこうした動きと連携する動きがあった。日本のように大衆音楽が脱政治化されることによって保守的なイデオロギーを支える環境のなかで、往々にして、サブカルチャーのなかにある良識や道徳や建前の正しさを嫌悪する感情が極右サブカルへの脇の甘い同調や、ネオナチやレイシズム、セクシズムを深刻なサブカルチャにおける反動・反革命の政治的なモチーフだとは把えずに、表象のかっこよさ――文化表現では重要な要素だ――やファッションとして許容する傾向があるのではと危惧することがある。私はデスメタルやブラックメタルなどのジャンルに詳しいわけではないが、最近の東欧や北欧の極右の浸透とメタルのバンドやファンの動向を気にかけてきた者としては、本書はとても刺激的だ。翻訳がでることを切に願っている。

日本のようにサブカルチャの反支配的文化や反体制のスタイルだけを模倣することを可能にするような場所では想像しづらいが、音楽はそもそもが政治的な表現としても位置づけられてきた多くの国や地域では、音楽文化そもののが闘争領域であり、何を聴くのかは、それ自体が政治的な態度表明にもなる。

私がこの本について知ったのは一昨年ころだと思う。たまたまPMプレスのサイトで予告がでていて、これは買いたいと思って予約したが、刊行年がたぶん1年くらい遅くなったと思う。しかし、本書と同時に出されたコンピレーションは130曲も収録されていて、値段は自分で決める(Bandcampのサイトではよくある手法だ)。ともかくも、130ものバンドが反ファシズムのブラックメタルの企画に賛同して集まったことだけでも快挙だと思う。以下は、以前紹介したAnti Fascist Neo-Folkのサイトに掲載されていたこの本の編集者へのインタビューの翻訳です。(小倉利丸)

ブラックメタルの未来に爆弾を落とす。Black Metal Rainbowsをめぐる対話

Black Metal Rainbowsのことを初めて知ったのは、数年前、彼らが本の資金調達のためにKickstarterキャンペーンを行ったときでした。この本は、ブラックメタルに関する文章のアンソロジーで、ブラックメタルシーンについて、明らかに反ファシズム、反人種差別、ラディカル、そしておそらく最も重要なのは、クィアであるという主張をしている。ブラックメタルは、極右やネオナチのアーティストやファンによって、しばしば汚されてきたという事実にもかかわらず(ネオフォークと同じように)、大規模な反ファシズム運動が勃興し、このジャンルの中心である創造的爆発を左側に引き戻している。

この本はPM Pressから発売され、 Margaret KilljoyやKim Kellyのような人々の素晴らしい寄稿や、美的感覚を超えた過激なアートワークが掲載されている。Black Metal Rainbowsは、ある意味、私たちがやろうとしているプロジェクトのブラックメタル版であり、最も争いの多いジャンルを取り戻しつつある反体制的な声にスポットを当てたものだ。この本の編集者の一人であるDaniel Lukesに、この本の意図、どのようにまとまったか、そして Black Metal と極右の介入主義を経験したすべての「エクストリーム」ジャンルの未来のために闘うことについて話を聞いた。

1: この本のアイデアはどこから来て、何が書かれているのでしょうか?

Black Metal RainbowsProjectは、2002年にイギリスのバンドAkercockeがロンドンで開催した大晦日パーティーを基にした夢として始まりました。

ブラックメタルがパーティーだったらどうだろうというのが、そこから得たアイデアです。そのイベントから何年も経った頃、夢の中で、夕暮れの地中海の丘の上にブラックメタラーが集まっているイメージがあり、グローバルなコミュニティとしてのブラックメタルのイメージが私の中に残りました。その最初のイテレーションが、2015年にダブリンのギャラリーXで開催された「Black Metal Theory Symposium」Coloring The Blackで、ブラックメタル理論という「パラ学術」分野にクィアアップして色をつけることを目的としたものでした。このシンポジウムでは、Drew Daniel (of Matmos/The Soft Pink Truth)が論文「Putting the Fag Back in Sarcofago」をcorpsepaintで読むという印象的な投稿や、「Lord of the Logos」によるcolour-the-logoコンテストなどが行われました。RihannaのロゴをデザインしたばかりのChristophe Spazjdelや、ナチスからの反発(と殺害予告)をたくさん受けた私たち。つまり、いい時代だったのです。

一息ついたら、次はそのエネルギーを一冊の本にまとめようということになりました。2017年に始まり、2023年1月にようやく出版された私たちの本『Black Metal Rainbows』には、エッセイと暴言、マニフェストと告白、グリッターとゴア、アートワークとコミック、デザインと危険性が書かれています。それはブラックメタルへのラブレターであり、ブラックメタルナチスへのファックユーであり、シーンの門番やブラックメタルがどうあるべきかについての退屈で古臭い考えを支持することに従事している人たちに対する中指を立てたものです。ブラックメタルとは、喜び、爽快感、自由、コミュニティ、愛であり、ステレオタイプが信じさせるよりも、はるかに多くのものがあります。そしてBlack Metal Rainbowsは、ブラックメタルの他の次元を祝福するものです。

2: 人々がブラックメタルを誤解しているのはどうしてだと思いますか?

必ずしもいつも間違っているわけではないと思います。ブラックメタルは極端な芸術であるため、その最も極端な要素で知られています。それは、重苦しく凍えるようなシナリオを好むことであったり、悲しいことに、最近ではナチスとの関係であったりします。私たちや他の多くの人々は、ブラックメタルをファシストや保守的な芸術様式に変えようとすることによって、このジャンルを軽蔑し制限しようとする人々と闘い、奪い返すべきものだと考えています。1990年代に育った私は、John Majorと灰色の冴えないToriesが、私の好きなブラックメタルアーティストたちと同じ側にいるなんて、決して信じなかったでしょう。ブラックメタルは宇宙を旅するような大きな夢を描いているのに、その実践者たちの中には、深い偏狭さを露呈している人がいるのですから。ブラックメタル・レインボウは、ブラックメタルが多面性を持っていることを示す試みです。派手で華やかであることもあれば、抑圧や不幸に対するツールであることもあり、コミュニティやケアであることもあるのです。

3: ブラックメタルの新しい過激な世界が出現していますが、どう違うのでしょうか?また、どのようなバンドがその道をリードしているのでしょうか?

メタルのクィアネスは常にそこにあり、ブラックメタルも同様です。 とはいえ、トランス、クィア、左翼、反ファシストのアーティストによって明示的かつ公然と作られたエクストリーム・メタルやブラックメタルの新しい波があるのは確かです。Vile CreatureのKW Campolがこの本の紹介文で言っているように、「ブラックメタルは究極のアウトサイダー音楽ジャンルであり、私たちクィアや変人がその不毛の地に家を建てることは理にかなっている。Black Metal Rainbowsは、ブラックメタルが織り成す強力な反抑圧的バックボーンを記録した、必要なアンソロジーである。

今日のバンドが他と違うのは、今、利害関係があまりにも激しいので、多くのアーティストにとって、政治的なことに口を挟むという選択肢はない、という感覚だと思います。世界的にファシズムが台頭し、資本主義が地球を焼き尽くし、国家権力がトランスやクィアの人々を新たな方法で抑圧し、マイノリティや貧しい人々に対する警察の残虐行為が野放しにされ続けています:未来は暗く、激動に満ちていることでしょう。事態は良くなる前に確実に悪化しているのです。ブラック・サバスの「War Pigs」以降、メタルは常に政治的であり続けてきましたが、数十年間は竜や 妖精の後ろに少し隠れすぎていました。特にブラックメタルは、そのよく知られたナチス問題から、脱/再領土化のための肥沃な土地です。ファシストから取り戻す必要があり、その闘いに従事している多くの素晴らしく勇敢なアーティストがいます。

ブラックメタルやそれ以外のバンドで、今日私が好きなバンドをいくつか紹介します。Penance StareGelassenheitBiesyDivide and DissolveEntheosBackxwashBody Void

4: この本に掲載されている多様な文章について、どのような内容のものがあるのか、少し教えてください。

高度な学術論文から個人的なエッセイ、ジャーナリスティックなものまで、多くの種類の文章を求めました。中でも、Joseph Russoがテキサスについて書いた「Queer Rot」という奇妙で楽しい理論・フィクションは、ブラックメタルを聴くことで得られるトランス状態のような効果を反映した、あるいは模倣したような文章になっているのが特徴です。音楽における悪の性質に関するいくつかの作品(Langdon Hickmanの「The Dialectical Satan」やEugene S. Robinsonの「When Evil Comes A’Calling」など)、Jasmine Hazel Shadrackによる魔術の実践としてのブラックメタルに関するエッセイ(「Malefica」)があります。また、Margaret Killjoyによる “You Don’t Win a Culture War by Giving Up Ground “と題された熱烈なマニフェストも掲載されています。私たちにとって重要だったのは、さまざまな声をさまざまなスタイルで紹介することでした。アートは、ブラックメタルの特徴的なビジュアル要素であるコープスペイントに始まり、ブラックメタルのさまざまなビジュアルの顔を示しています。デザインも重要な要素で、暗闇から虹を浮かび上がらせ、またグリッチな未来的シナリオを先取りしています。私は1990年代のモダニズム・ブラックメタルの大ファンで、エレクトロニカやインダストリアルと多くの融合を行い、今、大きく復活しつつあります。この本には、誰もが楽しめるものがあることを願っています。

5: ブラックメタルのようなサブカルチャーは、極右との闘いや ラディカルな空間の構築において、どのような役割を果たすとお考えですか?

ブラックメタルは極右の過激化のための勧誘の場ですから、もちろんその領域で闘うことは必要です。特に東欧に強い極右や親ナチのブラックメタルシーンがあるだけでなく、問題を両論併記し、無政治を主張し、反ファとファシストを同じように呼ぶ中道派のエッジロードがたくさんいる。私たちはこれをデタラメと呼び、Black Metal Rainbowsは、反ファシストとクィアブラックメタルのシーン構築で行われている活動に光を当てる私たちの方法である。反ファシズムのエクストリーム・メタルの世界的なネットワークは拡大しており、Antifascist Black Metal Network彼らのYouTubeもチェック)やRABM Redditのようなコミュニティはその証拠である。

6: ラディカルなブラックメタルファンは、どのようにして他のコミュニティと橋渡しをすることができますか?

クィアやトランスの文化は、主流メディアでは、ふわふわした、安全な、ポップな(あるいは「テンダークィア」)ものとして認識されることがあります。しかし、表面下に潜るとすぐに、ホラー小説、視覚芸術、過激な音楽など、多くの暗いサブカルチャーにクィア、トランス、左派が大きく投資していることが分かります。グレッチェン・フェルカー=マーティンの『マンハント』は昨年大きな話題となり、クィアやトランスのホラー小説は増加傾向にある。David Cronenbergの『Crimes of the Future』は、そのボディホラーのクィアネスが広く評価されましたが、これは彼のキャリア全般を振り返ったときに見えてくるものです。私たちの小さな方法ではありますが、『Black Metal Rainbows』は、クィアと左翼の政治と美学を結びつける空間を作り、シスである白人男性が、忌まわしく、醜く、暴力的な芸術を作ることにヘゲモニーを持っていないという事実に光を当てようとするものなのです。Black Metal Rainbowsの資料がクィアなスペースに出現したという報告を聞くのは素晴らしいことです。しかし、メタルスペースがよりクィア、女性、マイノリティに優しくなることは、間違いなくこのプロジェクトが目指すものです。

メタルシーンを超えた橋渡しという点では、ファンは、自分が夢中になっているアーティストがサポートし、宣伝している団体をフォローアップし、つながることができます。例えば、非営利のレコードレーベルFood Desert Recordings、「匿名過激派音楽集団」Non Serviam、動物愛護支援レーベルFiadh Productions、左翼革命的レコードレーベルRed Nebulaなど、この旅で出会ったエクストリームメタル関連の左翼やアナキストのイニシアチブ、レーベル、プロジェクトはとても素晴らしいものがたくさんあります。Bill Peelの近刊『Tonight It’s A World We Bury: Black Metal, Red Politics』は、ブラックメタルが資本主義を破壊するための道具として使えるという素晴らしい主張をしています。ブラックメタルがプロテスト・ミュージックとして生まれ変わるなんて、誰が想像できただろう?だから、お気に入りのブラックメタルアーティストの曲をかけ、自分の闘いを見つけ、戦術と安全性について下調べをし、それを実行に移すのです!」。

7: この本と一緒に発売されるアルバムについて教えてください。何が入っていて、どんなメリットがあるのでしょうか?

Black Metal Rainbowsコンピレーションアルバムは2022年の夏にまとまりましたが、こんなに大きくなるとは思ってもいませんでした。130曲、11時間以上の音楽、100人以上のアンダーグラウンド、ブラックメタル、ノイズ、エレクトロニックアーティストがLGBTQの若者を支援するために集結した。リリースと同時にBandcampのベストセラー第2位(The Mountain Goatsに次ぐ!)を記録し、2023年1月にはLGBTQの若者を支援するチャリティーのために10Kドル以上の資金を集めました。Trevor Project、Mermaids、Minus 18、The International Lesbian, Gay, Bisexual, Transgender, Queer and Intersex (LGBTQI) Youth & Student Organisationなどです。ブラックメタルが中心ではありますが、このアルバムには、ブラック化したグラインドから壮大なブラックメタル、ブラックゲイズからダンジョンシンセ、ノイズからアヴァンギャルドまで、実にさまざまな音楽スタイルが収録されています。RABM(Red and Anarchist Black Metal)は基本的に黒化したグラインドコアだという先入観がありますが、このコンピレーションを作ることは、左翼BMや関連するジャンルの幅広い創造性を見るという意味で、大きな学びとなりました。アナーキスト・ポストブラック・メタル?コミュニストの鬱屈した自殺的ブラックメタル(DSBM)?社会主義的なダンジョンシンセ?探せばきっと見つかるはずです。

このコンピのハイライトは、Caïnaのトラック「Take Me Away From All This Death」のDepeche Mode風のリミックス、Darkthroneの「Transylvanian Hunger」のサーフロックのカバー、ジャパノイズの大家Merzbowのブラックメタル風のトラック、トロール、カボチャ、コウモリ、ヘビがいるゴブリン風の気味の悪いダンジョンシンセがたくさん入っています。また、モントリオール在住のアーティスト、Wesley Cunningham Clossによる素晴らしいカバーアートも特筆すべきもので、彼は屍体ペイント、虹、トップサージャリーの傷跡を組み合わせた見事で力強いイメージを作り上げています。


また、今週末からニューヨークで開催されるリリースコンサート(Imperial Triumphant、Couch Slutなどが出演)とオープニングブックイベントにぜひ参加してみてください!Black Metal Rainbowsのコンピレーションアルバムは、Bandcampから入手できます。

Black Metal Rainbows: A conversation with co-editors Stanimir Panayatov and Daniel Lukes (and Ravenna Hunt-Hendrix of Liturgy).

Center for Place, Culture and Politics, The Graduate Center

City University of New York

Room 6107

10 Feb, Friday, 4:30 PM

365 Fifth Ave New York, NYC 10016

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Black Metal Rainbows: Book Launch and Panel Discussion

Housing Works Bookstore

11 Feb, Saturday, 5-7pm

126 Crosby St, NYC 10012

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Black Metal Rainbows Book Release Show: Imperial Triumphant, Couch Slut, Sunrot, Diva Karr, Greyfleshtethered

St. Vitus Bar

12 Feb, Sunday, 7pm

1120 Manhattan Ave, Brooklyn, NYC 11222

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出典:https://antifascistneofolk.com/2023/02/11/dropping-a-bomb-on-black-metals-future-a-conversation-on-black-metal-rainbows/