ウクライナ経由ナショナリズムと愛国心をそれとなく煽るマスメディア
8日の夜7時過ぎのNHK「クローズアップ現代」は、ウクライナに残っている人達の深刻な事態を、現地の人達と繋いで報道していたのだが、同時に、ウクライナの外にいるウクライナ出身の人々の様子も取材しており、戦争が否応なく喚起させる庶民への理不尽な暴力を映像を通じて、私たちの感情を動員する番組になっていた。ロシア国内やロシア軍兵士への取材はない。敵のロシア軍の人間たちは砲弾や戦車といった暴力によって象徴される抽象的な存在としてしか実感できない。「こちら」の側には生身の人間が、敵はプーチンか、さもなくばプーチンの手先でしかない非人間的な機械か鉄の塊。こうして私たちの感情は、ウクライナの側に同化するような構図になる。どちらの側にも殺されるべきではない人間が同じようにいることが感じられないのだ。 NHKが取材対象とした人達、とりわけ若い男性たちには共通した傾向がある。それは、ロシア軍に侵略された国を救うために戦うことを(やむなく)決意した若者や、戦うために帰国する若者の姿だ。他方で、意識的に戦うという選択をしない若者(男性)や戦いたくないという気持ちをもって逃げてきた若者は存在しないかのようだ。ウク […]