平井玄「真に畏怖すべきもの」をめぐって
『季刊ピープルズ・プラン』73号(2016年8月10日)に掲載された平井の文章は、戦争法反対運動として高揚した国会前行動の「主役」を担ったSEALDsや総がかり行動などに対する苛立ちと怒りに近い思いに溢れたもので、近年めっきりお目にかかることが少なくなった熱い文章だ。 なによりも重要なことは、このエッセイが書かれたということだ。このエッセイは『季刊ピープルズ・プラン』の特集「対抗線をリセットする」に掲載されたのだが、実は、特集の枠外の位置けだ。ところが、枠外であるんもあかかわらず、リセットのために悪戦苦闘した文章は平井のものが唯一だといっていい。この奇妙な位置づけが逆にこのエッセイの性格を象徴している。 平井に会ったときに是非感想を聞かせてほしいと言われながら、すぐに私なりの意見を述べることもできずに今に至った。実は、私は彼ほどに熱心にあの国会行動に足を運んだわけではなく、むしろあの国会前の雰囲気と自分の居場所のなさとの落差、あるいは多くの人びとが運動に共感して同調する姿を見ながら自分の中にある違和感をいかんともしがたく、結局、出足の落ちるだろうから、雨が降ればとりあえず行こうと決める […]