Atlas of Surveillanceの試み

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Atlas of Surveillanceの試み

Atlas of Surveillance logo

米国でAtlas of Surveillanceというサイトがあります。米国全土の警察が用いている監視技術の実態を網羅的に把握しようというプロジェクトです。

https://atlasofsurveillance.org/

英語ですが、下記のページにはたくさん写真があります。
https://atlasofsurveillance.org/glossary

警察活動のなかでポピュラーになっているテクノロジーのみをピックアップしていると書いてあります。このなかで興味深いのは、セルサイトシミュレーターとcamera registrieかもしれません。前者は下記の訳注にも入れましたが、携帯電話の基地局を偽装してエリア内の携帯電波横取り(?)して監視するもの。これはある種の盗聴装置でもありまたGPSにかわる位置を確認、追跡できる装置にもなるので、日本の警察が関心をもってもいいテクノロジーと思います。camera registriesは、民間の監視カメラを警察に登録して、警察が使えるようにするもの。これはカナダでも拡がっており、監視カメラのメーカーが警察と事実上提携を深めています。(AmazonのRingは有名)

(参考)Amazon傘下のRing、ユーザーの自宅住所とかプライバシーがスキだらけ
https://www.gizmodo.jp/2019/12/ring-s-hidden-data-let-us-map-amazons-sprawling-home-su.html

さて肝心のAtlasのマップのページがわたしの場合うまく読みこめませんでした。とはいえ、こうしたプロジェクトが、大学とEFFのようなネットの反監視団体などが協力した動きが作れる米国と違い、日本の場合は、闇が多くすぎます。反監視運動がなかなか拡がらない責任を痛感します。

以下サイトの紹介ページと調査方法に関するページを訳しました。

法執行機関による監視は常に秘密だとは限りません。そのテクノロジーは、ニュース記事、政府の会議の議題、会社のプレスリリース、ソーシャルメディアの投稿で発見できます。これまでに集計されていないだけなのです。

これが、Atlas of Surveillance、つまり、Electronic Frontier Foundationとネバダ大学、Reno Reynolds School of Journalismの共同作業の出発点です。クラウドソーシングとデータジャーナリズムの組み合わせにより、私たちはどの法執行機関がどの監視技術を使用しているかの情報に関する史上最大のリポジトリを作成しています。その目的は、ジャーナリスト、学者、そして最も重要なこととして、地元で法執行機関がどのようなテクノロジーを購入し、それがどのように全国に広まっているかを確認するための資料を生成することです。

私たちは特に、ドローン、身体装着型カメラ、顔認識、セルサイトシミュレーター(注)、自動ナンバープレート読み取り装置、予測にもとづく治安捜査、民間の監視カメラの警察との連携(camera registries)、銃声検知など、最も普及しているテクノロジーに焦点を当てた。3,000の管轄区域で5,000を超えるデータポイントを蓄積しましたが、私たちの調査は氷山の一角であり、ジャーナリストや一般市民が刑事司法機関に透明性を要求し続ける必要性を強調したい。

(注)正規の携帯電話の中継基地を装って、エリア内の携帯電話を接続させる装置。携帯電話の位置を携帯電話会社よりも正確に特定したり、ログを取得したりできる。詳しくはEFFの解説サイト参照(英語) https://www.eff.org/pages/cell-site-simulatorsimsi-catchers 日本での運用については不明だが盗聴法と連動した導入がありえるのではないかと思う。

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方法論
Atlas of Surveillanceに含まれるデータは、オープンソースインテリジェンス、つまりOSINTです。これは、ニュース記事、ソーシャルメディアの投稿、プレスリリース、政府のWebサイトに埋め込まれたドキュメントなど、高度な検索エンジン技術を使用して判明したドキュメントからオンラインで既に存在する情報を収集するために使用される用語です。私たちのデータ収集は、2つの異なる形式で行われました。

クラウドソーシング
以前EFFは、クラウドソーシングプロジェクトをもとに、レポートバックというツールを開発しました。これは小規模の課題を学生やボランティアに自動的に割り当てるためのものです。

ユーザーがレポートバックにアクセスすると、特定の場所とテクノロジーで構成される小さな調査タスクが割り当てられます(例:身に着けているカメラとオクラホマ州タルサ市警察)。その後、研究者は20〜30分かけてニュース記事、プレスリリース、会議の議事録、またはその他のオンラインドキュメントを探し、研究内容をデータベースに記録します。これらの割り当ての多くは、政府調達記録のGovSpendのデータベースによって生成されたリードに基づいています。

2020年7月の時点で、500人を超える学生とボランティアがプロジェクトの研究に貢献しています。次に、データの各行は、ネバダ大学、リノ、およびEFFのスタッフの複数のインターンによってダブルチェックされました。

データ集約
EFFは、監視技術データベースを構築した最初の組織ではありません。ただし、これまでの取り組みのほとんどは、米国全体で1つの特定のテクノロジーまたは1つの特定の場所にあるすべてのテクノロジーに焦点を当ててきました。Atlas of Surveillanceでは、ジャーナリスト、その他の非営利団体、政府機関、および場合によっては監視ベンダー自身から公開サレテイルデータセットの収集を開始しました。次に、このデータをAtlas of Surveillanceフォーマットに一致するように変換しました。

プロジェクトの限界
オープンソースのインテリジェンスとクラウドソーシングには限界があります。第1に、情報は情報源と同じくらい優れています。政府機関が情報を差し控えたり、ジャーナリストが情報を誤って解釈したりすることがあります。採用されているテクノロジーについての情報はあるものの、そのテクノロジーが後に放棄されても、記者がそれについて記事を書いていない可能性があります。何千ものデータポイントを通過するため、学生やスタッフによる複数のチェックにもかかわらず、それぞれを徹底的にチェックすることは不可能です。特に、地方自治体が生体認証ソフトウェアの使用を突然凍結または廃止する政策動向の変化があるために、顔認識の使用をドキュメントすることが困難だとわかっています。

Atlas of Surveillanceは、使用中のすべてのテクノロジーの一覧であるとは理解しないでください。これは、1年半の研究を経てに私たちのチームが文書化したものだけを表しています。

Atlas of Surveillanceは、リソース、ツール、および私たちのコミュニティにおける監視技術の成長を理解するための1つの方法として機能しているにすぎません。これが他の多くの研究プロジェクトの出発点になることを期待しています。

更新と修正
(省略)

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