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(共同公開質問状)Microsoftはイスラエルのガザ戦争における自らの役割を明らかにすべきだ
(訳者前書き)以下は、Access Nowのウエッブに掲載されたマイクロソフト宛の公開質問状の粗訳です。回答期限は10月10日となっていますが、回答の有無など、その後の状況については公開されていません。Microsoftの消費者向け製品のエンドユーザーとして、私たちは、従来と同じ態度でその製品を使い続けることが、ジェノサイド企業を増長させかねない、という視点をもって、私たちの日常生活に食い込んでいるMaicrosoftのサービスからどのようにして離脱するのかを真剣に考え、実行する時にきていると思う。(としまる)

公開日:2025年10月10日 最終更新日:2025年10月10日
サティア・ナデラ
会長兼最高経営責任者
Microsoft Corporation
ブラッド・スミス
社長
Microsoft Corporation
CC: ナターシャ・クランプトン、責任あるAI担当最高責任者
ナデラ様、スミス様
署名した人権団体は、占領下パレスチナ地域(OPT)におけるイスラエル当局による国際法重大違反にMicrosoftが加担したとする報道について、深刻な懸念を表明する。
私たちは、Microsoftが9月25日に発表した特定のイスラエル軍向けサブスクリプション及びサービスの停止・無効化、特に特定のクラウドストレージ及びAIサービス・テクノロジー利用中止を決定したことを歓迎する。Microsoftは、イスラエル当局によるパレスチナ人への組織的な抑圧への関与を直ちに終了し、ガザ地区におけるパレスチナ人に対するジェノサイドを含む残虐犯罪への自社製品・サービスのさらなる関与を停止し、将来の利用を防止するよう求める。このジェノサイドは多くの 人権団体及び 独立した国連専門家によって確認されている。
2025年8月、ガーディアン紙、+972 と Local Call によるメディア調査では、イスラエル軍諜報部門「8200部隊」がMicrosoftのAzureクラウドサービスを利用し、ガザ地区及びヨルダン川西岸地区のパレスチナ人電話通信を毎日大量に傍受・保存・処理していると報じられている。Microsoft自身のレビューでも、ガーディアンの報道の一部を裏付ける証拠が確認されている。
このメディア調査によれば、Azureで稼働するイスラエルの大量監視システムは数百万件の携帯電話通話を記録しており、2025年7月時点でイスラエル軍のデータ保存量は11,500テラバイト以上に達している。
これらの報道によれば、イスラエル当局がこのデータを利用してガザ地区の爆撃の標的を調査・特定し、標的選定にAI駆動ツールを併用していると、8200部隊内部の情報源が述べていることを報じている。また、この情報は、ヨルダン川西岸地区で「人々を脅迫し、拘束し、あるいは事後的に殺害を正当化するため」にも使用されたと報じられている。2025年2月のAP通信の調査報道によれば、イスラエル軍はMicrosoft Azureを利用して、パレスチナ人の通話・テキスト・音声メッセージを含むデータを収集・文字起こし・翻訳を行なっている。APが入手したMicrosoft内部情報(レビュー)によれば、このデータはイスラエル軍独自のAI標的選定システムと照合され、攻撃対象やその位置を特定するために利用されているという。
Microsoftの9月25日の声明と前述の報道は、2025年5月15日の公式声明と対照的だ。Microsoftは同声明で、AzureやAIテクノロジーがガザ地区の人々を標的としたり危害を加えるために使用された証拠は見つからず、イスラエル国防省がMicrosoftの利用規約やAI行動規範に違反した事実もないと主張していた。前述の調査報道は、Microsoftが2021年以降、8200部隊が大量の機密データをAzureの製品やシステムに移行している事実をいつ、どの程度認識していたかについても疑問を投げかけている。またこの調査は、国際法上の重大な違反に関連して使用されたイスラエルの大量監視および標的生成システムにおいて、Microsoftの技術インフラと支援がどこまで利用されたかについても数多くの懸念を提起している。
イスラエルによる広範かつ侵襲的な監視は、パレスチナ人に対するアパルトヘイト犯罪の継続的実行に決定的に寄与してきた。イスラエル当局は、パレスチナ人の個人データの大量監視と強制的な抽出を利用して、ジェノサイドを含むその他の国際犯罪、絶滅を含む人道に対する罪、戦争法規違反の空爆を含む戦争犯罪の実行を可能にし、促進し、さらには加速させてきた。
さらに、データ駆動型システムとAIテクノロジーは、イスラエルのガザ戦争において極めて重要な役割を果たしてきた。この戦争では65,000人以上のパレスチナ人(少なくとも20,000人の子どもを含む)が殺害される結果となり、ガザの学校、病院、住宅、重要な民間インフラの大部分が破壊された。
Microsoftが公に支持する国連ビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs)[日本語訳]によれば、企業は人権侵害を引き起こしたり助長したりすることを避け、事業活動や関係に直接関連するリスクに対処する責任がある。紛争の影響を受ける状況では、重大な人権侵害のリスクが高まるため、企業による適切な評価もそれに応じて強化されるべきだ。2022年6月、国連開発計画(UNDP)は企業向けガイド「紛争影響下における事業のための強化された人権の適正評価」(UNDPガイド)[日本語訳]を公表した。このガイドによれば、紛争影響下で強化された適正評価を実施するとは、企業が紛争を理解し、紛争に対する自社の実際的または潜在的な悪影響を特定し、その結果に対して対処するための措置を講じることを意味する。武力紛争のようなリスクが高まった状況では、国連ビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs)の立場は明確である。すなわち、企業が人権侵害への悪影響に寄与する可能性がある場合、その寄与を停止または防止するために必要な措置を講じ、残存する影響を可能な限り軽減するために自らの影響力を行使すべきだ、としている。Microsoftは、強化された人権適正評価を実施したのか、あるいは人権侵害との関連性を断ち切ろうとしたのかについて、公に開示していない。
メディアの調査によれば、マイクロソフトはイスラエル軍がガザで残虐行為を実行する中で契約を拡大し、イスラエル国防軍(IDF)に対し少なくとも1000万ドル相当の製品・サービス(数千時間に及ぶ技術支援を含む)を提供したと報じられている。ジャーナリストは、イスラエル軍とマイクロソフトの関係者から、Azureがイスラエル軍全体の戦闘・諜報活動を支援しており、これにはいわゆる「ローリング・ストーン」システムの維持も含まれるという。このシステムは、イスラエル当局が法的地位や身分証発行の対象として合法居住者と見なすパレスチナ人の名簿管理や、西岸地区とガザにおけるパレスチナ人の移動管理に用いられている。さらにデータベースも提供しており、これはイスラエル空軍が致死的な空爆の標的候補として利用するものだ。Microsoftはまた、自社のプラットフォームを通じて、OpenAIのGPT-4モデルをはじめとするAIツールへの大規模なアクセス権をイスラエル治安部隊に付与したとされている。単なるサービス提供を超えて、MicrosoftはIDF(イスラエル国防軍)の諜報部門(8200部隊やユニット9900など)に対し、戦争中のAzureクラウドインフラ利用を支援するため、推定19,000時間に及ぶエンジニアリングサポートを提供したと報じられている。
メディアはさらに、イスラエル軍は戦闘期間中、Microsoftが提供するAIおよびクラウドテクノロジーへの需要を増加させたとも報じている。例えばガーディアン紙は次のように報じている。ガザでの最近の戦闘開始後6か月間におけるイスラエル軍のMicrosoft Azureクラウドストレージ平均月間消費量は、戦闘前の4か月間と比べて60%増加した。内部文書が示唆するところでは、2024年3月末時点でイスラエル軍のAzure機械学習ツール群の月間消費量は、2023年9月と比べて64倍に達していた。AP 通信は、漏洩文書によれば、2024年3月のイスラエル軍によるMicrosoftとOpenAI提供のAI機能利用量が、2023年10月7日の前週と比較してほぼ200倍に達したと報じている。このAP通信の報道によれば、イスラエル軍がMicrosoftのサーバーに保存したデータ量は、その時点[24年3月]から2024年7月までに倍増し、13.6ペタバイト以上に達した。これは「米国議会図書館の蔵書全てを保存するのに必要なデジタル記憶容量の約350倍」に相当する。
メディア報道で指摘されているイスラエルによるMicrosoftテクノロジー利用は、企業が人権を尊重せず、国連ビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs)に基づく責任を果たしていないことを示唆している。また、Microsoft自らがMicrosoftグローバル人権声明で表明している、自社のバリューチェーン・事業活動・テクノロジー全体において人間の尊厳を高め人権を尊重するというコミットメントにも反する。Microsoftは、Global Network Initiative(GNI)の創設メンバーとして、インターネット上の表現の自由とプライバシーに関するGNI原則を遵守することを約束している。また、同社の責任あるAI原則とAIサービス行動規範は、Microsoftのカスタマーに対し「個人、組織、社会に危害を加える方法、または法律で禁止されている方法で個人に影響を与える方法でのAIサービスの使用を禁止する」ことを要件としている。
8200部隊によるパレスチナ人コミュニティへの侵襲的監視の記録、およびイスラエルの長期にわたる国際法に対する重大な違反の実績を考慮すれば、共犯のリスクは予想可能であり、また回避可能であった。したがって、イスラエル軍が自社のクラウドシステムを大量監視目的やその他の虐待行為の促進に利用していることを認識していなかったと主張しても、Microsoftの責任は免れえない。
2024年1月26日、国際司法裁判所(ICJ)は、南アフリカが主張し裁判所が妥当と認めた権利を保護するため、イスラエルに対しジェノサイドの防止を命じた。これには「ガザ地区のパレスチナ人がジェノサイド行為から保護される権利」も含まれる。これに続き、2024年7月には画期的な勧告的意見が示された。ICJは、イスラエルによる数十年にわたる占領が違法であり、パレスチナ人の自己決定権を侵害していると判断した。また、イスラエルが人種差別撤廃条約第3条(人種隔離とアパルトヘイトの禁止)に違反し、パレスチナ人に対してその他の重大な人権侵害を犯していると認定した。さらに、各国に対し、イスラエルの違法占領を維持する可能性のあるあらゆる援助や支援を提供しないよう命じた。これを受け、2024年9月の国連総会決議はICJ判決を支持し、イスラエルに対し「占領下パレスチナ地域における違法な居住」を終わらす期限を1年と定めた。
さらに、Microsoftが積極的に支援してきた国際刑事裁判所(ICC)は、戦争犯罪及び人道に対する罪でイスラエル首相と元国防相に対する逮捕状を発付した。
Microsoftが発表したイスラエルによるAzureクラウドの大量監視目的での利用に関する調査開始は評価するものの、こうした調査は人権適正評価の強化に代わるものではない。Microsoftは1991年以来、イスラエルで最大のテック企業の一つであり、米国外で最も戦略的な拠点の一つをイスラエルに有している。同国では主要な軍事インフラ全てに足跡を残しているとの報告がある。イスラエルの残虐行為の証拠は圧倒的である。2025年9月16日、東エルサレムを含む占領下パレスチナ地域及びイスラエルに関する国連独立国際調査委員会は結論として、イスラエル当局及び治安部隊がガザ地区においてジェノサイドを犯し、現在も継続されていると認定した。Microsoftが行うべき対応も明らかだ。すなわち、深刻な人権侵害や国際犯罪に加担している証拠がある場合、イスラエル軍やその他の政府機関との全ての事業活動を停止し、関係を断絶することである。Microsoft自身のレビューは、同社に「特定の[イスラエル軍]向けサブスクリプションとそのサービスを停止・無効化すること、具体的には特定のクラウドストレージやAIサービス・テクノロジーを利用中止すること」を求めている。私たちは、Microsoftがこの観点から関連契約を全て精査し、イスラエルによる監視・警察活動・治安活動・軍事活動を支援するために使用される全てのAI、クラウドインフラ、ITソフトウェア・ハードウェア、技術支援、訓練、資金その他の支援の直接的・間接的な供給・販売・移転を停止するなどの措置を講じるよう強く求める。
以上のことを踏まえ、私たち はMicrosoftに対し以下の疑問への回答を求める:
- Microsoftは、自社の事業が重大な人権侵害や国際犯罪に寄与していることを示す証拠がある場合、イスラエル軍やその他の政府機関との取引を停止するために、どのような措置を講じるつもりか?
- Microsoftが実施中の正式なレビュー結果を公に公表するとの約束を踏まえ、Microsoftはレビュー結果を全文公開することを約束するか。これには調査範囲、審査対象の具体的な組織・サービス、およびイスラエル軍やその他の政府機関との取引に関連する人権への悪影響に対処するためのMicrosoftの措置を含めるべきである。
- 同じ法律事務所が前回の審査も実施したという事実を踏まえ、現行の正式なレビューにおいて、イスラエル当局によるMicrosoftのテクノロジー使用状況を徹底的に調査するため、Microsoftはどのような措置を講じたか?
- Microsoftは追加の人権レビューを実施するつもりか、あるいは現行のレビューに人権の視点を組み込むつもりか?もしそうなら、Microsoftはレビューの目的で、影響を受けるコミュニティを代表する権利保有者や人権専門家と協議したか、あるいは協議する予定はあるか?
- 2025年責任あるAI透明性報告書に明記されたポリシーに従い、MicrosoftはIDFおよびイスラエル政府によるジェノサイドその他の国際犯罪の遂行に利用されたAIテクノロジーに対し、アクセス制限を適用したか? 適用していない場合、その理由を説明せよ。制限を適用した場合、その不十分さに対してどのように対処しているか?
- Microsoftは、「Sensitive Uses」レビュープロセスに沿って紛争地域に展開される進化するAIテクノロジー(「高影響・高リスク用途」)を評価するつもりか? もしそうなら、今後の「責任あるAI透明性報告書」において、そのような用途に関する詳細な報告を提供できるか?
- Microsoftは、自社の関与がイスラエルによる人権侵害につながったパレスチナ人に対し、賠償を含む効果的な救済をどのように提供する予定か?
これらの疑問への回答及び提供したいその他の情報を、2025年10月10日までに提出するよう要請する。なお、回答は全部または一部を、私たちの裁量で公表する可能性があることを注意事項として承知されたい。回答がない場合、その事実も公表資料に記載する可能性がある。
敬具
- Access Now
- Amnesty International
- 電子フロンティア財団
- Human Rights Watch
- 7amleh
- Fight for the Future
https://www.accessnow.org/press-release/microsoft-must-come-clean-on-its-role-in-israels-war-on-gaza