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(EFF)国連サイバー犯罪条約協議、監視権限に関する深い溝と範囲に関する合意なく終了
国連サイバー犯罪条約協議、監視権限に関する深い溝と範囲に関する合意なく終了
カレン・グロ
2023年9月13日
今月初め、ニューヨークで開催された提案されている国連サイバー犯罪条約に関する直近の交渉会議が終了し、ひとつはっきりしたことがあった。条約案の最終決定まで時間がない中、条約の全体的な適用範囲や刑事手続きの義務、国際協力措置の範囲など、重要な点についてほとんど進展がなく、コンセンサスが得られなかったのだ。
それどころか、おびただしい数の修正案が追加され、2週間の会期が終了した9月1日以降に非公式レポートで発表された追加修正案によって、さらに複雑なものとなった。私たちは、ゼロ草案に盛り込まれなかった危険性の高い犯罪や監視措置の多くが、再び草案に盛り込まれるのを目の当たりにした。当初のゼロ草案も、非公開の交渉で話し合われた最後の修正案も、赤字の海と化した。
ロシア、エリトリア、ブルンジ、シエラレオネ、ジンバブエ、ガーナ、韓国などを含む多くの国々が、条約案の監視範囲を拡大し、国内外を問わず、コンピューターが関係するしうる想定しうるあらゆる犯罪を実質的にカバーしようと競いあっていることが明らかになった。
「私たちは、将来の条約は、情報通信テクノロジー(ICTs)を使用して行われる可能性のある犯罪の最大範囲をカバーするべきだと考えている」とブルキナファソの代表は述べた。
国内監視の章によれば、自国の法律で犯罪とみなされるあらゆる行為に対して証拠収集が可能である。国際的な協力に話を移すと、当初の草案とその後の数回の修正案では、監視協力の基準として、3年以上の刑(以前の草案では4年までとされていた)、その他の選択肢を含む刑罰を科す犯罪が挙げられている。この条約案は、反体制派、マイノリティ、活動家、ジャーナリストなどを弾圧するための世界的なお墨付きとなりうる。
カナダは、潜在的な影響について代表団に注意を促した。議場から珍しく拍手が沸き起こった声明(01分01秒)で、カナダは、この条約案の範囲を拡大しようとする執拗な働きかけが、この条約を一般的な法的相互共助条約に変えてしまい、どのような行為が「犯罪」や「重大な犯罪」であるかを決定するのは完全に各国の手に委ねられ、これらの犯罪を取り締まる措置へとその選択肢が開かれることになる、と厳しい言葉で述べた。
「これは、この手段を悪用しようとする国家が、オーウェル的な広がりとコントロールをもたらす可能性と必然性を示している…」
「指導者を批判すること、ソーシャルメディア上で無邪気に踊ること、ある特定の方法で生まれること、あるいただ一言言うだけのこと、これらがすべて、いくつかの国家では重大犯罪の定義をはるかに上まわるものになる。現在の草案では、これらの行為はすべてこの国連条約の適用範囲となる。
…これは国連条約であり、そのようなものとして、私たちの責任は私たち自身よりもはるかに大きなものであり、それは、この条約が抑圧と迫害の及ぶ範囲と捜査機関の協力を拡大するための前例のない多国間ツールとなって、国からの保護のない場所にいる人々に向けられるものになる。」
さらにカナダは、サイバー犯罪条約が加盟国に条約の対象となる犯罪を自由に選択させるものであれば、国連は自らの慣行に反することになると指摘した。
「国連の刑事司法条約、あるいは国連傘下の他の条約で、加盟国の権限と気まぐれに委ねて、条約の適用範囲に含まれる犯罪の種類と幅を恒久的に文書で定義させるようなものは他に見当たらない。
ニュージーランド、スイス、ノルウェー、ウルグアイ、コスタリカは、Human Rights Watch、Article 19、EFF、Privacy International、Global Partners Digital、その他の市民社会団体、マイクロソフトのような企業とともに、私たちが長年訴えてきたように、この条約の広範な範囲がもたらす本質的な人権リスクについて警鐘を鳴らした。EFFは条約とその各章の範囲を狭め、提案された条約全体に強固なデータ保護と人権の保護措置を追加し、権限のある当局が特定のコンピュータやデバイスの機能を知る個人に対し、捜査の遂行に不可欠な情報を提供するよう強制する権限を与える第28.4条を削除するよう主張し続けた(私たちの現在の要求についての詳細はこちら)。
提案されているサイバー犯罪条約の適用範囲は、人権に大きな影響を与えるだろう。この条約を広く適用すべきか、適用を制限すべきかという疑問は、刑事手続き(国内での監視など)から国際協力(国境を越えたスパイ活動や援助など)まで、すべてに影響する。
簡単に言えば、B国がA国の ” ビッグブラザー ” として行動することを選択した場合、B国の法律が定める緩いプライバシー基準と恣意的な犯罪定義に基づき、A国の活動家のライブチャットを盗聴したり、正確な居場所を追跡したりすることができる。提案されている条約には、同じ行為が両国で犯罪となることを義務付ける規定がないため、リスクは拡大するばかりだ。
また、国際協力の権限を発動するための3年または4年の刑期という閾値は、理解が得られるものではない。言論を犯罪とする多くの法律がこの規定に当てはまり、広範囲に及ぶ監視の悪用に道を開くことになる。
シエラレオネはニューヨークの交渉セッションで加盟国にこう述べた:
「他国に居住する特定の国民が、ソーシャルメディアの影響力を利用してプロパガンダや憎悪に満ちたメッセージを拡散し、暴力を扇動して治安部隊との致命的な衝突を引き起こし続けるというシナリオを想像してみてほしい」「このような犯罪は、ICTを使用して他国で騒乱を引き起こすよう敵対勢力に扇動された個人が、国家の主権や平和と安定を妨害する可能性がある。」
アメリカのような政府は、人権を理由に電子的証拠の要求を拒否すると言っているが、条約案は全体として、協力を要請する国の法律と協力を提供する国のプライバシー基準に縛られた監視とデータの共有を奨励する国際協力のシステムを定式化するリスクをはらんでいる。この点に関して、Human Rights Watchの上級研究員であるデボラ・ブラウンは、国内法と国際基準との不整合の重大性を強調し、次のように強調した:
「国際的な表現の自由の基準と矛盾する国内法によって、3年以上または4年以上の刑に処されている例は数多くあり、またそのような法律がジャーナリスト、人権擁護者、自由な思想家などを訴追するために使用されている例もある。
いくつかの国は、人権を理由に捜査協力を拒否する権利を行使すると主張している。しかし、このような重大な決定を政府当局の裁量に委ねることは、極めて危険である。また、この条約が考えうるあらゆる犯罪に対して国際協力の門戸を開くのであれば、それらの当局は世界中のあらゆる犯罪とその悪用の可能性について専門家になる必要が出てくる。これはもはや対象を絞った取り組みではない。むしろ、この条約が取り組もうとしたサイバー犯罪に焦点を絞ることよりも、努力を弱め、法的相互共助のチャンネルを要請の洪水であふれさせるリスクがある」。
しかし、たとえ特定の国が双罰性原則の遵守を選んだとしても、この条約が持つ広範な範囲を承認することには懸念がある。というのも、各国は人権法に合致しない犯罪に基づく双罰性を適用する可能性があるからだ。基本的に、この条約案は、場所によっては真の犯罪行為というよりも、意見の表明とみなされる行為に関する国際協力の基礎を築こうとするものだ。
EFFのカティッツァ・ロドリゲスは今年初め、「この(国際協力の)章の範囲を狭めることで、私たちはこれらの権利を守るだけでなく、自由や人権がそれほど強固に保護されていない法域で条約が悪用される可能性を防ごうとしている」と代表団に語った。
カナダはこう述べた、
「これは国連条約であり、そのようなものとして、私たちの責任は私たち自身よりもはるかに大きなものであり、それは、この条約が抑圧と迫害の及ぶ範囲と捜査機関の協力を拡大するための前例のない多国間ツールとなって、国からの保護のない場所にいる人々に向けられるものになる。」
この国連条約案に参加する権利を尊重する国々は、その責任の重大さを認識しなければならない。自国の利益のみに焦点を当てるのは、世界的な影響がこれほど甚大である以上、近視眼的なアプローチである。
このように見解が分かれる以上、合意を得るには細心の注意が必要であることは明らかであり、それが可能かどうかさえ疑問である。前進するために受け入れられる唯一の道は、条約で定義された犯罪だけを含めるようにすることかもしれない。
交渉の次のステップは、11月末までに発表される予定の新たな草案である。ニューヨークの交渉セッションでは、ほとんど意見がまとまらなかったため、今後数ヶ月のうちにさらなる交渉が行われる可能性がある。完成した草案は来年早々には最終決定され、加盟国によって承認されるはずだったが、合意が得られていないことを考えると、その可能性は低そうだ。草案が承認されれば、それは来年の国連総会で審議・採択するための決議案に添付される。見解の相違が激しいことから、決議案は3分の2以上の賛成を必要とする投票にかけられる可能性が高まっている。
脆弱なコミュニティや表現の自由を標的にした犯罪とみなされた行為の捜査のために強権的な監視権限を合法化する可能性があり、人権保護をほとんど含まない広範な条約が、国連で採択されるべきかどうかという疑問が残る。カナダが概説したように、国連は人権、平等な権利、人間の尊厳に対する信頼を再確認するために設立された。国連はまた、正義と、条約やその他の国際法の源から生じる義務の尊重が維持される条件を確立するために設立された。「一方が他方と矛盾し、国連を代表して発言する条約でありながら、その範囲があまりにも広範であるために、ほとんど無制限な広範な行為に対して国内および国際的な取り締まりを義務付け、容認し、助長していることは、国連における我々の任務と矛盾している」とカナダは述べた。
私たちはこの声明に拍手を送るとともに、この条約の対象となる人々の基本的権利が守られるよう、懸命な活動を続けていく。