刑法をめぐる二つの危機(既遂処罰原則の危機と犯罪概念の危機)──日弁連の共謀罪反対意見書へのコメント
日弁連が、2017年2月17日付で「いわゆる共謀罪を創設する法案を国会に上程することに反対する意見書」を公表した。 共謀罪についての政府側の最近の主張を踏まえた批判となっており、その内容の大筋については異論はない。内容もわかりやすく、法律の専門家ではない人たちにも理解できる内容になっていると思う。この日弁連の批判を踏まえた上で、日弁連の意見書では言及されていない論点について言及してみたい。 日弁連意見書は、批判の論点を「共謀罪法案は,現行刑法の体系を根底から変容させるものとなること 」「共謀罪法案においても,犯罪を共同して実行しようとする意思を処罰の対象とする基本的性格は変わらないと見るべきこと 」「罪名を「テロ等準備罪」と改めても,監視社会を招くおそれがあること 」に分けて展開している。これらの批判の論点に異論はなく、説得力のある批判だと思う。 現行刑法体系の原則とは以下のことだと説明されている。 「現行刑法は、犯罪行為の結果発生に至った「既遂」の処罰を原則としつつ、例外的に、犯罪の実行行為には着手されたが結果発生に至らなかった「未遂」について処罰する(刑法第44条)という体系から構 […]