東部ウクライナの余計な人たち
(訳者まえがき) ここに訳出したのは、ウクライナ出身のアーティスト、Anatoli UlyanovのLeft Eastに掲載されたエッセイである。タイトルにある余計な人たちThe Superfluous Peopleとは、ロシア語話者でロシアに何らかの出自や関わりがある人達のことだ。ウクライナの政府にとって大切なのは、領土であり、こうしたロシア語話者の人達を本音では排除したいのではないかと、彼自身の経験を踏まえて判断している。もちろんロシアにとっても余計者であり、せいぜいでウクライナとの戦争で消費される戦力としてしか考えられていない。 ウリヤノフは、2004年のオレンジ革命以後、ウクライナの不寛容なナショナリズムとLGBTQコミュニティへの迫害を批判してきたアーティストで、ウクライナではゲイともみなされてきた。ウリヤノフのようなアイデンティティをもつ人達は、ウクライナでもロシアでも居場所を見出すのは容易ではない。ごく簡単にウリヤノフの経歴について紹介する。 2003年、アナトリ・ウリヤノフとナターシャ・マシャロワ(Natasha Masharova)は「プロザ」というウェブサイトを立ち […]