(Wired)パランティアのデモンストレーションが明かす、軍がAIチャットボットを活用して作戦計画を策定する方法

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(Wired)パランティアのデモンストレーションが明かす、軍がAIチャットボットを活用して作戦計画を策定する方法

(訳者前書き)最初の投稿に際して、前半部分が大幅に欠落していました。これを補いました。またタイトルの日本語訳も修正しました。(2026/7/26 19:30)


Caroline Haskins

Business

Mar 13, 2026 6:00 AM

パランティアPalantirのデモンストレーションが、軍がAIチャットボットを活用して作戦計画を策定する方法を明かにしている。

ソフトウェアのデモや国防総省の記録によれば、アンソロピックAnthropic社の「クロードClaude」のようなチャットボット(訳注)が、国防総省による情報分析や次に取るべき措置の提案にどのように役立てているかが詳細に示されている。

(訳注)「テキストや音声による対話を通じて人間的な会話の模倣を目的としたソフトウェアアプリケーション」(Wikipedia)

国防総省とアンソロピック社の間で現在も続く激しい論争は、このスタートアップの技術が米軍内部で実際にどのように利用されているかについて、新たな疑問を投げかけている。2月下旬、アンソロピック社は政府に対し、同社のAIモデル「クロード」への無条件アクセスを許可することを拒否し、同システムが米国人の大規模監視や完全自律型兵器に使用されるべきではないと主張した。これに対し国防総省は、アンソロピック社の製品を「サプライチェーン上のリスク」と指定したが、これを受けて同社は今週、これはトランプ政権による違法な報復であると主張し、この指定の撤回を求める2件の訴訟を提起した。

この対立に加え、イランで急速に激化している戦争も相まって、アンソロピック社と軍事請負業者パランティアPalantirとの提携に注目が集まっている。パランティアは2024年11月、米情報機関や国防機関に販売するソフトウェアにクロードを統合すると発表していた。パランティアはクロードの統合(日本語訳)により、分析担当者が「データに基づく洞察」を導き出し、パターンを特定し、「時間的制約のある状況下で情報に基づいた意思決定」の支援が可能になったとしている。

しかし、パランティアとアンソロピック社は、クロードが軍内でどのように機能するか、あるいはどの国防総省のシステムがこれに依存しているかについて、詳細をほとんど明らかにしていない。一方で、このAIツールは、イランでの戦争を含む一部の米国の海外防衛作戦において、今後も使用され続けると報じられている。1月には、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領の拘束につながった米軍の作戦において、クロードが重要な役割を果たしたとも報じられている。

注目の動画(省略)

『WIRED』は、パランティアのソフトウェアデモ、公開資料、および国防総省の記録を精査した。これらを総合することで、米軍当局者がAIチャットボットをどのように利用しているかについて、これまでで最も明確な全体像が浮かび上がった。これには、チャットボットにどのようなクエリ[問い合せ]が入力されているか、応答を生成するために使用されるデータ、そしてアナリストに対してどのような提言が行われているかなどが含まれる。

国防総省はコメント要請に応じなかった。パランティアとアンソロピックはコメントを控えた。

パランティアと国防総省のつながり

事情に詳しい情報筋によると、軍関係者は「クロード」を利用して大量の情報を精査できるという。パランティアは、こうした分析を行う可能性のある国防総省に複数のソフトウェアツールを販売しているが、同社はどのシステムに「クロード」が組み込まれているか、あるいは組み込まれていないかについて、公に明言したことはない。

2017年以来、パランティアは「プロジェクト・メイヴンProject Maven」(通称「アルゴリズム戦争横断機能チームthe Algorithmic Warfare Cross-Functional team」)の主要請負業者となっている。これは、戦場環境へのAI導入を目指す国防総省のイニシアチブだ。このプロジェクトのために、パランティアは「メイヴン・スマート・システムMaven Smart System」(単に「Maven」と呼ばれることもある)という製品を開発した。

メイヴンは、衛星データの収集・分析を担当する政府機関である国家地理空間情報局the National Geospatial­ Intelligence Agency(NGA)によって管理されている。陸軍、空軍、宇宙軍、海軍、海兵隊、そしてイランでの軍事作戦を監督している米中央軍含む軍全体の各機関がMavenにアクセスできる。国防総省のデジタル・人工知能担当最高責任者であるキャメロン・スタンレーは、最近のパランティアのカンファレンスで、メイヴェンが「国防総省全体に」展開されていると述べた

軍が公表したメイヴェンに関する公開評価によると、このツールは、衛星のような「宇宙ベースのアセット[装備品]」が撮影した画像に「コンピュータビジョンアルゴリズム」を適用できるほか、「敵のシステム」である可能性が高い物体を自動的に検知できる。スタンレーのカンファレンスでのプレゼンテーションで披露されたメイヴンのデモでは、同ツールが人々と車を区別する様子が示された。

メイヴンのその他の機能には、潜在的な標的を可視化し、地上または空からの爆撃対象として「指名」する機能がある。スタンレーのデモによると、「AI Asset Tasking Recommender」と呼ばれるツールは、どの標的にどの爆撃機や弾薬を割り当てるべきかを提案できる。

また、メイヴンは軍関係者間の「標的情報データや敵情報告」のメッセージ交換も円滑にする。

ニューヨーク・タイムズ紙とワシントン・ポスト紙はここ数日、メイヴンがアンソロピック社のAI技術に依存していると報じているが、WIREDはこれらの主張を独自に検証することはできなかった。

2022年以降、パランティアは「Army Intelligence Data Platform(AIDP)」と呼ばれる別の情報プラットフォームを米陸軍に販売している。同社によれば、AIDPはメイヴンおよび少なくとも他の4つの政府システムからのデータを「統合」しているという。AIDPに関する公開情報は少ないが、軍の評価では、このツールは軍事作戦に先立って情報を作成できるほか、部隊や兵器の配置を「グラフィカルに」表示できるとされている。また、同社には「Dossier」と呼ばれるツールがあり、これは報道によると、「情報分析の暫定推計intelligence running estimate」の作成に使用されている。これは、最終的な情報要約に先立って作成され、頻繁に更新される戦場情報の集積である。クロードがパランティアのAIDPに統合されているかどうかは明らかではない。

パランティアは、自社のどの国防総省向けシステムで「クロード」を展開できるかについては明らかにしていないが、このチャットボットがそれらにどのように統合されるかについて、いくつかの情報を公開している。パランティアは、2024年11月にアンソロピック社との軍事・諜報分野での提携を発表したプレスリリースの中で、同月上旬にパランティアの比較的新しい商用サービスの一つである「人工知能プラットフォーム(AIP)」内で「クロード」が「利用可能になった」と述べ、この点をほのめかしていた。

パランティアのAIPの仕組み

AIPはパランティアの独立したプラットフォームではなく、ファウンドリーFoundryやゴッサムGothamといった既存の市販システム内で利用できるアプリケーションだ。特定のタスクを自動化できることに加え、AIPはユーザーにチャットボット(同社では「AIPアシスタント」または「AIPエージェント」と呼んでいる)を提供し、より大規模なシステム内で質問に答えたりタスクを完了したりすることができる。

AIPアシスタントは、アンソロピック、Google、Metaなどの企業が提供するサードパーティ製の大規模言語モデルを基盤としており、顧客は使用するモデルを選択できるほか、言語モデルが応答を生成する際に参照するトレーニングデータも指定できる。この機能は、情報データが機密扱いされることが多い諜報や国家安全保障の分野において、特に有用であると考えられる。

2023年に公開されたパランティアのデモの一つでは、AIPアシスタントが「東ヨーロッパ内の活動を監視する責任を負う軍事要員」に対し、チャットボットとやり取りするだけで、複数の戦車に対する地上攻撃の計画と命令を支援できる様子が紹介されている。

このプロセスは、AIPアシスタントがレーダー画像の「AI処理」を通じて検知された「敵の異常な活動の可能性」に関する自動アラートを送信することから開始される。

このケースでは、大規模言語モデルではなく、コンピュータ・ビジョン・アルゴリズムが異常な活動を検知したことになる。その後、AIPアシスタントはアナリストが検知結果を解釈し、次の行動を決定するのを支援する。チャットボットは直接的に標的を提案するわけではないが、アナリストが情報に基づいて行動するのを支援することで、不審な観測を実際の標的へと導く役割を果たす可能性は依然としてある。

ユーザーが「この地域にはどの敵軍部隊がいるのか?」と尋ねると、AIPアシスタントは「装備のパターンから判断して、おそらく装甲攻撃大隊だろう」と推測する。これを受けて、分析官は現場を偵察するためにMQ-9リーパー無人機の派遣を要請する。続いて、ユーザーはAIPアシスタントに「この敵装備を標的とする3つの行動案を生成せよ」と指示すると、瞬く間にアシスタントは「航空戦力」、「長距離砲兵」、あるいは「戦術チーム」のいずれかで部隊を攻撃することを提案する。ユーザーはアシスタントにこれらの選択肢を架空の指揮官に送信するよう指示し、指揮官は最終的に戦術チームを選択する。

最後の手順は迅速に進む。アナリストはAIPアシスタントに「戦場を分析する」よう指示し、続いて部隊が敵に到達するための「ルートを生成する」よう求め、最後に敵の通信装備を妨害するために「電波妨害を配備する」よう指示する。数秒のうちに、アナリストは作戦計画を最終確認し、部隊に出動を命じる。

このシナリオにおいて、クロードはAIPアシスタントの「声」となり、応答を生成するために用いられる「推論」の役割を担う。他のAIPデモでも、ユーザーが同様の方法で大規模言語モデルとやり取りする様子が示されている。例えば、先週公開されたブログ記事で、パランティアは、メイヴン・スマート・システムの顧客であるNATOが、ツール内でAIPエージェントをどのように活用できるかを詳述した。

ある図解で、パランティアは、第三者の防衛関連企業が、OpenAIのChatGPTやMetaのLlamaの様々なバージョンも含めて、パランティアに組み込まれた複数のAIモデルから選択できる様子を示している。このユーザーはOpenAIのGPT 4.1を選択しているが、どうやら兵士であれば、代わりにクロードを選ぶ選択肢もあるようだ。

その後、アナリストは部隊や兵器の配置を示すデジタル地図を確認する。「COA」(行動方針)と表示されたパネルでボタンをクリックすると、GPT-4.1を搭載したツールが、「火力支援→突破→攻撃・破壊」と呼ばれる戦略を含む、5つの軍事戦略案を生成する。

別の例では、このシステムが衛星画像の解釈にどのように役立つかが示されている。アナリストは地図上で検出された3台のタンクローリーを選択し、それらをAIPエージェントのチャットインターフェースに読み込み、画像の「解釈」と次の行動案の提案を依頼する。

また、軍ではClaudeを利用して情報評価書を作成し、その後の攻撃計画の策定に役立てることも考えられる。

2025年6月、WIREDはアンソロピック社の公共部門責任者であるクナール・シャルマによるデモンストレーションを視察した。そこでは、エンタープライズ版のクロードを用いて、「オペレーション・スパイダーズ・ウェブOperation Spider’s Web」と呼ばれるウクライナによる実際のドローン攻撃に関する「高度な」レポートを生成する方法が示された。シャルマの説明によると、このデモにおいてクロードは公開情報のみに基づいて分析を行っていた。しかし、パランティアと提携することで、連邦政府は内部のデータセットからも情報を引き出せるようになる、と彼は述べた。

「通常なら、コーヒーを片手に5時間ほどかけて、Googleで検索したり、シンクタンクの資料を調べたりして、レポートの執筆や参考文献の記載などを始めるような作業だ」とシャルマは語った。「だが、私にはそんな時間はない。」

デモの中で、シャルマはクロードに対し、「オペレーション・スパイダー・ウェブ」に関する情報を盛り込んだ「インタラクティブなダッシュボード」を作成し、それをパランティアの既製ソフトウェア製品の一つである「ファウンダリー」で分析可能な「オブジェクトタイプ」に変換するよう指示した。また、ロシアの国境沿いの州における最近の動向に関する詳細な分析や、同作戦の「軍事的・政治的影響」についての200語の要約を、クロードに作成するよう依頼した。

「率直に言って、私は20年間もこうした類の資料を読み続けてきた――かつては自分で執筆もしていたし、私自身もかつては学者だった」とシャルマは語った。「これは実に素晴らしい出来だ」

キャロライン・ハスキンスは『WIRED』のビジネス記者であり、戦争や防衛関連企業、監視産業、企業の説明責任などを取材している。以前は『Business Insider』、『BuzzFeed News』、Vice傘下の『Motherboard』でスタッフ記者を務めたほか、『Business Insider』ではリサーチエディターも務めていた。情報提供はSignalのcarolinehaskins.61まで。… 続きを読む

https://www.wired.com/story/palantir-demos-show-how-the-military-can-use-ai-chatbots-to-generate-war-plans

訳注1 AIP 「Assist を使用してカスタムコンテンツソースを提供することで、ユーザーに提供されるアプリケーション支援が大幅に拡大します。この機能は AIP Chatbot Studio とも統合されており、ユーザーは AIP Assist エージェント と呼ばれる LLM を利用した専用のアシスタントをセットアップでき、カスタムコンテンツソースを唯一の検索コンテキストとして使用します。開発者は、コーディングや LLM の専門知識なしに、カスタムソースからのみ情報を引き出すカスタムアシスタントを作成できます。

たとえば、開発者が何百人または何千人ものユーザーに展開する必要があるアプリケーションを構築しているとします。AIP Chatbot Studio と AIP Assist の統合により、開発者はカスタム LLM を利用したアシスタント、つまり AIP エージェントを迅速に設定して出荷し、カスタムコンテンツソースに基づいた即時のインタラクティブなサポートを提供できます。」

https://www.palantir.com/docs/jp/foundry/assist/agents-in-aip-assist

訳注2 ジェネラル・アトミックス・エアロノーティカル・システムズ社製の無人攻撃機

長い航続距離と高い監視能力および攻撃能力を持つハンターキラー無人機であり、原型となったMQ-1 プレデターと同じく中高度・長時間滞空型(MALE)に分類されるが、より機体が大型化され、性能が大幅に向上している。

アメリカ空軍などで利用されている。MQ-9をベースにした非武装型もあり、国境や洋上監視、研究用としても利用されている。

https://ja.wikipedia.org/wiki/MQ-9_%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%BC

訳注3 https://www.palantir.com/jp/platforms/foundry/

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