(LeftEast:alameda)ロシアの資本主義は政治的であり、標準的である: 収奪と社会的再生産について
(訳者前書き)この論文は、先に訳したヴォロディミル・イシチェンコとともに同じ論文集(以下のLeftEastの編集部注参照)に収録されたもの。イシチェンコの論文同様、戦争それ自体ではなく、戦争を可能にしているロシア国家による労働力政策あるいは社会政策に焦点を当てている。大方の西側の論調が、左翼であれ右翼であれ、ロシアを資本主義における異例な体制とみなし、だから侵略戦争を引き起こしたのであり、まともな資本主義国家であれば侵略戦争など引き起すはずかがないということ言外に暗示することによって、自らの正義と正統性を強調しようとしてきた。 この論文の著者、リュプチェンコはむしろロシア資本主義を「ノーマル」な資本主義であることをむしろ強調してみせた。イシチェンコがプーチンは狂人だとか、プーチンが独断でやっている戦争だといった観点を厳しく批判したように、リュプチェンコもまた、戦争への動員を可能にしている社会システムを社会的再生産、とりわけ出生奨励主義との関連で論じている点は、日本の労働力政策や社会政策と戦争の歴史をみたときに、いくつもの共通点があるのではないか、ということに気づかされる。増山道康は、「 […]