(ОВД-NEWS)ロシアの反戦、反軍レポート

以下は、OVD-infoによるロシア国内の反戦運動への弾圧状況のレポートの英語版からの翻訳です。戦争開始にあわせて、ロシア政府は新たな弾圧立法を成立させただけでなく、刑法の様々な条文を駆使して弾圧を強化してきた。ロシアを「プーチン独裁」などとして西側から切り離して特別な国家であるかのようにみなす傾向がなきにしもあらずだが、ロシア政府の対応は、どこの国でもありえる弾圧手法といえるものでもあり、いわゆる「民主主義国家」とも共通する権力の弾圧手法がいくつもある。むしろ私が注目するのは、政府の強権的な弾圧にもかかわらず、4ヶ月たってもなお全国で草の根の反戦運動が展開され、同時に弾圧への支援運動もまたひるむことなく継続していることだ。国家権力がいかに「権威主義」であろうともむしろ民衆の抵抗運動のなかに民主主義的な異議申し立てや抵抗の原理が生きているように思い、私は励まされる思いだ。こうした民衆運動の力づよさは、今回の戦争で突然生み出されてきたわけではない。むしろプーチン政権下にあって、実はヨーロッパロシアから極東ロシアに至るまで、広範な草の根の反政府運動が存在してきたからだと思う。たとえば、反戦運動が繰り広げてきた街頭のパフォーマンスには、ロシア正教に公然と叛旗を翻したプッシーライオットのような存在なくしてはありえなかっただろうとも思う。戦争は当事者の国家や利害関係をもつ諸国など権力者によってしか収束へと向うことができないようにみえるが、実際には、むしろ当事国の人々によってしか戦争を止めることはできないのではないか。そして、そうした国々の人々に対して私たちが実際にできる支援は微力でしかなくとも、支援の意思表示を示すこともまた大切なことであり、同時に、日本が戦争を煽りかねない対応をとっていることにも同時に、明確な拒否の意思表示をすることが大切だと思う。なお、翻訳に際しては、ロシアの刑法など法制度に精通していないので、誤訳もありえるかもしれません。文末の原文へのリンクで確認してください。(小倉利丸)



2022年6月
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掲載日:2022年7月5日

記事中に記載されているデータは、2022年6月23日時点のものです。

Текст на русском (Текст)

ウクライナでの戦争は4カ月も続いている。この間、ロシア国家は隣国を暴力的に破壊し、自国民に対する弾圧行為も行ってきた。以下は、ロシアで反戦の立場をとる人々に対する抑圧的な行動に関する主要なデータである。

集会の自由の制限

戦争開始以来、拘束がなかったのは1日のみ

反戦デモに関連して、少なくとも16,309人が拘束されたことが確認されている。抗議行動での拘束に加え、当局は顔認識システムを利用した「予防的」拘束も行っている。5月と6月には、発表された抗議行動に先立ち、少なくとも75人が逮捕された。弁護人がデモ参加者の相談に乗るために警察署への立ち入ることを拒否されたケースは82件にのぼる。

反戦活動家が拘束された市町村は207に上る

刑事事件

人々を追い詰めるために、政府はロシア刑法の様々な条文を利用している。

  • 第318条第1項(当局の代表者に対する暴力の行使)。
  • 第213条(フーリガニズム)。
  • 第214条(破壊行為)。
  • 第244条第1項b号(死者の遺体及びその埋葬場所に対する侵害)。
  • 第 243 条第 4 項第2部b号(軍事用埋葬地の破壊又は損傷)。
  • 第167条第2項(故意の破壊又は相当な損害の発生を伴う損壊)。
  • 第329条(ロシア連邦の国章またはロシア連邦の国旗に対する侵害)。
  • 第212条 第1項第1号(集団暴動の組織)。
  • 第207条第3項第1部(ロシアの軍隊の使用に関する信頼できる報告を装って、故意に誤解を招く情報を公に流布すること)、別名「偽物に関する条文」。
  • 第280条第3項(ロシア軍の信用を繰り返し失墜させること)。

「反戦事件」の被告人の38%が、新たに採用された条文で起訴されている。(下図一番目の円グラフ)

「反戦事件」の被告人のうち、107人が他の条文に変更[訴因変更か]されている。(下図二番目の円グラフ)

ロシア刑法第207条第3項の規定に基づき法的手続が開始された場合(下図三番目の折れ線グラフ)

ロシア刑法第280条第3項の規定に基づき法的手続が開始された場合(下図四番目の折れ線グラフ)

行政事件

ロシア連邦行政刑法第20.3.3条「ロシア軍の信用失墜について」は2022年3月に施行された。現在、同条に関連する2,457件の事例が判明している。1,781人が行政手続きの対象となった。160件の行政資料が裁判所から警察署に返却された。同条に関連する平均的な罰則は35,562ルーブルである。

第20.3.3条に関連するケースの数をカウントするために、5つの情報源を使用する。OVD-Infoのデータ(個人に関するもの、つまり特定の事件に関連するもの)、裁判所のウェブサイトの第一審事件記録、「Pravosudie」(司法国家自動化システム)情報ポータルの第一審事件(個人)に関する情報、裁判所およびロシアMIA(内務省)のプレスリリースである。

上図出典:OVD-Info  Get the data  Created with Datawrapper

外国人エージェント
「外国代理人」に関する法律が採択されてからの10年間で、464人の個人、法人、未登録の団体が外国代理人として宣告された。2022年6月、ロシア連邦司法省は、6人(アレクセイ・ピヴォヴァーロフ、オレグ・カシン、ミハイル・ソコロフ、ユリア・ツヴェトコワ、イリーナ・ダニロヴィッチ、ニコライ・ペトロフ、エフゲニー・チチヴァルキン)と1団体(拷問防止委員会)を外国のエージェントであると認定している。

独立系メディアへの妨害と圧力

戦争が始まって以来、マスメディア、その他のメディア、ブログなど、少なくとも25の独立した情報チャンネルが遮断され、26が閉鎖され、さらに12が戦争を報道することを拒否している。6月1日以降、Roskomnadzor(連邦通信・情報技術・マスメディア監督局)は、ロシア国内の13の情報チャンネルと海外の19の情報チャンネルをブロックしている。

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