実は、私自身、ネットラジオは全くの初心者です。ですので、参加される皆さんと一緒に、とりあえず「出きる」ところまでやれることをとても期待しています。ことばは、読むこと、書くことだけでなく、話すこと(歌うこと?)、聞くことも大切なことです。話す、聞くことでしかできない可能性をいろいろ工夫するきっかけになればと思います。ネットでラジオ局を開局するときに、iTunesとかYoutubeなど既存のインフラを使うのであれば、netにたくさん情報があります。簡単とはいいますが、文章を書く、メールを送受信する、ネットサーフィンをするといった使い方が中心のユーザにとっては、音声をコントロールして配信すること(特にライブでの配信)ということになると、けっこう厄介かもしれません。
たとえば、
そもそも音声をパソコンに録音したり編集することはどうやってやればいいのか。
複数の話し手の声をパソコンで録音するはどうしたらいいのか。(パソコン内蔵マイクでskypeみたいなのではラジオとしての「音質」にはなりにくいでしょう)
音楽などを流したいけど、どうやって著作権問題をクリアしたらいいのか
パソコンからネットにどうやってライブで「音」を配信し、それを記録するのか。
録音したものをネットに上げるにはどうしたらいいのか。
ストリーミングなどをやるにはサーバを借りなければいけない?
いったいどれくらいの予算があればできるものなの?
などなどいろいろな疑問があるかもしれません。原則としてオープンソースのソフトを使って、Linuxでも実現可能なシステムを作ることをやれればと思います。参加されたみなさんも、実際にパソコンを使ってネットラジオの環境を作れるようにできればと思います。12号店の機材(マイクなど)は使えると思います。それ以外に、小型のミキサーとかを用意してみたいと思います。参考までに、以下の案内の後ろに、8月にベルリンで開催されるCRITICAL ENGINEERING SUMMER INTENSIVES, BERLIN 2018の紹介もあわせて掲載します。このイベントでもラジオへの関心がかなり中心的な主題になっています。
はじめてのインターネットラジオ放送

プロプライエタリ社会をハックする ― インターネットラジオ・ワークショップ
3月に1970年代イタリアの自由ラジオ局ラジオ・アリチェの物語「あくせく働くな」を上映し、自由ラジオ運動について語りあうセミナーを開催しました。日本は未だに電波管理が厳しく「海賊放送」の余地が非常に狭いままです。他方で、ネットラジオは自由度が高く、ブログやSNSにはない可能性と拡がりがあります。音声や音楽など「音」には書き言葉にはない可能性があるのです。伝えたい事柄を四苦八苦して文章にまとめるよりも話す方がずっと迅速で容易で、複数の参加者での討論や議論も文字よりは言葉の方が有効なコミュニケーションの方法でしょう。ネットテレビのような「顔出し」もないので、バジャマで寝転がってでもオンネアは可能です。このあくせく働かなくてもやれてしまうメリットを最大限に生かし、ライブの醍醐味も加味できるネットラジオの実践ワークショップを開催します。
講師は西荻窪にあるインディペンデントで公共的な文化スペース「あなたの公-差-転」を拠点に月一度の放送を行う〈ラジオ交-差-転 (Radio Kosaten) 〉で活躍するジョン・パイレーツ (Jong Pairez)さん。GLOBAL INDEPENDENT STREAMING SUPPORT (G.I.S.S.) などのフリーなネットツールを使用して、機材の接続から配信までをレクチャーしていただきます。
日 時:2018年7月20日(金)19:00~21:00
場 所:素人の乱12号店|自由芸術大学
杉並区高円寺北3-8-12 フデノビル2F 奥の部屋
参加費:投げ銭+ワンドリンクオーダー
講 師:ジョン・パイレズ (Jong Pairez)
サポーター:小倉利丸、上岡誠二
講師:ジョン・パイレズ
マニラと東京在住のメディア・アーティスト。持続可能でオールタナティブな生活のリサーチやデザイン、または人災と天災の共有体験を通じて生き残る方法を探り、文明と繋がるための、戦略的なスペースCivilization Laboratory (CIV:LAB)の設立者。移住、変位、ジオグラフィー、異文化との境界線に関心を持ち、ディジタルとアナログのテクノロジーによって空間の論理と不合理に取り組む。ビデオ・ドキュメンタリー、8mmフィルムの作品制作や自由ラジオ放送を通じて、押し付けられた地理を再創造するために重要な音とイメージのある環境をつくろうと試みている。来日してから自分自身が失われた世代の「移民労働者」であることも主張してきた。
参考
ベルリンではCRITICAL ENGINEERING SUMMER INTENSIVES, BERLIN 2018が開催されます。
https://criticalengineering.org/intensives/2018/
興味深いのは自由ラジオ運動を現在のインターネット環境を前提として、その理念をどのようにして継承できるかいろいろ工夫がされているということかもしれません。以下ワークショップの概要をサイトからざっくり訳しましたが、この内容で、予備知識なしで、本当にできるのか?というくらいかなり高度だと思います。インフラがない環境でのネットワークの確保、あるいは企業や政府の監視のない新たなネットワークへの関心が高まっているようにも思います。最後にちょっとだけ、GNURadioを紹介しましたが、これもかなり理系なものかもしれませんが、何にどう使うかは今後の議論しだいかもしれません。
いくつかワークショップがあります。(以下は公式サイトからの抄訳)
Wilderness Wireless 3-5 AUGUST, FROM 10:00 TO 18:00 Weise7 Studio, Berlin WITH Brett Ian Balogh
この3日間のワークショップは、ニューヨークのRadical Networks Conferenceで好評だったWilderness Wireless Workshopの延長。ワークショップの焦点は、グリッド外のインフラのないコミュニケーションネットワークを創造的に使用するための考え方、作成、使用。ワークショップは、自由ラジオ運動からインスピレーションを得て、分権化、言論の自由、アクティビズムを探求しつつテクノロジーに媒介された世界でどのように活動するかを実践する。 対象には、ラジオの物理的性質と電磁波スペクトル、代替エネルギー、ワイヤレスネットワーク、伝送およびネットアートが含まれる。参加者は、エレクトロニクスの構築とはんだ付け、組み込みコンピューティング、WebとPythonのプログラミングに関する実践的なスキルを身につける。 参加者は、ワークショップで2つのデバイスを構築する。最初は、無線通信の世界への入り口として使用されるDIY、マイクロパワーFMラジオトランスミッタ、およびクリエイティブなメディアとしてのラジオの使用。 2番目のデバイスは、太陽光発電のWiFiアクセスポイントとオフラインWebサーバーで、ワークショップの創造的な成果の中心をなす。誰もが自分のマイクロパワーFMトランスミッターを作ることになる。
事前の経験は必要ありません。
コース料金:150ユーロ
Surveillance Override 13-15 AUGUST, FROM 10:00 TO 18:00 Weise7 Studio, Berlin WITH Joana Moll and Sarah Grant
PSYOPSとも呼ばれる心理戦争は、軍事および政府情報ネットワークで、人の行動、目的、目標を変えるために、政府、組織、団体、個人の感情的、認知的、合理的な構造に影響を与えることを目的する戦略だ。 PSYOPSの戦術は、アルゴリズムガバナンスの中核となる多様なテクノソーシャルアレンジメントに深く根ざすが、多くのグローバル市民は、こした仕組みのなかにありながらこれを無視したり見落としている。 「クラウド」への不信が増大するなかで、ユーザーガコミュニケーション、データ、アイデンティティをより詳細に制御できる公的なネットワークインフラへの要求が広がりつつある。 この3日間の実践ワークショップでは、PSYOPS、心理学、宣伝、サーベイランス、インターネット、データ、アルゴリズムを相互に結びつけることを試みる。我々は、通信技術に対する主権を確保するための代替ネットワークと資源を構築する必要性を強調したい。 ワークショップの初日には、企業、政府機関、政府が個人情報を収集、分類、利用するために使用する多くの仕組みについて、社会的、政治的、環境的な影響を理解する。 最後の2日間は、参加者にコンピュータネットワーキング、コマンドラインインターフェイス、WiFi通信の基本的な仕組みを紹介する。Webサーバー、ファイルサーバー、および個人用のワイヤレスネットワークを自らホストする方法を学ぶ。これらのサーバーで、ユーザーがメッセージを送信し、オフラインローカルエリアとメッシュネットワークを介してWebサイトを公開し、ファイルを共有できるようにする。
プログラミングやコマンドラインとのやりとりに関する事前知識は必要ありません。
コース料金:150ユーロ 材料:75€(オプション)
Introduction to Software Defined Radio 16-18 August, FROM 10:00 TO 18:00 Weise7 Studio, Berlin WITH JULIAN OLIVER AND BENGT SJÖLEN
この3日間の参加者は、12 Euro RTLSDR USBドングル*と無料のオープンソースソフトウェアを使用して、世界中の信号を読み取り、記録し、適切に処理する方法を学ぶ。気象衛星から国際宇宙ステーション、航空機、軍隊、海賊およびアマチュアバンドに至るまで、ソフトウェアで定義されたラジオは、あらゆるLinux、OS XまたはWindowsのラップトップが、他の装置では聞くことのできないものを聞くための聴覚となる。 参加者がラジオ現象の捕捉、分析、録音を実際に体験できるよう、さまざまなアンテナを備えた屋外ツアーが行われます。無線アプリケーションを完全にソフトウェアで設計してパッケージングするための強力なツールキットであるGNURadioのように、セルフインフラの解放、スプーフィングし開発する特別なモジュールを教えます。 これらは、パケット無線、電波天文学、無線対抗監視、信号妨害、海賊ラジオなどの分野でのさらなる学習に直接適用できます。
ラジオ、プログラミング、またはコマンドラインの相互作用に関する事前知識は必要ありません。
コース料金:100ユーロ 材料:12ユーロ(オプション)
上記の最後の登場するGNURadioについては下記を参照してください。 日本語 かなりたくさんあります。適当にピックアップ。
https://ja.wikipedia.org/wiki/GNU_Radio http://inaz2.hatenablog.com/entry/2016/08/06/000135
CQ出版社がこんなセミナーをやっていた http://seminar.cqpub.co.jp/ccm/ES17-0094
本家 https://www.gnuradio.org/