(Intercept)FIREFOXブラウザー、ロシアの要請で反検閲アドオンをブロック

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(Intercept)FIREFOXブラウザー、ロシアの要請で反検閲アドオンをブロック

(訳者前書き)この記事がでた数日後に、アドオンのブロックは解除された模様だ。(Registerの記事参照) アドオンのブロックへの批判が広範に拡がり、これがfirefoxの判断に影響を与えたのではないかと推測する。他のブラウザのアドオンがブロックされていないことを考えるとこのInterceptの記事にあるように、firefoxの判断は拙速といえる。しかし、同時に、どのような良心的な企業やプロジェクトであっても国家の権力に抗うことは容易ではなく、しかし、同時に、多くの人々が声を挙げることは国家の検閲や弾圧を押し返すための必須の条件でもある、ということを改めて感じさせる出来事だった。ロシアのネット監視と遮断は深刻だ。ロシアで暮す反政府的な言論空間を支援することは戦争を押し止めるための欠かせない条件でもあると思う。(小倉利丸)


人気ウェブブラウザFirefoxのメーカーであるMozillaは、検閲を回避するアドオンをブロックするよう政府から要求を受けたと述べた。

ニキータ・マズーロフ

2024年6月12日、午前9時38分。

ウェブブラウザFirefoxを運営するMOZILLA FOUNDATIONは、ロシアの国家検閲を回避するためのアドオンを含む、様々な検閲回避アドオンをブロックしている。MozillaがThe Interceptに寄せた声明によると、これらのアドオンはロシアの連邦検閲機関であるRoskomnadzor(連邦通信・情報技術・マスメディア監督局)の要請によりブロックされた。

“ロシアにおける最近の規制変更を受けて、我々はRoskomnadzorから5つのアドオンをMozillaアドオンストアから削除するよう要求する執拗な要請を受けた。”Mozillaの広報担当者はThe Interceptのコメント要求に答えた。「慎重に検討した結果、ロシア国内での利用を一時的に制限しました。これらの行動の意味を認識し、私たちの地域コミュニティを念頭に置きながら、次のステップを綿密に評価しています。”

ロシアのオープン・インターネット・グループ、Roskomsvobodaの最高技術責任者(CTO)であるスタニスラフ・シャキロフは、Mozillaの決断は軽率であり、より慎重に検討されることを望むと述べた。

「情報へのアクセスという点では、この企業の価値観は非常に明確だと思っていただけに、不愉快な驚きです。そして、こうした価値観があるからこそ、国家の検閲に屈服したりあるいは常識とは程遠い法律の要件を遵守したりすることは、それほど簡単なことではないはずです」とシャキロフは述べた。

検閲を回避するために設計されたデジタルツールの開発者たちは最近、自分たちのFirefoxアドオンがロシアで利用できなくなったことに気づき始めた。

6月8日、ロシアやその他の旧ソビエト諸国におけるインターネット検閲規制を回避するためのアドオン「Censor Tracker」の開発者が、Mozilla Foundationのディスカッションフォーラムに、ロシアのユーザーはこの拡張機能を利用できないと投稿した。

Roskomnadzorの検閲を回避するために特別に設計された別のアドオン、Runet Censorship Bypassの開発者は、彼らの拡張機能もブロックされたとスレッドに投稿した。この開発者は、ブロックに関してMozillaから何の通知も受け取っていないと述べている。

2つのVPNアドオン、Planet VPNと FastProxy――後者はロシアの検閲を回避する目的でロシアのユーザーのために設計された――もブロックされている。VPN(バーチャル・プライベート・ネットワーク)は、ユーザーのトラフィックを他国のサーバーを経由させることで、インターネットユーザーの所在地を不明瞭にするように設計されている。

The Interceptは、4つのアドオンすべてがロシアでブロックされていることを確認した。ロシアのIPアドレスからアドオンのウェブページにアクセスすると、Mozillaアドオンのページに以下のメッセージが表示される。「あなたがアクセスしようとしたページは、あなたの地域では利用できません」。アドオンがロシア以外の IP アドレスでアクセスされた場合、アドオンのページは正常に読み込まれる。

通信の監督

Roskomnadzorは、「電気通信、情報技術、およびマス・コミュニケーションにおける管理と監督」を担当している。

3月、ニューヨーク・タイムズは、RoskomnadzorがVPNなどの検閲回避技術へのアクセスを制限する業務を増やしていると報じた。2018年には、RoskomnadzorがFirefoxアドオンストア全体へのアクセスをブロックしたという複数のユーザー報告があった。

Mozilla’sPledge for a Healthy Internet(健全なインターネットのためのMozillaの誓い)によると、Mozilla Foundationは「地球上のすべての人々を含むインターネットにコミットする――ここでは、個人の人口統計学的特性がオンラインアクセス、機会、経験の質を決定することはない」と述べている。Mozillaのマニフェストにおける第二の原則は、「インターネットは、オープンでアクセス可能であり続けなければならないグローバルな公共リソースである」と述べている。

Mozilla財団は、その営利部門であるMozilla Corporationと共同でFirefoxをリリースしているが、独自のVPNサービスであるMozilla VPNも運営している。ただし、利用できるのは33カ国のみで、ロシアは含まれていない。

同じ4つの検閲回避アドオンは、他のブラウザのウェブストアでブロックされることなく、他のウェブブラウザでも利用できるようだ。例えば、Censor TrackerはGoogle Chromeウェブブラウザで引き続き利用可能で、このアドオンのChromeウェブストアのページはロシアのIPアドレスから動作する。Runet Censorship BypassVPN PlanetFastProxyも同様だ。

「一般的に、最近同じようなことをした人を思い出すのは難しい。ここ数カ月、Roskomnadzor(ロシアでブロッキングを回避するためのツールの宣伝を禁止する法律が採択された後)は、コンテンツに関するこのような苦情をあらゆるところに送っている」とロシアのオープンインターネットの支持者であるシャキロフは語っている。

https://theintercept.com/2024/06/12/mozilla-firefox-russia-censorship-blocked

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