(ヤニス・バロファキス)ウクライナはこの戦争に勝てない―私たちは、プーチンに出口を与える道徳的な義務がある
(訳者前書き)以下は、ヤニス・バロファキスへのインタビューの翻訳。ウクライナはこの戦争に勝てない、というタイトルは、このインタビューの冒頭でヴァロファキスが断言しているものだ。ヴァロファキスは、この観点をウクライナ支持者たちが忘れがちだと警告している。この指摘は、とても重要な観点だ。ロシアのウクライナへの侵略戦争に対して、徹底して抵抗して戦うことを物心両面で支援しようとすることが反戦平和運動の主流になっているように感じるが、私は、正義を実現するまで戦い続けることは正しい「答え」だとは思っていない。ではどのように考えるべきなのかについては別途私の考えを述べる機会をつくりたいが、ヴァロファキスへのインタビューでは、私の答えとは違うのだが、しかし示唆に富むひとつのありうべき答えが示されている。彼は、政治家としての実務を担ってきた経験を踏まえて、一刻も早く人命の犠牲を増やさないための選択肢をどうつくるかについて、ゼレンスキーを「批判的に支持する」という何とも中途半端なスタンスをとるのだが、逆に、そうだからこそ、ある種の現実主義的な答えを提起できているともいえる。バロファキスは理想主義者ではなく […]