リスク回避のサボタージュ――資本と国家の利益のために人々が殺される

1 何が起きているのか―人を犠牲にして制度を守る? 世界中にあっという間に拡がった新型コロナウィルスによって、大都市から人の姿が消えた。外出や集会自粛への同調圧力は非常に強く、多くの社会運動の側の多くは、世界規模で、好むと好まざるとにかかわらず、この同調圧力を受け入れざるをえないところに追い込まれている。しかも、社会運動の側は、感染の拡がりを阻止するために、積極的に貢献する意思をもって、対処してもいるから、「同調圧力」という表現に含意されているある種の権力への従属といったニュアンスで語るべきではないのかもしれない。政権であれ野党であれ、誰もがとりうる選択肢はただひとつしかないように思われている。   しかし、本当に必要なことが、感染の拡大を阻止して重症者を出さないようにすることであるならば、政府と企業が全力を尽して、人々が感染しているのかどうかを早期に発見する体制をとるべきだろう。にもかかわらず、いまだに院内感染が後を断たない。夜遊びに出るなとか、クラブは閉鎖だという脅しともいえる圧力があるなかで、ここ数日の状況では、最も深刻な集団感染は医療施設で起きている。なぜなのだろうか。不顕性の […]

大手製薬会社はコロナウイルスから利益を上げる準備をしている

以下の記事の飜訳です。 出典: Big Pharma Prepares to Profit From the Coronavirus Sharon Lerner March 14 2020, 3:46 a.m. https://theintercept.com/2020/03/13/big-pharma-drug-pricing-coronavirus-profits/ 大手製薬会社はコロナウイルスから利益を上げる準備をしている シャロン・ラーナー 2020年3月14日 新型コロナウイルスが世界中に病気、死、そして大惨事を広めているため、経済の実害は免れない。しかし、世界的大流行の混乱の中で、1つの業界だけは生き残るだけでなく、かなりの利益を上げている。 「製薬会社はCovid-19を一生に一度のビジネスチャンスだと考えている」と、「Pharma:Greed、Lies、and the Poisoning of America(注1) 」の著者であるGerald Posnerは述べている。もちろん、世界に医薬品は必要だ。特に、新型コロナウイルスの大流行には、治療とワクチン、そして米国では […]

銀行が医療企業に、コロナウイルスの重要な医薬品、医療用品の価格引き上げ圧力をかけている

以下の記事の飜訳です。あまりいい訳ではありませんが。 出典:Banks Pressure Health Care Firms to Raise Prices on Critical Drugs, Medical Supplies for Coronavirus Lee Fang March 20 2020, 4:03 a.m. https://theintercept.com/2020/03/19/coronavirus-vaccine-medical-supplies-price-gouging/ 銀行が医療企業に、コロナウイルスの重要な医薬品、医療用品の価格引き上げ圧力をかけている イ・ファン 2020年3月19日午後7時3分 ここ数週間、投資銀行家は、危機から利益を得る方法を検討して、治験薬を開発している製薬会社や医療供給会社を含む新型コロナウイルスと最前線で闘う医療企業に圧力をかけている。 メディアは主に、今不足している医療用品や衛生用品の市場を利用して、マスク(注1)や手指消毒剤(注2)を買いだめして、より高い価格で転売する個人に焦点を当てている。しかし、医療業界の最も大きな […]

危惧すること:コロナウィルス問題と私たちの政治的な権利について

2月27日にいくつかのメーリングリストに「危惧すること」と題して投稿した文章を再掲しますが、もはや状況が追い越した感あるので、最初に補足の文章を載せ、その後ろに27日の文章を掲載します。27日の投稿にある米国のインフルの数字は日刊ゲンダイからとったものですが、CDCのデータではこれより少なく、死者は2万人、感染者は3400万人としており、25000人の根拠がわかっていないのに使ってしまってます。こういうのは好ましくない使い方で反省です。なお、米国の実態は調査されていないのでわからないし、そもそも検査キットが米国では足りないと米副大統領が語っているニュースをBBCで見ましたが、これは実態が正確に把握できていないということでもあります。ですから、日本と同じザル状態なので今後拡がるかも知れません。 インフルエンザもまともに押えられない米国CDCは日本のメディアがいうほど効果的な組織ではないと思います。5日の米国のDemocracy Nowの番組では、最大の問題は、米国の公的保険制度の不備にあること、貧困層が保護されないこと、貧困層ほどテレワークなどというシャレた仕事ができないサービス業につい […]

第9回:死刑廃止映画週間『フォンターナ広場』トーク

2月18日、死刑廃止映画週間に上映されたイタリア映画『フォンターナ広場』(日本語公式サイト)の上映後のトークイベントで話をしました。下記の動画の下にあるブログの文章はトークの記録ではありません。トークでは映画を観た方たち向けに話したのですが、ブログの読者は映画を観ているとは限らないので、話しきれなかったことなどを書くとともに、トークでは紹介できなかった音楽についても以下で紹介しました。 「フォンターナ広場」とは、1969年12月12日にミラノのフォンターナ広場に面したイタリア農業銀行で起きた爆弾テロ事件を指しています。16人の命を奪い、100人が負傷する大惨事になります。当初、この事件をアナキストたちの犯行だとして大量の活動家が検挙されます。この検挙者のなかに、後に取り調べ中に警察の建物から飛び降りて「自殺」するジュゼッペ・ピネリもいました。映画で描かれているように、この自殺は警察による組織的な殺害によることはほぼ間違いのないものです。この映画にはいわゆる死刑は登場しませんが、このピネリの「死」は、権力による非合法の処刑と解釈することができるという意味で、死刑を権力による殺人と定義する […]

内田樹の天皇制擁護論批判――明仁の退位表明をめぐって――

目次 1. はじめに 2. 象徴的行為 2.1. 象徴的行為の再定義? 2.2. 代替わりの一連の儀礼と象徴としての機能は一体なのか 3. 憲法の天皇条項と「霊的存在」 3.1. 条文そのもの 3.2. 「霊的」存在の肯定 4. 「國軆」による国民統合と民主主義的な多様性のあいだの矛盾の弁証法的統一? 4.1. 統合と民主主義 4.2. 退位とシャーマン 5. 合理的・科学的批判の限界への挑戦へ 1 はじめに 明仁が生前退位を公的に表明したときの発言については、様々な論者が見解を表明してきた。以下では内田樹の天皇制擁護論を取り上げて、私なりの意見を述べておく。内田の発言は、明仁が生前退位を表明した「おことば」についての独自の解釈を示しながら、かつては天皇制に懐疑的であった彼がなぜ天皇主義者に転向したのかを述べており、現代のリベラリストの天皇制擁護論の特徴を示している。彼の擁護論の特徴は、リベラルであることや安倍政権への否定的な評価に立ちながら、むしろそうであるが故に象徴天皇制を積極的に肯定するという観点を、論理を超越したある種の宗教性に依拠して論じている点にある。以下で引用している文章 […]

文化・伝統のレイシズム

1 生前退位「お言葉」のレイシズム 何度も議論され、批判もされてきた明仁の生前退位表明だが、あえてもういちど下記の文言をとりあげてみたい。 即位以来、私は国事行為を行うと共に、日本国憲法下で象徴と位置づけられた天皇の望ましい在り方を、日々模索しつつ過ごしてきました。伝統の継承者として、これを守り続ける責任に深く思いを致し、更に日々新たになる日本と世界の中にあって、日本の皇室が、いかに伝統を現代に生かし、いきいきとして社会に内在し、人々の期待に応えていくかを考えつつ、今日に至っています。 明仁が「国事行為を行うと共に」と述べていることに注目したい。彼は天皇に国事行為以外に天皇の重要な役割があることを明言した。そのあとに「日本国憲法下で象徴と位置づけられた天皇の望ましい在り方を、日々模索」と続ける。憲法では象徴天皇の国事行為は、内閣が責任をもって助言して行なわれる国事行為であるはずだ。しかし、明仁はそのようなものとして天皇の象徴的行為を考えていない。憲法の枠に縛られた国事行為の外にも、天皇が主体となる象徴的行為があることを明言した。これは、象徴としての天皇の行為は、憲法によって制約しえない […]

神奈川:2月15日(土)14:00~16:30 市民監視の強化にどう向き合うか!

2月15日(土)14:00~16:30 市民監視の強化にどう向き合うか! 会場:日本キリスト教団蒔田教会礼拝堂(地下鉄蒔田駅徒歩3分)(アクセス) 参加費300円 講師:小倉利丸さん 共催:日本キリスト教団神奈川教区・秘密保護法反対特別委員会、非密保護法廃止へ!戸塚区実行委員会

【案内】「代替わり」に露出した「天皇神話」を撃つ! 2・11反「紀元節」行動

2019 年の一年をかけて展開された天皇「代替わり」儀式。それは、象徴天皇制の下で、隠されている皇室祭祀が、天皇制を支えるもう一つの柱にほかならないという事実をさらけだした。一連の「代替わり」儀式のなかで露骨に浮上した「天皇神話」は、しかし以外と無批判に受容され、人びとの日常意識にすり込まれていった。それは、天皇の神聖性を通して日本国家の神聖性を自明のものとする、国家主義の攻撃でもある。こうした攻撃にひとつひとつ反撃し、さまざまな視点から天皇制を問い続けていこう。 まずは、神話上の建国の日とされる2.11 反「紀元節」行動へぜひご参加下さい。   講 師 小倉利丸 さん(批評家) [日 時] 2月11 日(火・休) 13:15 開場(13:30 開始) [会 場] 文京シビックセンター区民会議室・4Fホール(地下鉄後楽園駅・春日駅) *集会後デモやるよ! 主催 ●「代替わり」に露出した「天皇神話」を撃つ! 2.11 反「紀元節」行動

表現の不自由展はなぜ中止されたのか

以下の「メモ」は2019年12月28日に開催された人権と報道連絡会の集会で配布したものに若干の修正を加えた。なお、「表現の不自由展再開が抱えた問題」も参照していただきたい。このメモでは簡単にしか言及されていない事にも触れている。また以下で批判の対象にしているのは、あいちトリエンナーレ検討委員会「表現の不自由展・その後」に関する調査報告書(案)」(2019年12月18日)のなかの「全体的所見」である。報告書には各委員の個別の見解なども示されているが、これについては言及していない。この報告書については津田大介による反論が公開されている。また、表現の不自由展実行委員会による意見も検討委員会のサイトに掲載されている。 Table of Contents 1. なぜ展示は中止せざるをえなかったのか 1.1. 構造的な背景 1.2. 電凸から中止に至る経緯のなかで誰がサボったのか 1.3. 推測される中止の構図 2. 反知性主義 2.1. インターネットとSNS 2.2. 作品の意図とは 2.3. 展示中止による偏見の蔓延 2.4. ネット発信禁止は間違った方針だった 2.5. 無視されたネット署 […]

表現の不自由展再開が抱えた問題

* はじめに 名古屋市で2019年8月1日から10月14日まで開催されたあいちトリエンナーレ2019に出品された」表現の不自由展・その後」(以下、不自由展と呼ぶ)が開催三日にして展示中止とされ、約2ヶ月間の展示再開をめぐる攻防を経て、ようやく再開にこぎつけたのが10月8日だった。 展示中止をもたらした脅迫や抗議の電話などは「平和の少女像」(キム・ソギョン、キム・ウンソン作)と「遠近を抱えてPartII」(大浦信行作)に集中した。政治家たちの発言も中止に影響した。菅官房長官は「補助金決定にあたっては、事実関係を確認、精査して適切に対応したい。」と述べ、河村たかし名古屋市長も「表現の自由は、憲法第21条に書いてあるが、絶対的に何をやってもいいという自由じゃありません。表現の自由は一定の制約がある」「市民の血税でこれをやるのはいかん。人に誤解を与える」などの批判を繰り返した。また、展示中止後には、あいちトリエンナーレに助成金を支出している文化庁が助成金を支出しないことを決定し、更に助成金支出のガイドラインの見直しまで行なわれ、この過程で文化庁の助成金審査などに携わってきた委員が複数名抗議の辞 […]

2019/12/16 (横浜)海賊版サイトアクセス・ダウンロード犯罪化問題を考える

盗聴法に反対する市民連絡会定例学習会 海賊版サイトアクセス・ダウンロード犯罪化問題を考える 安倍政権は、通常国会に海賊版サイトへのアクセス遮断やダウンロードの犯罪化を目的とした著作権法の改正を提出する準備を進めています。この問題は、前回の通常国会でその成立が断念されたいわくつきの問題です。 マンガなどで著作権者の許可なくコンテンツをネットに公開したり、こうしたコンテンツをダウンロードする行為が、著作権法に抵触することから、違法な犯罪として取り締ろうとする狙いは、一見すると、正当な犯罪取り締まりだとみなされがちです。前通常国会で法案成立が見送られたように、この問題は私たちの知る権利や表現の自由に深く関わり、政府による更なる表現規制に道を開きかねないのです。 海賊版サイトへのアクセス遮断やダウンロード規制の考え方は、違法とみなされるサイトへのアクセスやコンテンツのダウンロードは犯罪である、とする考え方に基いています。将来的には、著作権法に限らず、より幅広く政府や捜査機関が違法とみなすサイトへのアクセスを遮断したり、ダウンロードを犯罪とするような取り締まりに道を開く危険性があります。特に、共 […]

11月30日:学習会「監視社会化に、どう向き合うか ~あなたも、私も、監視されている?~」

学習会「監視社会化に、どう向き合うか ~あなたも、私も、監視されている?~」 神奈川県川崎市/主催:秘密保護法を考える川崎市民の会 14:00~16:30(開場13:30)/場所:川崎市多摩市民館5階 第1+第2学習室 (会場まで:南武線登戸駅から徒歩10分、または小田急線向ヶ丘遊園駅北口から徒歩5分) 講師:小倉利丸さん(もと富山大学教員) 参加費:資料代として500円 問合せ:矢沢 090-6108-6568 一緒に考えましょう●オリンピックでテロ防止を口実に監視カメラが急増!(500万台にも迫る?)●秘密のメールも見られている!?●マイナンバー、クレジットカードを普及させたい政府●内緒の電話も聞かれている!?●スマホで、あなたの位置も知られる!●個人情報が企業、政府に収集され、監視社会がすぐそこに!/小倉利丸さんプロフイール:JCA-NET代表。これまで、監視社会反対の立場から、盗聴法や共謀罪の反対運動などに関わってきた。元富山大学教員。著書に『絶望のユートピア』(桂書房)、『デモはラブレター』(監修、樹花舎)『グローバル化と監視警察国家への抵抗 戦時電子政府の検証と批判』(共著 […]

危い!! IoT調査の狙いは何か? 5G時代の監視社会に対抗する私たちの取り組みを探る

日時:9月24日(火) 18時30分から 場所:神奈川県民センター711号室 横浜市神奈川区鶴屋町2-24-2(横浜駅西口徒歩5分) お話し:小倉利丸(市民連) 参加費:500円 問い合わせ先 090-2669-4219(久保) メールhantocho-shiminren@tuta.io IoT機器と呼ばれる機器が家庭や職場などで急速に普及しはじめています。これは、家電製品や通信機器などをインターネットに接続してデータを収集する機能をもっています。このIoT機器のセキュリティが脆弱であることを理由に、今年から5年間かけて政府は、NOTICEと呼ばれるIoT機器への侵入調査を開始しています。6月に実施状況報告が公表されましたが、現在も調査は続いています。 IoTの普及によって、インターネットの役割は大きく変質します。ネットワークに接続された様々な機器類が人々に「便利」や「効率性」を提供する一方で、私たちの生活全体を詳細に把握できる監視網にもなりかねない危険性もはらむようになっています。この傾向は、次世代通信網の5Gの普及によって更に促進されようとしています。GAFA(Google、Ama […]

刊行トークイベント「デモってラブレター︎ 福岡サウンドデモ本人訴訟顛末記」

日時:9月12日(木)開場18:00/開演18:30/終了20:30 会場:エスパスビブリオ(東京都千代田区神田駿河台 1-7-10 B1F 03-6821-5703)JR総武線・中央線御茶ノ水駅徒歩6分 スピーカー: いのうえしんぢ(編者)/古瀬かなこ(編者)/小倉利丸(監修者) 参加費:2000 円(いのうえしんぢ作ポストカードのお土産付) 予約先:info@espacebiblio.superstudio.co.jp       Tel. 03-6821-5703 件名「9/12表現の自由はどこへトーク希望」お名前、電話番号、 参加人数をおしらせください。 ※終了後懇親会:参加費500円・ワンドリンク付 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ 本の情報  ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ 「デモってラブレター︎ 福岡サウンドデモ本人訴訟顛末記」 監 修:小倉利丸 編 集:福岡サウンドデモ裁判原告団 出 版:樹花舎 販 売:星雲社 使 用:A5判、並製、184ページ 定 価:1200円+税 送 料:180円(1冊の場合。2冊以上は要相談) 注文先:福岡地区合同労組Tel/Fax […]

復旧しました(お詫び)

先月から2週間ほどブログがエラーで停止してしまいました。ご心配をおかけしました。ちょうどあいちトリエンナーレの「表現の不自由展・その後」の展示中止があり、私もこの不自由展・その後の実行委員であることもあって、この展示中止と関連しているのではないかとのご心配もあったかと思いますが、純粋なWordPressのプラグインの不具合によるものでした。 「表現の不自由展・その後」実行委員会のオフィシャルウェッブは下記 http://www.fujiyu.net/fujiyu 展示再開に向けて多くの皆さんが、自発的なアクションを展開していただいています。本当にありがとうございます。

デジタル監視社会としてのSociety5.0批判

目次 1. コンピュータに社会を描くことはできるのか 1.1. 安倍の世界経済フォーラムでのスピーチ 1.2. スピーチが隠していること 1.3. 私たちは「石油」ではない 1.4. 情報フェティシムズ:データが「資源」となり、私たちはもはや生身の人間としては扱われなくなっている 2. 5G、AI、IoT(5AI)は悪夢のトライアングル 2.1. グローバル資本主義の覇権を狙う日本政府の戦略 2.2. 隠蔽される問題群 2.3. そもそも問題の根源はコンピュータ科学の社会認識の枠組みにある 3. いったいどのようなことが現実に可能なのか。 3.1. 政府が描く「スマートハウス」―現代のビッグビラザー? 3.2. スマートホームを支えるイデオロギーとしての温情主義的な家族国家観―デジタル天皇制? 4. 捜査機関はどこまでの技術をもっているのか 5. コンピュータが理解する社会と私たちが理解する社会の本質的な違い 5.1. Society5.0の抽象的な「人間」モデル 5.2. 実際の社会は矛盾や摩擦があり、AIもまた差別する 5.3. 政治的異議申立ての「犯罪化」がすすむ? 5.4. コ […]

ProtonMailをめぐる疑念から、問題の深刻さを考えたい

先月からProtonMailをめぐってネット上での議論が起きています。やや沈静化した模様ではありますが、私も含めてProtonMailを使っている方もいるので、ちょっと書きます。 発端は、Martin Steigerというスイスの法律家がブログに、ProtonMailが令状なしで、リアルタイム盗聴に協力しているのではないか、ということを書いたことにあるようです。 ProtonMail voluntarily offers Assistance for Real-Time Surveillance この記事で彼は、チューリッヒのCybercrime Competence Center の検察官、Stephan Walderが昨年5月に刑法、刑訴法デジタル化のセミナーで、たまたま、捜査機関にとって都合のよい実例として、ProtonMailがリアルタイムの盗聴に令状なしで協力していると言及しました。 これに対して、ProtonMailはその事実を否定し、セミナーで発言したとされるWalderも、不正確な引用だとして、否定しました。 ●スイスにおける監視法制の改悪 Steigerは、スイスの法 […]

Statewatch:盗聴なき世界? 公式文書、5G技術が「合法的傍受」に及ぼす影響に対する懸念を強調

このレポートについては、先に「EUにおける盗聴捜査をめぐる新たな動き(5G、IoTの動向踏まえて)」として投稿したStatewatchのプレスリリースで言及されているものです。 なお、5Gについての技術的な記述については、服部武、藤岡雅宣編『5G教科書』(インプレス)を参照してください。 ================ 分析 盗聴なき世界? 公式文書、5G技術が「合法的傍受」に及ぼす影響に対する懸念を強調 Analysis A world without wiretapping? Official documents highlight concern over effects 5G technology will have on “lawful interception” Chris Jones June 2019 はじめに 現在、西欧諸国に設置されている5G通信インフラストラクチャを管理している中国のテクノロジー企業Huaweiが、メディアと政治の大きな問題となっている1。しかし、5Gは同時に、ヨーロッパの治安当局の間でパニックを引き起こしている。法執行機 […]