接触者追跡とプライバシーの権利―監視社会の新たな脅威
目次 1. はじめに 感染経路追跡とプライバシーの権利 2. これまでの監視システムが全体としてグレードアップしている 3. コロナ感染防止を名目とした網羅的監視 4. 感染者追跡は必須か。 1 はじめに 感染経路追跡とプライバシーの権利 COVID-19パンデミック第二波となっている現在、政府(国であれ自治体であれ)と資本の対応に一貫性がみられなくなっいる。しかし、そうしたなでも、誰もがほぼ間違いなく「正しい」対処とみなしているのが、陽性とされた人の濃厚接触者を特定し追跡することだ。これが感染拡大を防止するイロハとみなされている。しかし、わたしはこの政策には疑問がある。この考え方は、人々が濃厚接触者が誰なのかを、正直に保健所当局に告白するという前提にたっている。この考え方は、濃厚接触者を網羅的に把握できなかったばあい、つまり漏れが少しでも生じれば、代替的な防止策がとれないで破綻するということだ。実際最近の動向は、感染経路が追えないケースが増えていることを危惧する報道が多くなった。 濃厚接触者追跡というモデルは、現実の人間をあたかも実験室のモルモットであるかのように扱う現実性に欠けた人 […]