オリンピック声明、アピールなど監視社会

(声明)2020東京オリンピック・パラリンピックを理由としたプライバシー権と市民的自由を侵害するテロ対策に反対します

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2020東京オリンピック・パラリンピックを理由としたプライバシー権と市民的自由を侵害するテロ対策に反対します

2018年9月6日
盗聴法に反対する市民連絡会
問い合わせ先
070-5553-5495(小倉)
hantocho-shiminren@tuta.io

JOC、政府、自治体、民間企業そしてマスメディアの報道は、いずれも、2020東京オリンピック・パラリンピック(以下オリンピックと呼びます)のセキュリティ対策を大義名分として、監視社会化を推進する一方で、基本的人権としてのプライバシーの権利や言論・表現の自由など人々の市民的自由が最優先されるべきであることに全く関心をもっていません。

たかだか夏の一ヶ月のスポーツイベントとその準備によって、基本的人権としての市民的自由やプライバシーの権利が、半永久的に奪われる非常に憂慮すべき事態にあることを、訴えたいと思います。

●オリンピックが歯止めのない監視社会化を招いている

政府は、2017年に「2020年東京大会に向けたセキュリティ基本戦略」や「オリパラ・テロ対策推進要綱」を策定しました。そして現在、政府は、安倍首相を本部長とした「オリパラ推進本部」の下に各省庁を横断した「セキュリティ幹事会」を設置し、更に各自治体もまきこんだ大規模な監視システムを構築しています。現在までに、組織や個人の監視や情報収集のために、セキュリティ情報センター(警察庁)、国際テロ対策等情報共有センター(仮称)(内閣官房)、サイバーセキュリティ対処調整センター(内閣官房)などが設置され、「国際テロ情報収集ユニット」等の活動が拡大・強化されるなど、新たな組織や仕組みが次々と作られてきました。共謀罪は、このような動きのなかで、強引に成立させられたのです。また、2018年春の通常国会に政府が提出した「2020年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会の準備及び運営の推進に関する政府の取組の状況に関する報告」の中心課題も、もっぱらセキュリティ対策とリスク管理に置かれました。オリンピックに反対とは言いにくい世論をたくみに利用して、オリンピックを監視社会化のために利用しようとする意図が明かになっています。

監視強化の一例としていくつかの事例を上げることができます。たとえば、従来の入国審査での生体情報の利用に加えて、航空会社が保有する旅客情報の収集が強化されたり、空港、山手線などの鉄道車内や駅構内などの公共の場所での顔認証や個人識別機能付の監視カメラの設置、インターネット通信への監視強化などが計画されています。ボランティア管理では、マイナンバーと顔認証を併用することが計画されており、オリンピック観戦チケット購入についてもマイナンバーの導入が計画されています。更に、聖火リレーなどのイベントを口実に、日本全国で日常的にテロ対策訓練などが行なわれるようになってしまいました。

また警察庁は、2017年4月の「人口減少時代における警備業務の在り方に関する有識者検討会」において、オリンピック警備での人手不足を理由に、民間警備会社によるドローンなどのICTの活用を提言しており、更に将来的にはビッグデータの活用への動きもあり、官民が一体となってプライバシーの権利を侵害しかねない動きが加速しています。

政府であれ民間であれ、オリンピックを口実として、個人情報を網羅的に取得して監視の手段に使うことに歯止めがかかっていません。JOCの大会運営費、国や自治体のオリンピック関連予算、民間企業のオリンピック関連投資全体のなかで、テロ対策などを口実とした監視・警備予算は、大きく膨れ上がり、大会運営費だけでもその2割を占め、警備要員も5万人を越える規模になっています。オリンピックは、民間の監視産業の利益の源泉になっており、ICT産業は、私たちのプライバシーの権利を守ることよりも監視社会化から利益をあげる企業になっています。オリンピックをきっかけに導入された高度な監視の制度、政策、技術などは、将来、国の様々な政策に浸透してゆくきっかけになります。

このように、オリンピックは、監視社会化を促進し、市民的自由の抑圧、プライバシー権の侵害に格好の大義名分を与えるイベントになっているのです。私たちは、このようなオリンピックの開催に賛成することは到底できません。

●ナショナリズムと一体となった監視社会化

オリンピックは、その憲章の趣旨に反して、事実上ナショナルイベントになっています。表彰式では国旗が掲揚され国歌が歌われます。オリンピックは、過剰にナショナリズムを鼓舞する巨大イベントです。そしてまた、今回のオリンピックを政府は「復興オリンピック・パラリンピック」と呼び、「国民総参加」による「日本全体の祭典」であり「大会が日本の魅力や日本が誇るべき価値を発信する絶好の機会」であるなど、ナショナリズムの喚起のチャンスと捉えています。これは、オリンピックを絶好の機会とした監視社会化と国民総動員体制の構築ではないでしょうか。

個人の自由な思想信条など、憲法で保障された基本的人権の観点からすれば、政府が「国民総参加」を上から扇動するようなことがあってはなりません。参加しない自由、批判する自由、こうした異論をデモや集会などで表現する自由が監視されることなく保障されるべきことは言うまでもありません。警察、自衛隊、民間警備産業などを総動員する治安管理体制がとられるなかで、上からの「国民総参加」が事実上強制されようとしている現在、私たちのプライバシーの権利や思想信条の自由は、尊重も配慮もされていません。

また、こうした監視体制のなかで、「日本全体の祭典」といったナショナリズムが鼓舞される結果として、「国民」にも「日本」の枠組にもそぐわない地位を強いられている多くの外国籍の人々や、「日本」以外の国や地域に自らのアイデンティティを持つ人々のプライバシー権や市民的自由も奪われる危険性が高くなります。様々な少数者の市民的自由の権利、多数者とは異なる生き方やライフスタイルをもつ権利もまた監視され、差別と偏見にさらされ脆弱になるのではないでしょうか。人種差別や排外主義、少数者の人権に無関心なこの国の現状をふまえたとき、監視社会化のターゲットが、こうした人々に向けられる危険性を軽視することはできません。

●私たちの要求

私たちは、上記をふまえて、改めて以下の点を政府や関係機関に求めたいと思います。

(1)オリンピックやテロ対策を理由とした全てのセキュリティ政策、制度、組織を廃止すること。
(2)オリンピックやテロ対策を理由とした生体認証や個人識別技術の導入や監視カメラの設置を止め、すみやかに機器を撤去すること。
(3)オリンピックやテロ対策を理由とした令状なしの荷物検査や職務質問など、法令を逸脱した法執行機関の行動をやめること。
(4)オリンピックやテロ対策を理由とした出入国管理における生体情報等の取得をやめること。
(5)オリンピックやテロ対策を口実とした政府機関や民間等での個人情報の共有をやめること。
(6)警察も含めて、政府・自治体による生体情報、画像・動画などを含む個人情報の取得状況を本人に開示し、自己情報コントロールの権利を認めること。
(7)オリンピックのテロ対策を口実として制定された共謀罪を廃止すること。
(8)オリンピックのテロ対策を口実として批准した越境組織犯罪防止条約から脱退すること。
(9)オリンピックに関する全てのセキュリティ、治安関連予算を取りやめること。
(10)民間企業や地域組織(町内会、PTA、ボランティア団体など)はオリンピックを口実とした安全・安心などを名目とする監視への投資や監視活動に参加しないこと。

私たちは、思想信条、言論表現、および信教の自由など市民的自由を侵害し、生体情報、行動履歴、出入国履歴などプライバシーの権利を侵害するいかなる国家イベント、国策、民間企業などの活動を容認できません。人権をないがしろにするのならオリンピックは中止すべきです。

以上

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