書評 アライ=ヒロユキ『検閲という空気――自由を奪うNG社会』(社会評論社)
書評 アライ=ヒロユキ『検閲という空気――自由を奪うNG社会』(社会評論社) 本書は、その副題に「自由を奪うNG社会」とあるように、「NG」を連発するようになっている日本の現状を具体的な事例で紹介しつつ、その底流にある不寛容がいったい何に由来しているのか、そしてこれに対して、私たちの側からどのような対抗が可能なのかを論じており、挑戦的な仕事だ。本書で取り上げられた事例は非常に広範囲で、地域社会の日常生活、美術などの文化表現、マスメディアなど表現される場所も多様だ。「NG」が出される対象も、保育所の騒音問題、原発事故と放射能汚染の実態の隠蔽、侵略戦争の歴史認識の封殺、日の丸・君が代の強制、横行する右翼のヘイトスピーチやフェイクニュース、大学の学問の自由の危機、アニメやマンガなどのオタク文化まで事例も多岐にわたっている。 著者は検閲という言葉も使うが、むしろ「NG」というややあいまいだが、日常用語として使われるダメ出しがもたらす、自由を抑え込む雰囲気の蔓延に着目する。私のこの書評では、最後の数章で論じられている理論的な総括を中心に、私なりの問題意識に引き寄せて書いてみたい。 「NG」社会と […]