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(mozilla.org)ベンチャーキャピタルは2025年にプライバシー問題の解決を迫られる
(訳者前書き)以下は、mozilla.orgのブログに掲載された記事の翻訳です。監視産業を支えている資金のバックグラウンドをわかりやすく解説しています。「政府系ファンドは、ベンチャーキャピタル(VC)企業に数十億ドルを注ぎ込んでいる」といった指摘にあるように、プライバシーや人権を侵害する監視技術の開発を支えている資金の流れを把握し公開し、投資が割に合わない環境を構築することによって、投資を抑制させるグローバルな運動が必要だと訴えています。政府の公的資金の財政支出といった側面だけでは把握できないもっと大規模な枠組があることに気づかされます。下記で紹介されている、著者が立ち上げに参加したSurveillance Watchのデータをみると、日本も例外ではないことがわかります。(小倉利丸)
エスラ・アル・シャフェイ、Mozilla 2025フェロー
2025年には、グローバルな監視テクノロジー市場にいくつかの重要な変化が起こるだろう。AI監視産業は依然として利潤と権力集中のために動いており、2027年までに2347億2000万ドルに達する見込みである。モニタリングは、実際には高度な監視システムとして機能しているのだが、しばしばそれが「特徴」とか「改良」などという言い回しで隠されている。顔認識テクノロジーは、監視業界で最も急速に成長している分野のひとつとなっている。ML(機械学習)とAIが主な推進要因として評価され、2028年までに市場価値が134億ドルに成長し、年率14.9%の成長率で成長すると予測されている。
世界の大半の国では、行き過ぎた監視による最も深刻な影響に直面している。例えば、アラブ首長国連邦(UAE)は、広範囲にわたる「安全都市」プラットフォームと大規模な顔認識インフラを包括的に開発し、西アジアで最も網羅的に監視されている国のひとつとなっている。この監視能力は、UAEが世界的なAIハブとして位置づけられるにつれて、さらに拡大する可能性が高い。インドの監視テクノロジー部門も、AI搭載の監視システムの普及により、かつてない成長を遂げている。人権侵害の証拠があるにもかかわらず、また、スパイウェアの悪用に関する最高裁判所の審査が行われたにもかかわらず、インド政府は監視計画を進めている。メキシコもまた、危険な傾向の例である。AIを駆使した監視国家が急速に拡大しているが、きちんとした法的保護なしに運営されており、AIの採用が拡大するにつれ、国家および民間企業によるプライバシー侵害に対して、人々が特に脆弱になっている。
抑圧的な政権が所有するものも含め、政府系ファンドは、ベンチャーキャピタル(VC)企業に数十億ドルを注ぎ込んでいる。これらのVCがその資本をAI監視の新興企業に流すことを十分承知の上で、国防契約や、大規模な個人データや行動データを追跡・分析できる監視プラットフォームといった利益率の高い可能性に惹かれてのことだ。これらの投資家の多くは、今日、かつてないほどの政治的影響力を行使している。VCは、大規模な市民の圧力、戦略的な訴訟、規制の脅威、そして市場の力が一致する稀な状況によってのみ、プライバシーの権利や彼らの投資がもたらす人的被害を優先で考慮することを迫られるだろう。しかし、監視技術がもたらす利潤が急上昇し、監督機能がほとんどない現状では、倫理的な基盤を開発するインセンティブはほとんどない。
2025年には、VCは監視技術への投資について厳しい監視の目にさらされることになるだろう。この変革を加速させることを期待して、私は、不透明な監視産業の隠れたつながりを明らかにするインタラクティブな地図とデータベースである「Surveillance Watch」を立ち上げた。この取り組みは、Amnesty Tech、Privacy International、Access Now、Digital Rights Foundation、African Internet Rights Allianceなど、グローバルな市民社会における調査活動を補完するものである。
金融関係者、プライバシー侵害技術、人権への影響の間の点を結びつけることで、私たちはこの侵害の背後にあるベンチャーキャピタル投資を追跡可能にし、またこれを公開し、テクノロジー投資におけるプライバシーを考慮した適切な評価のための新たな基準を推進する手助けをしている。グローバルマジョリティーに対するプライバシー侵害が人権に影響を与え続ける以上、重大な法的および評価上のリスクにさらされるという懸念は現実のものとなるだろう。ベンチャーキャピタルは、投資先企業のプライバシー慣行が、重大な法的リスクや評価リスクを招く可能性があることに次第に気づくだろう。倫理的な目覚めというよりも、業績不振による潜在的なLP[Limited Partnership]からの資金回収に対する懸念から、VCはより厳格なデューデリジェンスの実施を急ぐようになり、明確なプライバシー保護策のない企業とは距離を置くようになるかもしれない。
VCにとっての課題は、プライバシーへの影響を考慮するかどうかではなく、監視技術への資金提供が現実の法的・財務的影響を伴うという新たな現実に対して、いかに迅速に適応できるか、ということになるだろう。最後に、そして最も重要なこととして、「プライバシーは死んだ」という神話はついに瓦解するだろう。監視産業を可能にさせているものに関する包括的なデータを武器にした草の根運動が世界中で急増するだろう。これが、AI開発におけるベンチャーキャピタルの説明責任を確保するための実行可能な枠組みを構築することが重要な理由である。この枠組みは、テクノロジーの影響を最も受けているコミュニティの声や実体験を中心に据え、有害な監視慣行にレジスタンスするためのデータやツールをコミュニティに提供しなければならない。これには、コミュニティのニーズを反映した透明性の高いデータ収集システム、影響を記録するコミュニティベースの研究、より強力な説明責任措置を求める政治的な政策提言活動、プライバシーと侵害的な監視からの保護を優先する代替テクノロジー・プラットフォームのサポートとローカライズなどが含まれる。
エスラ・アル・シャーフィは2025年のMozillaフェローである。
(2025/2/5アクセス)