ウィキリークスのジャーナリズムと人々の運動への計り知れない貢献

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ウィキリークスのジャーナリズムと人々の運動への計り知れない貢献


原文はこちら Peoples Dispatch by Abdul Rahman (January 2, 2022 ) | – Posted January 31, 2022

ウィキリークスのジュリアン・アサンジの窮状は、世界中の人々の運動、ジャーナリストや法学者の団体、関心のある市民の注目を集めている。アサンジは、ロンドンのエクアドル大使館に6年間滞在した後、英国のベルマーシュ刑務所でこの3年間を過ごしている。この約10年間の監禁生活は、アサンジの精神状態に悲惨な結果をもたらし、ベルマーシュ刑務所にいる間、彼は何度もCOVIDの発生を乗り越えてきた。

ジャーナリストであるアサンジは、どのような罪を犯してこのような罰を受けたのだろうか?

アサンジと彼の組織であるウィキリークスは、何百万ものリーク文書を公開している。その中には、米国の諜報員が作成したものも多く含まれており、米国が海外で展開している数多くの軍隊や戦争において、国家機関が完全に把握しているにもかかわらず、重大な人権侵害が行われていることを指摘している。

オーストラリア人のジョン・ピルガーは、次のように述べている

イラク、シリア、イエメンへの侵攻につながった秘密と嘘、数十カ国での国防総省の殺人的役割、20年間にわたるアフガニスタンでの大惨事の青写真、ベネズエラのような選挙で選ばれた政府を転覆させようとするワシントンの試み、名目上の政敵(ブッシュとオバマ)が共謀して拷問の調査を妨害したこと、そしてCIAのVault 7キャンペーンによって、あなたの携帯電話やテレビまでもがあなたをスパイするようになってしまった。

そう考えると、ジュリアン・アサンジの不当な起訴が米国内で超党派的な支持を受けているのは当然のことと言える。アサンジをスパイ防止法で告発し、引き渡しを要求したのはトランプだが、ジョー・バイデンはアサンジに対する訴訟を続行した。アサンジとウィキリークスは、その暴露を通じて、一般の人々に必要な情報を提供することで、権力者のヘゲモニー的なナラティブやアジェンダを危険にさらした。リーク情報は、世界中の何百ものニュース媒体に掲載され、何百万人もの人々に知らされただけでなく、リーク情報に記載された犯罪の被害者が真実と正義を求めて闘う上で、極めて重要な情報となった。

ここでは、その主な内容を紹介しよう。

「グローバル対テロ戦争」の正当性を毀損

2010年4月、ウィキリークスは、2007年7月にバグダッドで米軍がヘリコプターから市民に向けて無差別に発砲し、ロイター通信の記者2名と罪のない市民数名を殺害した映像を公開した。このビデオは「コラテラル・マーダー」と呼ばれ、事件で死亡した人々は「テロリスト」であるとする米国防総省の主張を覆し、占領軍にとって大きな恥となった。

このビデオに先立ち、ウィキリークスは2007年に米軍の「イラクにおける交戦規定」を公開していた。この情報により、独立系メディアは、占領軍が行った作戦のほとんどが自分たちのルールを完全に無視していたにもかかわらず、誰も処罰されなかったことを確認することができた。

2010年に公開されたアフガンイラク戦の記録は、米軍をはじめとする国際軍がこれらの国で罪のない民間人に対して行った残虐行為や人権侵害を隠蔽しようとしていることを徹底的に暴露している。

これらの情報に加え、その後に発表された国防関係者に関するいくつかのリーク情報は、世界の平和と安全を確保するために必要な措置としての、いわゆる「グローバル対テロ戦争」というお仕着せのストーリーを台無しにした。これらの情報は、軍産複合体に利益をもたらす帝国主義的な戦争の本質を明らかにした。

米国の正統性を損なう拷問の暴露

2011年に公開された「Gitmo Files」や2012年に公開された被収容者政策に関する文書は、世界各地のいわゆる「ブラック・サイト」やキューバのグアンタナモの収容所において、米国が組織的な人権侵害に関与していることを示す紛れもない証拠となっている。これらのファイルは、Khalid al Masriのような元抑留者が部分的な救済を受けるのに役立っただけでなく、CIAが行った拷問や、赤十字の査察官をいかに欺いたかを示す重要な証拠となった。

ウィキリークスは、米当局が150人近くの男性を無実と知りながら意図的に何年も刑務所に収監していたことも明らかにした。テロとの戦いという名目で、非人間的な環境下に置かれた人々は、米国の支配力を強めるためだけに存在していたのだ。例えば、アルジャジーラのジャーナリストであるSami al-Hajjは、彼がテロと無関係であることをCIAが熟知していたにもかかわらず、何年もグアンタナモに拘留された。拘束期間が長くなったのは、CIAがメディアの業務に関する内部情報を引き出すためだった。

米国は敵味方を問わずスパイ活動を行う

2010年から11年にかけて公開された外交公電や、2016年に公開されたNSAの秘密ファイルは、米国が大使館や秘密機関を利用して世界中で計画を進めていることを証明している。世界中の主要な出版物に掲載されたこの公電は、いくつかの国の日常的な意思決定に米国が介入しているという推測を裏付けるものだった。米国大使館は、権威主義的な政府が米国と同盟を結んだ場合にはその政府を保護し、米国の命令に反抗する大衆的な政府に対しては陰謀を企てていたことが明らかになった。

特にラテンアメリカでは、米国は大使館を使ってホスト国を威嚇し、自国の政策に従わせていたことも明らかになった。その結果、多くの国で外交的・政治的な大混乱が生じた。ボリビアでは、米国大使館が援助機関であるUSAIDを利用して自国の利益を促進し、先住民族グループを分断した。ベネズエラでは、米国大使館が政府に不利なスパイ活動を行うために職員を試し、スパしとして採用した。ペルーでは、ケイコ・フジモリが米国大使館と共謀して、父親のアルベルト・フジモリをクーデターで復権させたことが明らかになった。

2018年に公開された米国大使館の購入リストから、亡命希望者が自国で受けた迫害について「嘘」をつかないようにするために、グアテマラの米国大使館が2018年にポリグラフコーディネーターを募集していた様子が明らかになった。

外交文書で暴露されたチャゴス島のケースは、米国が環境保護という大義名分を自らの戦略的利益のために利用し、人々の権利を否定した典型的な例を示している。外交文書によると、米当局は英国と共謀してディエゴガルシアに「世界最大の海洋自然保護区」を設立することによって、何百人もの地元住民が1966年の米軍基地建設で失われた土地を取り戻すのを妨害した。

米国の民主主義に関する神話を覆す

大統領候補のヒラリー・クリントンのメールが2016年10月にウィキリークスによって流出(クリントンの選挙対策委員長であるジョン・ポデスタからハッキング)した。流出したメールは、彼女の大統領選挙の怪しげな性質を立証し、多くの人によれば、彼女の選挙での当選を阻害することになった。また、世界で最も自由で公正な選挙と称される米国の選挙が、大資本や特定の利益団体によってお金を使って操作されていることを示す証拠にもなった。

流出したメールは、ジェフ・スタインが2016年にVoxの記事で述べた、クリントンが公約を実現する意図もなく「目の前の聴衆が多かれ少なかれ聞きたいこと」を話しているだけだということを証明している。これは、バイデン政権で再び証明されたように、米国の選挙で他のほとんどの候補者が採用している標準的な選挙戦略である。

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