以下に訳したのは、米国のThe National Lawyers Guild(NLG)が出した緊急事態下における警察や国家による弾圧に対抗するためのマニュアルの前書き部分です。この団体は1930年代に設立されたいわゆる進歩派の弁護士集団で、日弁連のような職能団体ではありません。
本文の前に、PMPressというアナキスト系出版社のウエッブに掲載されているNLDの文書についての短い紹介をまず最初に紹介し、その後ろにNLGのガイドの冒頭だけを掲載します。全体で30ページほどのパンフですが本文は訳していません。目次だけは訳しました。目次をみるだけでも、私たちが緊急事態に備えてすべきことを考えて対処する上でも参考になると思います。
■PMPressに掲載されている紹介文
COVID-19に対応して、多くの公衆衛生および国家安全保障対策が提案され、全国的に実施されています。私たちは地域社会と医療制度を保護することが必要ですが、国家による権威主義的で暴力的な傾向には抵抗しなければなりません。死刑廃止論者、反資本主義、反帝国主義の組織として、The National Lawyers Guildは、憲法上の市民的自由の枠組みは、資本主義を支持することを目的とし一貫性に欠ける深刻な欠陥があることを認識しています。歴史的に、緊急事態、強制隔離、および門限は、政治的市民的自由に対する国家支配を拡大するためにしばしば利用されてきました。緊急時の権限は、運動、表現の自由、抗議、および疎外されたコミュニティをしばしば犯罪化します。それでも、自分自身を守りし、警察の強化に抵抗するためにどのような権利があるのかを知ることは重要です。
私たちは、警察や医療監視を拡大することなく、より安全なコミュニティを構築し、COVID-19に対応できると信じています。 Pooja Gehi、Gabriel Arkles、Che Johnson-Long、およびEjeris Dixonが作成し、NLGおよびVision Change Winがサポートして作成されたこのガイドを読み共有してください。
■ガイド本文の冒頭だけ
https://docs.google.com/document/d/1tTWDHkbOtYPNalsN3lEi5yUjZI9qMdhL2IAM_S8bVqE/edit#
COVID-19(コロナウイルス)のなかでの弾圧されない権利
最終更新日:2020年3月27日
COVID-19のパンデミックは、コミュニティとヘルスケアシステムへのウイルスの影響を減らす公衆衛生対策を必要としますが、私たちは権威主義的で暴力的な傾向を危惧しこれに抵抗する必要があります。
歴史的にみて、緊急事態、強制検疫、および門限は、政治的市民的自由に対する国家の支配を拡大するためにしばしば利用されてきました。緊急時の権限は、行動、表現の自由、抗議、抑圧にさらされたコミュニティ、たとえば、黒人、先住民族、クイアやトランスジェンダー、低所得者や無収入の人々、移民、投獄されたり施設に収容されている人々、障害者、性産業の人々、その他多くのコミュニティが犯罪化されることがしばしばみられます。
私たちは、警察や医療監視を拡大することなく、より安全なコミュニティを構築し、COVID-19に対応できると信じています。私たちは、すでに制限されている権利と自由を更に剥奪したり、社会的不平等を悪化させたりするせず、この緊急事態においてコミュニティと社会の安全を確保できると信じています。私たちは恐れを知っています。私たちは自分たちが脆弱であることを知っています。また、私たちは自分たちを、そして私たちのコミュニティを、また将来の世代を国家による侵入から守らなければなりません。今こそ、現状維持に対して、望ましい永続的な変革を生み出すことに取り組むべき時です。このガイドを作成することは、このビジョンへの一歩であると信じています。
公衆衛生上の指令、「家にとどまること」、「屋内に避難すること」、および「社会的距離を保つこと」を義務づける法律が急展開していることに注意してください。私たちは、このガイドを2020年4月6日から毎週月曜日に更新することを考えていますが、おそらくそれでも間違いや、古くなるものがあるでしょう。このガイドを正確かつ最新の状態に保つために皆さんの協力を歓迎します!
このドキュメントを読みやすくするための修正、追加、または推奨事項がある場合は、メールでお問い合わせください。COVID19KYR@ gmail.com
このドキュメントに各地域固有の更新情報、法執行機関の違法行為、あるいは変更などの地域に固有の情報を追加する場合は、ここ(https://docs.google.com/document/d/1pdPgHFVHgrMNqoo6xtJKESzBxH62akH-9TRbiwlnc8Q/edit?usp=sharing)をクリックして、公開されている共有ドキュメントにアクセスしてください。
この文書は、犯罪、軍事化、その他国家権力に焦点を当てています。今回は経済的権利の(これも重要ですが)トピックには焦点を当てていません。
このガイドはコミュニティメンバー向けのリソースであり、法的な助言を構成するものではないことに注意してください。
このガイドには以下が含まれます:
・緊急事態とは何か?
・緊急事態における国家警備隊の役割は何か?
・「屋内退避」しなかったことを理由に逮捕されてもよいのか?
・隔離とは何か?
・自分が隔離または屋内退避している間に、どのようにて逮捕された人を支援できるか?
・旅行禁止や国境閉鎖の場合の私の権利は何か?
・移民の拘留やICE(移民税関捜査局)の強制捜査はCOVID19によってどのような影響を受けるか?
・戒厳令とは何か? どのような権利があるか?
・私の権利や組織活動で何が変わったか?
・資料を知りたい!