「安全・安心」脅かす共謀罪 監視社会からの解放は可能か

●なぜ共謀罪の新設か

「共謀罪」という名称で呼ばれている法案は「犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」という長い名前の法案で、国際化・組織化・情報処理の高度化に対処するために刑法などを「改正」するためのものとされています。この法案の一部として「共謀罪」という新たな刑罰を設けようとしています。この法案は、既存の日本の法律の枠組みを全体変えようとしており、犯罪の国際化・組織化・情報の高度化に関連して、日本の戦後の法体系を全面的に見直そうとして出てきている。

そもそもどういういきさつで出てきているのか。法務省が出している「組織的犯罪の共謀罪に関するQ&A」にはこう書かれています。

 「Q1 なぜ、今、組織的な犯罪の共謀罪を新設するのですか。」
 答え「平成(ママ)十二年十一月、国連総会で、一層効果的に国際的な組織犯罪を防止し、及びこれと戦うための協力を促進することを目的とする「国際組織犯罪防止条約」が採択されました。この条約は、昨年九月に発効しており、我が国としても、早急に加入することが重要です。
 この条約は、国際組織犯罪対策上、共謀罪などの犯罪化(注)を条約加入の条件としています。しかし、我が国の現行法上の罰則には組織的な犯罪集団が関与する重大な犯罪の共謀行為を処罰する罪がないので「組織的な犯罪の共謀罪」を新設する必要があるのです。
 (注)その他、マネーローンダリング罪、司法妨害罪等の犯罪化等が義務付けられており、今回、現行法では足りない罪の新設等の法整備も行います。」

ここで説明されているように、越境組織犯罪防止条約を採択したのは国連総会であり、日本では今まで共謀の犯罪化は法律としてなかったので、条約の批准のために、条約にあわせて国内法を整備するというのが新設の理由です。

このQ&Aを見ると分かるように、国内の社会問題としてあって、対応するために共謀罪を作るということではないのです。つまり、《今国内に深刻な組織犯罪上の問題がある。それに対処しないと、市民生活の安全が確保できない》という状況をふまえて法を制定するという通常の立法化の理由がまったく欠けている。

法務省は非常に率直に、共謀罪を新設する理由を《外圧だ》と言っているわけである。

私たちとしては、そもそもこういう法律を制定する理由があるのか。新しい法律を制定するのには、社会的背景・事情を国会で説明する。《これこれの事情で市民的権利の一部を制約せざるを得ない》といったいいわけの話を作る。共謀罪ではそういう話が一切ない。この点は驚かされる。

逆に政府側は戦後の刑事政策・刑事立法の枠組みを前提にして、法案の内容を組み立てるという法治国家の原則を遵守しようとはしていない。政府が政治的な事情で必要なものを、警察に都合のよいように立法化する。

政府の言う意味とは別の意味で、共謀罪がが国連総会の場で合意されたことは非常に重要だと考えています。なぜ重要かというと、これがG8サミットなどで出てきたものなら、先進国の横暴という話になりますが、国連総会で第三世界の国々も含めて、合意したという形をとっているからです。NGOや市民社会には国連幻想がまだあるが、もはやそうではない、ということを今回の共謀罪をきっかけに考えておく必要があります。国連は、米国とは違うけれども、グローバルな治安管理警察体制のひとつの旗頭になろうとしているのです。

●越境組織犯罪条約の背景にあるもの

共謀罪の立法化の根拠とされる条約を政府は、国際組織犯罪防止条約と読んでいますが、私たち運動している側は「越境組織犯罪条約」と呼んでいます。この越境組織犯罪条約が国連で議論されるようになったのは九〇年代後半以降です。ちょうど冷戦体制が終わって、ポスト冷戦体制が議論される中で、従来の資本主義国家対社会主義国家というような対立の構図の中で、国際的な政治軍事関係が構築されてきた時代から、新しい国際的課題が九〇年代後半以降浮かび上がってくる。その時、西側先進国が新しい課題としてあげたのが、国際的な組織犯罪問題となっています。

アメリカはラテンアメリカ諸国に対して、冷戦期も含めて一貫して、「麻薬戦争」という言い方をして麻薬取締りを口実に軍事介入を含めた政策をとってきた。アメリカがラテンアメリカに採ってきたような組織犯罪取締りのグローバルな警察・軍事的な介入を地球規模に拡大したものが、越境組織犯罪条約の背景にある。

アメリカが一人勝ちのような世界体制ができてくる。そこでアメリカは世界の警察のような、世界中の治安を監視し、アメリカにとって都合がいいような秩序を作っていく。もはや社会主義・共産主義は敵ではない。アメリカにとっての脅威は薬物・銃器などの組織犯罪だというのがあった。特に薬物取引の問題は、ラテンアメリカのゲリラなどの資金源にもなっているという口実ともつながっている。そういう組織犯罪対策というところに大きくシフトしている。

日本もそうですが、警察それ自体、警備公安警察が組織の生き残りをかけて、方針を転換しつつ、再構築するための格好のターゲットにされた。

ただ、もうひとつ忘れてならないのは九〇年代後半以降に出てきたいわゆる「組織犯罪」とは何か。私たちが普通考える組織犯罪はヤクザとかですが、それだけを念頭においていたわけではない。そこのところが非常に重要。

●反グローバリゼーション民衆運動が対象

実は九〇年代以降、旧来の社会主義国家が解体したにもかかわらず、グローバルな資本主義世界体制に対して、中央司令部があるという形ではなく、非常に大規模な民衆の抵抗運動が様々な形で噴出をしてくる。日本の中では大きな力を持っていませんでしたが、これが九〇年代以降の世界の状況だった。

その状況を作ったのがメキシコのサパティスタだった。一九九四年に北米自由貿易協定が発効したときに武装蜂起した。サパティスタの異議申立は非常にユニークで、それまで武装解放闘争を闘うグループが主張しなかったような、資本主義の新自由主義体制批判を展開しました。メキシコの中の貧しい地域で活動している先住民族ゲリラが、グローバルな資本主義の貿易体制に対して、異議申立の行動をとった。世界中から大きな注目を集める戦いになった。先進国でも第三世界でも起きてきたグローバル化に対する異議申立の運動は数限りなくあり、サパティスタの闘いはひとつの象徴でした。

一九九九年十一、十二月、アメリカ・シアトルでのWTO(世界貿易機関)閣僚会議が数万人のデモ隊に包囲されて、破綻する。このデモ隊はそれまでの市民運動・社会運動と性格が違った。それはデモ隊が、アメリカ国外からたくさん参加した。一九六〇年代に公民権運動・ベトナム反戦運動という大きな民衆の運動があった。この時は国内の活動家、市民民衆が集まって異議申立するというのが主要な活動形態だった。

それが九〇年代後半以降、資本がグローバル化すると、活動かもグローバル化して、国境を越えて移動するようになった。カナダやヨーロッパから国境を越えてたくさんの人が集まってくる。その段階で、先進国政府側が頭を抱えたのは、WTOだけでなくG8サミット、IMF・世界銀行などの国際会議・国際会合が次々に大きなデモを呼び起こして、多くのデモ隊に包囲される。大きな打撃をそれらの会議に加えていった。どこで会議が行われようと、国境を越えて大きなうねりを作ってきた。

●「フーリガン対策」の真の狙い

これが表には出しませんが、越境犯罪条約を締結しようとしたもうひとつの事情です。各国政府が国際組織犯罪というときには、日本ならばヤクザの薬物・銃器の取引の例を出す。国会議員や一般市民も、それを聞いて一応納得する。それはあくまでも例示に過ぎない。先進国政府が考えているのは、そういった組織犯罪と呼ばれているものではなくて、グローバルに移動する反グローバリゼーションの組織や活動家をどうやって押さえ込むかというのが、大きな動機になっている。

日本では、共謀罪が国会審議されているわけですが。二〇〇一年、九・一一があった秋に出入国管理法が改定された。サッカーワールドカップの開催を控えていた。思い起こしてもらえば分かるが、政府やマスコミは盛んにフーリガン対策の必要が叫ばれていた。札幌でのイングランド・ドイツ戦に大挙してやってきて札幌が大変なことになるというフーリガン・キャンペーンが行われた。その結果、出入国管理法「改正」でフーリガンとみられる人物の入国をあらかじめ阻止するとして通した。しかし、成立した法律には、「フーリガン」ということが書いてあるわけではなくて、一般的に国際的なスポーツ大会や国際会議を妨害しようとする恐れがある人物の入国はあらかじめ拒否することができるという内容になっている。

法律ができる時の国会・世論への言い訳と、実際にできた法律の中身がかなり違っている。状況が変われば違う形で利用できる。出入国管理法改定は、今後日本の国内での国際会議に対する抗議運動を未然に阻止する道具として使いうる。

二〇〇八年G8の開催は日本です。毎回サミットは大きな抗議のターゲットになってきた。日本の運動としてもどうするか課題になる。その時、非暴力直接行動・市民的不服従を担ってきた人たちが日本に入ることができないという枠組みが既にできてしまっている。

越境犯罪条約とセットで各国政府がやってきたことは、ヤクザのような組織犯罪の問題だけではなく、冷戦後の民衆の新たな抵抗運動に対するグローバルな治安維持とグローバルな警察力の行使の枠組みを作る。性格がある。

越境組織犯罪条約は長いので全体の話はできないですが、重要な観点の一つに条約二十条の問題がある。これは特別な捜査方法を合法化できるように、各国で法改正をするか、することを暗に求めている。潜入捜査・盗聴捜査を今まで以上に国際協力ができるような形で実施するとか、従来の捜査方法からすれば人権侵害といわれてしょうがないような方法を合法化せよと。

そのほか、司法妨害やマネーローンダリングなどが書いてある。司法妨害、つまり偽証や捜査を妨害するような行為の処罰が盛り込まれている。マネーローンダリングに関しては、共謀罪法案と別に検討されている。

レジメに「インターネットの普及と通信の監視」と書きましたが、インターネットだけではなく、コンピュータに関わるデータ全体を監視できる、コンピュータに関わる警察のデータ全体を監視できる。コンピュータに関わるデータ全体への警察のアクセス・捜索・押収を大幅に認めるという法案になっています。私がこの部分を「コンピュータ監視法案」と呼んでいますが、これが共謀罪と一緒に法案として提出されています。ここは後でお話します。

●共謀罪は刑事法制の根本転換

共謀罪の持つ問題点を考えていく上で、法務省のQ&Aを見ながら考えていきたい。 ここで書かれていることをざっと読むと大したことが書かれていないように考えてしまうのですが。

 「Q2 組織的な犯罪の共謀罪の新設によって、何か良いことがあるのですか。」
 答え「『組織的な犯罪の共謀罪』の新設によって、国際組織犯罪防止条約に加入することが可能となり、一層強化された国際協力の下で我が国を国際組織犯罪から守ることができるようになります。
 また、国内で現実に発生している組織的な犯罪集団が関与する重大な犯罪について、これまでは、例えば共謀に参加した者が自首した場合など確実な証拠が入手された場合であっても、実際に犯罪が実行されなければ検挙・処罰することができませんでしたが、共謀段階での検挙・処罰が可能となり、組織的な犯罪集団が関与する重大な犯罪から国民をより良く守ることができるようになります。」

あっさりと書かれていますが、とんでもない話です。実際に何の犯罪が行われていなくても、検挙・処罰していいという話。それが国民をよりよく守ることができるといいますが。そもそも犯罪が実行されていないわけですから。ほうっておけば犯罪が起きるのか起きないのか。法務省や警察は「放っておけば犯罪が起きる可能性が高いので、あらかじめ検挙して処罰するのだ」という話になるわけですが。だが、かなりの確率で犯罪が起きるとしても、あらかじめ起きるであろうということで処罰するということは、戦後の日本の刑事法制、警察のあり方、国家権力の発動の仕方・ルールとして言われてきたタガをはずしてしまうことになる。

ここで言われている「犯罪」には、彼らにとっては犯罪でも、私たちにとっては犯罪と呼べないことがたくさんあります。そうしたことも含めて、全て「犯罪」として、実行以前の段階の「共謀」で検挙・処罰する。労働運動・市民運動・社会運動で行われているような様々な異議申し立ての行動が犯罪化される。既に犯罪化が進んでいるわけですが。ここでは共謀罪が導入された場合は明らかな治安維持的な予防弾圧になっていくことがはっきりと見える。

●「厳格な要件」は法務省のデマ

 Q3「どのような行為が組織的な犯罪の共謀罪に当たるのですか。一般国民にとって危険なものではないですか。」

法務省の答えは危険なものではないといっている。二番目の段落のところで、「共謀罪の対象犯罪は、死刑または無期、長期四年以上の懲役又は禁固に当たる重大犯罪に限定されています(したがって、殺人罪、強盗罪、監禁罪等の共謀は対象になりますが、暴行罪、脅迫罪等での共謀では、本罪は成立しません)。」といっています。

しかし、共謀罪の対象になる罪は六百以上になり、未遂罪や予備罪がない罪まで処罰されます。例えば、労働運動や社会運動でよく使われる刑事弾圧の場合、暴行でなく傷害であるとか、逮捕監禁、有印私文書偽造などが使われ、でっち上げで逮捕されることがある。これらが共謀罪の対象になる。窃盗・恐喝・詐欺も対象になる。

市民と言っても皆が善良なわけではありませんから、かなり多くの人が路上などでやりかねないような行為が対象になる。

公職選挙法も含まれる。候補者の多くはグレーゾーンで活動することを余儀なくされる。共謀罪が成立した場合は検挙対象になりかねない。だから、野党の政治家は危機感をもたなければならない。選挙活動全般を警察が監視できる。電話・会話を関して、共謀の疑いがあるという話を作れる。選挙運動をやっていく側からすれば、大きな問題になっていく。

だから、法務省が「一般の国民にとって危険なものではない。重大な犯罪に限っている」と言っているのはデマといっていい。

それに関連して、「Q&A」のQ3では厳格な要件を課しているから、組織でもない人が共謀罪で検挙されることはないと書いている。

しかし、法案で書かれていることは何か。

「共謀罪」法案には「イ又はロに掲げる罪に当たる行為で、団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を共謀した者は、それぞれイ又はロに定める刑に処するものとし、ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除するものとする」とある。

自首したものだけの刑の減免措置も、冤罪を生むという大きな議論があるのですが。書かれているのはこれだけなので、法律として組織とは何かが定義づけられているわけではない。運用上、つまり警察の取締りの現場ではどのようにも使われてしまう。時代状況が変わって、立法されているものとは違うものとして法律が解釈されて適用されていくということはいくらでもある。である以上、このQ&Aにあるように厳格な組織犯罪の要件が法律に明示されているわけではない。この辺がQ&Aの大きな問題点。

法務省が厳格な組織犯罪の要件を課している。一般の市民・国民には迷惑にならないというのであれば、厳格な組織犯罪の要件を、法案に誰が読んでも誤解がない形で表現していればいいが。法務省はそういうことは一切やろうとしない。曖昧にしておきたいというのが法案を作っていく。一方で、一般の市民や国民に対して説明するときには、あたかも厳格な定義があるかのように説明する二枚舌を公然とやっていく。

メディアも、厳格な定義があってターゲットになるのは暴力団であるかのように、報道する。しかし、実際の法案にはそんな限定はない。そこの二枚舌作戦をこちら側が突破していかないといけない。

●警察にコンピュータ監視の権限

法務省Q&A「Q4 共謀罪が設けられると、通信や室内会話の盗聴、スパイによる情報取得などの捜査権限が拡大され、国民生活が広く監視される社会になってしまうのではなにですか。」

法務省の回答は、そんなことはないといっているが、これも嘘です。

先ほど触れましたが、共謀罪と一緒に出されている刑法「改正」案の中には、私が「コンピュータ監視法案」と呼んでいる法律案が出されている。その中では、コンピュータのデータに対して警察の新しい権限を持たせようとしている。例えば、「九十日間はあなたのパソコンのデータを消去してはいけません」「メールのやり取りのログを保管しなさい」と要求する権限を警察に与える。越境組織犯罪条約9−4は、新たな捜査手法の導入を強く求めている。

共謀罪に関わる法案では「通信傍受法」=盗聴法の「改正」案を出したりはしていない。だから、盗聴法「改正」案とセットではない。

だから、法務省は「新たな捜査手段を導入するものではありません」といえるが。しかし、そこには「共謀罪の新設に際して」と書いてある。共謀罪新設とセットで出してないだけで、共謀罪が成立した後に様々な立法措置を採らざるを得なくなることは明らかだ。

共謀罪ですから、共謀の現場をなんらの形で記録するなりして押さえないと、共謀の証拠が得られない。共謀があったということを立証するには、これまで認められてこなかった会話や通信を盗聴・監視するということが警察の権限として認められないと、共謀罪は効果を発揮しない。そういう理屈が次には必ず出てこざるを得ない。共謀罪導入の後には新しい捜査手段が導入される。法務省のQ&A4はそれをごまかしている。言い換えれば、共謀罪成立後に、盗聴法「改正」をしないという約束になっていない。

●「越境性」処罰は認められない

Q5「国際組織犯罪防止条約に基づく法整備なのですから、組織的な犯罪の共謀罪の対象を国際的な犯罪限定するべきではないですか。」

法務省は、条約では国際的な性質と関係なく定めなければならないと規定しているから、国際性を要件にすることはできないのだ。組織犯罪が国際性がないからと言って処罰できないのはおかしいと答えています。

実はこれもかなり大きな問題です。越境犯罪に限定すれば、こういう法律が成立してもいいのか。先ほども言ったように、今出てきているグローバルな民衆運動は、越境的な性格を持っている。日本の中の運動している草の根の小さな市民運動グループでも、インターネット・電子メールを使って、お互いにコミュニケーションをしている。海外の団体と交流があったり、外国から来た人と一緒に集会をやったり、外国へ行って集会・デモに参加するということが、以前に比べるとかなり頻度が高くなっている。

だから、越境に限定すればいいと言う意見を絶対認めてはいけない。反対運動をしていく中で、一部からそういう意見が出てきました。日弁連の中からも、越境性という条件をつけて妥協するという手もあるんじゃないかという意見が出てきた。私たち市民運動の側からは、絶対にすべきではないと強く主張した。

もうひとつ、越境性と兼ね合いで言うと、移住労働者、非正規な形で入っている移民の支援をしているグループにとっては彼らの運動それ自体が、越境的であることが前提になる。そういう運動が担わなければいけないのはグレーゾーンの部分。政府やマスコミが「不法滞在」と呼ぶような人たちの人権をいかに守るか。その時に越境性が要件であるか否かという話では、どちらになっても、共謀罪の網にかかって犯罪化されてしまう危険は逃れられない。その点でも絶対認められない。

以上、共謀罪の動きをまとめてみました。立法を必要とする状況は日本国内にはない。だが、条約を締結したいがために、私たちの人権を無視しようというとんでもない話。もうひとつは、九〇年代後半以降に出てきた組織犯罪問題、反グローバリゼーションの運動に対する先進国政府の対抗措置という側面が強かった。

それが九・一一同時多発テロ、その後のアフガン戦争・イラク戦争の中で、条約も含めた立法の意図が変質してしまっている。反テロ戦争とか日米の新しい同盟体制とかの新しい状況の中で、実際に出てくる条文の中での文言は変わらないわけですが、その法案が適用された後に、実際にそれがどのように適用されて、司法の現場で使われるのかということで言ったら、大きな違いが出てくる。推測としてしまいえませんが、明らかに有事法制、国民保護法制であるとかの新たな法体系の中で位置づけ直されて、従来考えられていたもの以上に治安維持的な性質が強いものになる。

●国家安全保障を最優先とする新たな国家主義

次に「国家安全保障を最優先とする新たな国家主義」が「テロ対策基本法と改憲」と書きました。政府がテロ対策基本法を検討しているという報道が一月初めにあったきりで、これ以上のことは分からないですが、与党の中で議論されているところです。

テロ関連団体となると、日本の中でパレスチナへの人道支援をしている団体とか、あるいはイスラム圏の民衆組織との連携を取っている団体がテロ関連団体という枠組みで監視されたり、摘発されたり、人の交流を阻止されたりする可能性が出てくる。日本の場合、一番可能性が高いのは北朝鮮との関係。日本の中にいる朝鮮籍の人たちに対する監視・摘発。これは既にいろんな形でおこされていることですが。それがもっと体系的にとられていくことになっていく。

一番危惧されることで、一月初めに報道された後、あまり出てきていない。国会で議論になっていないことも原因かもしれないが。多分、水面下で動きがあって、ある日突然法案が出てくるという事態になる可能性がある。このテロ対策基本法の方が、改憲よりも早いスピードで出てくる可能性がある。

●改憲と警察監視体制

そうなると、テロ対策基本法や有事法制を前提にしての改憲が計画されるということになります。刑事法制との関係で、憲法との関係がある点がいくつかあります。

共謀罪との関係で言うと、「令状なくして逮捕されることはない」(憲法三十三条)。「侵入・捜索・押収は令状なくしてはされない権利がある」(憲法三十五条)が関係します。

国民の権利として、権力行使が規制される令状主義が憲法に明示されている。ところが、自民党が昨年十一月に出した新憲法草案では「権利」という言葉を取った。文章上はほぼ同じで、令状がないと、逮捕・捜索・押収されないと書いていますが、権利規定が削られている。これが次にどのように効いてくるか、微妙ですが。

私が自民党新憲法草案の委員だったら、権利というのを削りたいと思って削る。削るのは当然意図がある。改憲後に出てくる刑法などの様々な立法の中で、いろんな形で効いてくる。

自民党改憲の筋立てとしては、権利よりも公益を優先させる。基本的人権よりは公益、国家利益を優先させる。公益・国家利益に反する人権は認めない。

これと現行憲法三十三条・三十五条の権利規定を取っ払うのは、ボディブローのように効いてくる。細かい話だが、後でボディブローのように聞いてくる話がいくつも積み重なってきているのが現状です。

●運動の犯罪化の流れを逆転させよう

四番目が「犯罪防止」にコミュニティをベースに地域のボランティアを動員する。警察主導で地域に防犯ボランティア組織を立ち上げていく。そういう形で地域を警察監視体制に統合していく。行政がそれを様々な形でサポートしていく。それを通して、未然防止を最優先にする考え方が出てくる。それを実行可能にするのが、コミュニティの組織と共に、監視カメラ・ICタグなどの先端技術を使う。先端技術を監視のための技術とし売りこむセキュリティ産業。セキュリティ産業=IT産業=コンピュータ情報産業です。つまり日本の基幹産業です。そういうところで大きなビジネスチャンスを得ていこうという構図になっている。それが大きな問題。

私たちが持っている様々な市民的権利や異議申し立てが危機にさらされようとしている。共謀罪も含めて、見た目は刑法「改正」ですから、暴力団を取り締まると言っている。だが戦後、政治活動・労働運動・市民的活動への弾圧の法律は刑法だった。刑法以外にも様々な犯罪を取り締まるための法律を、様々な運動を弾圧のために使える仕組みを作ってきた。民主主義と自由を建前にしている先進国はどこでもそれをやっている。市民運動・民衆運動の犯罪化が進んできた。それをもう一度、いかに非犯罪化するかということを考えないといけない。

法律の考え方自体を考え直すことがないとできない。刑法の逮捕監禁罪は、労働運動の団交で経営者をつるし上げても逮捕監禁かもしれない。どういう社会的背景・文脈があるかを無視して、逮捕していくことができる。市民的な権利、労働者の権利としては逮捕監禁ではない。権利の組み換えをきちんとしていかないといけない。その議論が、立法の当事者・法律専門家・弁護士との間でもきちんとした議論ができていない。そこが非常に重要。

もう一つはグレーゾーンの非犯罪化。凶暴罪も含めてターゲットになるのは、移住労働者・労働運動・消費者運動・環境問題活動家などがとる非暴力直接行動が次々と犯罪化されていく。そういうことに対して、非犯罪化を明確にしていって、市民的権利として行っていることは、そうでないものよりも、自由度を認めるものだ。

最近相次いでいる立川テント村などビラ入れに対する弾圧でも、よく言われているように商売でのビラいれは逮捕されない。昨年、厚木基地の監視活動でマンション踊り場に立ち入って逮捕されている。

ある公的な行為で行っている方が、商売やプライベートな行為よりもより厳しく取り締まられること自体が問題だと考えないといけない。僕らがデモをするときに、警察は申請通りのデモコースを認めないことが多い。

だが、そうした政治的社会的意思表示のほうが、商売やプライベートのために路上で車を走らせるよりも重要なことだという合意が日本の中でできていない。その問題がいろんな形で出ている。そこから組み立て直さないといけない。

そしてコミュニケーションの権利。日本は民主主義で表現の自由があると、政権与党は言います。だが、そんなものは日本の中にはまずない。

例えば、韓国はメディアセンターを作って、労働運動・民衆運動が自前の情報発信ができる枠組みができている。アメリカのように、あれだけとんでもなく抑圧的なことを担っている国でも、日本よりも自由なテレビ局・ラジオ局がいくつもある。かなり多様な情報へのアクセスが可能。

しかし、日本の場合は、テレビ・ラジオで今日の集会でやっているような内容を放送できる放送局は一つもない。韓国とかアメリカとかだったらあるわけです。

だから、作るという努力が絶対に必要で、そうしないといけない。そういうものがあるかないかは、大きな世論を作っていく上で重要。商業メディアは私たちが考えているほど大きな力があるわけではなくて、若い人はそんなにたくさんテレビを見ているわけではない。新しいオルタナティブなコミュニケーションの権利は重要。その時に共謀罪のような盗聴捜査で、私たちのコミュニケーションを覗いたり、監視したりするということがないようなプライバシーの権利が必要だろうと思います。

最後に一点だけ。共謀罪など様々な立法措置は、端的に言って国家安全保障のための立法措置。それに対して、市民や住民の安全を国家安全保障の枠組みに入れ込んで、全体としての制度は作られようとしている。それに対抗する考え方で何ができるかが、きちんと議論されなければならない。

二〇〇〇年沖縄サミットに対する対抗フォーラムがあって、そこで国家安全保障に対抗するものについて議論された。基地があることで軍が安全を守るという枠組みがある。基地は国家安全保障のための軍事装置が、民衆にとって基地の存在は不安全・危険そのものをもたらしている。それに対してオルタナティブな意味で、民衆の安全保障を議論することができるのではないかと。特に反基地運動をやってきた女性たちから問題提起された。その後、きちんとした議論が継承されないままになってきている。

もう一度国家安全保障という枠組みにとらわれない、私たち自身の側からの安全保障を議論しないといけない。「安全保障」という言い方も危うい言い方なので、使っていいのかという議論も含めて、国家の安全保障に取り込まれないオルタナティブをどうやって作っていくかが重要な問題点になっていくと思います。


質疑応答

発言者A 私は九条の会などで活動しています。共謀罪についての日弁連声明には越境犯罪条約の趣旨に合った法律をということですが、具体的にどのようなことですか?

共謀罪への批判として、治安維持法と共謀罪は同じといわれますが、どこの条文を指してそういわれるのですか?

それから、自民党改憲草案は権利規定を除外しているということですが、具体的にどこいうところが共謀罪と関係するのか?

小倉 日弁連声明ですが、これは日弁連が妥協するかどうかというときに出た声明で、条約の趣旨云々で言おうとしたのは、適用する組織犯罪を越境性があるものに限定すべきだという主張です。それほど積極的な主張ではありませんが。

共謀罪は越境犯罪条約の国内法整備と法務省が言うのに対して、国際組織犯罪だけでなく、国内の「組織犯罪」も含めて取り締まり強化するというのは条約の趣旨に反するのではないかというのを日弁連が強調していた。対象犯罪を越境組織に限るなら容認しかねない言い方。

今日の資料では、共謀罪について朝日新聞での海渡雄一さん(弁護士)、椎橋孝幸さん(中央大学)の対談(〇五年七月二十八日)で、条約の起草段階では組織犯罪に限られるという話をしていたのにという議論が出ています。

日弁連は、いまは越境性に限定すれば共謀罪に反対しないというよりは、強く共謀罪に反対するという原則に戻っています。日弁連は、いろんな主義主張を持った人がいますから、いろんな力関係で議論が左右することがあります。

「国際組織犯罪条約」には、条約と別に三つの付属議定書があり、議定書は別々に批准することもできます。議定書は、人身取引議定書、密入国議定書、銃器議定書の三つです。人身取引議定書に関しては、治安立法的な性質が強い越境犯罪条約に入ってきたので私たち運動をしている側も困惑しました。人身取引=人身売買に関しては、この議定書を前提して日本国内でも人身売買禁止法が制定されました。条約に基づいて、人身売買禁止法を制定すべきだという議論があって、弁護士でもがんばっていた人がいた。このような法律ではなく、人身売買被害者救済に絞った法律にすべきだと意見もあった。

共謀罪をめぐっては、法律家や運動の中でもいろんな議論があった。日弁連が原則に立ち返ったのは、反対運動が日弁連の主だった人と議論しながら、妥協は絶対しないでほしいという交渉を繰り返した結果でもある。

旧憲法では、権利という言葉はない。だから、裁判所の令状が必要だという話になっていない。だから、治安維持法のように法律を作ってしまえば、裁判所のチェックもなく、拘束も押収もできる。だから、令状主義というのが憲法上の権利として明記されていない。国家権力を規制する条件としての令状主義がなかったことで、戦前の警察国家が出てきた。この反省を踏まえて、令状主義は戦後、憲法上も刑事訴訟法上も重要なルールだった。それがかなりの部分緩められようとしている。

戦後も令状主義が原則だが、例外があるとしていた。例外は現行犯逮捕。実は憲法にはそんなことは書いていない。空港などでのセキュリティチェック、荷物検査は本来であれば憲法違反。荷物検査・身体検査は令状がなければできない。そうとしか、憲法読むと読めない。しかし、「任意」という建前で身体捜索や荷物検査が事実上強制される仕組みができてしまっている。ただ、「権利」というのは残っている。それすらなくしてしまおうとしている。自民党新憲法案の具体的な条文案について、今日は用意してこなかったので正確には答えられません。

発言者B コンピュータ監視法案の部分で、令状なしでも強制的な保管命令を出すということですが、コンピュータの情報は消去とかできないということですか?

小倉 そういうことです。分かりにくい条文ですがこうあります

 「第二  刑事訴訟法の一部改正」「五  保全要請等」
 「 1  捜査については、電気通信を行うための設備を他人の通信の用に供する事業を営む者等に対し、その業務上記録している電気通信の送信元、送信先、通信日時その他の通信履歴の電磁的記録のうち必要なものを特定し、九十日を超えない期間を定めて、これを消去しないように求めることができるものとし、この場合において、当該電磁的記録について差押え又は記録命令付き差押えをする必要がないと認めるに至ったときは、当該求めを取り消さなければならないものとすること。(第百九十七条第三項関係)
   2  1の求め又は第百九十七条第二項の捜査関係事項照会を行う場合において、必要があるときは、みだりにこれらの要請に関する事項を漏らさないよう求めることができるものとすること。(第百九十七条第四項関係)」

これだけ読んでも、法律専門家でない人にはわからないですが。つまり、プロバイダーなどはコンピュータの記録を消去してはいけないと定められている。なぜ「消去しないように求める」かというと。あとでそれを差し押さえをする。

これは法務省の言い方で言うと「見るわけではない。取っておけというだけだ。だから令状はなくてもいい」。

しかし、「取っておけ」というのは強制。権力が強制する強制処分なわけだから、強制していいのかどうかのチェックはきちんとしないといけない。人には、当然消したいこともある。僕らだって当然あるわけです。消す自由がない。消すのは証拠隠滅だという話になることになる。「証拠隠滅はけしからん」という話になるけれども、一般の市民生活では消したいことやいらないこと、人に見せたくないことは少なからずある。

そういうことの権利を考えずに国家権力は個人が消したいと思っているのを見れるんだという話になってしまう可能性がある。いろんな問題がある。

発言者C テロの根本原因は、米英中心の有志連合によるダブルスタンダードにあるのに、それを無視してテロ対策というのは間違っているのではないでしょうか。

小倉 私も間違っていると思います。

発言者D 越境組織犯罪条約採択で国連もグローバルな治安警察態勢の柱の一つになっているとのことですが、国連総会での合意がすんなりなされたのか。反対した国があったのかどうか知りたい。

小倉 国連での議論の詳細は把握していません。ただ、人身取引の議定書は最初なかった。越境犯罪でも人身売買が深刻なので、NGOがこの問題に取り組むべきだと入れさせた経緯があります。フランスなどが越境性が条件でなくてもいいと言い出すなど、いろいろ意見が出てきて、原案どおりに決まったわけではない。

アナン事務総長が二度ほど、包括的テロ防止条約の成立への意欲を発言している。それをうけて、日本政府がテロ対策基本法案へ動いている面があるかもしれない。

条約という形で出てきたものを、外圧として利用しながら国内法整備をするというやり方なので。包括的テロ防止条約が動き出すと、それを前提にして国内でもテロ対策法を作っていく。

国連自体が、第三世界が影響力を持っていた組織が段々影響力を失ってきている。死に体とはいいませんが、安全保障理事会だけが大きな顔をする状況になってきている。

発言者E フランスが越境性を条件にしないように主張しているのは、国内で独立運動やイスラム「過激派」の運動などをかかえているからですか。

小倉 具体的には分かりませんが、そう推測できます。ほとんどの国が反対しなかったのは国内の「組織犯罪」を何とかしたいというのがある。国内の「組織犯罪」で連携をとればいいと。

サイバー犯罪条約は、捜査当局の国境を越えた取締りが全面に出ている。たとえば、国外の捜査機関(FBIとか)が現場に来ないで、インターネットにつながっている情報をネットを使ってごっそり押収するということを考えている。国内・国際という枠組みを一応作るが、政府側からすると関係ない。

アメリカも、FBIが国内の犯罪捜査で、CIAやNSAなどの諜報機関は対外的な活動をすると国内と対外を分けていた。これは対テロ愛国法以降なくなって、CIAは国内でも諜報活動をする。

なぜかというと、例えばインターネットの盗聴捜査をする。インターネットでは、いろんな通信回線をメールとかを流れている。例えば、韓国と台湾のコミュニケーションで、日本と関係ない通信が日本の追伸回線を流れていたりする。アメリカはそういうのが圧倒的に多い。日本とアジアの間の通信でも、アメリカを経由させていたりすることが多い。これはコンピュータ・ネットワークの技術的な仕組みで勝手にそうなっている。そうすると、アメリカ国内の通信がアメリカと関係ない国際電話のような形になっている。それと、アメリカの国内通信を分けて監視することはできないから、丸ごと監視するとなってきている。

今までは自国民は保護するが、外国・外国人に対しては諜報活動して人権侵害してもいいとやっていた。それが、今は国籍に関係なく、国家は人権侵害するという仕組みになってしまっている。そういう風にどんどんシフトしているのが、深刻だと思います。

発言者F 西村眞吾は、弁護士法だけでなく、組織犯罪対策法違反にも問われた。組対法であそこまでできるのなら、共謀罪は必要ないのではないか声もあるがどう思うか。

小倉 組対法との関連で言うと、そういう議論が一部である。反対論としては、現行法で対応できるという反論は必ず出て、その事例の一つとしては出せる。今までも、未遂・予備など実行前で処罰する枠組みがあった。予備罪よりも重罰にしても処罰するとのおかしいと。そうすると、法務省は対応できないケースとして、いろいろ事例を出してくる。

先ほどからいっているように証拠は会話しかない。具体的な役割分担とかしないと共謀にならないとかいうけど、捜査官の方が判断する話ですから。

組対法もいらないんだけど、論争するときは現行法が十分だという言い方をせざるを得ない。

先ほど言ったように、公職選挙法も対象になるので、選挙全般が警察に監視される。野党の政治家は危機感を持つべきです。

また、ポスティングなどで弾圧を受けた後、逮捕者救援の相談をします。救援の相談が共謀に引っかかる。特に司法妨害というのが入ってくると、逮捕者救援対策が「証拠隠滅=司法妨害」として摘発対象になる。救援体制自体が監視対象になる。僕らが今まで権力の介入・弾圧に対して持ってきた抵抗の手段が幾重にも奪われる。

現行法も悪法だけだけど、「現行法でも」という言い方をロビー活動ではせざるを得ない。

発言者G 越境犯罪条約は批准しているのですか。条約に合わせて国内法を制定しないといけないのですか。

小倉 国際犯罪条約は批准している可能性があります。サイバー犯罪条約は署名したが、批准はしていません。条約は批准すると憲法の下の存在になるので、国内法を条約に合わせて整備しないといけないという形になります。

発言者H 今後の見通しと反対運動についての呼びかけがあったらお願いします。

小倉 国会情勢はこれからです。現在、共同声明や請願署名をやっています。

共謀罪に、社共は反対しています。民主党は、反対していた議員が去年の選挙でかなり落選してしまったので民主党への働きかけが必要だと思います。

皆さんも、集会などの参加のほかに、いろいろとアクションを起こしていただきたいと思います。外の力を議員は気にしますので、それで自民党の議員が動揺したりすることもあります。

これまでも与党は、強行採決という道があったにもかかわらず、強行できずに、法案は二度も廃案になってきた。

やはり、それができないだけの後ろめたい法案ということです。後ろめたい法案だけだがやれといっているのが権力の中にもいて、消極的な部分が自民・公明の中にもいないわけではない。そういう部分をつついていく必要があります。

警察にとっては、現在はビジネスチャンスですから。捜査権限が広がるということは、予算も人員も増やせるわけでやりたいことができる。警備公安は冷戦後新たな敵を作らないと仕事にならない。テロ、北朝鮮対策というのが大きな部分になっている。不安を増長させてビジネスにしていこうという形になっています。

そのような警察・監視体制を強める共謀罪を成立させていけません。

(国連・憲法問題研究会講演会)