(dair)#NoTechForApartheid

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(dair)#NoTechForApartheid

(訳者前書き)イスラエルによるガザのアパルトヘイトにGoogleやAmazonなどビッグテックが技術的に加担しているなかで、テックワーカーたちの抗議の運動もまた続いている。私は「テックワーカー」といえるような存在ではないが、しかし、ネットやパソコンを日常的なコミュニケーションの手段として用いている者として、可能な限りテックワーカーと連帯しうる使い方を模索することは可能だ。少なくともGoogleなどビッグテックのサービスを可能な限り拒否し、オルタナティブに切り替える努力くらいはすべきだろう。以下は、2023/11/28に開催されたウエビナーの記録の翻訳である。(小倉利丸)


2023/11/28

#NoTechForApartheid
ティムニット・ゲブル

Haymarketbooksとの共催イベント「#NoTechForApartheid」にご参加いただいた皆様、ご来場いただいた皆様、ありがとうございました。イベントを見逃した方は、こちらで録画をご覧いただけます。私たちは多くのことを学びましたし、皆さんもきっとそうなると確信しています。

NoTechForApartheidパネルでのMarwa Fatafta、Mona Shtaya、Matt Mahmoudi、Timnit Gebruのスクリーンショット。キャプションには “What is your call to action for tech “と書かれている。

最初のパネルでは、パネリストのMona Shtaya、Marwa Fatafta、Matt Mahmoudiがアパルトヘイトの法的定義を概説し、パレスチナ人がイスラエルのアパルトヘイトによってどのように支配され、分断されているかを詳細に説明した。例えば、Marwaはヨルダン川西岸に住むパレスチナ人が、チェックポイントを通らなければ自由に移動できない一方で、ユダヤ人入植者にはそれが適用されないことを詳細に説明した。

アパルトヘイトの現実を説明した後、パネリストたちは、このアパルトヘイトがテクノロジーによってどのように実現されているのか、そしてそれに抵抗するためにテックワーカーに何ができるのかについて詳しく説明した。私たちは、ソーシャルメディア・プラットフォーム、インターネット遮断、顔認識システムという3つの側面について議論した。

Monaは、ソーシャルメディア・プラットフォームが組織的にパレスチナ人の声を沈黙させ、非人間的にする方法について説明した。彼女は、ソーシャル・メディアのコンテンツ・モデレーションが、パレスチナ人に関連するあらゆる情報を検閲すると同時に、パレスチナ人に対する偽情報や非人間的な扱いが広まるのを許していることを説明した。彼女自身、パレスチナ人に対するアルゴリズムとコンテンツモデレーションの偏向を指摘する分析を投稿した後、インスタグラムからシャドーバンされた。

Marwaは、イスラエルの爆撃によるインターネットのシャットダウンや情報通信技術(ICT)インフラへの意図的な標的設定が、パレスチナ人をいかに孤立させているかについて説明した。その一例として、彼女は多くのパレスチナ人家族が、自分たちの血統が絶やされないように別々に暮らすことにしていると話した。通信インフラが破壊されたことで、こうした家族が互いに、そして外の世界とつながることが難しくなった。これらの点については、彼女が共同執筆したAccess Nowの報告書で述べられている。

Mattは、自身が携わったアムネスティ・インターナショナルの報告書『 Israel and Occupied Palestinian Territories: Automated Apartheid: How facial recognition fragments, segregates and controls Palestinians in the OPT(イスラエルと被占領パレスチナ地域、自動化されたアパルトヘイト、いかにして顔認識システムがOPTのパレスチナ人を分断し、隔離し、統制しているか)』について詳しく説明し、顔認識システムがパレスチナ人を監視するためにどのくらい使用されているかを説明した。パレスチナ人がいかに非人間的に扱われているかを示す一例として、彼は、イスラエル軍兵士は顔認識データベースに追加したパレスチナ人の数に応じて報酬を得ており、最も多くのパレスチナ人の顔を追加した部隊に所属していれば、休暇をもらったりボーナスをもらったりしていると指摘した。

私たちのパネリストは、テックワーカーに対し、責任あるテクノロジーの利用を提唱するだけでなく、#NoTechForApartheidを提唱するよう呼びかけた。Mattは、テクノロジーはテックワーカーの労働によってのみ開発されるものであり、私たちは皆、自分の労働を放棄することができると指摘した。Marwaは、パレスチナはいちはやく私たちに危険を知らせてくれる炭鉱のカナリアの役割を果たしていることを私たちに思い出させた。もし、この問題があまりにもデリケートで論争を呼びそうだと思って黙っているなら、それは必ず自分にも確実にふりかかってくる。同じく、Monaは、「発言すること、リークすること、請願することなど、あらゆる形で」内部からのテックワーカーの活動が重要であることを思い出させ、この活動に従事している人々にエールを送り、「がんばれ」と促して締めくくった。

NoTechForAparthied パネルでのキャロライン・ハンター、アントニー・ローウェンステイング、アリエル・コレン、アレックス・ハンナのスクリーンショット。

2つ目のパネルは、Antony Loewensteinがパレスチナ人の実験によって開発され、世界中に輸出されているテクノロジーについて詳しく説明した。彼は、イスラエルに批判的な国々でさえ、彼らの武器やスパイウェア技術を手に入れたいと考えていることを指摘し、「アブラハム合意は武器取引だった」という要約とともに、この見解を浮き彫りにした。重要なのは、アントニーが著書『The Palestine Laboratory: How Israel Exports the Technology of Occupation Around the World』で書いているように、イスラエルがパレスチナを実験場として扱っているだけではなく、処罰からも免責されているということだ。

1970年に発足したPolaroid Revolutionary Workers Movementの共同創設者であるCaroline Hunterは、反アパルトヘイト活動家への道を歩み、アメリカでアパルトヘイト下の南アフリカに反対するダイベストメント運動を始めた。彼女は人種差別下にあるニューオーリンズで生まれ育ち、60年代に高校を卒業し、大学卒業後にポラロイド社に入社した。ポラロイドは労働組合がなく、労働者を威圧する戦術をとっていた。例えば、親戚を雇うことで、何かあったときに労働者に不利な扱いができるようにした。キャロラインと彼女の仲間たちは、危険を顧みず、ポラロイド社に、アメリカと南アフリカのアパルトヘイトを糾弾すること、南アフリカから手を引くことなど、3つの要求を突きつけた。会社はこれらの労働者に報復したが、最終的にはボイコット・キャンペーンが功を奏した!

Carolineがポラロイド社から報復を受けたように、Ariel Korenは2022年、#NoTechForApartheidとDrop Nimbusキャンペーンを代表して組織化したためにGoogleから追い出された。Project Nimbusについて、彼女はこう説明する。「Googleは、人権侵害を日常的に行っているイスラエル政府と軍に強力なクラウドサービスを提供しています」 契約では、外部からの圧力に対抗して撤退することはできないとまで規定されている。

Arielは、GoogleがDEI(Diversity Equity and Inclusion:多様性の平等と包摂)イニシアチブを武器にする方法について概説し、従業員リソースグループが彼女や彼女の同僚に対してどのように利用されたかを詳述した。例えば、Jewglersというグループは、表向きはGoogleにおける彼女のようなユダヤ人の代表でありながら、そうではなくてシオニストの利益を代弁していた。2020年の「ブラック・ライブズ・マター」の反乱では、Jewglersの代表がGoogleの「the Movement for Black Lives」への寄付について苦言を呈し、その結果、Googleは謝罪し、「Friends of Israel Defense Forces (IDF)」のような団体に寄付することになった。

最後に、パネリストたちはテックワーカーが果たすべき役割は大きいと強調した。Antonyは、AIが「苦痛を最小化する戦争行為humane warfare」を可能にしてパレスチナ人の命を救うためにAIが使われているという主張がいかにひどいものであるかについて述べた。彼は、アメリカの軍産複合体が大きく膨張していることを強調し、兵器会社が今まさにガザで兵器の実戦的な実験を行っていることを想起させた。彼は、イスラエルのアパルトヘイトに関与しているElbit Systemsのような兵器企業に注目するよう私たちに呼びかけた。

Carolineは、一般市民を教育することが重要であり、「ボイコットは教育キャンペーンである」と念を押した。この闘いはパレスチナだけではない。「南アフリカで使われたポラロイドIDがベトナムでも使われ、他の紛争にも持ち込まれたように、彼等が用いている技術は輸出されます」

Arielは、GoogleとAmazonのProject Nimbusに対するキャンペーンをテックワーカーに呼びかけた。彼女は、Mai R. Ubeidというパレスチナ人のGoogle研修生がイスラエル軍の空爆で死亡したことを教えてくれた。Googleは彼女の殺害についてまだ声明を出していない。Arielは次のように書いた。「会社の指導部からの残酷な沈黙の中で、労働者たちはProject Nimbusへの反対の声を大きくし、Maiの遺産を尊重し続けることを約束した」

Arielは最後に、11月28日火曜日に発表されたテックワーカーのための大規模な呼びかけで締めくくった。もしあなたがテックワーカーなら、notechforapartheid.comで#NoTechForApartheid運動について学び、notech4apartheid@protonmail.comにメールを送ってほしい。GoogleやAmazonで働いている方は、 bit.ly/NotaGoogleIntake または bit.ly/NotaAmazonIntakeに記入して運動に参加することができる。

驚くほど豊かで、地に足がついた、刺激的なディスカッションをしてくださったスピーカーの皆さんに感謝します。ここに記した内容は、ほんの一部に過ぎません。読者の皆様には、録画の全記録をご覧いただくことをお勧めする。

https://www.dair-institute.org/blog/NoTechForApartheid/ ​

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