能動的サイバー防御批判(「国家防衛戦略」と「防衛力整備計画」を中心に)
本稿は、「能動的サイバー防御批判(「戦略」における記述について)」の続編です。 Table of Contents 1. はじめに 前回は、国家安全保障戦略における能動的サイバー防御の記述を中心にとりあげたが、今回は、国家防衛戦略(以下「防衛戦略」と書く)と「防衛力整備計画」(以下「整備計画」と書く)の記述を中心に批判的な検討を加える。前回検討した「国家安全保障戦略」が外交そのほか国家の統治機構総体を対象にして、国家の―民衆のそれとは対立する―安全保障全体を鳥瞰しつつ軍事化への傾向を如実に示したものだとすれば、「防衛戦略」は、もっぱら自衛隊の動員を前提とした記述だといえるのだが、以下にみるように、ここでの自衛隊の役割は従来のそれとは質的に異なるものになっている。 2. 国家防衛戦略における現状認識 「防衛戦略」のなかで「防衛上の課題」として次にような現状認識を示している。 ロシアがウクライナを侵略するに至った軍事的な背景としては、ウクライナの ロシアに対する防衛力が十分ではなく、ロシアによる侵略を思いとどまらせ、抑 止できなかった、つまり、十分な能力を保有していなかったことにある。また […]