プロプライエタリ社会をハックする(実践編:その1)

以下、自由芸術大学のサイトから転載します。 Dropboxは捨てろ、FacebookとGoogleには近づくな、Appleも例外ではない。 プロプライエタリな社会は、プライバシーを侵害し、自由を奪う。いまやスマートフォンはジョージ・オーウェルの小説に出てくる監視装置「テレスクリーン」と化した。プライバシーを守り、自由を獲得するために、ネット上で戦うハッカーたちの作り出したオープンソースのソフトウェアーやサービスを使うことを共に学び、私たちのあたりまえの〈コミュニケーション〉を取り戻すための不定期連続セミナー。 セミナーでは、PCやスマホの自由なソフトウェア―やアプリの解説を行いインストールします。ウェブメールやクラウド・ストレージ、SNSなどのサービスについても検証し、より安全なものを選択していきます。 次回、8月5日(土)はお使いのWindows、MacのPCやiPhone、Androidのスマホに簡単にインストールできる、プライバシー保護を考慮したアプリケーションを紹介します。まずは匿名でインターネット・ブラウジングが出来る「TorBrowser」から。 インストールしてみたい方は […]

8月3日:共謀罪で監視社会はどうなる? 私たちの闘い方を考えよう!

転送・転載歓迎 ******************* <緊急集会> 共謀罪で監視社会はどうなる? 私たちの闘い方を考えよう! ******************* ▼お話 ●小笠原みどりさん(ジャーナリスト) スノーデンの共謀罪への警鐘をふまえて、情報操作に対抗するためのデータ民主主義の可能性についてお話しいただきます。 著書:『スノーデン、監視社会の恐怖を語る 独占インタビュー全記録』(毎日新聞出版)など ●小倉利丸さん (批評家) 網羅的な監視状況のなかで、異議申し立て運動が「話し合う」自由を確保するための運動文化の創造について、お話しいただきます。 著書:『絶望のユートピア』(桂書房)など ▼日 時:2017年8月3日(木)18時30分〜 ▼場 所:文京区民センター2A 都営三田線・大江戸線「春日駅A2出口」徒歩2分、東京メトロ丸ノ内線「後楽園駅4b出口」徒歩5分 東京メトロ南北線「後楽園駅6番出口」徒歩5分、JR水道橋駅東口徒歩15分 都バス(都02・都02乙・上69・上60)春日駅徒歩2分 ▼資料代:500円 ▼主 催:盗聴法廃止ネット ▼協 賛:共謀罪NO!実行委員会/ […]

7月24日(月)大阪:共謀罪施行後、初の共謀罪学習講演会

以下、主催者のFBから転載します。 共謀罪施行後、初の共謀罪学習講演会です。 メインの講演はネットワーク反監視プロジェクトで活躍されている小倉利丸さん。共謀罪についての共著があり、インターネット上の監視についても詳しい小倉さんのお話は興味津々です。 さらに、共謀罪が施行されてしまった今、まずは政府に共謀罪を使わせないことが一番! でも、もしも、もしも逮捕されてしまったら、そのときはどうしたらいいの?というもしものときの実践マニュアルも、弁護士の先生からお話していただきます。 そして、新聞うずみ火代表の矢野さんからは、ジャーナリズムと共謀罪という、これまた興味津々のお話も。 短い時間に盛りだくさんで、とても贅沢な内容の学習講演会です。 共謀罪なんてぜったい許せない!と思っている方も、でもこれからどうなるのか正直ちょっと不安…という方も、ぜひぜひご参加下さい。 ●7月24日(月) 18時半~エルおおさか708号室(京阪・地下鉄谷町線「天満橋駅」より西へ300m) 講演「ぶっ飛ばせ!共謀罪」 小倉利丸さん(元富山大学経済学部教授) ◇講師の小倉さんより◇ 共謀罪の施行を目前にして、共謀罪への […]

オリンピックと戦争──感情の同調回路からの切断へ

  オリンピックへの批判は、金がかかるとか誘致の過程が不透明だとか、不正・腐敗の疑惑がある。様々ありながら、オンピックは、崇高なスポーツの精神をこうした政治や金がらみのメガイベントにすることで汚しているといったスタンスの批判が大方だ。初心に帰れということだろう。スポーツそのものには問題はなく、スポーツを政治や金儲けに利用することが問題だという発想は根強い。しかし、政治や金儲けと無関係にスポーツが成り立ったことはあるのだろうか。そんなことはあったためしがない。 しかし、そもそもスポーツがそんなに立派なものなのかぼくにはまったく理解できない。もちろん、文化系のあれやこれや──文学とか音楽とか美術とか──とか、理系のあれこれ──数学とか物理学とか生物学とか──もまた立派なものと思ったことはない。大体が学校で教わって、最終的には様々に学んだものが数字(点数)に化けて一丁上りという仕組みに立派なものなどない。点数とか数字に化けるものはおしなべて空しい。ただ空しいだけだと思う。 ぼくは、小学生の頃、校内でベストスリーに入る肥満児だった。だから体育の成績がよかったことはない。かといって、他 […]

空族(くぞく)最新作 『バンコクナイツ』富山上映会(7月16日、17日)

空族(くぞく)の最新作『バンコクナイツ』が富山で上映される。17日には私もトークに参加させていただきます。 わたしの映画評は下記にあります。 越境するアンダークラス──映画『バンコクナイツ』 アトリエ・セーベーの告知(転載) みなさん、こんにちは。 アトリエセーベーがあるLETTERが1周年を迎えました。 デッサン教室をベースに、読書会、映画、「みる」ことをいろんなかたちでおこなってきました。さまざまな出会いと体験のおかげでなんとか折れずにやってこれたのも、場所とそこを訪れてくださるひと、表現と表現者のおかげです。ありがとうございます。 わたしは、金属をつかって大きな作品をつくり、それで食べていた時期がありますが、あることがきっかけで全く作れなくなり、それから数年後に誘っていただいて出会った劇場バイトで大きな変化がありました。また、デッサンの講師をやりはじめたのもこの頃です。 劇場では1日3、4本、ひと月約15本ほどの作品を上映していました。パブリックな場所と作品とひとと。ただ受付に立っているだけでしたけれども、作品をつくっていたころのような感覚を取り戻したような気持ちになれたのは、表 […]

プロプライエタリ社会をハックする

――芸術・文科系のハッキング術 ネットのややこしい「技術」なんか知ったこっちゃない、便利ならとりあえずいいか…というアクティビストのための、それって、結構ヤバいんじゃないかということを巡るレクチャー&トーク スピーカー:小倉利丸(『絶望のユートピア』著者) プレゼンター:上岡誠二(芸術活動家) 日 時:2017年7月16日(日)19:00~21:00/18:30 Open 場 所:素人の乱12号店|自由芸術大学 杉並区高円寺北3-8-12 フデノビル2F 奥の部屋 資料代:500円+投げ銭(ワンドリンクオーダー) 共謀罪は、警察であれ政府機関であれ企業であれ、あらゆる諸組織がまず何よりも私たちの〈コミュニケーション〉を監視し、情報を収集・分析・分類する活動を前提として、私たちの〈コミュニケーション〉を犯罪化するものだ。とすれば、私たちは、〈コミュニケーション〉の非犯罪化を要求しなければならないだけでなく、彼らの監視・収集・分類の目論見から私たちの〈コミュニケーション〉の権利を防衛する技術を身につけなければならない。のっぴきならない戦争の時代に、彼らが仕掛けた〈コミュニケーション〉の戦場 […]

ブッとばせ!共謀罪 7・10集会

ブッとばせ!共謀罪 7・10集会 反戦・反改憲のうねりを創りだそう!   7・10集会 □日時:7月10日 18時15分開場~21時 □場所:文京区民センター2A会議室 ■問題提起:共謀罪新設攻撃をはね返し、 どのような運動を構想するか? 小倉利丸さん(富山大学元教員) □交通:都営地下鉄春日駅1分、メトロ後楽園駅5分 □資料代:500円 安倍政権は共謀罪を新設して、沖縄をはじめとする反 戦運動を弾圧し、反改憲の声を封じ込め、2020年東 京オリンピック」前にも改憲を実現しようとしています。 こうした動きに対して、治安法・弾圧をはね返し、反 戦・反改憲の闘いをいかに創りだしていくのか。今春の 共同した闘いを踏まえ、小倉利丸さんの問題提起を受けて 大いに討論したいと思っています。ぜひご参加ください。 主催  戦争・治安・改憲NO!総行動実行委員会 [実行委呼びかけ団体]破防法・組対法に反対する共同行動、共謀罪反対!国際共同署名運動、救援連絡センター、集団的自衛権法制化阻止・安倍倒せ!反戦実行委員会、戦争に協力しない!させない!練馬アクション、心神喪失者等医療観察法(予防拘禁法)を許すな! […]

越境し共謀するアーティストたち(戦前編)

──エロシェンコと宮城与徳 スピーカー:小倉利丸(『絶望のユートピア』著者) 日 時:2017年7月1日(土)19:00~21:00/18:30 Open 場 所:素人の乱12号店|自由芸術大学 杉並区高円寺北3丁目8-12 フデノビル2F 奥の部屋 資料代:500円+投げ銭(ワンドリンクオーダー) 戦前から戦中の時代は今の日本よりも逼塞した暗い時代だったのだろうか。アクティビストたちは常時特高警察に監視され、集会もデモもままならない時 代だったが、そのなかで、思いの他したたかに権力に抗った者たちも多くいる。そうした人々のなかから、二人のアーティスト、ワシリー・エロシェンコ (1890年~1952年)と宮城与徳(1903年~1943年)に焦点を当てます。二人とも、周辺に生まれ(エロシェンコはウクライナ、宮城は沖縄)国 境を越えて移動しつつ、共謀の抵抗線を意図せざる結果として描いた人たちです。彼らの生き方とアーティストの表現について考えながら、過酷な時代ですら私 たちの今の時代を凌駕する、国家に抗する行動がありえたことを再認識しつつ、私たちにはまだまだ多くの共謀の可能性があるのだ、という […]

「英国のテロ: 首相は何を知っていたのか? 」ジョン・ピルジャー

以下に訳出したのは、Counter Punch に掲載されたジョン・ピルジャーによるマンチェスターの「自爆テロ」についてのエッセイである。日本では、共謀罪がテロ対策を口実に国会でも成立の瀬戸際という危うい状況にあることを念頭に訳したものだ。 ピルジャーは、マンチェスターの事件を対テロ戦争が引き起した帰結であるとはっきりと指摘している。特に、英国がリビアに対して行なった軍事介入における戦争犯罪(多数の民間人が破砕爆弾やクラスター爆弾の犠牲になった)と、カダフィを排除するためにイスラム主義者たちを利用してきた軍や諜報機関を批判する。英国のみならず米国やフランスも含めて、かつての植民地諸国を支配・従属しつづけようとする野望のために、西欧「帝国」の国益のためにイスラム主義者を使い捨ててきた歴史を視野に入れなければ「テロ」の問題は答えを見出せない。 日本も含めて、西側諸国は、みずからの歴史的な植民地支配とポスト植民地主義(新自由主義的な支配)に内在する国家の暴力や犯罪を一切反省することなく、こうした自らの犯罪を棚上げして「正義」の側に、彼らが「テロ」と呼ぶ対象を「悪」の側に分類する単純な善悪の構 […]

「記憶と美術館:彫刻とモニュメントをめぐって」についての幾つかの異論

昨日(2017年5月16日)、東京芸大で美術家の白川昌生を招いて公開講義が行なわれた。テーマは「記憶と美術館:彫刻とモニュメントをめぐって」。司会を毛利嘉孝がつとめた。ウエッブの案内には以下のような趣旨が記載されている。 「今日、記憶はどのように継承されているのでしょうか。そもそも集合的記憶は誰のものであり、誰によってつくられ、誰によって維持されているのでしょうか。美術館や芸術作品は、しばしば集合的な記憶を継承する重要な装置として機能してきました。白川昌生氏がこの数年取り組んできた歴史的記念碑をモチーフとした巨大な「彫刻」作品のシリーズは、こうした問いに対して正面から取り組んだプロジェクトです。今回は、美術作家であると同時に美術批評家としても活躍している白川昌生氏をゲスト講師に迎え、彫刻とモニュメントの問題を中心に、記憶と美術館について議論します。」 言うまでもなく、群馬県立近代美術館で起きた白川作品撤去を踏まえての講義だ。趣旨にあるように、美術館が集合的記憶の装置であるとすれば、この装置が発動した検閲の意味は何であり、それに作家はどのような抗いが可能なのか、あるいは可能にすべきなのか […]

共通番号いらないネット 学習討論会 「共通番号制度はなぜ反監視の観点から語られないのか」

いま国会では共謀罪が審議され、私たちも全力でその成立を阻止すべく様々な行動に参加しています。 安倍政権は戦後なしえなかった監視立法を成立させてきました。番号法、秘密保護法、盗聴法の拡大、そして共謀罪というラインナップです。2020年の東京五輪の年をテロ対策を大義名分にして市民監視体制の完成が目指されているのではないでしょうか。 しかし、反監視の観点からの取り組みを語る際に、多くの場合、番号法は抜け落ちます。なぜなのでしょうか?番号問題を語る際に利便性、効率性、プライバシー、などの多様な論点の中に反監視という論点が後景化してしまうからなのか。 今回は、反監視としての番号問題はなぜ秘密保護法や共謀罪 などと同等に脅威として論じられないのか、という問題について徹底 討論したいと思います。是非ともご参加ください。 日時:5月17日(水) 18:30~ 会場:渋谷区立千駄ヶ谷区民会館 第1会議室 交通:JR 原宿駅 徒歩10分 東京メトロ千代田線・副都心線 明治神宮前駅 徒歩8分 東京メトロ副都心線 北参道駅 徒歩8分 問題提起者 小倉利丸(情報資本主義論) 原田富弘(共通番号いらないネット) […]

カンニングをなくすために「共謀罪」は役に立つか?──不正受験防止法の物語──

個人情報保護条例を活かす会のニュースに書いた原稿を転載します。ちょっと奇妙な内容なのですが、執筆の場を与えてくださった会に感謝します。 共謀罪に私は反対ですが、賛成論では、自然災害での防災、感染症での予防と同様に、犯罪も防犯対策として共謀罪は必要では、という主張があります。以下では、このような共謀罪賛成論への反論として書きました。 犯罪のない社会はありません。もしあるとすれば、刑務所の独房でしょう か。24時間監視され隔離された環境なら犯罪はないでしょう。しかし独房のような社会を望む人はいないでしょう。安全安心なのに。逆に、日常的に犯罪が頻発し、無視できない多くの人達が犯罪に手を染める社会の場合、犯罪を犯す個人の責任よりも、社会や政治に犯罪の原因があると考えるでしょう。 もう少し身近なたとえ話で考えてみましょう。学校ではカンニングは重大なルール違反です。カンニング防止のために、国の法律で不正受験防止法を制定したとします。カンニングの共謀も違法とし、違反者は退学処分だけでなく懲役刑を課します。警察官が試験監督を行ない、警察がカンニングの共謀を探るために、学生を常時監視する制度を導入すると […]

群馬県立近代美術館の検閲への抗議と要請

抗議と要請 群馬県立近代美術館による白川昌生さんの作品「群馬朝鮮人強制連行追悼碑」を撤去させた措置は、憲法が禁じる検閲にあたり、認められません。強く抗議するとともに、作品の速やかな展示の復活を求めます。 抗議の理由を以下書く。 上毛新聞は以下のように報じている。 上毛新聞 4/23(日) 6:00配信(yahooニュースより) 群馬県立近代美術館(高崎市綿貫町)で22日始まった企画展「群馬の美術2017」で、県立公園群馬の森(同所)にある朝鮮人労働者の追悼碑を模した作品について、同館が開催直前に展示を取りやめたことが分かった。県は碑の設置許可の更新を巡って市民団体と係争中で、同館は「どちらか一方に偏るような展示は適当でないと判断した」と説明。作者で、県立女子大講師で美術家の白川昌生(よしお)さん(69)=前橋市=は「碑を巡る状況を問題提起したかった」としている。 以下、この報道などを基に、三点にわたってわたしの群馬県立近代美術館への批判と抗議の意図を述べる。(作品の写真はここにある) (1)憲法が禁じている検閲であり、その主題が朝鮮人強制連行の追悼碑であることが問題の重大さを示している […]

テロの脅威を煽る国連テロ対策委員会事務局上級法務官

共謀罪賛成派の国連テロ対策委員会事務局上級法務官の高須司江の主張が毎日に掲載されていた。国連サイドの専門家の発言として、共謀罪審議でも与党側におおいに利用されるのではないかと思うので以下私の批判を書いておく。越境組織犯罪防止条約は共謀罪なしで批准できるという日弁連はどう反論するのか。反論はしないとだろう。今更批准反対とはいえないだろうが。 高須は、共謀罪の成立は越境組織犯罪防止条約締結の前提でもあり「条約は、各国が協力してテロを含めた組織犯罪を未然に防止するためのもので、ほとんどの国連加盟国(187の国・地域)が締結しており未締結は日本などごくわずかだ。」という。国連国連テロ対策委員会に所属しているという立場からの発言なので、それなりに影響力ももちそうな発言だ。 しかし、187ヶ国も締結していて、本当にテロに効果があるなら今頃世界中からテロはなくなっていないとおかしい。むしろテロ対策としての効果は証明されてないし、人身売買、銃器取引、薬物などをめぐる国際組織犯罪の防止にも役に立ったとはとうてい思えないことは前にも指摘した通りだ。フランスやイギリス、ドイツ、チュニジアなどで起きたテロをど […]

4月16日(日)揺れ動く世界をどうとらえるか

戦争に協力しない!させない!練馬アクション講演会 日時 4月16日(日) 場所 練馬区役所  19階1902会議室 (〒176-8501 練馬区豊玉北六丁目12番1号  西武池袋線・西武有楽町線 練馬駅西口から徒歩5分; 都営地下鉄大江戸線 練馬駅から徒歩7分) 午後3時 記念講演会 揺れ動く世界をどうとらえるか 講師:小倉利丸さん トランプ政権の誕生で、世界情勢が大きく動こうとしています。イギリスのEU離脱や排外主義の台頭。内戦が続くシリア、強権化が進むトルコなど、混迷が続く中東情勢。それらに加えてのトランプ政権の誕生で、今後、どのような世界が到来するのか、予断を許さない状況が生まれています。  特に、トランプ政権の対中強硬姿勢は、東アジア世界を一気に不安定化させかねません。  そうした中で、安倍政権は、あの手この手で改憲を進めようとしています。沖縄米軍新基地建設の強行に加え、宮古・石垣などに自衛隊配備しようとしています。首都圏でも、横田にオスプレイを伴った米空軍特殊部隊が配備されたり、木更津に米軍および自衛隊のオスプレイ整備拠点が置かれたりと、米軍・自衛隊の再編が進められようとして […]

転向の強要としての共謀罪に対する刑罰制度

●治安維持法と思想犯保護観察法 刑法は、1907年に制定されたものが、一部改正されながら現在まで基本的な枠組をそのまま維持している。戦前・戦中の刑法がいまだに現役なのだ。治安維持法も戦時中の軍事関連の刑事法も現行刑法の土台の上に構築されてきたものだ。だから、戦前の治安立法を回顧するのは、今現在の刑法のありかたと直結していることを忘れるべきではないだろう。 かつて改正治安維持法の時代に、当時の有力な刑法学者でもあった牧野英一は、治安維持法を大正後期の社会運動の高揚がもたらした「思想的悪化」への対抗手段として必要な法律としながらも「その性質は専ら威嚇的のもの」であり「違反事件に対する捜査の手続は、刑事訴訟法というものの現に存しているかを疑わしめるものであったとさえされている」(『改正刑法仮案とナチス刑法』有斐閣、1941年)と特高警察などの捜査を批判した。また牧野は、治安維持法は「国家が自己の保全に焦燥を感ぜねばならぬ限り刑政は威嚇を出で得ないこと、これは刑法の沿革のすでに事を明かにしているところである」とも述べて、統治機構の脆弱化を示唆した。 しかし他方で牧野は、「威嚇主義にもかかはらず […]

特定秘密保護法のテロリズム定義と共謀罪

共謀罪法案にはテロの定義はない。しかし、特定秘密保護法 12条2の一に定義があり、これがドローン規制法にも継承されている。これら先行する法律におけるテロリズムの定義には容認しがたい大問題がある。 ●特定秘密取扱者とテロリスト調査 これらの法律ではテロリズムは以下のように定義されている。 「政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊するための活動をいう」 この定義は、特定秘密を扱う者の適正評価の対象となる者の身上調査に関する事項を定めた第12条2項のなかにあり、適正評価対象者の「テロリズムとの関係に関する事項」として「評価」すべきこととされている。つまり、この条文でいう「テロリズム」の活動そのものではなく、こうした活動との関係が調査対象となるので、当然のこととして「政治上その他の主義主張」それ自体にこの条文でいうテロリズムの傾向があるかどうかが調査の対象になると思われる。秘密保護法の審議当時も、取扱者の適正評価規定への強い反対はあったのだが、このテロリズムの定義そのものが秘密法反対運動 […]

生前退位論議から天皇制廃止への道筋を考える

3月2日に衆参両院の正副議長が各党派代表者の会議を開催し、生前退位の合意をとりつけ、生前退位否定の選択肢がまず消えた。生前退位について有識者会議や政党間でも議論は三分されており、そもその生前退位を認めるべきではないという主張が極右派の立場で、共産党や社民党は、象徴天皇制の是非問題を棚上げにして天皇制存続を前提に皇室典範の改正で対処すべきだとの見解であり、与党の特別法対応はその中間に位置するといえる。(井田敦彦「天皇の退位をめぐる主な議論」『調査と情報』943号、国立国会図書館、2017年2月)今後は、天皇の意向を汲み、生前退位を前提として、憲法、皇室典範などの法解釈問題も含めて、生前退位を合法化する法的な手続き論に焦点が絞られたということになる。 生前退位をめぐる議論は、天皇制の持続可能性を確保するための最適な統治機構の再設計問題でしかない。天皇制に反対する立場からすると、退位をめぐるこの間の問題は、メディアも議会もアカデミズムも法曹界も、そもそも天皇制の是非という課題を最初から問題設定の前提から排除することを自明の理として、天皇制ありきの議論に何らの疑問も抱いていない点に最大の問題が […]

4月8日(土)五輪災害と共謀罪

オリンピック災害おことわリンク連続講座(第1回) 講師 小倉利丸さん ・4月8日(土)18:00〜21:00 ・会場 文京区民センター2A ・資料代 500円 いったん廃案になった共謀罪が今国会成立の危機にあります。安倍首相は、共謀罪の成立なしにはオリンピックも開けないと強調し、共謀罪成立に異常な 意欲を表明しています。共謀罪は、話し合いを犯罪化し、会議や集会、通信などを監視して取り締まりを可能にする法律です。政府はテロ対策を口実に、共謀罪 をオリンピック反対などの運動の抑え込みに利用しようとしています。 私たちは、オリンピックを政治が人為的にもたらす災害であると捉えて、反対してきました。私たちのアクションだけでなく、沖縄の反基地運動、反原発 運動など様々な異議申し立ての運動は、憲法が権利としてわたしたちに与えている言論・表現の自由、思想信条の自由に基づいた運動です。共謀罪はこうした運 動を、思想信条のレベルで根こそぎにし、政府批判そのものを犯罪化する法案となる危険性があり、反対運動も急速に拡がりつつあります。 おことわりリンク第一回講座は、この現状を踏まえ、オリンピックと共謀罪をテー […]

共謀罪と「道義刑法」の亡霊

以前、述べたように、共謀罪は、現行刑法の基本的な枠組みを根底から覆し、自民党改憲草案に対応した国家による犯罪と刑罰の体制を構築する試みの一環として位置づけなければならないから、問題は、憲法を含むこの国の統治の基本を根底から覆す可能性をもつものだ。 戦後憲法は戦前の憲法と比べて基本的人権の保障を大幅に拡張したことが最大の特徴の一つだと言われてきた。憲法は前文で「わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保」することを宣言し、第三章はまず個人の自由を権利として保障することをとりわけ強調した戦後憲法の理念は、国家権力が個人の自由に干渉・介入してはならないということを戦前の憲法との大きな差異として打ち出したことを意味した。戦後の憲法が大幅な人権保障を国家に命ずるものであるなら、同時に刑法の基本的な考え方も根本から改訂されなければならないように思う、現実にはそうはならなかった。 刑法には、戦前と戦後を通底するこの国の近代国民国家としての権力とイデオロギー、あるいは秩序と支配における一貫した国家観を読み取ることができる。明治期に成立した刑法は、現在まで、資本主義的な国民国家としての一貫性を保つため […]